機械仕掛けの殲滅少女

サンボン

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第五章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 後編

ア=ズライグの末路

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■ライラ=カートレット視点

「あは♪ さあ……これで終わりですっ!」

 私はそう叫ぶと、ニタア、とわらう。

 この速度で私を追いかけ、しかもこの至近距離です。
 もう、逃げられませんよ?

 私はクロウ=システムで上空に静止すると、背中の“翼”を可動させ、その先端を“ア=ズライグ”へと向けた。

 ——ギュウウウウウウウンンン……ッ!

 左右三門ずつ、計六門の筒の中で、光属性、炎属性、雷属性の魔法が高密度に圧縮されていく。
 これが……これこそが、アデル様がお作りになられた“翼”の真の力・・・

 さあ……行きます!

「あはははははははははははは! くらえええええええええええええ!」

 ——ドシュウウウウウウウウッッッ!
 ——ドシュウウウウウウウウッッッ!
 ——ドシュウウウウウウウウッッッ!

 “翼”の先端から、稲妻をまとった光線が一斉に射出された、

 私を噛み砕こうとその大きなあぎとを開けた、“ア=ズライグ”目掛けて。

『ゴギャッ!? ゲギュッ!? ゴアアアア!?』

 光線は、次々と“ア=ズライグ”の巨大な身体を貫通していく。

 そして。

『ゴ……ゴア……』

 “ア=ズライグ”は、あぎとからだらん、とその長い舌を垂らし、上空でたたずんだまま沈黙・・した。

「あは……アデル様、やりました……!」

 私は“ア=ズライグ”を見据えたまま、ギュ、と鎌の柄を握る手に力を込める。

「……さあ、早くアデル様の元へ……」

 “翼”を元の位置に戻し、“ア=ズライグ”の横を通り過ぎ……っ!?

『ゴアアアアアアアアアアアアアッッッ!』

 “ア=ズライグ”が突然息を吹き返し、そのあぎとが私の目と鼻の先に現れた。

 私の視界の全ての動きが、ゆっくりになる。

 あは……アデル様……申し訳……。

 ——ドパアアアアアアアアアアアアンンンッッッ!

「っ!?」

 途轍とてつもない衝撃音と共に、目の前の“ア=ズライグ”の頭部、その左半分が文字通り爆ぜた・・・

 い、一体何が……。

 私は左眼で周りを確認する。

 すると。

「ハンナ……」

 片膝をつき、両手でフギンを構えるハンナが、涙を流しながら“ア=ズライグ”を射殺すような視線で睨みつけていた。
 ズタズタになった両腕を、赤い血で染めながら。

 いえ……恐らくは、今の一撃でそうなってしまったんでしょう……。

『ゴ……ア……』

 っ!? まだ息がある!?

 “ア=ズライグ”のうめき声を耳にした私は、咄嗟に死神の鎌を振り上げると。

「あああああああああああああああああッッッ!」

 ——ザグ。

 鎌の切っ先を、“ア=ズライグ”の首に打ち立てた。
 だけど、太すぎる首のせいで、切り落とすには刃渡りが足らない。

 ならっ!

 ——キイイイイイイイイイイイン……!
 ——キイイイイイイイイイイイン……!

 “翼”とクロウ=システムの出力を全開にし、“ア=ズライグ”の首を軸にして高速で旋回した。

「あああああああああああああああああッッッ!」

『ギ……ゴ……』

 私は“ア=ズライグ”の首を何周も……何周も、回り続ける。
 すると、鎌の刃は“ア=ズライグ”の首に深く食い込んでいった。

 その時。

 ——ギャギギギギギギギギギギギギギギ!

 金属を無理やり削るような、そんな激しい音が鳴り響く。
 どうやら死神の鎌の刃先が、“ア=ズライグ”の首の骨に到達したみたいですね。

「あはははははははははははは! これで……これで、終わりだあああああああああああ!」

 ——ギャギギギギギギギギギギギ……リンッッッ!

 金属音が止まると同時に、私は勢い余って上空へと吹き飛んだ。

「っ! “ア=ズライグ”はっ!?」

 すぐに体制を立て直し、周りを見渡すと。

 ——ヒュウウウウウ……。

 首を胴体から切り離され、今度こそ力尽きた“ア=ズライグ”が、真っ逆さまに落下する。

 そして。

 ——ザバアアアアアアアアアアアンンン……ッ!

 その巨体が、海へと沈んだ。
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