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叫んだと同時に、辺りは明るくなった。気づけば朝だった。
「夢……?」
起きると寝汗がひどくパジャマがびちゃびちゃであった。頭をかくと腕に黒い染みが浮き出ていた。
ぶよぶよ人間がでた……だから学校に行く……。生活習慣みたいだ……。
学校に登校している最中、前方に、見知った後ろ姿の女の子がいた。思い切って自分から「おはよう」と声をかけた。
女の子がこちらに振り向いた。怪訝な顔を僕に向けているも、無害だと感じたのか、
「あ、え、おはよう」
と返された。
僕は女の子の横に並ぶもそれから一言も話さなかった。黒髪がとてもきれいだった。すごく気まずく感じた。
「そういえば、名前教えてなかったね。私の名前は千春。坂本 千春」
「僕の名前は……シロウ」
「ふーん。なんかしんどそうな名前ね」
そうなのかもしれない。僕はとてもしんどいのだと思う。今日の学校も行きたくない。
「ねー」
千春が僕の顔を覗き込んだ。
「顔がすごく青いよ。気分悪いの?」
確かに……言われて気づいた。僕は体調が優れていないことに。
「帰ろう」
千春はシロウの手を取り学校とは逆方向へと歩を進めた。ついてきた先はひび割れた建物だった。中に入ると、背の丸まったおじさんが僕たちを迎えてくれた。
「蝉じい、ベット貸して」
千春は不愛想に言った。
「上のベットを使いなさい」
といってくれた。千春がベットのある部屋まで案内してくれた。
「ここのみんなは?」
「もういないよ」
「そっか」
それもそうだ。みんな仕事だったり、学校だったり、行っているのだ。
「ごめんね、僕のせいで学校にいけなくて」
謝ると、千春は不敵にこう言った。
「私もさぼれたからよかった。私学校嫌いなんだ」
「どうして?」
僕がそれを聞くには筋違いかもしれないのだが。
「だって、つまらない人間ばかりだもの。男の子はみんな子どもっぽいし乱暴。女の子は何かとかっこいい男の芸能人の話。万有引力や相対性理論。クローン技術の話。SF的な話なんかだれもしない。怪奇話は多少するけど、トイレの花子さんみたいな話でキャーキャーしてる。バカみたい」
「カイキ?」
「『怪奇』・あやしくて不思議なことだったり、姿形が不気味といった意味よ。怪奇現象の怪奇よ」
僕は怪奇という言葉に心当たりがある。ぶよぶよ人間が頭をよぎる。
「また顔が青くなってる。もう寝た方がいいね」
僕は反射的に彼女の手を掴んだ。
「こわいんだ……ここにいて」
千春は困った様子で笑ったが、僕のお願いを聞き入れてくれた。改めて僕の隣に座りなおしてくれた。
「さっきの話の続きなんだけど、僕は千春が望む話ができると思うんだ」
千春は僕の発言に対し、目を丸くしていた。
「何それ? どんな話?」
「怪奇な話だよ」
興味をそそられたという顔をする千春に僕は今までのぶよぶよ人間の話をする。
「夢……?」
起きると寝汗がひどくパジャマがびちゃびちゃであった。頭をかくと腕に黒い染みが浮き出ていた。
ぶよぶよ人間がでた……だから学校に行く……。生活習慣みたいだ……。
学校に登校している最中、前方に、見知った後ろ姿の女の子がいた。思い切って自分から「おはよう」と声をかけた。
女の子がこちらに振り向いた。怪訝な顔を僕に向けているも、無害だと感じたのか、
「あ、え、おはよう」
と返された。
僕は女の子の横に並ぶもそれから一言も話さなかった。黒髪がとてもきれいだった。すごく気まずく感じた。
「そういえば、名前教えてなかったね。私の名前は千春。坂本 千春」
「僕の名前は……シロウ」
「ふーん。なんかしんどそうな名前ね」
そうなのかもしれない。僕はとてもしんどいのだと思う。今日の学校も行きたくない。
「ねー」
千春が僕の顔を覗き込んだ。
「顔がすごく青いよ。気分悪いの?」
確かに……言われて気づいた。僕は体調が優れていないことに。
「帰ろう」
千春はシロウの手を取り学校とは逆方向へと歩を進めた。ついてきた先はひび割れた建物だった。中に入ると、背の丸まったおじさんが僕たちを迎えてくれた。
「蝉じい、ベット貸して」
千春は不愛想に言った。
「上のベットを使いなさい」
といってくれた。千春がベットのある部屋まで案内してくれた。
「ここのみんなは?」
「もういないよ」
「そっか」
それもそうだ。みんな仕事だったり、学校だったり、行っているのだ。
「ごめんね、僕のせいで学校にいけなくて」
謝ると、千春は不敵にこう言った。
「私もさぼれたからよかった。私学校嫌いなんだ」
「どうして?」
僕がそれを聞くには筋違いかもしれないのだが。
「だって、つまらない人間ばかりだもの。男の子はみんな子どもっぽいし乱暴。女の子は何かとかっこいい男の芸能人の話。万有引力や相対性理論。クローン技術の話。SF的な話なんかだれもしない。怪奇話は多少するけど、トイレの花子さんみたいな話でキャーキャーしてる。バカみたい」
「カイキ?」
「『怪奇』・あやしくて不思議なことだったり、姿形が不気味といった意味よ。怪奇現象の怪奇よ」
僕は怪奇という言葉に心当たりがある。ぶよぶよ人間が頭をよぎる。
「また顔が青くなってる。もう寝た方がいいね」
僕は反射的に彼女の手を掴んだ。
「こわいんだ……ここにいて」
千春は困った様子で笑ったが、僕のお願いを聞き入れてくれた。改めて僕の隣に座りなおしてくれた。
「さっきの話の続きなんだけど、僕は千春が望む話ができると思うんだ」
千春は僕の発言に対し、目を丸くしていた。
「何それ? どんな話?」
「怪奇な話だよ」
興味をそそられたという顔をする千春に僕は今までのぶよぶよ人間の話をする。
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