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第三十九話 マラルルス
しおりを挟む俺はマラルルスの狩猟と言われて当然ビビっていた。
小さい頃はともかく、大人となった今では虫を殺すのにも一苦労するのにそんないきなりモンスターを倒そうなて無謀にも程があるだろ。
「大丈夫ですよヤマダさん。このマラルルスは凶暴性の低い草食動物なんです。ですから狩り初心者のヤマダさんにピッタリというわけです! しかも食用の草食動物なのでとっても美味しいお肉が取れるんですよ!」
「肉……」
俺はあろうことかその言葉に反応してしまった。それが受付さんの手のひらだということにも気がつかずに。
「そうなんです! 一応依頼には狩猟と書いてありますが何も全てまるまるもらうという訳ではありません。必要な部位だけをカットして残りは廃棄しますので希望すれば持ち帰ることもできます! それを宿のキッチンに渡して料理してもらうと、それはそれは……」
「受けます! 受けますよ!」
「まあ、それは良かったです! では依頼書はこちらになりますのでサインをお願いしますね! あぁ、後この依頼はランクアップクエストにも認定されているので依頼を無事こなせば晴れてFランクになることができますよ!」
俺がサインが終わると同時に受付の人はそんなことを言い出した。
「へ?」
「ヤマダさんはまだGランクですからね、依頼の報酬も少なくて困っていたんでしょう? お肉ついでにラぬアップしちゃいましょう!」
は、ちょっと待てちょっと待て、ランクアップクエストってことはこれをクリアしたらランクアップできるってことだよな。つまり普通の依頼よりも難易度は難しくなるはずだ。
そんな依頼に俺は一人で何の武器も無しに、いや正確にはランダム武器生成だけで挑まないといけないのか? いくら凶暴性が低いとは言え攻撃されたら反撃してくるだろうし、そもそも俺にそんな殺生なことさせ
❇︎
「はぁ……」
俺は今、森の中に来ていた。正直良い思い出が一つも無い場所だ。なぜ俺はこんなところにいるのだろう。そういえば始まりもこんなとこだったな。
当てもなくただただ歩き続ける。受付の人はマラルルスについて見れば分かるよと言っていた。ただ一つだけ特徴を挙げるとするならば、「緑」だと言っていた。
緑ってなんだよ緑って、森ん中大概緑だぞ? 緑か茶しか無いんだからそんなかで緑を探せって言ったって
「緑だ……」
目の前で緑が緑を食べていた。いや、恐らくマラルルスが草を食べているのだろう。ただ、一見するとそこに動物がいるとは思えないくらいの溶け込み用だった。
俺が何故見つけられたのか分からないほど、違和感無くそこに存在していた。
「……」
思ったよりもデカイな。それに緑だ。こんな奴を俺は屠殺しないといけないのか? ってか屠殺とか言ってるけどその間に普通にやられるだろこの巨体。
あーあー、マラルルスなんて知らなきゃ良かったよ。だってそうだろ? 俺が今まで森にいるときには一度たりとも見たことなんて無かったのに、存在を知った途端これだ。
なんか、今まで割と尊敬してた上司の飲み癖が鬼ほど悪かったときみたいな感覚だ。はぁー、でも見つけてしまった以上やるしかない、か。
「【ランダム武器生成】」
『ランダム武器:猫じゃらしを生成しました』
うぉーーーい!! っざけんなよこんなんでどうやって屠殺するって言うんだ! これじゃ殺すどころか傷一つつけられないじゃないか!
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