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Part 3
В.а 余計な - 10
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* * *
「皆様、昨日は、私の為に、滞在を一日引き延ばしてくださいまして、ありがとうございます」
「いいえ。偶然とは言え、私も、あなたの誕生日を祝うことができて、とても嬉しく思います。贈り物を用意してきませんでしたが……」
「そのようなこと、お気になさらないでくださいね?」
気落ちしているギルバートの前でも、セシルはそんなことを全く気にしていない様子だった。
それで、ギルバートだって、
「王国に帰ったらすぐに、セシルへの贈り物を探すぞ!」
と、セシルには内緒で、今から闘志を燃やしているのだ。
時間的に言っても、ギルバートが王国で贈り物を用意し、それをコトレア領に送っても、そのすぐ後に、ギルバート自身も、もう一度、領地に戻って来るのだから、この際、セシルへの贈り物は、次にコトレアに戻って来る時に持参すべきだろう、とも考えている。
それで、誕生日からは遅れてしまったが、ちゃんと、ギルバート自身がセシルに贈り物を手渡すことができる。
今朝は、普段からセシルが好んで使用している、こぢんまりとした小さなダイニングで朝食を頂いている。
八人ほどが座れそうな大きなテーブルを囲んで、セシルとギルバート、そして、ギルバートに付き添って来た四人の護衛が一緒に食事をしていた。
クリストフはギルバート付きの護衛で側近でもあるから、常にギルバートに付き従っているのは言うまでもない。
ただ、食事ともなれば、この場合、クリストフは食事中のギルバートを待ち、部屋の隅で待機するのが普通だ。
そして、残りの護衛達だって、ギルバート達が食事を済ませる前に、使用人塔の方で先に朝食を頂き、それで、クリストフに習い、部屋の片隅に控えているか、呼ばれるまで自室で待機しているかのどちらかである。
でも、セシルは、初めてやって来た時から、「皆様も一緒にどうぞ」 と、付き人である騎士達を、気軽に、一緒に食事に招いてくれていた。
セシルはこの領地の領主であり、女主でもあるから、ギルバート以外の騎士達は身分違いとなるのに、そんなことを一切気にした様子もなく、セシルは皆で食事を済ませることを勧めてくれた。
今朝はダイニングテーブルを囲んでいるので、セシルのすぐ隣にはギルバートが座っている。
セシルの好意で、ギルバート達の皿は、朝からでもかなりの量が盛られている。そして、毎回、難なく完食する全員だった。
「ギルバート様」
「なんでしょう?」
「今日は、朝食の後、王国にお戻りになられると思われますが、もう少しだけ、お時間を頂けないでしょうか?」
「時間ですか? もちろんです。私には、全く問題ではありません」
「昼頃までで良いのです。お見せしたいものがありますの」
「見せたいもの、ですか?」
ギルバートの方も、不思議にちょっと首を傾げてしまう。
ふふと、セシルが口元を緩め、
「はい。本来なら、これから後にでも見られる機会はあると思いますが、まだ混雑していない時に見た方が、よろしいのではないかと思いまして」
「それなら、問題はありません」
「申し訳ありません。お忙しい中、引き留めてしまいまして……」
「ああ、そんなこと、お気になさらないでください」
朝食後に出立しようが、昼を過ぎてから出立しようが、移動に関しては、それほど問題はない。
ただ、到着する時間が少しずれてしまうだけだ。
それよりも、セシルがギルバートに見せたいものとは、一体、なんだろうか?
セシルのことだから、きっと、ギルバートは簡単に驚いてしまうことだろうなと、今からでも楽しみである。
朝食を終えたセシルは、外での見回りもあるらしく、暇であるギルバートはセシルに同行させてもらった。
領地内で会議か会合だったらしく、それは、すぐに終えて、移動もそれほど要求されたものでもなかったのだ。
それから、邸に続く通行門側で馬を降り、セシルに案内されて、全員が宿場町の方に戻って行く。
それで、宿場町の中央に設置されている観光情報館の前にやって来ていた。
観光情報館の二階側には、新しく設置された大きな丸い時計が飾られている。子供一人分の背丈は軽くあるのではないかと思われるような直径の高さで、大きな丸い時計だ。
すでに、周囲には、ギルバート達だけではなく、宿場町で働いている者達や、領地からの領民達、商隊のような団体や傭兵達が、色々と集まり出していた。
皆が皆、揃って、中央にある観光情報館を取り囲むように、立っている。
どうやら、外からやって来た者達も、全員、この領地の新しい名物である「時計塔」 なるものを、見物しにやって来たらしい。
ギルバート達は、時計塔と真正面から向き合うように、通りの端側に立っている。
こんな風に、賑わって混雑した場で囲まれるのは、ギルバート達も落ち着かないのだ。
それで、観光情報館と通りを挟んで向き合っている建物の壁側に陣取り、セシルの護衛六人が、セシルとギルバート達の前に立っているので、混雑で人込みに押される心配はなくなった。
「そろそろですわ」
ここに集まった全員が、興味津々で目を輝かせ、観光情報館の二階に設置にされている大きな時計を見上げている。
「皆様、昨日は、私の為に、滞在を一日引き延ばしてくださいまして、ありがとうございます」
「いいえ。偶然とは言え、私も、あなたの誕生日を祝うことができて、とても嬉しく思います。贈り物を用意してきませんでしたが……」
「そのようなこと、お気になさらないでくださいね?」
気落ちしているギルバートの前でも、セシルはそんなことを全く気にしていない様子だった。
それで、ギルバートだって、
「王国に帰ったらすぐに、セシルへの贈り物を探すぞ!」
と、セシルには内緒で、今から闘志を燃やしているのだ。
時間的に言っても、ギルバートが王国で贈り物を用意し、それをコトレア領に送っても、そのすぐ後に、ギルバート自身も、もう一度、領地に戻って来るのだから、この際、セシルへの贈り物は、次にコトレアに戻って来る時に持参すべきだろう、とも考えている。
それで、誕生日からは遅れてしまったが、ちゃんと、ギルバート自身がセシルに贈り物を手渡すことができる。
今朝は、普段からセシルが好んで使用している、こぢんまりとした小さなダイニングで朝食を頂いている。
八人ほどが座れそうな大きなテーブルを囲んで、セシルとギルバート、そして、ギルバートに付き添って来た四人の護衛が一緒に食事をしていた。
クリストフはギルバート付きの護衛で側近でもあるから、常にギルバートに付き従っているのは言うまでもない。
ただ、食事ともなれば、この場合、クリストフは食事中のギルバートを待ち、部屋の隅で待機するのが普通だ。
そして、残りの護衛達だって、ギルバート達が食事を済ませる前に、使用人塔の方で先に朝食を頂き、それで、クリストフに習い、部屋の片隅に控えているか、呼ばれるまで自室で待機しているかのどちらかである。
でも、セシルは、初めてやって来た時から、「皆様も一緒にどうぞ」 と、付き人である騎士達を、気軽に、一緒に食事に招いてくれていた。
セシルはこの領地の領主であり、女主でもあるから、ギルバート以外の騎士達は身分違いとなるのに、そんなことを一切気にした様子もなく、セシルは皆で食事を済ませることを勧めてくれた。
今朝はダイニングテーブルを囲んでいるので、セシルのすぐ隣にはギルバートが座っている。
セシルの好意で、ギルバート達の皿は、朝からでもかなりの量が盛られている。そして、毎回、難なく完食する全員だった。
「ギルバート様」
「なんでしょう?」
「今日は、朝食の後、王国にお戻りになられると思われますが、もう少しだけ、お時間を頂けないでしょうか?」
「時間ですか? もちろんです。私には、全く問題ではありません」
「昼頃までで良いのです。お見せしたいものがありますの」
「見せたいもの、ですか?」
ギルバートの方も、不思議にちょっと首を傾げてしまう。
ふふと、セシルが口元を緩め、
「はい。本来なら、これから後にでも見られる機会はあると思いますが、まだ混雑していない時に見た方が、よろしいのではないかと思いまして」
「それなら、問題はありません」
「申し訳ありません。お忙しい中、引き留めてしまいまして……」
「ああ、そんなこと、お気になさらないでください」
朝食後に出立しようが、昼を過ぎてから出立しようが、移動に関しては、それほど問題はない。
ただ、到着する時間が少しずれてしまうだけだ。
それよりも、セシルがギルバートに見せたいものとは、一体、なんだろうか?
セシルのことだから、きっと、ギルバートは簡単に驚いてしまうことだろうなと、今からでも楽しみである。
朝食を終えたセシルは、外での見回りもあるらしく、暇であるギルバートはセシルに同行させてもらった。
領地内で会議か会合だったらしく、それは、すぐに終えて、移動もそれほど要求されたものでもなかったのだ。
それから、邸に続く通行門側で馬を降り、セシルに案内されて、全員が宿場町の方に戻って行く。
それで、宿場町の中央に設置されている観光情報館の前にやって来ていた。
観光情報館の二階側には、新しく設置された大きな丸い時計が飾られている。子供一人分の背丈は軽くあるのではないかと思われるような直径の高さで、大きな丸い時計だ。
すでに、周囲には、ギルバート達だけではなく、宿場町で働いている者達や、領地からの領民達、商隊のような団体や傭兵達が、色々と集まり出していた。
皆が皆、揃って、中央にある観光情報館を取り囲むように、立っている。
どうやら、外からやって来た者達も、全員、この領地の新しい名物である「時計塔」 なるものを、見物しにやって来たらしい。
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こんな風に、賑わって混雑した場で囲まれるのは、ギルバート達も落ち着かないのだ。
それで、観光情報館と通りを挟んで向き合っている建物の壁側に陣取り、セシルの護衛六人が、セシルとギルバート達の前に立っているので、混雑で人込みに押される心配はなくなった。
「そろそろですわ」
ここに集まった全員が、興味津々で目を輝かせ、観光情報館の二階に設置にされている大きな時計を見上げている。
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