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目覚め
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意識を失った一行の中で一番最初に目を覚ましたのは、一度同じ経験をしているシンだった。黒い衣の男が暗闇の中へ消えて行った直後、黄金に輝く光脈の川の光も失われた後、再び意識を失ったシンは目を覚ますと暗い森の中に倒れていたのだ。
周りには彼と同じように意識を失った仲間達とアクセルらが倒れており、直ぐにそこがWoFの世界であることを理解したシン。光脈の川原で黒い衣の男に言われたことを思い出しながら、近くで倒れるミアの元へ向かうと、彼女の肩を掴み声を掛ける。
するとまるで眠っていたかのように目を覚ますミアは、意識を失っている間真っ暗な空間で光脈らしき川のような光景を見ていたのだという。ミアも同じ光景を見ていたのかと話す二人だったが、彼女の口から黒い衣の人物については一切出てこなかった。
つまりシンが体験したあの光景の中にしか、その人物はいなかったという事になる。ミアの目覚めに続くように、次々に目を覚ましていく一行。彼らにも気を失っている間に体験した出来事について尋ねるも、誰もシンが見た黒い衣の人物を見たとういう人物は一人もいなかった。
「クソッ・・・!一体何だったんだよ、今のは」
「話に聞く光脈のように見えたが、あれは何だったんだ?アクセル?」
ミアの問いに、アクセルもケネトも答える事は出来なかった。だが一行が見たその黄金に輝く川こそ、この土地に眠る生命の源である光脈と考えて問題ないだろうと口にした。
「だがあれが光脈だったとすれば、俺達一体何故あんなところへ?」
「考えられる可能性としては、俺達がヌシに近づいたという事になるだろう」
アクセルから語られたのは、あくまで予想の範疇を出ない事であり、それが仮に本当の光脈だったとしたのなら、言い伝えられているような精神に何らかの異常をきたさないというのも引っ掛かる。
そして本当にヌシに近づいたのなら、ヌシとは一体何者だったのか。そう考えた時、一行が目を向けたのは森で倒れていたカガリだった。
彼の姿を再度確認すると、先程まで身に纏っていた光は消えており、次々に目を覚ます一行の中で唯一彼だけがまだ目を覚ましていなかった。
「取り敢えず彼を野営のところまで運ぼう」
「そう言えばモンスター達は?」
突然の出来事にすっかり忘れていたようだが、一行はカガリを見つけた後、モンスターの群れに追われながら野営を目指している途中で囲まれてしまった。
あんな状況で気を失えばひとたまりもなかった筈だが、周囲を見渡しても誰も居なくなっていない上に、負傷している者も誰もいない。皆、無傷の状態でいたのだ。
そして一行の周りにはあれだけ多くのモンスターが取り囲んでいたというのに、今ではその姿は全く見当たらない。急ぎ周囲の気配を探るも、モンスターの気配は周りから全く感じないとケネトは言う。
「どうなってんだ・・・。こんな事、俺達も初めてだぜ」
「あぁ、何が何だか・・・。先ずは彼が目を覚ますのを待って、何があったのかを聞いてからだな」
一行はカガリを野営のところまで連れて行くと、今夜はそこで順番に見張りをしながら朝が来るのを待つ事にした。焚き火から立ち上る煙が、山の麓の捜索隊達の元にも届いていたようで、彼らから預かっていてアイテムで無事を知らせると同時に、居なくなったギルドの者達についての情報はまだ得られていないと報告した。
ツバキやアカリがすっかり眠ってしまった頃、漸く気を失っていたカガリが目を覚ました。子供達を起こさぬようカガリの状態を確認した後、これまでの事を何か覚えているかと彼に尋ねる。
どうやら一行の予想通り、カガリはミネを追って山に入ったのだという。だが夜にミネが山に入るのは決して珍しい事ではなかったようだ。いつも通りならカガリも、ついて来いと言われない時は、そのまま家で待機していたのだが、最近はどうもミネの様子がおかしかったとカガリは語る。
「様子がおかしい?一体どんな風に」
「上手くは言えないんだが、何だか俺を避けているような感じ。一緒に山に調査へ向かう事も最近じゃ減って来ていて、あまり奥には入るなと強調して言うことが多くなったんだ。俺だっていろんな知識を身につけたし、ミネや先代の調査隊の資料から対策やヤバい時の対象方についても学んでる。なのに子供扱いするみたいに・・・」
「なぁカガリ。最近山の精気の流れが麓の近くまで流れて来てたのを知ってるか?」
アクセルが山の異変について尋ねると、カガリは食い付くようにその話について語り始めた。最初は彼自身、精気の流れが降りて来ていた事には気がついていなかったらしい。
しかし、ミネを追って山へ入った時、周囲の植物や土から検出される精気を含んだ成分が、本来その地点では観測されない数値を出している事にカガリは気付き、最近になって麓の側まで精気が降りて来たのを知って、ミネが心配になったのだと彼は言う。
「へぇ、そんな調査の道具があるのか」
「これは何処にでも売ってるような、魔力量を測るキットを改良したものなんだ。だからそんな珍しいモンじゃないけど、やたらに教えると興味本位で山に入る連中が増えるから教えるなって言われてる」
「いいのか?俺達に教えちまって」
「今はそれどころじゃないし、俺一人じゃどうにも出来なさそうだし・・・。それにアクセルさんやケネトさんの話は噂に聞いてる。優秀な依頼請負人だって」
「はは、そりゃどうも。意識もハッキリして来たみたいだな。どうだ?気を失う前の事、思い出せるか?」
いよいよカガリの身に何が起きたのかについて話を切り出すアクセル。これだけの知識を持ちながら、モンスターに遭遇しないように奥地へとやって来たカガリがどうして山で気を失っていたのか。
それは彼の見た、不思議な光景が関係していた。
周りには彼と同じように意識を失った仲間達とアクセルらが倒れており、直ぐにそこがWoFの世界であることを理解したシン。光脈の川原で黒い衣の男に言われたことを思い出しながら、近くで倒れるミアの元へ向かうと、彼女の肩を掴み声を掛ける。
するとまるで眠っていたかのように目を覚ますミアは、意識を失っている間真っ暗な空間で光脈らしき川のような光景を見ていたのだという。ミアも同じ光景を見ていたのかと話す二人だったが、彼女の口から黒い衣の人物については一切出てこなかった。
つまりシンが体験したあの光景の中にしか、その人物はいなかったという事になる。ミアの目覚めに続くように、次々に目を覚ましていく一行。彼らにも気を失っている間に体験した出来事について尋ねるも、誰もシンが見た黒い衣の人物を見たとういう人物は一人もいなかった。
「クソッ・・・!一体何だったんだよ、今のは」
「話に聞く光脈のように見えたが、あれは何だったんだ?アクセル?」
ミアの問いに、アクセルもケネトも答える事は出来なかった。だが一行が見たその黄金に輝く川こそ、この土地に眠る生命の源である光脈と考えて問題ないだろうと口にした。
「だがあれが光脈だったとすれば、俺達一体何故あんなところへ?」
「考えられる可能性としては、俺達がヌシに近づいたという事になるだろう」
アクセルから語られたのは、あくまで予想の範疇を出ない事であり、それが仮に本当の光脈だったとしたのなら、言い伝えられているような精神に何らかの異常をきたさないというのも引っ掛かる。
そして本当にヌシに近づいたのなら、ヌシとは一体何者だったのか。そう考えた時、一行が目を向けたのは森で倒れていたカガリだった。
彼の姿を再度確認すると、先程まで身に纏っていた光は消えており、次々に目を覚ます一行の中で唯一彼だけがまだ目を覚ましていなかった。
「取り敢えず彼を野営のところまで運ぼう」
「そう言えばモンスター達は?」
突然の出来事にすっかり忘れていたようだが、一行はカガリを見つけた後、モンスターの群れに追われながら野営を目指している途中で囲まれてしまった。
あんな状況で気を失えばひとたまりもなかった筈だが、周囲を見渡しても誰も居なくなっていない上に、負傷している者も誰もいない。皆、無傷の状態でいたのだ。
そして一行の周りにはあれだけ多くのモンスターが取り囲んでいたというのに、今ではその姿は全く見当たらない。急ぎ周囲の気配を探るも、モンスターの気配は周りから全く感じないとケネトは言う。
「どうなってんだ・・・。こんな事、俺達も初めてだぜ」
「あぁ、何が何だか・・・。先ずは彼が目を覚ますのを待って、何があったのかを聞いてからだな」
一行はカガリを野営のところまで連れて行くと、今夜はそこで順番に見張りをしながら朝が来るのを待つ事にした。焚き火から立ち上る煙が、山の麓の捜索隊達の元にも届いていたようで、彼らから預かっていてアイテムで無事を知らせると同時に、居なくなったギルドの者達についての情報はまだ得られていないと報告した。
ツバキやアカリがすっかり眠ってしまった頃、漸く気を失っていたカガリが目を覚ました。子供達を起こさぬようカガリの状態を確認した後、これまでの事を何か覚えているかと彼に尋ねる。
どうやら一行の予想通り、カガリはミネを追って山に入ったのだという。だが夜にミネが山に入るのは決して珍しい事ではなかったようだ。いつも通りならカガリも、ついて来いと言われない時は、そのまま家で待機していたのだが、最近はどうもミネの様子がおかしかったとカガリは語る。
「様子がおかしい?一体どんな風に」
「上手くは言えないんだが、何だか俺を避けているような感じ。一緒に山に調査へ向かう事も最近じゃ減って来ていて、あまり奥には入るなと強調して言うことが多くなったんだ。俺だっていろんな知識を身につけたし、ミネや先代の調査隊の資料から対策やヤバい時の対象方についても学んでる。なのに子供扱いするみたいに・・・」
「なぁカガリ。最近山の精気の流れが麓の近くまで流れて来てたのを知ってるか?」
アクセルが山の異変について尋ねると、カガリは食い付くようにその話について語り始めた。最初は彼自身、精気の流れが降りて来ていた事には気がついていなかったらしい。
しかし、ミネを追って山へ入った時、周囲の植物や土から検出される精気を含んだ成分が、本来その地点では観測されない数値を出している事にカガリは気付き、最近になって麓の側まで精気が降りて来たのを知って、ミネが心配になったのだと彼は言う。
「へぇ、そんな調査の道具があるのか」
「これは何処にでも売ってるような、魔力量を測るキットを改良したものなんだ。だからそんな珍しいモンじゃないけど、やたらに教えると興味本位で山に入る連中が増えるから教えるなって言われてる」
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「今はそれどころじゃないし、俺一人じゃどうにも出来なさそうだし・・・。それにアクセルさんやケネトさんの話は噂に聞いてる。優秀な依頼請負人だって」
「はは、そりゃどうも。意識もハッキリして来たみたいだな。どうだ?気を失う前の事、思い出せるか?」
いよいよカガリの身に何が起きたのかについて話を切り出すアクセル。これだけの知識を持ちながら、モンスターに遭遇しないように奥地へとやって来たカガリがどうして山で気を失っていたのか。
それは彼の見た、不思議な光景が関係していた。
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