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第四章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 前編
地下水路探索⑥
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「……私も行くわ」
意外にも立候補したカルラに、僕は少し驚いてしまう。
さっきのこともあるから、僕達と一緒にいるのはつらい筈なのに……。
「カルラ……本当にいいの……?」
「……(コクリ)」
僕は念のためもう一度尋ねると、カルラは無言で首を縦に振った。
だったら、僕からこれ以上言うことはない、か……。
「分かった、じゃあこの四人でいこう。ではソフィア様はここでお待ちいただいてもよろしいですか?」
「はい。どうぞよろしくお願いします」
ソフィア様が深々と頭を下げる。
一方で、エリアル達は僕達に一瞥もくれずにメンバー同士で談笑していた。
なので、僕はソフィア様にそっと顔を寄せる
「(……大丈夫だとは思いますが、何かありましたら僕達のいる上流へ向けて走って逃げながら大声を出してください。すぐに駆けつけますから)」
「ふふ、分かりました。お気遣い、ありがとうございます」
そう耳打ちすると、ソフィア様が微笑んだ。
……おっとエリアルの奴、僕達の様子を目聡く見ていたのか顔をしかめてるな。
「あはは、では行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ」
僕は笑顔で手を振りながらソフィア様と別れると、彼女も同じく笑顔で手を振り返してくれた。
「「…………………………」」
ええと……ライラ様とハンナさんが、何故かジト目で睨んでくるんでくるんですが……。
「……本当に、アデル様は無自覚でああいうことをするんですから……(ポツリ)」
「……全くです。お陰で気が抜けなくて困ります……(ボソリ)」
うん……聞かなかったことにしよう。
「アデル、早く行くわよ」
「あ、ああ……ゴメン……」
無表情のカルラに促され、僕は慌てて彼女の後について行く。
だけど……やっぱりカルラも機嫌が悪そうだ。
少しギスギスした空気の中、僕達は上流へとさかのぼって水門を目指した。
◇
「……ない、ですね」
上流へとさかのぼり、とうとう行き止まりの地点まで来た僕達だけど、水を流れ出る口があるだけで肝心の水門がなかった。
「アデル様、どうしますか……?」
ライラ様がおずおずと尋ねる。
「うーん……ここがただの水路だったら、水路そのものを【加工】や【製作】をしてせき止めてしまうんですが……」
だけど、そうするためには能力の限界を超えないといけない訳で……たったそんなことのために命を削る訳にはいかない。
「……仕方ない」
僕は装備やカバンを外し、上着を脱ぐ。
「「ア、アデル様!?」」
上半身が裸になったところで、顔を赤くしたライラ様とハンナさんが僕の名を大声で呼びながら凝視していた。
あ、あんまり見られると、恥ずかしいんだけどなあ……。
「ど、どうされるおつもりなのですか?」
「あ、はい。この水が出ている口の向こうへ抜けて、その先に水門かもしくは外に出られないか確認してきます」
心配そうに声を掛けたハンナさんに答えると、僕は水の中に入った。
い、意外と冷たいな……。
「では、行ってきま……「待って、私も行くわ」」
そう告げて息を吸い込もうとした瞬間、カルラが同行を申し出た。
「い、いや、僕一人で大丈夫だよ」
「……何かあった時、誰かを呼ぶにしても一人より二人のほうがいいでしょう?」
僕は断ろうとするが、カルラはお構いなしに装備と服を脱ぎだす。
「……なによ、別に見慣れてるじゃない」
「い、いや……」
肌着はつけたままではいるものの、露出されたカルラの綺麗な胸や肌に思わず見とれてしまった。
ま、まあ、久しぶりに見たんだからしょうがないよね……。
反対に、ライラ様は白銀の拳を握りしめ、ハンナさんは唇を噛み締めていた。
「……行こうか、カルラ」
「ええ」
僕は、そんな二人に気づかないふりをして、大きく息を吸い込んだ後、カルラと一緒に水の中へと潜った。
水の流れに逆らい、水が出ている口の向こう側へと抜ける。
上に天井のようなものが見えるが、どうだ……?
僕は上へと浮上して触って確認すると、水路とは別の感触だった。
試しに【加工】を発動してみると、天井はすんなりと砂に変化した。
うん、これならいけそうだ。
僕はカルラを手招きして傍に寄せると、天井を砂に変化させ、上へと穴を開けていく。
すると、僕達は下からの水の圧力で上へと押し上げられていき、そして。
「ここは……街の外か……」
キョロキョロと辺りを見回すと、少し離れたところに街の北門が見えた。
となると、ここの水源は街外れにある川か。
「アデル」
先に地面へと上がったカルラが、微笑みながら手を差し出した。
「ああ、ありがとう」
僕はその手を取ると、カルラが僕を引っ張り上げる。
その時。
「っ!?」
「ん……ちゅ……」
突然、カルラにキスをされてしまった。
「ぷは……カ、カルラ……!?」
僕はすぐに唇を離し、困惑しながらカルラの名を呼んだ。
「んふ……以前はよくキスしたじゃない」
「それは僕が追放される前の話だろう……どうしてこんなことを……?」
僕はクスクスと笑うカルラを少しだけ非難しながら尋ねる。
……その唇の感触に懐かしさを覚えたのも事実、ではあるけど。
「決まっているわ……私は、あなたのことが好きだもの」
一転して真剣な表情になったカルラは、まっすぐ僕を見つめながらそう答えた。
「……言った筈だよ。僕達は、もう終わったんだ」
「……ええ、分かってる……分かってるわよ」
もう一度、突き放すようにあの時と同じ言葉をカルラに告げると、カルラは愁いを帯びた表情でそっと瞳を逸らした。
でもそれは一瞬で、また僕の瞳をジッと見つめる。
そして。
「だから……また、一から始めるの。アデルとの関係を」
「っ!?」
カルラの言葉に、僕は息を飲んだ。
「カルラ、君も理解してるだろう? 僕にはライラ様とハンナさんが全てだって」
「ええ、理解しているわ」
「だったら……」
「だからって、私にとってそれがあなたを諦める理由にはならないもの」
……僕が何を告げても、カルラはまるで聞く耳を持たない。
昔から、こうと決めたらてこでも動かないところは相変わらず、だな……。
「……無駄だと思うよ?」
「いいの……私が、諦めたくないだけだから……」
カルラは決意に満ちた瞳で、そう……告げた。
意外にも立候補したカルラに、僕は少し驚いてしまう。
さっきのこともあるから、僕達と一緒にいるのはつらい筈なのに……。
「カルラ……本当にいいの……?」
「……(コクリ)」
僕は念のためもう一度尋ねると、カルラは無言で首を縦に振った。
だったら、僕からこれ以上言うことはない、か……。
「分かった、じゃあこの四人でいこう。ではソフィア様はここでお待ちいただいてもよろしいですか?」
「はい。どうぞよろしくお願いします」
ソフィア様が深々と頭を下げる。
一方で、エリアル達は僕達に一瞥もくれずにメンバー同士で談笑していた。
なので、僕はソフィア様にそっと顔を寄せる
「(……大丈夫だとは思いますが、何かありましたら僕達のいる上流へ向けて走って逃げながら大声を出してください。すぐに駆けつけますから)」
「ふふ、分かりました。お気遣い、ありがとうございます」
そう耳打ちすると、ソフィア様が微笑んだ。
……おっとエリアルの奴、僕達の様子を目聡く見ていたのか顔をしかめてるな。
「あはは、では行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ」
僕は笑顔で手を振りながらソフィア様と別れると、彼女も同じく笑顔で手を振り返してくれた。
「「…………………………」」
ええと……ライラ様とハンナさんが、何故かジト目で睨んでくるんでくるんですが……。
「……本当に、アデル様は無自覚でああいうことをするんですから……(ポツリ)」
「……全くです。お陰で気が抜けなくて困ります……(ボソリ)」
うん……聞かなかったことにしよう。
「アデル、早く行くわよ」
「あ、ああ……ゴメン……」
無表情のカルラに促され、僕は慌てて彼女の後について行く。
だけど……やっぱりカルラも機嫌が悪そうだ。
少しギスギスした空気の中、僕達は上流へとさかのぼって水門を目指した。
◇
「……ない、ですね」
上流へとさかのぼり、とうとう行き止まりの地点まで来た僕達だけど、水を流れ出る口があるだけで肝心の水門がなかった。
「アデル様、どうしますか……?」
ライラ様がおずおずと尋ねる。
「うーん……ここがただの水路だったら、水路そのものを【加工】や【製作】をしてせき止めてしまうんですが……」
だけど、そうするためには能力の限界を超えないといけない訳で……たったそんなことのために命を削る訳にはいかない。
「……仕方ない」
僕は装備やカバンを外し、上着を脱ぐ。
「「ア、アデル様!?」」
上半身が裸になったところで、顔を赤くしたライラ様とハンナさんが僕の名を大声で呼びながら凝視していた。
あ、あんまり見られると、恥ずかしいんだけどなあ……。
「ど、どうされるおつもりなのですか?」
「あ、はい。この水が出ている口の向こうへ抜けて、その先に水門かもしくは外に出られないか確認してきます」
心配そうに声を掛けたハンナさんに答えると、僕は水の中に入った。
い、意外と冷たいな……。
「では、行ってきま……「待って、私も行くわ」」
そう告げて息を吸い込もうとした瞬間、カルラが同行を申し出た。
「い、いや、僕一人で大丈夫だよ」
「……何かあった時、誰かを呼ぶにしても一人より二人のほうがいいでしょう?」
僕は断ろうとするが、カルラはお構いなしに装備と服を脱ぎだす。
「……なによ、別に見慣れてるじゃない」
「い、いや……」
肌着はつけたままではいるものの、露出されたカルラの綺麗な胸や肌に思わず見とれてしまった。
ま、まあ、久しぶりに見たんだからしょうがないよね……。
反対に、ライラ様は白銀の拳を握りしめ、ハンナさんは唇を噛み締めていた。
「……行こうか、カルラ」
「ええ」
僕は、そんな二人に気づかないふりをして、大きく息を吸い込んだ後、カルラと一緒に水の中へと潜った。
水の流れに逆らい、水が出ている口の向こう側へと抜ける。
上に天井のようなものが見えるが、どうだ……?
僕は上へと浮上して触って確認すると、水路とは別の感触だった。
試しに【加工】を発動してみると、天井はすんなりと砂に変化した。
うん、これならいけそうだ。
僕はカルラを手招きして傍に寄せると、天井を砂に変化させ、上へと穴を開けていく。
すると、僕達は下からの水の圧力で上へと押し上げられていき、そして。
「ここは……街の外か……」
キョロキョロと辺りを見回すと、少し離れたところに街の北門が見えた。
となると、ここの水源は街外れにある川か。
「アデル」
先に地面へと上がったカルラが、微笑みながら手を差し出した。
「ああ、ありがとう」
僕はその手を取ると、カルラが僕を引っ張り上げる。
その時。
「っ!?」
「ん……ちゅ……」
突然、カルラにキスをされてしまった。
「ぷは……カ、カルラ……!?」
僕はすぐに唇を離し、困惑しながらカルラの名を呼んだ。
「んふ……以前はよくキスしたじゃない」
「それは僕が追放される前の話だろう……どうしてこんなことを……?」
僕はクスクスと笑うカルラを少しだけ非難しながら尋ねる。
……その唇の感触に懐かしさを覚えたのも事実、ではあるけど。
「決まっているわ……私は、あなたのことが好きだもの」
一転して真剣な表情になったカルラは、まっすぐ僕を見つめながらそう答えた。
「……言った筈だよ。僕達は、もう終わったんだ」
「……ええ、分かってる……分かってるわよ」
もう一度、突き放すようにあの時と同じ言葉をカルラに告げると、カルラは愁いを帯びた表情でそっと瞳を逸らした。
でもそれは一瞬で、また僕の瞳をジッと見つめる。
そして。
「だから……また、一から始めるの。アデルとの関係を」
「っ!?」
カルラの言葉に、僕は息を飲んだ。
「カルラ、君も理解してるだろう? 僕にはライラ様とハンナさんが全てだって」
「ええ、理解しているわ」
「だったら……」
「だからって、私にとってそれがあなたを諦める理由にはならないもの」
……僕が何を告げても、カルラはまるで聞く耳を持たない。
昔から、こうと決めたらてこでも動かないところは相変わらず、だな……。
「……無駄だと思うよ?」
「いいの……私が、諦めたくないだけだから……」
カルラは決意に満ちた瞳で、そう……告げた。
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