専業ネカマの生態

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3話 皇帝の生誕

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「ふむふむ、これが俺か」

 自分の顔を、体型を、全身を見るのなんていつぶりなんだろう。毎日見ているようで、もう何年も見ていないようなそんな気分だ。それにしてもデブだな、ヒキニートではやはりこれが限界か。

『身体設定を行って下さい。身長、体重、髪型、肌色、眼色、メイクのみ変更可能です。現実と乖離させ過ぎると操作に不具合が生じることがあります、ご注意下さい』

 ふむふむ、ここではどうやら自分の体を見ながら見た目をいじる事ができるみたいだなそれならもうやることは一つしかないだろう。

 そう、イケメンな俺の爆誕だ!

 そもそも俺がブスだのブサイクだの豚だの言われ始めた全ての原因は俺の体重が問題なのだ。

 そして俺は太りやすい体質だし、食べ物が大好きな人間だし、自制心が元から弱い人間なのだ、それなら太るしか無いだろう? そもそもこんな遺伝子なのが悪いんだ。巷にはいくら食っても太らない人だっているのに、全く迷惑な話だ。

 まあ、文句はこのくらいにして、先ずは体重を軽くして体型を整える。これだけでもだいぶ違うはずだ。うんうん、おー、俺って痩せたら結構イケるかも? そんでもって身長も低いから180センチくらいにしてっと、うんうん、これはもうモデルだな! 

 もしかしたらゲーム内で人気が出過ぎてまともにプレイできなくなるかもだな!

 後はーっと、元の素材はいいからこのくらいでいいか? いや、大凶はしちゃダメだな。もうちょっと足の比率を大きくして、髪も少し明るめにしとくか! もちろんメガネは外して……うんうん、これならモテるしかないしなんならヘヴィちゃんからも求愛されてしまうかもしれんな!

『設定を終了しますか?』

 もちろんYESだ。これ以上にない完璧な設定だと言えるだろう。そして漸くコレで俺の新たなる冒険が始まるのか! スタートダッシュは遅れたものの、この見た目と俺のプレイヤースキルさえあれば怖いものは無い。

 瞬く間にトップランカーへと上り詰めて、ヘヴィちゃんの心を射止めてやる!

『ユーザー名を決定してください』

 んー、名前か。これは非常に大事だな。俺がトップに上り詰めた時に皆に知れ渡るわけだからな、狙いすぎてなくて、それでいてセンスがあってカッコいい、そんな名前がいい。

 フェニックス、ストーム、タイガー、ドラゴン、バースト、難しいな。ここら辺はありきたりだよな。あ、そうだ!

「俺はカイザーだ!」

『カイザー、でよろしいですか?』

「は、はい」

 冷静に聞き返されると少し小っ恥ずかしい気もするが、大丈夫だすぐ慣れるはずだ。名は体を表すと言うし俺がこの名前に相応しくなればいいだけの話だ。必ず、俺がこの世界でテッペンを取ってみせる!

『チュートリアルを開始しますか?』

 ん、チュートリアルをするかどうかを選択できるのか? それならもちろんスキップ一択に決まっているだろう。俺はただでさえ財布の事情でスタートダッシュが遅れているのだ。こんなところでモタモタしている暇はない。

 それに、俺ほどの腕があればチュートリアルなどなくても良いのだ。むしろその方がちょうどいいくらいだろうからな。

『では、転送します。あなたの健闘をお祈りします』

 俺は真っ白な光に包まれて、気がつくとそこは……綺麗な街並みが広がっ

 ッドシーン!

 開始二秒で俺の視界は暗転した。

 な、なんだこれはバグか!?
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