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Part 3
Д.а 予期せぬ - 03
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「左側のお店には、色々な新作や売り出し中の食事が売ってあります。真ん中は、スイートやデザート系を置いていますのよ。右側のお店は、少し腹持ちのいいボリュームのある料理を出しているお店なんです。今はスープの入ったヌードルもどうかと思いまして、そちらも試しています」
現代でのヌードルは多種多様。
スープ系から、炒めているもの。タレをからませたもの。その全てが全て、おいしいものだ。
セシルは、ラーメンやうどんなどが恋しくなって、どうにかそういったスープ系のヌードルが食べられないか、ずっと考案中だったの。
残念なことに、お醤油はない。みりんもない。
それで、まず手始めに、ヴェトナム料理で有名な牛を使ったポー(Pho)に似たようなスープ系ヌードルを作ってみたのだ。
領地でも、最初は、スープとヌードルが混ざった料理は馴染みがなく、食べる側も困惑して、あまり人気は上がらなかったが、セシルがヌードルを食べている場を見た子供達の方が興味を示し、それで、
「マスターと同じのにするっ!」
と子供達の方が、大人達よりも先に、牛肉のスープヌードルを試食しだしたのだ。
さすがに、最初は食べること自体に苦労をしていた子供達だったが、今では、苦も無く、難無く、ツルツルとヌードルを食べられるようになっている。
お肉のダシがきいているので、スープも味が染み込み、おいしいものだ。
セシルも、月に一度ほどは、ついつい、ヌードルを食べに戻ってきてしまうのだった。
「せっかくですもの、色々、試してみましょう」
「はいっ!」
「では、私が買ってきますので、席について、待っていていただけますか?」
「はい。――どこに……すわったら、いいんですか?」
「どこでもいいのですよ。――あっ、でも、護衛がしやすいように、どこがよろしいかしら?」
ちらりと、ギルバートに視線が向けられ、ギルバートもサッと広場を確認する。
「では、この入り口側の端のテーブルで。真ん中の席が空いているので、そこにしましょう」
ギルバートが少しだけ首を振ると、無言で指示された護衛達が静かによって来て、オスミンを連れて行った。
今回は、レイフはオスミンと一緒にテーブルで待っている気はないようである。
「リドウィナ様はどうされますか? あちらのカウンターの方で、好きなメニューを選ぶこともできますし、テーブルの方で待っていただければ、私の方で色々と買ってきますけれど?」
「わたくしは……」
箱入り娘の侯爵家のご令嬢は、今まで自分から食事を買いに行ったことなどない。誰かに世話されることが貴族の特権であるから、それが当然の生活になっている。
正直な話……、自分から“カウンター”という場所に行って食事を頼む場面が想像できず、もし、間違いでもしてしまったのなら……と心配してしまって、リドウィナもしり込みしてしまう。
「もし……ご迷惑で、なければ……、セシル様に、お願いしたいのですが……」
「ええ、問題はございませんわ。では、あちらのテーブルの方で待っていてくださいね?」
「はい……」
静々と頭を下げてお辞儀をしたリドウィナは、オスミンが座っているテーブルの場所に向かう。
「では、行きましょうか」
今までのレイフの行動を見る限りでも、レイフなら、一人でさっさと何でも買い込んでしまいそうな勢いだから、セシルはそのレイフの行動を見て見ぬふりをすればいいだけのはず……。
「こちらのディスプレイ側の食事は、このようにトレーを持ちまして、好きな食事を皿に乗せることができます。お会計は、レジの方でまとめてすることになっておりますので」
木のトレーを一つ取り上げ、セシルは何枚かの皿を乗せて見せるようにした。
「カウンターの後ろには、メニューの料理もありますのよ。そちらは、レジの方で注文して、料理が出来上がれば、呼ばれる仕組みになっています」
ギルバート、クリストフ、そして、レイフは興味津々といった様子でセシルの説明を聞いている。
「皆様もトレーを取って、お好きなものを選んでみてはいかがでしょう? もちろん、ご自分用の食事を選んでいただいても構いません。全員でシェアする分は、私が皿に取ってみますので」
それを聞いて、ギルバートもトレーを取りながらセシルの横に並んでみた。
「ああ、私はいいですよ。私のトレーにも、皆の分を一緒に乗せてみましょう」
「よろしいのですか?」
「ええ、構いません。もし、私の興味の引かれる料理があったら、クリストフの皿に入れてもらいましょう」
「では、私の皿は、私の好きなものを取ってもいいのですか?」
「まあ、そうなるだろうな」
きらりん!
クリストフの瞳が輝いている。
笑いを少し堪えるようにして、セシルの瞳が、チラリとレイフの方に向けられる。
「三人のトレーには、全員分の食事を乗せるのなら、私が先に選んでいこう」
「そうですか。では、よろしくお願いいたします」
レイフに好きなだけ、自分の好きなことをさせて、セシルとギルバートは(ただ静かに) レイフの後ろに並ぶだけだ。
「これは何ですか?」
「コロッケです。茹でたジャガイモを潰し、塩・こしょうなどの味付けをしまして、衣で揚げたものなのですよ。この頃では、つい、揚げ物の食事が多くなってしまいましてね(病みつきになってしまうので)」
「衣?」
「ええ、そうです。衣は、パンを固くして、それを細かくけずったものなのです。揚げ物にする時に使用されるのですが、小麦粉、卵の後に衣(ころも)となるパン粉をつけ、油で揚げるものなのです。サクサクとした衣が、とてもおいしいんです」
なるほどと、すぐに納得して、コロッケが人数分、レイフの皿の上に乗せられる。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Mèsi pou lekti roman sa a
~・~・~・~・~・~・~・~・
現代でのヌードルは多種多様。
スープ系から、炒めているもの。タレをからませたもの。その全てが全て、おいしいものだ。
セシルは、ラーメンやうどんなどが恋しくなって、どうにかそういったスープ系のヌードルが食べられないか、ずっと考案中だったの。
残念なことに、お醤油はない。みりんもない。
それで、まず手始めに、ヴェトナム料理で有名な牛を使ったポー(Pho)に似たようなスープ系ヌードルを作ってみたのだ。
領地でも、最初は、スープとヌードルが混ざった料理は馴染みがなく、食べる側も困惑して、あまり人気は上がらなかったが、セシルがヌードルを食べている場を見た子供達の方が興味を示し、それで、
「マスターと同じのにするっ!」
と子供達の方が、大人達よりも先に、牛肉のスープヌードルを試食しだしたのだ。
さすがに、最初は食べること自体に苦労をしていた子供達だったが、今では、苦も無く、難無く、ツルツルとヌードルを食べられるようになっている。
お肉のダシがきいているので、スープも味が染み込み、おいしいものだ。
セシルも、月に一度ほどは、ついつい、ヌードルを食べに戻ってきてしまうのだった。
「せっかくですもの、色々、試してみましょう」
「はいっ!」
「では、私が買ってきますので、席について、待っていていただけますか?」
「はい。――どこに……すわったら、いいんですか?」
「どこでもいいのですよ。――あっ、でも、護衛がしやすいように、どこがよろしいかしら?」
ちらりと、ギルバートに視線が向けられ、ギルバートもサッと広場を確認する。
「では、この入り口側の端のテーブルで。真ん中の席が空いているので、そこにしましょう」
ギルバートが少しだけ首を振ると、無言で指示された護衛達が静かによって来て、オスミンを連れて行った。
今回は、レイフはオスミンと一緒にテーブルで待っている気はないようである。
「リドウィナ様はどうされますか? あちらのカウンターの方で、好きなメニューを選ぶこともできますし、テーブルの方で待っていただければ、私の方で色々と買ってきますけれど?」
「わたくしは……」
箱入り娘の侯爵家のご令嬢は、今まで自分から食事を買いに行ったことなどない。誰かに世話されることが貴族の特権であるから、それが当然の生活になっている。
正直な話……、自分から“カウンター”という場所に行って食事を頼む場面が想像できず、もし、間違いでもしてしまったのなら……と心配してしまって、リドウィナもしり込みしてしまう。
「もし……ご迷惑で、なければ……、セシル様に、お願いしたいのですが……」
「ええ、問題はございませんわ。では、あちらのテーブルの方で待っていてくださいね?」
「はい……」
静々と頭を下げてお辞儀をしたリドウィナは、オスミンが座っているテーブルの場所に向かう。
「では、行きましょうか」
今までのレイフの行動を見る限りでも、レイフなら、一人でさっさと何でも買い込んでしまいそうな勢いだから、セシルはそのレイフの行動を見て見ぬふりをすればいいだけのはず……。
「こちらのディスプレイ側の食事は、このようにトレーを持ちまして、好きな食事を皿に乗せることができます。お会計は、レジの方でまとめてすることになっておりますので」
木のトレーを一つ取り上げ、セシルは何枚かの皿を乗せて見せるようにした。
「カウンターの後ろには、メニューの料理もありますのよ。そちらは、レジの方で注文して、料理が出来上がれば、呼ばれる仕組みになっています」
ギルバート、クリストフ、そして、レイフは興味津々といった様子でセシルの説明を聞いている。
「皆様もトレーを取って、お好きなものを選んでみてはいかがでしょう? もちろん、ご自分用の食事を選んでいただいても構いません。全員でシェアする分は、私が皿に取ってみますので」
それを聞いて、ギルバートもトレーを取りながらセシルの横に並んでみた。
「ああ、私はいいですよ。私のトレーにも、皆の分を一緒に乗せてみましょう」
「よろしいのですか?」
「ええ、構いません。もし、私の興味の引かれる料理があったら、クリストフの皿に入れてもらいましょう」
「では、私の皿は、私の好きなものを取ってもいいのですか?」
「まあ、そうなるだろうな」
きらりん!
クリストフの瞳が輝いている。
笑いを少し堪えるようにして、セシルの瞳が、チラリとレイフの方に向けられる。
「三人のトレーには、全員分の食事を乗せるのなら、私が先に選んでいこう」
「そうですか。では、よろしくお願いいたします」
レイフに好きなだけ、自分の好きなことをさせて、セシルとギルバートは(ただ静かに) レイフの後ろに並ぶだけだ。
「これは何ですか?」
「コロッケです。茹でたジャガイモを潰し、塩・こしょうなどの味付けをしまして、衣で揚げたものなのですよ。この頃では、つい、揚げ物の食事が多くなってしまいましてね(病みつきになってしまうので)」
「衣?」
「ええ、そうです。衣は、パンを固くして、それを細かくけずったものなのです。揚げ物にする時に使用されるのですが、小麦粉、卵の後に衣(ころも)となるパン粉をつけ、油で揚げるものなのです。サクサクとした衣が、とてもおいしいんです」
なるほどと、すぐに納得して、コロッケが人数分、レイフの皿の上に乗せられる。
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読んでいただき、ありがとうございます。
Mèsi pou lekti roman sa a
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