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第一章 不良、陰陽術師になる
1.”不良少年”生方宗継の強さ
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『あーあ、どうしてこうなっちまったんだろうな』吐いたため息が白くなって空に消えていった。12月の冬、廃墟した工場で不良高校生30人に取り囲まれていた。
生方 宗継【うぶかた むねつぐ】中学三年生は、柄にもないことをしたと自らの行ないに飽き飽きしていた。普段の自分なら面倒ごとに首を突っ込まなかった・・・普段の自分なら。
~遡る~
横浜に生まれ育ち、周りから不良と扱われている自分は、『多くの力自慢を喧嘩で倒して学校のてっぺんを目指す』や『暴走族をまとめて最強の伝説を作る!』・・・なんて、そんな野望を抱いて喧嘩をしている訳ではない。売られた喧嘩を買っていたらいつの間にか不良になっていた。
スポーツ万能、何をやらせてもこなしてしまう運動神経と体格の良さ。勉強だって・・・まあ優秀?教師からの評価だって・・・まあ時々、学校をサボって怒られたりもするけど良いし、どこにでもいる[自称]優等生だと自負する。
そんな[自称]優等生の自分がどうして喧嘩に巻き込まれてしまうのか?それには、2つ理由がある。
1つ目は、目つきの悪さと体が大きいという見た目。小学生当時、周りが平均身長が130~140cmぐらいに対して自分は、160cmの大柄だった。今は、中学三年で180cmまで背が伸びた。体が大きいだけでも目立つのに、威嚇しているかのような目つきの悪さもあいまって、上級生に目をつけられてしまっていた。睨んでもいないのに「ガン飛ばしてんじゃねぞ!」「喧嘩売ってんのか!?」と喧嘩を仕掛けられる事なんて日常茶飯事。「なんだ、図体がデカイだけで喧嘩は、弱いのか。大した事ねぇな」とそう思われるくらい喧嘩が弱ければ、柄の悪い連中と関わらずに済んだのかもしれない。
2つ目の理由、喧嘩が強かった。父方の祖父が空手道場を営んでいる師範で、祖父独自の家訓[男児たるもの強くあらねばならない]という教えの元、5歳の頃から嫌々空手を習わされていた。
厳格な祖父の教えは、泣く事も許してくれないほどスパルタだったので、怒られるたびに何度も辞めたいと思った。そんなスパルタ指導の成果もあって、県の大会で優勝するくらい強くなった。
続けていた空手だったが、小学4年に2つ上の上級生と喧嘩をしたことをきっかけに空手をやめた。元々辞めたかったけど、教わった空手を喧嘩に利用した事に対する申し訳無さを感じた。
そしてその喧嘩をきっかけに「生方は、喧嘩が強い」と噂が広まってしまった。喧嘩漫画を読んでいた少年たちは、強い不良に憧れを抱く奴らが多く『どうして不良という人種は、強い奴と喧嘩がしたいんだろう?』と平穏な生活を願っている自分からすれば、あまり関わりを持ちたくない。
~事件の3ヶ月前~
「おいコラ生方!お前、あの田中を相手に喧嘩で勝ったんだってな。お前倒して俺が最強の称号をいただくぜ!」と意気揚々と自分に向かって売り言葉を放つ他校の不良中学生。どの田中なのか?負けた相手の顔なんて覚えてない。
相手は、後ろに3人の仲間を引き連れ、4人で喧嘩をふっかけてきた。面識もなく、不良特有のネットワークもないから、どんなに名のある不良だとしても怯まなかった。
『すんません。俺、喧嘩とかしたくないんすよ。最強の称号?ですか?あげるので帰ってください』と相手の売り言葉を買わず、訳の分からない称号を相手に譲り、その場を去ろうとした。自分は、いたってまじめに対応したはずなのに相手の顔が真っ赤になって怒っていた。
「はあ!?お前の同意なんざ知らねんだよ。じゃあ黙ってボコられろや」と言いながら、不意打ちで右ストレートを生方の顔面目掛けて殴りかかった。この右ストレートは、少し後ろに下がり、左ステップを2回助走をつけ、勢いよく繰り出した渾身の拳。これまで幾度と舐めてかかった相手を倒してきた自慢の一撃。今回も自慢のストレートで生方を倒すつもりでいた。
生方は、欲しくもない称号なんてどうでも良かったが、黙ってやられるような無様な格好をさらす事だけは、許せない。それは、祖父の教え[男児たるもの強くあらねばならない]が体に染み込んでいるから。当時は、この家訓を毛嫌いしていたが、"男のプライド"というものを持ち始める年頃になって受け入れている。
拳(右ストレート)を反射的に左掌で止めていた生方は、すかさず、相手の空いた左側へ右フックを素早く顎にくらわす。軽く振った拳だったが、向かってくる勢いは、見事なカウンターパンチとなってクリティカルヒットした。相手は、自慢のストレートを止められた事に驚く暇もなく、気絶した。
『あっ!やってしまった』襲いかかって来た相手が目の前で倒れ込むのを見て、ふっと我にかえる。反射的に動いてしまった為、手加減するのを忘れた。こういう所が無駄な敵を作るのだと自分に嫌気を感じる。
後ろに控えている仲間の方を向くと、3人とも驚きのあまり唖然として、しばらく呆然と立ち尽くす。
『あの、、、まだやりますか?』と申し訳ないがいい加減、終わりにしたいという気持ちをのせて、喧嘩の続行か否かを問いた。3人は、倒れているリーダーの腕を肩に掛け「テメェ生方、この借りは、いつか必ず返すからな。覚悟しとけ」とモブキャラが去り際に吐くような捨て台詞を言いながら逃げ去った。
そう言ってくる相手を一度たりとも覚えていたことがない。コンビニ店員がお客さんの顔をいちいち覚えないのと一緒で、日々の流れ作業のようなものだから。
こういった喧嘩を幾度もふっかけられては、倒してを繰り返すことによって、周りから”不良”という不本意なレッテルを貼られるようになる。
~妹・美波~
喧嘩をして家に帰るといつも妹の生方 美波【うぶかた みなみ】に叱られる。2つ下の妹は、思った事を口にしてしまう素直さと理不尽を許さない正義感を持った優しい妹。そんな妹だからなのか、喧嘩してる宗継としょっちゅう言い合いになる。
喧嘩で作った頬の傷を帰宅してすぐ妹に見られてしまう。単なる擦り傷程度だが心配性の妹は、しつこく口出ししてくる。
「ねえ!怪我してるよ。また喧嘩したの?」と怪訝そうに尋ねる。生方が顔を隠して避けるようにそっぽを向くと、下から顔を覗いてきた。宗継は、急に顔を近づいて来たから驚いて後退りする。
『喧嘩?してないしてない。これはその・・・猫?そう猫にひっかけられた傷』と慌てて嘘をついた。心配を掛けたくない一心で言った。しかし、妹は、それを嘘だと見抜いていた。
「なにそれ、面白くもない。ふざけないでよ!辞めるって約束したでしょ」オドオドとした態度で言い訳をしている兄に対して、美波は、腹が立った。こんなにも心配してあげているのにそれが伝わっていない。
『す、すまん。だけどこれだけは、信じてくれ!俺からふっかけて喧嘩したんじゃないんだ!』と妹が不機嫌になったので素直に認め、謝罪した。付け加えて自分に非は、無い事を強調する。
「次、喧嘩して帰ってきたら、おじいちゃんの道場で空手の稽古だからね!分かった?」と妹は、祖父の稽古を罰ゲームのような物言いで兄に念を押す。
妹は、思い違いをしている。自分は、喧嘩を好きでやっているわけではないと言う事を。むしろ話し合いで解決できるならその方が良いと思っているくらいだ。ふっかけてくる不良を正当防衛で撃退していると言ってもいい。
「分かったから、もうしないって約束する。だから、じいちゃんの稽古を約束に持ち出すのは,無しな!」祖父との厳しい稽古を思い出すと血の気が引いてしまう。美波は、何かしら約束を破ったら祖父の稽古に参加させるという事を持ち出す。本当に嫌なところを突いてくる。
「そんなにおじいちゃんのこと嫌いなの?とても優しく教えてくれるよ」と満面な笑みで祖父の稽古を勧める。
「じいちゃんが嫌いじゃないなくて、じいちゃんの稽古が嫌なんだよ。それに優しいのは、お前にだけだからな!男相手には、容赦ないんだからあの人」と可愛い孫娘に甘い祖父への皮肉を妹に愚痴る。
妹は、自分が空手を習うのを辞めた後、なぜか自ら祖父の稽古を志願して習い始めた。「どうして?」と理由を聞いたが、妹は教えてくれなかった。まあ、あの祖父のスパルタ指導を受ければ嫌でも辞めるだろうと思った。
しかし、予想とは裏腹に妹の空手の上達は凄まじく、女子の大会で負け無しというご立派な成績をあげる。
『あの健気な妹は、何処へ』と甘えん坊だった妹は、空手の上達ともに勝気な性格になり、今では妹に頭が上がらない。そんな情け無い兄をいつまでも心配してくれる妹に変わらない愛おしさを感じる自分は、兄バカなのだろう。
「少しは、道場にも顔を出してよ。私がどのくらい強くなったか、お兄ちゃんで試したいしね。」とシャドーボクシングしながら微笑んで言った。
『おいおい!俺は、お前のサンドバックか!』と思わず心の中でツッコミを入れ、鼻で笑った。妹の無邪気さは、変わらない事に安心した。
『気が向いたらなあ。女の子なんだから無理すんなよ。』妹の申し出を軽く流しながら、2階にある自分の部屋へ向かう為、階段を上がった。
「もーう!どうせ来ないんでしょ。バカ兄貴」と部屋にいても届くように大声で"バカ兄貴"の部分を強調して言った。皮肉を言い終わった後、少し微笑んだ。こうして言い合える時間を楽しみ、嬉しいので大切にしている。宗継は、”唯一の家族”だから居なくならないで欲しい。
生方 宗継【うぶかた むねつぐ】中学三年生は、柄にもないことをしたと自らの行ないに飽き飽きしていた。普段の自分なら面倒ごとに首を突っ込まなかった・・・普段の自分なら。
~遡る~
横浜に生まれ育ち、周りから不良と扱われている自分は、『多くの力自慢を喧嘩で倒して学校のてっぺんを目指す』や『暴走族をまとめて最強の伝説を作る!』・・・なんて、そんな野望を抱いて喧嘩をしている訳ではない。売られた喧嘩を買っていたらいつの間にか不良になっていた。
スポーツ万能、何をやらせてもこなしてしまう運動神経と体格の良さ。勉強だって・・・まあ優秀?教師からの評価だって・・・まあ時々、学校をサボって怒られたりもするけど良いし、どこにでもいる[自称]優等生だと自負する。
そんな[自称]優等生の自分がどうして喧嘩に巻き込まれてしまうのか?それには、2つ理由がある。
1つ目は、目つきの悪さと体が大きいという見た目。小学生当時、周りが平均身長が130~140cmぐらいに対して自分は、160cmの大柄だった。今は、中学三年で180cmまで背が伸びた。体が大きいだけでも目立つのに、威嚇しているかのような目つきの悪さもあいまって、上級生に目をつけられてしまっていた。睨んでもいないのに「ガン飛ばしてんじゃねぞ!」「喧嘩売ってんのか!?」と喧嘩を仕掛けられる事なんて日常茶飯事。「なんだ、図体がデカイだけで喧嘩は、弱いのか。大した事ねぇな」とそう思われるくらい喧嘩が弱ければ、柄の悪い連中と関わらずに済んだのかもしれない。
2つ目の理由、喧嘩が強かった。父方の祖父が空手道場を営んでいる師範で、祖父独自の家訓[男児たるもの強くあらねばならない]という教えの元、5歳の頃から嫌々空手を習わされていた。
厳格な祖父の教えは、泣く事も許してくれないほどスパルタだったので、怒られるたびに何度も辞めたいと思った。そんなスパルタ指導の成果もあって、県の大会で優勝するくらい強くなった。
続けていた空手だったが、小学4年に2つ上の上級生と喧嘩をしたことをきっかけに空手をやめた。元々辞めたかったけど、教わった空手を喧嘩に利用した事に対する申し訳無さを感じた。
そしてその喧嘩をきっかけに「生方は、喧嘩が強い」と噂が広まってしまった。喧嘩漫画を読んでいた少年たちは、強い不良に憧れを抱く奴らが多く『どうして不良という人種は、強い奴と喧嘩がしたいんだろう?』と平穏な生活を願っている自分からすれば、あまり関わりを持ちたくない。
~事件の3ヶ月前~
「おいコラ生方!お前、あの田中を相手に喧嘩で勝ったんだってな。お前倒して俺が最強の称号をいただくぜ!」と意気揚々と自分に向かって売り言葉を放つ他校の不良中学生。どの田中なのか?負けた相手の顔なんて覚えてない。
相手は、後ろに3人の仲間を引き連れ、4人で喧嘩をふっかけてきた。面識もなく、不良特有のネットワークもないから、どんなに名のある不良だとしても怯まなかった。
『すんません。俺、喧嘩とかしたくないんすよ。最強の称号?ですか?あげるので帰ってください』と相手の売り言葉を買わず、訳の分からない称号を相手に譲り、その場を去ろうとした。自分は、いたってまじめに対応したはずなのに相手の顔が真っ赤になって怒っていた。
「はあ!?お前の同意なんざ知らねんだよ。じゃあ黙ってボコられろや」と言いながら、不意打ちで右ストレートを生方の顔面目掛けて殴りかかった。この右ストレートは、少し後ろに下がり、左ステップを2回助走をつけ、勢いよく繰り出した渾身の拳。これまで幾度と舐めてかかった相手を倒してきた自慢の一撃。今回も自慢のストレートで生方を倒すつもりでいた。
生方は、欲しくもない称号なんてどうでも良かったが、黙ってやられるような無様な格好をさらす事だけは、許せない。それは、祖父の教え[男児たるもの強くあらねばならない]が体に染み込んでいるから。当時は、この家訓を毛嫌いしていたが、"男のプライド"というものを持ち始める年頃になって受け入れている。
拳(右ストレート)を反射的に左掌で止めていた生方は、すかさず、相手の空いた左側へ右フックを素早く顎にくらわす。軽く振った拳だったが、向かってくる勢いは、見事なカウンターパンチとなってクリティカルヒットした。相手は、自慢のストレートを止められた事に驚く暇もなく、気絶した。
『あっ!やってしまった』襲いかかって来た相手が目の前で倒れ込むのを見て、ふっと我にかえる。反射的に動いてしまった為、手加減するのを忘れた。こういう所が無駄な敵を作るのだと自分に嫌気を感じる。
後ろに控えている仲間の方を向くと、3人とも驚きのあまり唖然として、しばらく呆然と立ち尽くす。
『あの、、、まだやりますか?』と申し訳ないがいい加減、終わりにしたいという気持ちをのせて、喧嘩の続行か否かを問いた。3人は、倒れているリーダーの腕を肩に掛け「テメェ生方、この借りは、いつか必ず返すからな。覚悟しとけ」とモブキャラが去り際に吐くような捨て台詞を言いながら逃げ去った。
そう言ってくる相手を一度たりとも覚えていたことがない。コンビニ店員がお客さんの顔をいちいち覚えないのと一緒で、日々の流れ作業のようなものだから。
こういった喧嘩を幾度もふっかけられては、倒してを繰り返すことによって、周りから”不良”という不本意なレッテルを貼られるようになる。
~妹・美波~
喧嘩をして家に帰るといつも妹の生方 美波【うぶかた みなみ】に叱られる。2つ下の妹は、思った事を口にしてしまう素直さと理不尽を許さない正義感を持った優しい妹。そんな妹だからなのか、喧嘩してる宗継としょっちゅう言い合いになる。
喧嘩で作った頬の傷を帰宅してすぐ妹に見られてしまう。単なる擦り傷程度だが心配性の妹は、しつこく口出ししてくる。
「ねえ!怪我してるよ。また喧嘩したの?」と怪訝そうに尋ねる。生方が顔を隠して避けるようにそっぽを向くと、下から顔を覗いてきた。宗継は、急に顔を近づいて来たから驚いて後退りする。
『喧嘩?してないしてない。これはその・・・猫?そう猫にひっかけられた傷』と慌てて嘘をついた。心配を掛けたくない一心で言った。しかし、妹は、それを嘘だと見抜いていた。
「なにそれ、面白くもない。ふざけないでよ!辞めるって約束したでしょ」オドオドとした態度で言い訳をしている兄に対して、美波は、腹が立った。こんなにも心配してあげているのにそれが伝わっていない。
『す、すまん。だけどこれだけは、信じてくれ!俺からふっかけて喧嘩したんじゃないんだ!』と妹が不機嫌になったので素直に認め、謝罪した。付け加えて自分に非は、無い事を強調する。
「次、喧嘩して帰ってきたら、おじいちゃんの道場で空手の稽古だからね!分かった?」と妹は、祖父の稽古を罰ゲームのような物言いで兄に念を押す。
妹は、思い違いをしている。自分は、喧嘩を好きでやっているわけではないと言う事を。むしろ話し合いで解決できるならその方が良いと思っているくらいだ。ふっかけてくる不良を正当防衛で撃退していると言ってもいい。
「分かったから、もうしないって約束する。だから、じいちゃんの稽古を約束に持ち出すのは,無しな!」祖父との厳しい稽古を思い出すと血の気が引いてしまう。美波は、何かしら約束を破ったら祖父の稽古に参加させるという事を持ち出す。本当に嫌なところを突いてくる。
「そんなにおじいちゃんのこと嫌いなの?とても優しく教えてくれるよ」と満面な笑みで祖父の稽古を勧める。
「じいちゃんが嫌いじゃないなくて、じいちゃんの稽古が嫌なんだよ。それに優しいのは、お前にだけだからな!男相手には、容赦ないんだからあの人」と可愛い孫娘に甘い祖父への皮肉を妹に愚痴る。
妹は、自分が空手を習うのを辞めた後、なぜか自ら祖父の稽古を志願して習い始めた。「どうして?」と理由を聞いたが、妹は教えてくれなかった。まあ、あの祖父のスパルタ指導を受ければ嫌でも辞めるだろうと思った。
しかし、予想とは裏腹に妹の空手の上達は凄まじく、女子の大会で負け無しというご立派な成績をあげる。
『あの健気な妹は、何処へ』と甘えん坊だった妹は、空手の上達ともに勝気な性格になり、今では妹に頭が上がらない。そんな情け無い兄をいつまでも心配してくれる妹に変わらない愛おしさを感じる自分は、兄バカなのだろう。
「少しは、道場にも顔を出してよ。私がどのくらい強くなったか、お兄ちゃんで試したいしね。」とシャドーボクシングしながら微笑んで言った。
『おいおい!俺は、お前のサンドバックか!』と思わず心の中でツッコミを入れ、鼻で笑った。妹の無邪気さは、変わらない事に安心した。
『気が向いたらなあ。女の子なんだから無理すんなよ。』妹の申し出を軽く流しながら、2階にある自分の部屋へ向かう為、階段を上がった。
「もーう!どうせ来ないんでしょ。バカ兄貴」と部屋にいても届くように大声で"バカ兄貴"の部分を強調して言った。皮肉を言い終わった後、少し微笑んだ。こうして言い合える時間を楽しみ、嬉しいので大切にしている。宗継は、”唯一の家族”だから居なくならないで欲しい。
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