ムク犬の観察日記

ばたかっぷ

文字の大きさ
上 下
116 / 139
四冊目

さん•むく

しおりを挟む

「さて、取りあえず荷物を部屋に置いたらお昼を作るよ。部屋割りだけど、シマと三葉が二階の一番左奥の部屋、ムク犬と真央が向かいの部屋で、その隣を僕と宍倉で使わせて貰う事になったから」

新幹線で一時間余りの所にある、高原の避暑地での別荘合宿!待ちに待ったこの大イベントに僕たちの気分は、きっと尻尾があれば千切れちゃうくらい上がりきっている。

宍倉くんちの別荘での合宿なんてビックリするような話が飛び出したのは、期末テストも終わり少しずつ近づいてくる夏休みの気配に、学校中が浮き足立ち始めた頃だった。


「ねえ、河合。夏休みって予定ある?」

期末テストをなんとか乗り越え、苦手な数学も宍倉くんに教えて貰ったおかげで赤点も免がれて、あとは夏休みを待つばかり!

そんな浮き浮きした気分で過ごす僕に、そう宍倉くんが聞いてきた。

「夏休みの予定?」

「そう。家族旅行とか行くの?」

「家族旅行って言うか、お祖父ちゃん家には家族で遊びに行くよ!あとは調理部の皆で遊びに行ったりとか、いっくんとにこちゃんとお出掛けしたりとかかなぁ~」

お祖父ちゃん家まではそんなに遠くないし、別段田舎って訳じゃないから里帰りって感じにはならないんだよね。せっかくの夏休みだから、どこか遠くに出掛けたりとかもしてみたいんだけどね。

「じゃあさ。河合さえ良かったらうちの別荘に来ない?」

「ええっ!別荘!?」

「割と有名な高原の避暑地に、うちの祖父が持っている別荘があるんだ。新幹線で一時間くらいだし、観光地でもある所だからレジャー施設も充実してるし、退屈せずに済むと思うんだよね」

高原の避暑地の別荘!?
またまたドラマみたいな台詞が飛び出してきたよー!宍倉くんのお家って本当にお金持ちなんだなぁ…。

「河合の都合さえ良ければ、一週間くらい滞在してたっぷり遊ばない?」

「…ほっ本当にいいのっ…!?」

高原の避暑地の別荘で、宍倉くんと遊べるなんて嘘みたい!嬉しいっ!!

「うんっ!行きたい!…、あっ、でも…」

夢みたいなお誘いに、すぐに頷きそうになっちやったけど、友達と二人っきりで一週間の旅行ってなったら、やっぱりお父さんとお母さんの許可がないと駄目だよね。

スッゴく行きたいけど、お母さんたちに話をしてからじゃなきゃ返事はできないや…。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子α(12)×ポメラニアン獣人転生者Ω(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

処理中です...