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はじまり
グランバニアへ
しおりを挟む「お待ちしておりました。」
そこにはグランバニアの紋章が刻まれた魔導船が待ち受けていた。船と呼ぶが飛空艇である。
艦内に案内された二人はまず今回の責任者に会う事になった。
「お久しぶりですね。」
すぐには思い出せないがその男は続ける。
「フフッあの時フードを被っていたので分かりませんか?魔法陸軍が…」
「ええっ!!あの時マールを助けてくれた方!」
にこっと笑みをこぼしながら
「はい!私はギデオンと申します。皇国グランバニアの聖詠隊の長を務めております。説明時にお伺い出来なくて申し訳ありませんでした。お使い…ゴホン国主により他の任務がありましたので。歌姫カシミア殿。世界をどうかよろしくお願い致します。」
「世界を救うとかまだ意味が分からないのですが切羽詰まった事情があるのでしょう?皇国の国主様から直々の書状でしたし私に出来ることがあるならなんでも致します。それに一人じゃないですし!」
マリベールをみてカシミアは微笑む。
「そうですね。マリベールさんもお久しぶりです。何か不便が有れば即座に言って下さい。声の事は皆に話してありますので。」
マリベールは頭を丁寧に下げた。
「そろそろ出発の時間となります。グランバニアまでは空路で約十日かかりますので到着まで艦内ではご自由にされて下さい。食堂や湯殿は二十四時間ご利用できますし、図書室等様々な施設があります。また侍女たちによるマッサージも受けれますのでその都度申し付けて下さい。もちろん全て無料ですよ。」
(ごはんごはんごはんごはんごは…)
そしてそれぞれ個室に案内され一息つく。侍女がお茶をいれてくれるのを姿勢を正しながらマールは待っていた。
「どうぞ。何かございましたらお声がけください。」
一つの乱れもない立ち姿に惚れ惚れしながらペコリと頭を下げる。
(フフッワタクシはお姫様ですのことよ)
と、淹れてもらったお茶を飲みながら意味の分からない言葉を使ってそのひとときを堪能していた。
(それにしても魔法科学とはすごいものね。空を飛ぶ船か。それも十日で行けるなんて)
マリベールが驚くのも無理はない。皇国グランバニアへは通常彼女達がいた街から西の港まで陸路で六日、海路で二十日かかっていた。しかも海路は天気が悪くなりやすく方位を乱す磁場があり仮に夜空の星を目安に進もうとしても厚い雲に覆われてる空は滅多にその顔を見せなかった。なので渡航にはそれなりの覚悟が必要である。
(船乗りを導くセイレーンの歌声か…。)
唐突にギデオンの話を思い出して窓から空を眺めるマリベール。
(私も歌いたい。ただ心を込めて、誰かにきいて貰っていずれは歌姫に!)
渡航中もマリベールは空いた時間が有れば歌う練習をしていた。間違いなくそれは聴ける者には届いていた。
人はいつから当たり前のように耳だけでしか歌を聴いていないと錯覚したのだろう。心のこもった歌とは歌い手の歌のうまさ、歌詞や曲調が自分の心境や、自分自身と重ねたとき共感でき感情移入がしやいとそう感じる。だが、本当にそうだろうか?いや気づかないだけなのだろう。
人はちゃんと心でも歌を聴いている。響いているのだ。それが普通だと感じてしまい実際的に耳に頼ってしまう。
マリベールの歌は聴く全ての人々に聴こえている。歌姫カシミアと変わらない程の歌が。
そこにはグランバニアの紋章が刻まれた魔導船が待ち受けていた。船と呼ぶが飛空艇である。
艦内に案内された二人はまず今回の責任者に会う事になった。
「お久しぶりですね。」
すぐには思い出せないがその男は続ける。
「フフッあの時フードを被っていたので分かりませんか?魔法陸軍が…」
「ええっ!!あの時マールを助けてくれた方!」
にこっと笑みをこぼしながら
「はい!私はギデオンと申します。皇国グランバニアの聖詠隊の長を務めております。説明時にお伺い出来なくて申し訳ありませんでした。お使い…ゴホン国主により他の任務がありましたので。歌姫カシミア殿。世界をどうかよろしくお願い致します。」
「世界を救うとかまだ意味が分からないのですが切羽詰まった事情があるのでしょう?皇国の国主様から直々の書状でしたし私に出来ることがあるならなんでも致します。それに一人じゃないですし!」
マリベールをみてカシミアは微笑む。
「そうですね。マリベールさんもお久しぶりです。何か不便が有れば即座に言って下さい。声の事は皆に話してありますので。」
マリベールは頭を丁寧に下げた。
「そろそろ出発の時間となります。グランバニアまでは空路で約十日かかりますので到着まで艦内ではご自由にされて下さい。食堂や湯殿は二十四時間ご利用できますし、図書室等様々な施設があります。また侍女たちによるマッサージも受けれますのでその都度申し付けて下さい。もちろん全て無料ですよ。」
(ごはんごはんごはんごはんごは…)
そしてそれぞれ個室に案内され一息つく。侍女がお茶をいれてくれるのを姿勢を正しながらマールは待っていた。
「どうぞ。何かございましたらお声がけください。」
一つの乱れもない立ち姿に惚れ惚れしながらペコリと頭を下げる。
(フフッワタクシはお姫様ですのことよ)
と、淹れてもらったお茶を飲みながら意味の分からない言葉を使ってそのひとときを堪能していた。
(それにしても魔法科学とはすごいものね。空を飛ぶ船か。それも十日で行けるなんて)
マリベールが驚くのも無理はない。皇国グランバニアへは通常彼女達がいた街から西の港まで陸路で六日、海路で二十日かかっていた。しかも海路は天気が悪くなりやすく方位を乱す磁場があり仮に夜空の星を目安に進もうとしても厚い雲に覆われてる空は滅多にその顔を見せなかった。なので渡航にはそれなりの覚悟が必要である。
(船乗りを導くセイレーンの歌声か…。)
唐突にギデオンの話を思い出して窓から空を眺めるマリベール。
(私も歌いたい。ただ心を込めて、誰かにきいて貰っていずれは歌姫に!)
渡航中もマリベールは空いた時間が有れば歌う練習をしていた。間違いなくそれは聴ける者には届いていた。
人はいつから当たり前のように耳だけでしか歌を聴いていないと錯覚したのだろう。心のこもった歌とは歌い手の歌のうまさ、歌詞や曲調が自分の心境や、自分自身と重ねたとき共感でき感情移入がしやいとそう感じる。だが、本当にそうだろうか?いや気づかないだけなのだろう。
人はちゃんと心でも歌を聴いている。響いているのだ。それが普通だと感じてしまい実際的に耳に頼ってしまう。
マリベールの歌は聴く全ての人々に聴こえている。歌姫カシミアと変わらない程の歌が。
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