World of Fantasia

神代 コウ

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落とし物調査

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 アクセルから回帰の山の本当に恐ろしい事について聞いていると、見つかった布の調査を終えたカガリから、それがミネの物ではないとの結果が一行に告げられた。

「え・・・じゃぁそれは一体誰の物なの?」

「分からない、俺の知ってる魔力反応じゃないんだ。それにコレの持ち主の魔力反応がかなり薄まっている事からも、恐らく失踪して暫く経ってると思う・・・」

「暫くってのは、具体的にどのくらいだ?」

 失踪して暫く経っている人物といえば、アクセルとケネトが依頼を受けているトミの奥さんが該当する。その可能性はないかと尋ねるアクセルに、カガリは眉間にシワを寄せながら、彼なりの経験と推測に基づく大凡の失踪時期を告げる。

「正確なところは容赦願いたいが、恐らく数ヶ月前くらい。半年以内に失踪していると思うよ」

「半年以内か・・・十分可能性としてあり得るか。どうだ?ケネト」

「あぁ、俺も同じ考えだ。その人物がユリア・キヴェラであると考えて調査を進めたい。カガリ、俺達もミネの捜索に協力するから、その布の持ち主である人物の捜索に協力してくれないか?」

 ケネトの提案に、カガリは二つ返事で申し出を受け入れた。彼にとっても、この先の山は危険がついて回るという事だろう。単純に精気を纏うモンスターの群れに襲われたら、彼もひとたまりもないだろう。

 彼らが結束を深める中、シン達はアクセルらに求めるのは、安全に山を越える為の方法だった。

「俺達は何とかこの山を越えたい。勿論、乗りかかった船だから出来る限りの協力はするが、何かいい方法があれば伺いたいんだが・・・」

 アクセルらに協力を持ちかけた際、具体的な攻略について聞かされていなかったシン達は、ここで一度アクセルらの山越えに関する考えを聞いておくことにした。

 だが、シンの問いに対してアクセルは予想もしていなかった返しをした。

「山越えの算段?無いよ、そんなの」

「はぁ・・・?無い!?」

 アクセルらが言うには、山の様子が変わった今、安全に山を越えられる保証はないと言うのだ。だが整備された山道もあると聞いているシン達一行は、そちらの道なら越えられるのではないかと尋ねるも、整備された道は特殊な鉱石で壊れづらく作られている為に残っているだけで、危険である事には変わりないのだと言う。

「じゃぁ整備の意味ねぇじゃん!!」

「山道の整備は、山のヌシが交代して間も無くに行うんだ」

「交代して間も無く?それはどうやって調べる?」

「簡単さ。今みたいに山の様子が変わって、それが落ち着いてからさ。ただ、その山の様子も、調査する人間がいてこそだがな・・・」

「調査隊やギルドがそれを担っていると?」

「そうだ。ただでさえ少なくなってしまった調査隊と、有志を募って結成される“ギルドの結成する“調査隊がそれをやるんだ。だが大概、ギルド側の募った人間の何人かは犠牲になるがな」

 犠牲というのは、そのまま回帰の山で失踪してしまうという事だろう。一方、二人だけとなってしまった調査隊は、それ以降犠牲者を出していない。二人だけだからと言われる事もしばしばあるが、それでもここまで長く犠牲を出さずに調査を継続出来ているのは彼らが初めてらしい。

「けどそれも、今回までかもしれないけどな・・・」

「カガリ・・・」

 ミネの失踪がカガリに不安を与えてしまっているようだ。コレばかりは彼の痕跡や残留魔力といった目印でも見つけない限り、誰にも何とも言えない事だろう。

 生みの親と育ての親が違うという共通点を持つツバキは、そんな彼に何処か親近感を持っているようで、何か声を掛けてやりたいとソワソワしている。

 そんな様子を見逃さなかったツクヨは、そっと彼の背中を押して自分の気持ちや言葉を伝えた方がいいと、一歩踏み出す事を促す。

「なぁ、アンタ・・・」

「ん?どうしたんだ、君」

「俺も本当の両親を知らないで育った。海で捨てられてた俺を拾ってくれた人がいるんだ。今ではその人が俺の親だ」

 自分と同じ境遇で、更には自分よりも年下であるツバキが、親元を離れ彼らと一緒に旅をしている姿を見て、その経緯が気になったのかカガリはツバキの話を食い入るように聞き入っていた。

 早朝から動き回っていた事もあり、一行はここで一旦休憩を取る事にした。しかしこの休憩から、彼らの身に不思議な現象が度々起こるようになる。

 篝火を焚きながら、カガリが調べた布をケネトに再度調べさせるアクセル。カガリの道具を使った調査と、ケネトのスキルによる魔力の調査は違い、魔力の調査だけで言えばケネトのスキルの方がより鮮明に持ち主の情報を得られる。

 ケネトは手にした布に繊維のように細かい、魔力で作った糸を巡らせていく。彼の魔力が一本一本布の糸を覆うように淡い光で包まれていく。

 すると、すっかり身体を休めていた一行の視界が、突然何かの映像に切り替わる。その光景はまるで誰かの見ている景色のようだった。
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