屋上でポテチ

ノコギリマン

文字の大きさ
上 下
13 / 21

ヤミヲカルモノ➁

しおりを挟む

※ぜんぶで10話にしようと思っています。でも2345はまだ考え中なので、書けそうな第六章と第十章を先に書きました。


  第六章 VS四天王


「おはよう」

 学校一かわいい百合ゆりちゃんがおれに朝のあいさつをした。

 おれは百合ちゃんがおれを好きなのを知っていたけど、おれはヤミヲカルモノだったので付き合うことはできない。だから心の中で「ごめん」と言って、無視して通りすぎた。

 百合ちゃんは通り過ぎていくおれをうしろで悲しい顔で見ていた。

 教室に入って席に座ると、となりの席のイルゼが「おはよう」と言った。イルゼはなんだかんだ同級生になっているので、周りにバレないようにおれも「おはよう」って言った。廊下から百合ちゃんがおれを悲しそうに見ているけど、おれはヤミヲカルモノなので百合ちゃんにはやっぱりリアクションできない。

 ボカーン! ドンドンドーン!

 運動場が爆発して、一年生がいっぱい吹き飛んでいる。

 運動場にはジョン・マッスルとピストルマシーンZがいたので、おれはびっくりした。(ダークモンスターは夜しか動けないはず)

「ヘイヘイ、ペーボーイ! デテキナサーイ!」
「タイラフミマロ、オマエヲマッサツスル」

 ダークモンスターがなんで動けているのかは分からないけどチャンスだと思ったので、おれはロッカーにかくしていたヤミノカタナを出して、窓からジャンプしてヤミノカタナをかまえた。

「ぺーがダークモンスターと戦おうとしているぞ、ガラシ!」
「ほんとだ。すごいな、ミヤオ!」

 友だちのミヤオとガラシがおれをリスペクトした。二人はおれがヤミヲカルモノだと知らないので、ビックリしている。

「ヒトリデクルナンテ、ミータチヲナメテマースカ?」

 ジョンが言い終わる前にヤミノイアイを出したけど、ガードされておれは吹きとんだ。

「くそ、ひとりではどうにもならない」

 と言っているおれに、Zがいっぱい弾をうってきた。

 シュン、シュン、シュン。

 おれはZの弾をぜんぶよけたので、一発も当たらなかった。

 立ち上がったおれは、マックスとZが朝なのに動けていることがふしぎだったので「なんで朝なのに動けるんだ?」と聞いた。

「オシエテアゲマース。ミータチハ、アサデモウゴケルヨウニシュギョウヲシタノデース」
「ソウダ。ワタシタチハ、シュギョウヲシタ」

 修行をしたのが分かったので、おれはヤミノカタナをかまえた。

「修行なら、おれの方がしているぜー!」

 バッ、ヒュン、ガキーン、シュッ、ズバッ、バンバンバン!

 おれとマックスとZはすごい戦いをした。

 だけど相手は二人だったので苦労した。

 ヒュン!

 おれは二人からはなれて二人をにらみつけた。

「お前たちは二人だからヒキョーだ!」
「ダークモンスターハ、ヒキョーモノナノデース」

 マックスが楽しそうに笑った。

 悔しかったので、おれはイルゼを呼んだ。

 ヒュン!

 イルゼが来た。

「ちょっと、呼ぶのが遅いわよ!」
「ヘヘヘ、おれは戦いが好きなんだ」
「バカ! わたしがいないと、なにもできないんだから」
「はいはい」

 イルゼはヤミカンフーで戦うので、カンフーみたいにかまえた。

 おれもヤミノカタナをかまえた。

 イルゼはZと戦って、おれはマックスと戦った。

 それぞれの戦いが始まる。

 バン。ブシュ。ドゴオッ! シュンシュンシュン! バン!

 おれはなんとかマックスを倒してイルゼは勝ったかなと思ってイルゼの方を見たら、イルゼも勝っていた。

「これであと二人だな」
「そうね。あと二人ね」

 でももう学校のみんなにおれとイルゼがヤミヲカルモノのだということがバレてしまったので、あとの二人を倒してからじゃないとまた学校に行けないと思った。

 学校の方を見ると、みんなが窓から見ていて百合ちゃんも悲しそうな顔でこっちを見ていた。

「行こう、イルゼ」
「そうね。それがわたしたちの運命なのよね」

 おれとイルゼが学校を去ろうとしていると、同じ天体観測同好会の森田と山中とサノチンが来ておれたちを止めた。

「行っちゃうのか?」(森田)
「さみしくなっちゃうわ」(山中)
「そうだそうだ」(サノチン)

 東初菜先生もやって来て「ダークモンスターを倒して、わたしたちを救って!」と言った。(先生は大人だから、ヤミヲカルモノの責任を分かっています)

 悲しいけど、行かないといけない。

 おれは、ヤミヲカルモノだから。


 ◆◆◆


 律儀と言うかなんというか、私に言われたとおりしっかりと平くんの周りの人たちが出ている。まさか私まで出て来るとは思わなかったけれど。

 ここまで読んでみて、とても読みづらい文章のはずなのに何故かスラスラと読めていることには単純に驚いている。頻発する「ちなみに~」や「心の中で~と思った」等の言い回しはさすがに指摘してあげたほうがいいのだろうけれど、もしかしたら平くんには物語を作る才能があるのかもしれない。

 加えて驚いたのは、第一章のあとに間を飛ばして第六章を書き上げる度胸だ。常識にとらわれずに書けるところから書いていくのは、もしかしたら理に適った方法なのかもしれない。

 手渡された小説は、あと一章ある。

 タイトルは「第十章 戦いの終わり」

 果たしてヤミヲカルモノはダークモンスターを倒すことができたのか、期待しながら私は第十章を読み始めた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立

水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~ 第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。 ◇◇◇◇ 飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。 仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。 退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。 他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。 おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。 

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...