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脱出する者達 救出へ向かう者達
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一行は暫く山を下り、間も無く五号目付近というところまでやって来た。登りの時とは違い、周囲の調査などの時間がない為、瞬く間に降りて来る事ができた。
ミネ曰く、神饌の範囲外へ出たと思われるところで、ツクヨはシンにミネの救出へ向かう事を告げる。だがこの状況で戻ると言い出せば、確実にカガリは着いてこようとする。
「どうするつもりだ?ツクヨ。突然引き返せば不自然だ」
「だがもう時間もない。強硬手段でいくさ」
先頭を走っていた二人が突如その足を止める。一行は何事かと彼らの周りに集まり、一体どうしたのかと問う。
「何だ、急に足を止めて。もう大丈夫なところまで来たのか?」
「安全地帯かどうか、確証はない。でもミネは五号目よりも下にいれば恐らくは大丈夫だろうと言っていた」
「五号目はもう直ぐだ、さっき六号目の目印を見つけた」
一行に安堵の表情が戻る。ここまで来れたのなら、神饌が起ころうと退避は可能だろう。山のヌシであるミネの元へ向かう動物達の姿も、ここでは殆ど見かけない。既に動物達は神饌の行われる範囲内に足を踏み入れた事だろう。
そしてツクヨは一行に、野営に忘れ物をしてしまったと言い出して、静止を振り切り着た道を駆け上がって行った。案の定、彼が戻るなら自分もミネの元へ向かうとカガリが言い出したが、そこで再び止めに入ったのはアクセルだった。
「待て待て待て。お前の事はミネから任されてるんだ。代わりに俺が行ってきてやるから、それで我慢しろよ」
「おい、アクセル!」
「悪いなケネト。カガリと御一行様の事は任せたぜ!」
そう言ってツクヨの後を追うようにアクセルもまた山道を登って行ってしまう。それを呼び止めるように声を掛けたツバキから、彼はツバキから受け取っていたカメラの電源を入れておくようにと言われる。
「そいつにも小さいがモニターが付いてる。俺の持ってる方のカメラと互いの位置を送信し合ってるから、迷ったらそれを辿れば戻って来れる!」
「はは!準備がいいな坊主!」
「ガキ扱いすんなっての!・・・ツクヨのこと頼んだぜ、アクセル!」
「目上の人には“さん”を付けろよ」
名残惜しそうにアクセルを見送るツバキは、彼にツクヨの事を任せてガジェットを託した。一人くらい後をつけられても大丈夫かとシンが考えてる中、彼の元へミアが静かに忍び寄る。
「おいシン、ツクヨを勝手に行かせてよかったのか?それに忘れ物ってのも嘘だろ」
突然耳元で聞こえた声に驚いたシンは、身体をビクッと跳ね上げるとそんな姿をミアにじっと見られながら、その問いに答える。
「大丈夫だ、ツクヨの事は心配ない。ツバキのカメラを持ってるアクセルが一緒なら尚更ね。俺達はこのまま街へ戻り、二人の帰りを・・・!」
シンが話している途中、ケネトが周囲を見ながらとある事に気がつく。五号目付近といえば、ギルドの捜索隊が野営を設置して隊員を探しに来ている筈だと。彼らにもこの事を伝えた方がいいんじゃないかという事で、一行は整備された山道の方へと向かい始めた。
一方、山のヌシとして役割を果たしに行ったミネを追い、来た道を戻るツクヨは後ろからついて来るアクセルの気配に気がつく。山道に慣れている彼の足は早く、直ぐにツクヨは追いつかれてしまった。
「忘れ物って何だよ、見え透いた嘘つきやがって・・・。一体何を企んでやがる?」
「貴方になら話しても大丈夫でしょう。実は・・・」
ツクヨは湖で起きた本当の事と、そこで会ったミネの語った真実をアクセルに話した。彼も直ぐに、何故ツクとシンが嘘を織り交ぜて話をしたのかを理解してくれた。全てはカガリの為だと。
「なるほど、ミネがトミの奥さんを見つけてくれるのは、俺達にとっても都合がいい。だが神饌は間も無く行われるんだろ?勝算はあるのかよ?」
「山のヌシとなったミネさんの行列にいるユリアさんを見つけた後、貴方にはユリアさんを連れて先に避難してもらいたい」
「それは構わねぇが、俺ぁアンタの連れのガキからアンタの事も頼まれちまってる。山の神とやらに喰われる前に勝負を仕掛けるのか?」
ミネは山のヌシとしての役割を果たそうとしている。その上でツクヨに言われた通り、カガリの為にも命を諦めることはなくなった。どんなに無謀でも醜くとも、争い続ける事をツクヨと約束した。
つまり彼が勝負に動き出すのは神饌の後。山の神に喰われた後という事だ。そうなれば山の神の目的は果たされ、利用されたミネは山のヌシの役割から解放されて自由の身となる。
そこが最初にして最後のチャンスとも言える。全ての望みを叶えるには山の神に喰われた後の彼を救い出す方法しか無い。作戦の内容を聞かされたアクセルは、率直にその作戦が成功する可能性は殆ど無いに等しいと口にした。
ミネの覚悟を否定するようなアクセルの返答に、鋭い睨みの視線をアクセルへ向けるツクヨ。しかしアクセルもまた、ただ否定するだけではなかった。もしミネを追いツクヨも山の神の神饌に巻き込まれるつもりなら、それはやめておけとアドバイスをする。
「いいか?アンタまで喰われて、内側からの脱出手段が無かった場合最悪の結果になる。山の神の内部からはミネに任せ、アンタは外側から彼の救出を図るべきだ。そう言えばアンタの仲間がくれたこのカメラ、位置を送信してるって言ってたな。これなら・・・!?」
ミネの向かっている山頂を目指して駆け上がっていく二人の前に、突如化け物じみた気配を放つ何者かが現れた。
「邪魔するなって、あの男に伝えた筈だがな。仲間には話さなかったのか?」
その人物は黒い衣を見に纏い、木の上から二人を見下ろしていた。
ミネ曰く、神饌の範囲外へ出たと思われるところで、ツクヨはシンにミネの救出へ向かう事を告げる。だがこの状況で戻ると言い出せば、確実にカガリは着いてこようとする。
「どうするつもりだ?ツクヨ。突然引き返せば不自然だ」
「だがもう時間もない。強硬手段でいくさ」
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「何だ、急に足を止めて。もう大丈夫なところまで来たのか?」
「安全地帯かどうか、確証はない。でもミネは五号目よりも下にいれば恐らくは大丈夫だろうと言っていた」
「五号目はもう直ぐだ、さっき六号目の目印を見つけた」
一行に安堵の表情が戻る。ここまで来れたのなら、神饌が起ころうと退避は可能だろう。山のヌシであるミネの元へ向かう動物達の姿も、ここでは殆ど見かけない。既に動物達は神饌の行われる範囲内に足を踏み入れた事だろう。
そしてツクヨは一行に、野営に忘れ物をしてしまったと言い出して、静止を振り切り着た道を駆け上がって行った。案の定、彼が戻るなら自分もミネの元へ向かうとカガリが言い出したが、そこで再び止めに入ったのはアクセルだった。
「待て待て待て。お前の事はミネから任されてるんだ。代わりに俺が行ってきてやるから、それで我慢しろよ」
「おい、アクセル!」
「悪いなケネト。カガリと御一行様の事は任せたぜ!」
そう言ってツクヨの後を追うようにアクセルもまた山道を登って行ってしまう。それを呼び止めるように声を掛けたツバキから、彼はツバキから受け取っていたカメラの電源を入れておくようにと言われる。
「そいつにも小さいがモニターが付いてる。俺の持ってる方のカメラと互いの位置を送信し合ってるから、迷ったらそれを辿れば戻って来れる!」
「はは!準備がいいな坊主!」
「ガキ扱いすんなっての!・・・ツクヨのこと頼んだぜ、アクセル!」
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名残惜しそうにアクセルを見送るツバキは、彼にツクヨの事を任せてガジェットを託した。一人くらい後をつけられても大丈夫かとシンが考えてる中、彼の元へミアが静かに忍び寄る。
「おいシン、ツクヨを勝手に行かせてよかったのか?それに忘れ物ってのも嘘だろ」
突然耳元で聞こえた声に驚いたシンは、身体をビクッと跳ね上げるとそんな姿をミアにじっと見られながら、その問いに答える。
「大丈夫だ、ツクヨの事は心配ない。ツバキのカメラを持ってるアクセルが一緒なら尚更ね。俺達はこのまま街へ戻り、二人の帰りを・・・!」
シンが話している途中、ケネトが周囲を見ながらとある事に気がつく。五号目付近といえば、ギルドの捜索隊が野営を設置して隊員を探しに来ている筈だと。彼らにもこの事を伝えた方がいいんじゃないかという事で、一行は整備された山道の方へと向かい始めた。
一方、山のヌシとして役割を果たしに行ったミネを追い、来た道を戻るツクヨは後ろからついて来るアクセルの気配に気がつく。山道に慣れている彼の足は早く、直ぐにツクヨは追いつかれてしまった。
「忘れ物って何だよ、見え透いた嘘つきやがって・・・。一体何を企んでやがる?」
「貴方になら話しても大丈夫でしょう。実は・・・」
ツクヨは湖で起きた本当の事と、そこで会ったミネの語った真実をアクセルに話した。彼も直ぐに、何故ツクとシンが嘘を織り交ぜて話をしたのかを理解してくれた。全てはカガリの為だと。
「なるほど、ミネがトミの奥さんを見つけてくれるのは、俺達にとっても都合がいい。だが神饌は間も無く行われるんだろ?勝算はあるのかよ?」
「山のヌシとなったミネさんの行列にいるユリアさんを見つけた後、貴方にはユリアさんを連れて先に避難してもらいたい」
「それは構わねぇが、俺ぁアンタの連れのガキからアンタの事も頼まれちまってる。山の神とやらに喰われる前に勝負を仕掛けるのか?」
ミネは山のヌシとしての役割を果たそうとしている。その上でツクヨに言われた通り、カガリの為にも命を諦めることはなくなった。どんなに無謀でも醜くとも、争い続ける事をツクヨと約束した。
つまり彼が勝負に動き出すのは神饌の後。山の神に喰われた後という事だ。そうなれば山の神の目的は果たされ、利用されたミネは山のヌシの役割から解放されて自由の身となる。
そこが最初にして最後のチャンスとも言える。全ての望みを叶えるには山の神に喰われた後の彼を救い出す方法しか無い。作戦の内容を聞かされたアクセルは、率直にその作戦が成功する可能性は殆ど無いに等しいと口にした。
ミネの覚悟を否定するようなアクセルの返答に、鋭い睨みの視線をアクセルへ向けるツクヨ。しかしアクセルもまた、ただ否定するだけではなかった。もしミネを追いツクヨも山の神の神饌に巻き込まれるつもりなら、それはやめておけとアドバイスをする。
「いいか?アンタまで喰われて、内側からの脱出手段が無かった場合最悪の結果になる。山の神の内部からはミネに任せ、アンタは外側から彼の救出を図るべきだ。そう言えばアンタの仲間がくれたこのカメラ、位置を送信してるって言ってたな。これなら・・・!?」
ミネの向かっている山頂を目指して駆け上がっていく二人の前に、突如化け物じみた気配を放つ何者かが現れた。
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