専業ネカマの生態

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13話 歪み出す歯車

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———とあるクランハウスでの出来事

「くぅうううう!」

「ちょ、ちょっとクランリーダー? いきなりどうしたんですか発狂なんかして、もしかしてフラれました?」

「ばっか! 逆だよ逆!」

「え、ってことは告られたんですか!?」

「あっ、いや別に告られたんじゃねーけど、ちょっと可愛い子がいてな」

「はぁ、ってことはまた好きな子ができたってことですか?」

「またじゃねーよ、今回はマジだ、マジで可愛いんだ。お前も見たら分かる。あれは超ド級の美女だ」

「いやー女性に対して超弩級っていう表現は失礼だと思いますよ? それに、リーダーはそんなこと毎回言ってますもん、今回はマジで違う、特別だ、って」

「今まではそうだったかもしれねーが、今回はガチで違うんだよ! 本当に!」

「いや、だから毎回そんな感じじゃないですか、リーダーが恋の病に落ちた時は。そんなことより、今はもうちょっと現実に向き合ってくださいね? もうすぐ領土獲得戦があるんですから。相手はウチより規模は小さいとは言え、負けたら最強クランの名に泥を塗ることになるんですから」

「は、そんなことじゃねーからな? まあ、分かってるよ本業には支障はきたさねーよ、俺だってプロだからな。はぁーでも超可愛かったなパピィちゃん。また会えないかなー」

「んもー言ったそばから……ですが、この時期に新たな女性プレイヤーが始めるなんて珍しいですね。そもそも女性人口が少ないですし。これはもしかしたらですけど様々なクランが注目しちゃうかもですね」

「うぐっ、こ、こんなことはしてられん。今すぐ彼女を探し出してウチのクランに引き入れるぞ! あれなら宣伝大使とし迎え入れても即戦力だし、何よりもクランメンバーのやる気に繋がる! 今すぐ勧誘しなければ!」

「ちょっとー、そんなすぐ注目されるわけないでしょーある程度強くならなきゃ使い物にならないんだし、もし入れたとしたらクランの財産をその人に注ぎ込むつもりですよね? 私が言ったのも冗談なんですから、次会う時まで忘れてください」

「はいはい、わーったよ。でも絶対に断言しとくからな。お前が彼女に会ったら絶対に心を奪われる、俺のようにな。そして彼女は絶対に渡さない、何故なら俺がいただくからだ」

「はいはいそうですねーじゃあ作戦を練りますよーリーダーは強いですけどオツムは弱いですからねー」

「あんだと? ちょっくらやるか? 表でろ!」

「そんな元気があるならしっかり作戦も考えられそうですね! では会議に行きますよー」

「なにっ!? 嵌めたな! こっ、このやろー!」

 ❇︎

———運営のとある部署での出来事

「ちょ、ちょっと部長これみてください!」

「どうしたそんなに慌てて」

「いや、このゲームで初めてキャラ削除されたプレイヤーがいるんですが」

「ん、そんな奴がいたのか。でも流石にもう復帰はしないだろ。手塩にかけて育てたキャラを消されて悠々と戻ってこれる奴なんてゲームしないだろうからな」

「いや、それはそうですけどそのプレイヤー始まってすぐに消されたみたいなんですよ。それで一ヶ月待ってまたログインしてくれたみたいなんですが、なんとその時にキャラクリエイトが開始されるバグが発生したみたいで……」

「キャラクリエイト!? それってあの身長体重をいじるやつじゃなくてか?」

「はい、一からキャラを作るあのキャラクリエイトです」

「マジか……それは完全にやってしまったな。それでその人はどんなキャラにしたんだ?」

「それが、なんとその人女キャラにしてるんです! 男なのに!」

「まっ!? ネカマってことか? はぁ、これはますます頭が痛くなってきたな。とりあえず急いでデバックしろ、他にそんな奴が出る前にな。そして俺は上に報告してみる。こいつをどうするかについてな」

「ど、どうなるんでしょう?」

「どうするも何もそれは上が決めることだろう。ただ、こっちの不手際だから一方的にキャラ削除は避けてやりたいところだが、、どうなるかは分からん。とにかく俺は今すぐ本社に掛け合ってくるからお前は大至急デバックしろよな、分かったか?」

「は、はいっ!」
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