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はじまり
伝わる想い
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「お前達は聴こえないのか?この歌声が。この想いが!」
シーンと店が静まりかえる。
フードを深く被り顔を隠したまま男はバンと立ち上がり魔法陸軍幹部達に言い放った。
「馬鹿な事を。歌は声に出してこそ歌だろう。口を動かすだけでは何も聴こえん!貴様には何が聴こえるのだ?ん?」
「魔法陸軍幹部ともあろう者達がそれを疎かにするとはな。」
フードの男はゆっくりとマールに近づいた。
「俺には届いてる。君の声と想いが。」
バタバタと奥からカシミアが走ってくる。
「何事ですか?何か至らない点でも…」
「ちっ。次来る時はこの子娘の歌を聴ける様にしておけ!興がそがれた。帰るとする。」
訳もわからずお見送りしたカシミアはマールの顔を見て悟る。
「すみませんが今日の営業はここまでと致します。本日もありがとうございました。」
早々に営業を切り上げる判断をし閉店すると事した。その際事情を知っているであろうフードの男を呼び止め店に残ってもらった。
「申し訳ありませんがこの娘に起こった一部始終を教えて頂けませんか?」
テーブルにカシミアとマール、そして男と座り話を聞く。この時皆心配で片付けをしながら他の従業員らも聞き耳をたてていた。
ふぅとため息を吐きゆっくり男は話しだした。
「……。そうでしたか。マールを…マリベールを助けて頂きありがとうございました。」
カシミアとマールが頭を下げて感謝する。
「気にしないでくれ。彼女の歌声を汚されたくなかった。それだけだ。」
「はい?マールは幼少の頃に声を失い現在まで話す事はおろか歌うなど出来ませんよ?」
「そうか。君たちも聴けないのか。歌姫セイレーン。太古の時代船乗り達を歌で魅了し自分の糧にしたとされる人魚。」
男はただ静かに語り始めた。
「世界各地に色々なセイレーンの伝説が残るが正しくは歌に魔力を乗せ船乗り達を安全な航路に導いた。しかし人族にとってその歌声は精神を破壊してしまう程の魅了をするものだった。
狂った様にその歌を口ずさむ者、高揚感で笑いながら倒れる者など症状は様々だったそうだ。
たとえ安全な航路であっても船の操縦は少人数では動かせん。助けるふりをし船乗り達を糧にしてるのだと噂される様になりセイレーンは海の化け物と伝わった。」
「そうなのですか。でもそれがマリベールとなんの関係が?」
「人は元々歌を【耳から声】で。そして【心で魔力】を聴いていたんだ。」
「魔力を聴く?心で?」
「ああ。その娘…マリベールは声は出せなくても貴女に負けず劣らずの綺麗な魔力をしていたよ。あの時君は戦争でなくしたものに想いをのせ歌っていただろう?」
マリベールはバッと目を見開き男をみる。あの時確かに戦争で亡くした両親の事を歌った。愛する人達がいなくなる悲しみをあの軍人達に知って欲しかったから。
男に頷きカシミアを見る。
「えっ?それじゃ本当にマリベールの歌を!」
それ以上何も発さずフード更に深くかぶりゆっくり男立ち上がった。ちゃんと顔は見えないが綺麗なコバルトブルーの双眸が陰から優しく輝いていた。
「またいずれ店に来るよ。」
スーッと男は店をあとに暗い街並みへと消えていった。
フードの男から聞かされたセイレーンやマリベールの歌声?魔力?心で聴く?整理しても簡単に理解出来ずマールを始めカシミアや店の者達はやがて帰路についた。
シーンと店が静まりかえる。
フードを深く被り顔を隠したまま男はバンと立ち上がり魔法陸軍幹部達に言い放った。
「馬鹿な事を。歌は声に出してこそ歌だろう。口を動かすだけでは何も聴こえん!貴様には何が聴こえるのだ?ん?」
「魔法陸軍幹部ともあろう者達がそれを疎かにするとはな。」
フードの男はゆっくりとマールに近づいた。
「俺には届いてる。君の声と想いが。」
バタバタと奥からカシミアが走ってくる。
「何事ですか?何か至らない点でも…」
「ちっ。次来る時はこの子娘の歌を聴ける様にしておけ!興がそがれた。帰るとする。」
訳もわからずお見送りしたカシミアはマールの顔を見て悟る。
「すみませんが今日の営業はここまでと致します。本日もありがとうございました。」
早々に営業を切り上げる判断をし閉店すると事した。その際事情を知っているであろうフードの男を呼び止め店に残ってもらった。
「申し訳ありませんがこの娘に起こった一部始終を教えて頂けませんか?」
テーブルにカシミアとマール、そして男と座り話を聞く。この時皆心配で片付けをしながら他の従業員らも聞き耳をたてていた。
ふぅとため息を吐きゆっくり男は話しだした。
「……。そうでしたか。マールを…マリベールを助けて頂きありがとうございました。」
カシミアとマールが頭を下げて感謝する。
「気にしないでくれ。彼女の歌声を汚されたくなかった。それだけだ。」
「はい?マールは幼少の頃に声を失い現在まで話す事はおろか歌うなど出来ませんよ?」
「そうか。君たちも聴けないのか。歌姫セイレーン。太古の時代船乗り達を歌で魅了し自分の糧にしたとされる人魚。」
男はただ静かに語り始めた。
「世界各地に色々なセイレーンの伝説が残るが正しくは歌に魔力を乗せ船乗り達を安全な航路に導いた。しかし人族にとってその歌声は精神を破壊してしまう程の魅了をするものだった。
狂った様にその歌を口ずさむ者、高揚感で笑いながら倒れる者など症状は様々だったそうだ。
たとえ安全な航路であっても船の操縦は少人数では動かせん。助けるふりをし船乗り達を糧にしてるのだと噂される様になりセイレーンは海の化け物と伝わった。」
「そうなのですか。でもそれがマリベールとなんの関係が?」
「人は元々歌を【耳から声】で。そして【心で魔力】を聴いていたんだ。」
「魔力を聴く?心で?」
「ああ。その娘…マリベールは声は出せなくても貴女に負けず劣らずの綺麗な魔力をしていたよ。あの時君は戦争でなくしたものに想いをのせ歌っていただろう?」
マリベールはバッと目を見開き男をみる。あの時確かに戦争で亡くした両親の事を歌った。愛する人達がいなくなる悲しみをあの軍人達に知って欲しかったから。
男に頷きカシミアを見る。
「えっ?それじゃ本当にマリベールの歌を!」
それ以上何も発さずフード更に深くかぶりゆっくり男立ち上がった。ちゃんと顔は見えないが綺麗なコバルトブルーの双眸が陰から優しく輝いていた。
「またいずれ店に来るよ。」
スーッと男は店をあとに暗い街並みへと消えていった。
フードの男から聞かされたセイレーンやマリベールの歌声?魔力?心で聴く?整理しても簡単に理解出来ずマールを始めカシミアや店の者達はやがて帰路についた。
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