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Part 3
В.а 余計な - 09
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セシルの邸でも、領地でも、この頃では、お馴染みなりつつあるセシルのズボン姿だろうと、ギルバートはセシルに会えるのであれば、どんな格好だろうと気にしていない。
もちろん、セシルのドレス姿を見られることだって、とても嬉しいものだが、セシルが嫌がるのなら、強要するつもりもない。
でも、さすがに邸の全員だって、隣国の王子殿下がいらしているのに、普段着で、仕事着のズボン姿のままのセシルには、不満があるのだ。
貴族のご令嬢として、王子殿下の婚約者として、領地の領主として、綺麗なドレスで着飾り、きちんとした格のある美しいご令嬢を見せつけたいのだ。
使用人だって、貴族に仕える矜持というものはあるものなのだ。
普段はセシルが言うことを聞かないから、(ものすごーく) 仕方なく、セシルの言い分を聞いてやってはいるが、誕生日祝いなら正式なお祝いである。
邸の全員がパーティーに参加して、少々、普通の仲良しパーティーの雰囲気になってしまっても、それでも、公式のお祝い行事なのだ。
それで、セシルは夕食前にしっかりと沐浴を強要され、おまけに、普段、着る機会がないドレスを着せられたのだ。
領地のお針子達だって、毎回、ドレスを着てくれない領主様でも、だからと言って、手抜きをするはずもない。
いつ、何時、ドレスが必要になってもいいように、セシルの為に、ちゃんとドレスだって仕立てているのだ。
ただ、そのドレスを着ているセシルを見る機会がほとんどないのが、問題なのだったが……。
「とてもお似合いですよ。珍しい形のドレスに見えますが、あなたにとても似合っていると思います。あまりに美しすぎて、今夜は眠れないかもしれません」
「……っ……」
今、ものすごい殺し文句を、サラッと、口にしなかっただろうか?
意図的に言われたような雰囲気ではなかった。
むしろ、さらっと、考えていることが漏れてしまったような、あまりの自然さだった。
「ありがとう、ございます……」
そして、セシルとギルバートを遠巻きから見守っている使用人達は、若い熱々のカップルに、微笑ましげである。
セシルが隣国の王子殿下から求婚されたと驚きの事実を知らされた時は、邸中――いや、領地中で全員が驚いてしまったものだ。
マスターが隣国に嫁いでいってしまうのか……?!
全員が心配していた。
だが、セシルの居住場所が移動するだけで、セシルは領主の任を続行できるし、コトレアにも、何度も帰国が許されているらしく、ほとんど、今までと状況はあまり変わらないものだったのだ。
拍子抜けしてしまったのではないが、そうなると、領民全員も、ギルバートとセシルの結婚に反対する理由が全くない。
ギルバートは隣国の王子殿下であり、王子としての風格があり、物腰も穏やかで、見目麗しい若い貴公子である。
セシルの隣に立っていても、全く見劣りしないほどの美しい容貌に、凛々しい風格だった。
その上、王国騎士団の副団長という立派な地位に就いているほどの実力があり、腕っぷしも認められているほどである。
それなら、セシルを護ることになんの問題もないし、きっと、ギルバートなら、喜んでセシルを護ってくれることだろう。
それに、何よりも――使用人全員の目から見ても、ギルバートは、自分達が敬愛する領主様にメロメロな事実が、あまりに明らかだった。
きっと、ものすごい惚れ込んでいても不思議ではないほどの、セシルへの愛情が――熱々で、若い侍女達からは、毎回、頬を赤らませるほどの歓声が上がっているほどだ。
あれだけギルバートに大切にされているセシルなら、隣国に嫁いでいっても、全く問題もないのだろうと、今日この頃では、若い熱々なカップルを応援している野次馬達である。
使用人達全員が、遠巻きから若い二人のカップルを見守りながら、その頬がにやけそうに緩んでしまっているのは、隠せない事実だ。
微笑ましくて、熱々で、ついつい、その顔がにやけてしまっているのだ。
「皆も、今日は、私の誕生日のお祝いをありがとう。こんなにたくさんの食事を贈ってもらえて、私は本当に幸せ者だわ」
コトレア領にやって来た時など、食糧難で餓死するのではないか……とさえ言えそうなほどの最悪の状況だったのに。
今では、領民達全員から、こんなにたくさんの食事やデザートが贈られてくることが普通になってきている。
誰も不思議がらず、自分達の食事を、誰か他の者達にも分け与えることが簡単にできるようになったのだ。
領地がここまで成長してきた苦労と、努力の成果、そして、今までの実りの分だけは、セシルだって喜んでもいいだろう。
「さあ、夕食を始めましょう? 心ゆくまでたくさん食べてね」
うわぁっと、歓声が上がり、(身内での) パーティーの始まりである。
「ギルバート様、どうぞ、こちらにいらしてください」
「ありがとうございます。セシル嬢、あなたの誕生日に授かり、ごちそうになります」
「たくさんありますので、どうぞ、たくさん召し上がってくださいね」
「なんだか、あなたの誕生日であるのに、我々、騎士達には天国のような状況ですね。食べ放題だなんて」
「まあっ、うふふ」
仲良く二人並んで食事を取り分けている光景は、これからやって来る(余計な) 嵐の前に、ちょっとだけラブラブなシーンだった。
やはり、にやけ顔が止まらない使用人全員である。
もちろん、セシルのドレス姿を見られることだって、とても嬉しいものだが、セシルが嫌がるのなら、強要するつもりもない。
でも、さすがに邸の全員だって、隣国の王子殿下がいらしているのに、普段着で、仕事着のズボン姿のままのセシルには、不満があるのだ。
貴族のご令嬢として、王子殿下の婚約者として、領地の領主として、綺麗なドレスで着飾り、きちんとした格のある美しいご令嬢を見せつけたいのだ。
使用人だって、貴族に仕える矜持というものはあるものなのだ。
普段はセシルが言うことを聞かないから、(ものすごーく) 仕方なく、セシルの言い分を聞いてやってはいるが、誕生日祝いなら正式なお祝いである。
邸の全員がパーティーに参加して、少々、普通の仲良しパーティーの雰囲気になってしまっても、それでも、公式のお祝い行事なのだ。
それで、セシルは夕食前にしっかりと沐浴を強要され、おまけに、普段、着る機会がないドレスを着せられたのだ。
領地のお針子達だって、毎回、ドレスを着てくれない領主様でも、だからと言って、手抜きをするはずもない。
いつ、何時、ドレスが必要になってもいいように、セシルの為に、ちゃんとドレスだって仕立てているのだ。
ただ、そのドレスを着ているセシルを見る機会がほとんどないのが、問題なのだったが……。
「とてもお似合いですよ。珍しい形のドレスに見えますが、あなたにとても似合っていると思います。あまりに美しすぎて、今夜は眠れないかもしれません」
「……っ……」
今、ものすごい殺し文句を、サラッと、口にしなかっただろうか?
意図的に言われたような雰囲気ではなかった。
むしろ、さらっと、考えていることが漏れてしまったような、あまりの自然さだった。
「ありがとう、ございます……」
そして、セシルとギルバートを遠巻きから見守っている使用人達は、若い熱々のカップルに、微笑ましげである。
セシルが隣国の王子殿下から求婚されたと驚きの事実を知らされた時は、邸中――いや、領地中で全員が驚いてしまったものだ。
マスターが隣国に嫁いでいってしまうのか……?!
全員が心配していた。
だが、セシルの居住場所が移動するだけで、セシルは領主の任を続行できるし、コトレアにも、何度も帰国が許されているらしく、ほとんど、今までと状況はあまり変わらないものだったのだ。
拍子抜けしてしまったのではないが、そうなると、領民全員も、ギルバートとセシルの結婚に反対する理由が全くない。
ギルバートは隣国の王子殿下であり、王子としての風格があり、物腰も穏やかで、見目麗しい若い貴公子である。
セシルの隣に立っていても、全く見劣りしないほどの美しい容貌に、凛々しい風格だった。
その上、王国騎士団の副団長という立派な地位に就いているほどの実力があり、腕っぷしも認められているほどである。
それなら、セシルを護ることになんの問題もないし、きっと、ギルバートなら、喜んでセシルを護ってくれることだろう。
それに、何よりも――使用人全員の目から見ても、ギルバートは、自分達が敬愛する領主様にメロメロな事実が、あまりに明らかだった。
きっと、ものすごい惚れ込んでいても不思議ではないほどの、セシルへの愛情が――熱々で、若い侍女達からは、毎回、頬を赤らませるほどの歓声が上がっているほどだ。
あれだけギルバートに大切にされているセシルなら、隣国に嫁いでいっても、全く問題もないのだろうと、今日この頃では、若い熱々なカップルを応援している野次馬達である。
使用人達全員が、遠巻きから若い二人のカップルを見守りながら、その頬がにやけそうに緩んでしまっているのは、隠せない事実だ。
微笑ましくて、熱々で、ついつい、その顔がにやけてしまっているのだ。
「皆も、今日は、私の誕生日のお祝いをありがとう。こんなにたくさんの食事を贈ってもらえて、私は本当に幸せ者だわ」
コトレア領にやって来た時など、食糧難で餓死するのではないか……とさえ言えそうなほどの最悪の状況だったのに。
今では、領民達全員から、こんなにたくさんの食事やデザートが贈られてくることが普通になってきている。
誰も不思議がらず、自分達の食事を、誰か他の者達にも分け与えることが簡単にできるようになったのだ。
領地がここまで成長してきた苦労と、努力の成果、そして、今までの実りの分だけは、セシルだって喜んでもいいだろう。
「さあ、夕食を始めましょう? 心ゆくまでたくさん食べてね」
うわぁっと、歓声が上がり、(身内での) パーティーの始まりである。
「ギルバート様、どうぞ、こちらにいらしてください」
「ありがとうございます。セシル嬢、あなたの誕生日に授かり、ごちそうになります」
「たくさんありますので、どうぞ、たくさん召し上がってくださいね」
「なんだか、あなたの誕生日であるのに、我々、騎士達には天国のような状況ですね。食べ放題だなんて」
「まあっ、うふふ」
仲良く二人並んで食事を取り分けている光景は、これからやって来る(余計な) 嵐の前に、ちょっとだけラブラブなシーンだった。
やはり、にやけ顔が止まらない使用人全員である。
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