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三冊目
にじゅう•たいが
しおりを挟むちっこい奴らが料理を前に行儀良く座るなか、思いがけずに招かれた席に座る俺。並べられた料理は、見た目はなかなかのものだった。
俺が席に着くと美少年が号令をかけ、ちびっこたちが一斉にいただきますと手を合わせる。一拍遅れて俺も挨拶し、料理に箸をつけた。
「…旨い」
なんだこれ、マジで美味い!
ちびっこたちの手料理は、美味そうな見た目に違わず、無意識に言葉が零れるくらい旨かった。
俺の賛辞に、警戒していた様子の二人…多分、一年だろう。その二人のちびっこが嬉しそうに笑った。
俺の質問に美少年が答えてくれる。部長ってことはこいつが3年の卯月か。遠目でしか見た事がなかったから、小柄なヤツだとしか知らなかったが結構な美少年だ。
他の奴らも卯月のような美少年じゃあないが、ちっこくて庇護欲をそそる。なんとも、捕食されちまいそうなヤツばかりだな…。
色違いの揃いのエプロンの胸元にはそれぞれ、犬、猫、兎、栗鼠、バンビのアップリケが付いていて、まるでトレードマークみたいだ。
そんな事を思っていたら、突然ムク犬が席を立って携帯を持って来た。
ああそうだ。旨い飯のおかげですっかり忘れていたが、ここに来た当初の目的はムク犬のアドレスをGETする為だったのを思い出す。
ムク犬と連絡を取り合って、明日の朝は俺と同じ時間帯の電車に乗るように言わなきゃな。
本当は俺がムク犬に合わせるつもりだったが、九条の奴も多分ムク犬に合わせているはず。今日みたいに、3人仲良く並んで登校なんてごめんだからな。
わざわざ携帯を持って来たのは、朝の約束を思い出してくれたからかと思ったら、ムク犬はいそいそと昨日写メったスイーツの画像をちびっこたちに見せていた。
「ねっ!スッゴい美味しそうでしょ」
携帯の画面に写し出された色とりどりのスイーツに、ちびっこたちの視線が食い入るように集中する。
「見た目だけじゃなくて、味もサイコーに美味しかったんだよう~」
「ムク先輩、これ全部食ったのか?」
「うんっ!昨日ね、宍倉くんにホテルシークラのビュッフェに連れて行って貰ったんだ」
「ムク先輩だけずりー!俺も誘ってくれよーっ」
つり目の方の一年が叫ぶ。
「ごめんね、シマくん。昨日は僕も、たまたま宍倉くんに会って誘って貰ったんだ」
「…いいなぁ」
大人しそうな方の一年も羨ましそうにポツリと言う。
「ホテルシークラって、フランス帰りのシェフの料理が看板のひとつだよね。もしかして、そこのレストランの?」
「いいなぁ、むっくん。シークラホテルなんて、僕らじゃ到底無理だよねえ」
部長の卯月と小西までが羨んでる。
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