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追手を振り切り・・・
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追手の数も減り、シンのスキルによる陽動や束縛により、姿を隠す事に成功した一行。極力気配を隠しつつ、近場で野営が設置出来そうな場所を探していた。
「ねぇ、紅葉は大丈夫なの?」
「心配すんなって。俺のカメラが上空で目印の代わりになってる。アイツなら俺達の気配やら匂いやらでここを見つけんだろ」
「紅葉にそんな事、出来るかしら・・・」
依然として一行の上空で周囲の状況を撮影し続ける、ツバキの開発したガジェット。彼の手元のモニターには、森の上空から緑一面の海を見渡しているようだった。
しかし、未だその映像に紅葉の姿は見えない。彼は一行を霧から救い出す為に、何かに向かって攻撃を仕掛けていた。それが一体何なのかは分からないが、彼の助けなくして今の一行はなかった事だろう。
そんな彼が追いつけるようにと飛ばしているガジェットには、回帰の山のモンスター達も反応はしていなかった。やはり生物以外の物であれば、狩猟の対象にはならなかったようだ。
「心配するなアカリ。紅葉のあの姿を見ただろ?アイツも何かと力をつけてるんだ、少しは独り立ちさせねぇとな」
「でも何処かで、あのモンスター達に襲われてないでしょうか・・・?」
「絶対安全・・・っとは言えないが、あれだけのブレスが吐けるんだったら、あの程度のモンスターなんぞには負けないだろ。今は安全な場所を探して、それから探した方がいいだろ。この先はもっと危険になるらしいからな・・・」
「はい・・・」
安心させるだけの言葉ではなく、現実もしっかり伝えるところがミアらしいところだろうか。だが彼女の言う通り、今から探しに戻るのは自ら死地に飛び込んでいくようなものだ。
捜索は明るくなってからの方が安全である事だけは、山を知らないシン達であっても確かに分かる事だった。
山頂に近づいて来た事もあり、これまでのように開けた場所も少なくなっているようで、アクセルやケネト、カガリであってもこの辺りの地形には苦戦を強いられているようで、なかなか場所を確保出来ずにいた。
「クソッ・・・!どっかで一休みしようにも、追われちまって道を外れたおかげで、この辺の分かる地形が何処だか分からなくなっちまった」
「カガリ、この近くに休めそうな場所か、野営が設置出来そうな場所を知らないか?」
「俺がミネさんと山頂付近に近づく時は、大体整備された道の方がメインだったから、こういった外れた獣道には詳しくないんだって・・・」
「仕方ねぇ、なら俺達で新しく作るか!おい、みんな手を貸してくれ」
アクセルはなるべく平らな地形の場所を探すように一行に伝え、周囲のモンスターに警戒しながら野営が設置出来そうな場所を探すと、ツクヨの剣技で数本の木を斬り倒し、皆で薪のような形になるよう切り分けていく。
そしてケネトの魔法で火を起こすと、皆で切り分けた薪を焚べながら慣れた様子でアクセルが地形を慣らしていく。
彼のソウルハッカーの能力は、植物にも有効なのか、地表から顔を出している太い木の根から、魂のようなものを引き摺り出すとゴムのように引っ張り弾くと、その木の根がまるで意思を持って地面に潜って行った。
「凄いな、何なんだ?アンタの能力は」
近くでその様子を見ていたシンが、未だに聞かされていなかったアクセルの能力について尋ねる。これからはもっと連携が必要になると考え、アクセルも隠す事なく自分のクラスとその能力を明かした。
「ソウルハッカー・・・あまり聞かないクラスだな」
「そう言うお前の“アサシン”ってのも、そうそう聞くクラスじゃないだろ」
「またか・・・」
「ん?」
ここでもやはり、シンのクラスであるアサシンがまるで珍しいクラスのように伝わっていた。しかし、シンがWoFや他のクラスやジョブが採用されているゲームをプレイする時、アサシンというクラスは決して珍しいクラスではない。寧ろよく聞くクラスだと言えよう。
それがこの世界では、珍しいものの扱いを受けていたり、そんなものは聞いたことがないと言われるほど廃れている。これはシン達、現実世界からやって来た者達にとって、明らかにおかしな点と言える異変だった。
「いや、他のところで聞いてもみんなそう言うんだよ。アサシンのクラスは聞いたことが無いだとか、今まで会ったことが無いだとか・・・。そんなにこの世界じゃ珍しいクラスなのか?」
「そりゃぁそうなんじゃねぇか?少なくとも俺が見て来た国や街にゃぁ、アサシンギルドなんてものは見かけなかったし、そんな話もきいたこともねぇ・・・。あっいや待てよ?だがその影のスキルに関して言えば・・・」
そこでアクセルは、かつてアクセルとケネトを助けた人物について語った。その中には、かつてシンが海上で出会した黒いコートの男と同じ、アサシンのクラススキルを使用する人物の話が出てきた。
「影のスキルッ!?ちょっ・・・ちょっと待ってくれ。それはいつのできごとだ!?」
食い入るように質問をするシンの勢いに押されながら、アクセルは自分達がまだ小さかった頃の話だと彼に語る。アクセルとケネトの年齢は、少なくともシンやミア、ツクヨのキャラクターよりも上である事が分かる。
しかし、年齢から黒いコートの者達の人物像が絞れるだろうか。アクセルに話では、その人物の顔は見ていないようだ。やはり一貫して、その黒いコートの者達は身長や声色こそ違いはあれど、誰一人その表情を見せてはいないようだ。
「ねぇ、紅葉は大丈夫なの?」
「心配すんなって。俺のカメラが上空で目印の代わりになってる。アイツなら俺達の気配やら匂いやらでここを見つけんだろ」
「紅葉にそんな事、出来るかしら・・・」
依然として一行の上空で周囲の状況を撮影し続ける、ツバキの開発したガジェット。彼の手元のモニターには、森の上空から緑一面の海を見渡しているようだった。
しかし、未だその映像に紅葉の姿は見えない。彼は一行を霧から救い出す為に、何かに向かって攻撃を仕掛けていた。それが一体何なのかは分からないが、彼の助けなくして今の一行はなかった事だろう。
そんな彼が追いつけるようにと飛ばしているガジェットには、回帰の山のモンスター達も反応はしていなかった。やはり生物以外の物であれば、狩猟の対象にはならなかったようだ。
「心配するなアカリ。紅葉のあの姿を見ただろ?アイツも何かと力をつけてるんだ、少しは独り立ちさせねぇとな」
「でも何処かで、あのモンスター達に襲われてないでしょうか・・・?」
「絶対安全・・・っとは言えないが、あれだけのブレスが吐けるんだったら、あの程度のモンスターなんぞには負けないだろ。今は安全な場所を探して、それから探した方がいいだろ。この先はもっと危険になるらしいからな・・・」
「はい・・・」
安心させるだけの言葉ではなく、現実もしっかり伝えるところがミアらしいところだろうか。だが彼女の言う通り、今から探しに戻るのは自ら死地に飛び込んでいくようなものだ。
捜索は明るくなってからの方が安全である事だけは、山を知らないシン達であっても確かに分かる事だった。
山頂に近づいて来た事もあり、これまでのように開けた場所も少なくなっているようで、アクセルやケネト、カガリであってもこの辺りの地形には苦戦を強いられているようで、なかなか場所を確保出来ずにいた。
「クソッ・・・!どっかで一休みしようにも、追われちまって道を外れたおかげで、この辺の分かる地形が何処だか分からなくなっちまった」
「カガリ、この近くに休めそうな場所か、野営が設置出来そうな場所を知らないか?」
「俺がミネさんと山頂付近に近づく時は、大体整備された道の方がメインだったから、こういった外れた獣道には詳しくないんだって・・・」
「仕方ねぇ、なら俺達で新しく作るか!おい、みんな手を貸してくれ」
アクセルはなるべく平らな地形の場所を探すように一行に伝え、周囲のモンスターに警戒しながら野営が設置出来そうな場所を探すと、ツクヨの剣技で数本の木を斬り倒し、皆で薪のような形になるよう切り分けていく。
そしてケネトの魔法で火を起こすと、皆で切り分けた薪を焚べながら慣れた様子でアクセルが地形を慣らしていく。
彼のソウルハッカーの能力は、植物にも有効なのか、地表から顔を出している太い木の根から、魂のようなものを引き摺り出すとゴムのように引っ張り弾くと、その木の根がまるで意思を持って地面に潜って行った。
「凄いな、何なんだ?アンタの能力は」
近くでその様子を見ていたシンが、未だに聞かされていなかったアクセルの能力について尋ねる。これからはもっと連携が必要になると考え、アクセルも隠す事なく自分のクラスとその能力を明かした。
「ソウルハッカー・・・あまり聞かないクラスだな」
「そう言うお前の“アサシン”ってのも、そうそう聞くクラスじゃないだろ」
「またか・・・」
「ん?」
ここでもやはり、シンのクラスであるアサシンがまるで珍しいクラスのように伝わっていた。しかし、シンがWoFや他のクラスやジョブが採用されているゲームをプレイする時、アサシンというクラスは決して珍しいクラスではない。寧ろよく聞くクラスだと言えよう。
それがこの世界では、珍しいものの扱いを受けていたり、そんなものは聞いたことがないと言われるほど廃れている。これはシン達、現実世界からやって来た者達にとって、明らかにおかしな点と言える異変だった。
「いや、他のところで聞いてもみんなそう言うんだよ。アサシンのクラスは聞いたことが無いだとか、今まで会ったことが無いだとか・・・。そんなにこの世界じゃ珍しいクラスなのか?」
「そりゃぁそうなんじゃねぇか?少なくとも俺が見て来た国や街にゃぁ、アサシンギルドなんてものは見かけなかったし、そんな話もきいたこともねぇ・・・。あっいや待てよ?だがその影のスキルに関して言えば・・・」
そこでアクセルは、かつてアクセルとケネトを助けた人物について語った。その中には、かつてシンが海上で出会した黒いコートの男と同じ、アサシンのクラススキルを使用する人物の話が出てきた。
「影のスキルッ!?ちょっ・・・ちょっと待ってくれ。それはいつのできごとだ!?」
食い入るように質問をするシンの勢いに押されながら、アクセルは自分達がまだ小さかった頃の話だと彼に語る。アクセルとケネトの年齢は、少なくともシンやミア、ツクヨのキャラクターよりも上である事が分かる。
しかし、年齢から黒いコートの者達の人物像が絞れるだろうか。アクセルに話では、その人物の顔は見ていないようだ。やはり一貫して、その黒いコートの者達は身長や声色こそ違いはあれど、誰一人その表情を見せてはいないようだ。
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