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Part2

* В.д 囮に? *

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 日曜の休日で、また、セシル達は休暇をもらっていた。

 普段は、ギルバート達は、“休日”という概念がほとんどなく、仕事で追われているので、仕事休みの休暇は十日ごとにはもらえているそうなのだ。

 セシル達が王国に滞在していて、ギルバートがセシルの(専属) 護衛を任されているようだったから、セシル達に気を遣ってくれているギルバートは、日曜日にセシル達を訓練に呼ばない。

 ゆっくりと休んで、のんびりしてください、と親切に言われている。

 そこらでギルバートの気遣いが満載である。

 そうなると、休日をもらい、訓練もない。

 王宮にある宿舎ではすることもなく、こんな大きな王都に滞在しているだけに、今日もまた、セシル達は王都にやって来ていた。

 子供達は、前回の休日でも、かなりの出費をしたようだが、それはそれ。

 人生に一度あるかないかの旅行で、大王国と呼ばれる他国の王都にやって来ているのだ。遊びまくるに決まっているではないか。

 だから、今日も、セシルに付き添って、子供達が一緒に王都にやって来ていた。

 オルガとアーシュリンは、洗濯などを済ませておきたいというので、今日は騎士団の宿舎で残っている。

 その二人の付き添い、兼、護衛で、イシュトールとユーリカも残っている。

 休日なので、


「そこまで働き詰めなくてもいいのよ」


とは、セシルも話してみたが、オルガとアーシュリンは、今日は観光を遠慮していた。

「マスター、今日は、何をなさるんですか?」
「そうですねぇ……。前回の時に、たくさんお土産を買うことができましたから、今日は、小物や文房具でも見てみようかしら」

 執事のオスマンドにも、大きな日記帳などあったら、どうだろうか?
 日記はつけなくても、必要事項のメモなども取れるし、たくさん書き込むことができるだろう。

 それに、せっかくアトレシア大王国にやって来ているのだから、セシルの両親やシリルにも、なにかお土産を買えないかどうか考えている。

 父には、書きやすそうなペン?
 母には、アトレシア大王国で流行っているアクセサリーなんてどうかしら?
 シリルには、興味深そうな本など?

 ああ、今日も、セシルの趣味のショッピングで終わってしまいそうだった。

「あなた達はどうするのです?」

 それで、五人がちょっと見合い、
「うろうろしようかな、と」
「まだ、見てないお店もあるので」

「そうですか。それなら、今日も、別行動にしましょう? 大丈夫ですか?」
「はい、問題ありません」

 前回だって、セシルと離れて別行動だった。
 問題もなく、問題も起こさなかったではないか。

「では、昼食なども、それぞれ自由に取ってね。今日も……3時くらいに、集合場所で待ち合わせをしましょう」
「「はいっ」」
「では、気を付けて行ってらっしゃい」

 セシルに一礼を済ませた子供達は、今日も大張り切りで駆け出していく。

 たった一度くらいでは、王都の醍醐味だいごみなど、全部、見物するなんてできないだろう。せめて、何度か繰り返して見て回らなくては。

「ご令嬢は、小物店なのですか?」
「ええ、そうです」

「では、ご案内いたしますね」
「ありがとうございます。今日も、お時間を割いていただきまして、ありがとうございます」

 親しき中にも礼儀あり。
 セシルが、丁寧にギルバートに向かってお辞儀をする。

「いいえ、お気になさらないでください」

 そして、爽やかな笑みが止まない副団長サマだった。




「おい、お金、いくら残ってる?」
「今日、食べ歩きする分くらいはあるぜ」
「俺も~。でも、もう、武器は買えないかな」

 気分良く、通りを軽い足取りで進んで行く五人は、今日も混雑している王都で、通り過ぎていくお店などを“ウィンドウショッピング”している。

 とは言っても、家の中にあるお店の中は見えない。

 前回は、武器商などのお店に行きたかったので、その辺りを専門としている区域を見て回った五人だ。
 今日は、市場などがある区画にやって来ている。

 通りの露店には、新鮮な果物や野菜、雑貨、干し肉店など、多種多様な商品や食事が並んでいて、活気溢れる日常生活が広がっていた。

 貯めて来たお金は、まだ残っているから、今日の休日での観光でも問題はない。

 買い食いしまくりで貯金が切れてしまったら、次の時は、セシルに付き添って、ご飯をごちそうしてもらえばいっか、などと心配している様子もない。

 自由行動でないのなら、保護者、兼、責任者として、セシルが全員の出費をまかなってくれるとは、セシルから話されている。

 露店で買い込んだスナックを頬張りながら、適当にブラブラと通りを過ぎて行く。喉も乾いたので、ミント水を売っているお店で、ガブ飲み。

「おい、どうした?」

 露店の側で立ち食いをしていた五人の中で、ケルトが向こうの方を眺めているのを、ジャンが見咎めていた。

「いや……。なんでもないんだろうけど」
「なに見てんの?」

 はっきりしないケルトの態度に興味を引かれ、残りの全員が、ケルトが眺めている方向に目を向けて見る。

 混雑して、賑わっている通りは人で溢れ返っている。

「なんだよ。何かあるのか?」
「いや、ないと思うけどさ……」

「でも、何見てたわけ?」
「うーん……。あの男達。あっちで果物とか売ってる露店の後ろで、たむろってる二人組み」

 そして、目をらすと、全員の視界の向こうで、ケルトが指しているような人物像が見えて来る。

 特に目立ったような洋服を着てるのでもなく、一人は不精髭ぶしょうひげがあるが、まあ、普通の平民の容姿に、髪型に、洋服だ。

 古びたシャツに、トラウザーである。

 だが、目をらしている残りの全員も、なぜ、ケルトがさっきからずっと、じーっと、あの二人を眺めているのか、その理由がなんとなく分かり始めていた。

「怪しいね」
「確かに」

 子供達がじーっと凝視している先で、男達は露店の後ろ側の壁に寄りかかり、何かをするでもなし、それなのに、視界の先の人込みを眺めているのか、誰かを見ているのか、その視線の先が五人の見ている前でも、一切、動かなかったのだ。

 なにか、獲物を狙って、息を潜めているような、そんな雰囲気が伺えたのだ。

 つい、怪しい男達を見つけてしまった為、五人は(昔からの癖で)、ジーっと、無言で男二人を観察している。

「動いたね」
「ああ」

 それで、ジャンが少し動き出していた。

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