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第7話 嵐の前の静けさ
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あれから、三年が経った。
俺は、一年前に隊長が世界を回りたいと騎士団をやめていったために繰り上がって騎士団長になった。相変わらずいい加減な隊長だった。そして、副団長はアーサーになった。俺一人だと何をやらかすがたまったもんじゃないようだ。確かにフレデリカの着替えをたまに見ちゃうことがあるけど。でも、言い訳をさせてほしい。いつもの癖でドアをノックしないで開けちゃうけども鍵をかけないで着替える方もどうかと思う。だが、フレデリカが言うにはちゃんと鍵を閉めてるようだ。ならば、考えられるのはメイドで昔いろいろやってたキサラならこっそり開けることもやるだろう。昔さんざんやられて、そのたびに姉ちゃんが顔を真っ赤にしてボコボコにされた。訓練終わりにシャワーを浴びてるところに姉ちゃんが入ってくるのだ。俺が先に入ってたのに理不尽すぎると思っていたが、あの時もキサラがいた。腕前は姉ちゃんにも脾摘ひてきしていた。鍵開けのスキル『解錠』を使えば可能なはずだ。今度確かめてやると心に誓った。
さて、俺は十八になり、フレデリカと婚約した。三年前有耶無耶になってしまってフレデリカがしばらく口をきいてくれなかったが、俺が、何回も好きだと言い続けて、恥ずかしくなってきたフレデリカが根負けして『私も好きよ。大好き!』と返事をもらった。だが、大変だったのはこの後だ。この告白は姉ちゃんとキサラに仕組まれてスキル『エコー』で城下町中に流されて国民に知られることになった。それを知ったフレデリカが顔を真っ赤にして部屋に閉じこもってしまった。昔の活発だったフレデリカがこんなにも女らしくなって可愛いと思わずドア越しに言ってしまった。すると、『恥ずかしいこと言わないで!』と怒られてしまった。姉ちゃんとキサラは呆れた顔で見ていた。もとはといえばあんたたちが余計なことをするからじゃないかと思ったが二人が怖いので何も言えなかった。
・・・・・・理不尽すぎる
俺は、過去のことを思い出しながら騎士団の集合場所に向かっていた。ああ、どうしてだろう。昔を思い出したら涙が出てきた。
「レオス。今から見回りかい?」
俺に声をかけてきたのはアーサーだった。もう一人前の魔術師になっており、この国の宮廷魔術師が来ている青いロープを羽織っている。肩にはこの国のエンブレムがある。そして、昔はしてなかった眼鏡をかけている。本人曰くこの方が魔術師ぽいってことだった。そしてアーサーは魔法だけならこの国随一と言われるようになった。武器は魔法の杖を使うが普段は、魔法で収納している。騎士団の副団長をやりながら宮廷魔術師のトップでもあるためなかなか忙しいそうだ。今日も別件で騎士団の方にはこれないらしい。
「レオスなら大丈夫だと思うけど、危なくなったら連絡してね。直ぐに駆けつけるから。騎士団が壊滅なんてなったら笑えないからね」
「大丈夫だよ。魔物が出てきたって返り討ちだ。それに俺一人じゃない。騎士団みんながいるからな。それに、姉ちゃんとキサラの方が怖いくらいだ」
「ハハハ。確かにそうだね。でも、クリス様はもういないからね。前みたいに駆けつけてくれないよ」
そう、姉ちゃんはいない。何も死んだわけではない。一年ぐらい前に中立都市に冒険者が集まるギルドを作ると言って出て行ってしまった。その時は周りから行かないでくれとさんざん言われたみたいだけど一度決めたら自分の言葉を曲げないからな。姉ちゃんは・・・・・・そういえば姉ちゃんがいなくなるとこの王都の戦力がだいぶ下がるのに国王とキサラは反対しなかったんだよな。何でだろう。
中立都市は人間以外にエルフ、ドワーフ、妖精、他種族が多く暮らしているという。あと、その町のルールをちゃんと守れば住人から温かく迎えられるそうだ。俺もいつか行きたいもんだ。
「じゃぁ、僕はこっちだから」
俺が思いを馳せてるとアーサーに声をかけられた。気づいたら集合場所の中庭の前だった。
「また後でな」
背中を見せて歩き出したアーサーは何か思い出したように話した。
「あ、そうそう。今日は早く帰ってきたほうがいいよ。取り返しがつくうちにね」
「今日、なんかあるのか? あ、さては今日の飯は豪華だから俺の分も食べようとかそんなこと考えてないだろうな」
「よくわかったね。だから早く帰ってきたほうがいいよ」
そう言って歩き去っていった。この時のアーサーの顔が邪悪に染まってたと知らずに。
ここから数時間後、悪夢が始まるのであった。
俺は、一年前に隊長が世界を回りたいと騎士団をやめていったために繰り上がって騎士団長になった。相変わらずいい加減な隊長だった。そして、副団長はアーサーになった。俺一人だと何をやらかすがたまったもんじゃないようだ。確かにフレデリカの着替えをたまに見ちゃうことがあるけど。でも、言い訳をさせてほしい。いつもの癖でドアをノックしないで開けちゃうけども鍵をかけないで着替える方もどうかと思う。だが、フレデリカが言うにはちゃんと鍵を閉めてるようだ。ならば、考えられるのはメイドで昔いろいろやってたキサラならこっそり開けることもやるだろう。昔さんざんやられて、そのたびに姉ちゃんが顔を真っ赤にしてボコボコにされた。訓練終わりにシャワーを浴びてるところに姉ちゃんが入ってくるのだ。俺が先に入ってたのに理不尽すぎると思っていたが、あの時もキサラがいた。腕前は姉ちゃんにも脾摘ひてきしていた。鍵開けのスキル『解錠』を使えば可能なはずだ。今度確かめてやると心に誓った。
さて、俺は十八になり、フレデリカと婚約した。三年前有耶無耶になってしまってフレデリカがしばらく口をきいてくれなかったが、俺が、何回も好きだと言い続けて、恥ずかしくなってきたフレデリカが根負けして『私も好きよ。大好き!』と返事をもらった。だが、大変だったのはこの後だ。この告白は姉ちゃんとキサラに仕組まれてスキル『エコー』で城下町中に流されて国民に知られることになった。それを知ったフレデリカが顔を真っ赤にして部屋に閉じこもってしまった。昔の活発だったフレデリカがこんなにも女らしくなって可愛いと思わずドア越しに言ってしまった。すると、『恥ずかしいこと言わないで!』と怒られてしまった。姉ちゃんとキサラは呆れた顔で見ていた。もとはといえばあんたたちが余計なことをするからじゃないかと思ったが二人が怖いので何も言えなかった。
・・・・・・理不尽すぎる
俺は、過去のことを思い出しながら騎士団の集合場所に向かっていた。ああ、どうしてだろう。昔を思い出したら涙が出てきた。
「レオス。今から見回りかい?」
俺に声をかけてきたのはアーサーだった。もう一人前の魔術師になっており、この国の宮廷魔術師が来ている青いロープを羽織っている。肩にはこの国のエンブレムがある。そして、昔はしてなかった眼鏡をかけている。本人曰くこの方が魔術師ぽいってことだった。そしてアーサーは魔法だけならこの国随一と言われるようになった。武器は魔法の杖を使うが普段は、魔法で収納している。騎士団の副団長をやりながら宮廷魔術師のトップでもあるためなかなか忙しいそうだ。今日も別件で騎士団の方にはこれないらしい。
「レオスなら大丈夫だと思うけど、危なくなったら連絡してね。直ぐに駆けつけるから。騎士団が壊滅なんてなったら笑えないからね」
「大丈夫だよ。魔物が出てきたって返り討ちだ。それに俺一人じゃない。騎士団みんながいるからな。それに、姉ちゃんとキサラの方が怖いくらいだ」
「ハハハ。確かにそうだね。でも、クリス様はもういないからね。前みたいに駆けつけてくれないよ」
そう、姉ちゃんはいない。何も死んだわけではない。一年ぐらい前に中立都市に冒険者が集まるギルドを作ると言って出て行ってしまった。その時は周りから行かないでくれとさんざん言われたみたいだけど一度決めたら自分の言葉を曲げないからな。姉ちゃんは・・・・・・そういえば姉ちゃんがいなくなるとこの王都の戦力がだいぶ下がるのに国王とキサラは反対しなかったんだよな。何でだろう。
中立都市は人間以外にエルフ、ドワーフ、妖精、他種族が多く暮らしているという。あと、その町のルールをちゃんと守れば住人から温かく迎えられるそうだ。俺もいつか行きたいもんだ。
「じゃぁ、僕はこっちだから」
俺が思いを馳せてるとアーサーに声をかけられた。気づいたら集合場所の中庭の前だった。
「また後でな」
背中を見せて歩き出したアーサーは何か思い出したように話した。
「あ、そうそう。今日は早く帰ってきたほうがいいよ。取り返しがつくうちにね」
「今日、なんかあるのか? あ、さては今日の飯は豪華だから俺の分も食べようとかそんなこと考えてないだろうな」
「よくわかったね。だから早く帰ってきたほうがいいよ」
そう言って歩き去っていった。この時のアーサーの顔が邪悪に染まってたと知らずに。
ここから数時間後、悪夢が始まるのであった。
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