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タッグバトル
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「シン!無事だったんだね!?」
「あぁ、何とかな・・・」
数発牽制の意味も込めた投擲を繰り返し、黒い人物とアンナを遠ざけ合流を果たすシンとツクヨ。ある程度の状況はアカリの声やツクヨの様子から把握していたシンだったが、近くで一行の様子を見ると改めてツバキやプラチドの存在の大きさを知る事となる。
単純にアカリ達を守ってくれているという安心感は勿論のこと、ムードメーカーだった彼らの明るさも戦闘に対するモチベーションという意味で、大いに力になっていたようだ。
「ツバキと紅葉、それに・・・」
「うん・・・彼らはどうやら、“元の世界”に戻ったらしい。あぁ、とは言っても私達の言うところの“現実の世界”とは別みたいだけど」
「元の世界・・・か。じゃぁコレは何らかの方法で俺達が見ている、いや見させられている幻覚や偽りの世界って訳か?」
現実と見間違えるほどの幻覚。本来幻覚の類いのスキルは、身体への痛みや衝撃で目を覚ますと言うのが定石だが、どうやらアルバ全域を飲み込むように覆っている異変は、その見せられている世界での“消滅”をもって目を覚ますという仕組みのようだ。
故にツバキ達も黒い人物の言うことを信用するのであれば、死んだ訳ではない。ツクヨもそれを信じているようだ。そうする事で何とか今の状況を受け入れられている状態とも取れるが。
「合流されたか・・・。でもいいよ、こっちとしてもアンナさんと手を組んで戦う方がより好都合だからね。アンナさん、例の楽譜で彼らに歌を・・・」
黒い人物に促され、アンナは再び月光写譜を出現させて、広場に残る者達にその歌声を披露する。アンナの歌声が披露された事により、事態は更にシン達によって向かい風となる。
「うッ・・・これは!?」
「またあれだ・・・!身体が勝手に無駄な力を引き出す強制バフだ・・・」
アンナの歌声は、これまで彼らを幾度となく苦しめてきたバフ効果を齎すものだった。強制的に大きな動きや余分な力を使わせる事により、疲労や自滅を狙うというもので、能力を発現させているアンナの歌を止めない限りこれは続く。
その上で黒い人物は、独自の方法で自身に速度や攻撃力のバフを付与する音楽を聞いている。しかも黒い人物のバフにはこれといったデメリットは無いようだ。
「さて、我が一族の遺物によって満足に身体を動かすこともできまい。その間俺は、貴方達の衰弱を待って確実に仕留めるとしますよ」
そういって黒い人物に耳の側に小さなシャボン玉のような物が出現する。シン達にはそれを視認する事自体難しく、それがどのような効果を齎しているのか、黒い人物の動きを見てからでないと分からない。
確実に後手に回ってしまうという状況の中、戦いの火蓋は切って落とされる。
アンナが歌い出し、僅かに動きを見せた黒い人物に反応し、シンがアンナへ向けて複数のナイフを投擲する。強制バフは疲労しやすく誤爆もしやすいが、その中での動きに慣れる事で逆に利用する事も出来る。
投擲武器を放つだけなら、腕しか使わず単純に投げる威力だけが増すのみ。あとは腕を振るのと、武器を手放すタイミングさえ間違わなければ、普段のシン以上の力を発揮できる。
シン達は、バッハ一族の扱う強制バフの中での戦闘は初めてではない。故にある程度の感覚は掴んでいた。見事なタイミングで撃ち放ったナイフは、閃光のようにアンナに向けて飛んでいく。
しかし黒い人物も、そう易々とシンの狙いを成就させる事はなく、攻撃を見てから動き出しても十分に放たれたナイフを撃ち落とすのに間に合うほど素早い動きを見せた。
目にも止まらぬ速さでシンの投げたナイフを数本打ち落とし、数本回収すると、今度はそれを利用してツクヨへ目掛けて黒い人物がナイフを投擲する。
だがツクヨはそんな中、恐れる事なく飛んで来るナイフなどお構いなしに、黒い人物の元へと飛び込んでいった。事前に作戦を伝えるまでもなく、ツクヨはシンの思惑を察していたのだ。
黒い人物が投げたナイフは、元々シンの持っていた物。それには既に細工が施されており、ツクヨはその一瞬を見落とさなかった。シンが黒い人物にナイフを投げた時、僅かに床にはシンの本体の影から伸びる糸のような影がナイフと繋げられているのが見えた。
そしてナイフがツクヨに迫ると、突如ナイフは何かに弾かれるように宙を舞い、ツクヨに進路を譲ったのだ。
「ッ!?」
一瞬見せた黒い人物の動揺を見逃す事はなく、ツクヨはその手にした刀に力を込める。刃に禍々しいオーラを纏い、刹那の一振りが油断した黒い人物の身体を掠めていく。
「浅かったかッ!」
「いや、十分ッ・・・!!」
シンの声は黒い人物の足元から聞こえていた。ツクヨが黒い人物に接近し、彼に注意を削がれている内に、シンはツクヨの影の中へと潜り込み、接近した黒い人物の影の中へと移動すると、床をすり抜けて影の中から真上の黒い人物目掛けて刃を振り上げる。
アンナの歌声により、影から飛び出す速度も上昇している。普段のシンとは比べるまでもない威力の技へと昇格した技だったが、これも紙一重で黒い人物に届く事はなかった。
「なんて反応速度だッ・・・!」
「ッ・・・・・!」
シン達はこれだけやっても致命打を与えられなかった事に動揺しているようだが、実際は黒い人物も驚いていたようだ。アンナの歌により速度が上がっているとはいえ、自身の速度を上げる音楽を聞いている自分について来られるなど、思ってもいなかったようだ。
「あぁ、何とかな・・・」
数発牽制の意味も込めた投擲を繰り返し、黒い人物とアンナを遠ざけ合流を果たすシンとツクヨ。ある程度の状況はアカリの声やツクヨの様子から把握していたシンだったが、近くで一行の様子を見ると改めてツバキやプラチドの存在の大きさを知る事となる。
単純にアカリ達を守ってくれているという安心感は勿論のこと、ムードメーカーだった彼らの明るさも戦闘に対するモチベーションという意味で、大いに力になっていたようだ。
「ツバキと紅葉、それに・・・」
「うん・・・彼らはどうやら、“元の世界”に戻ったらしい。あぁ、とは言っても私達の言うところの“現実の世界”とは別みたいだけど」
「元の世界・・・か。じゃぁコレは何らかの方法で俺達が見ている、いや見させられている幻覚や偽りの世界って訳か?」
現実と見間違えるほどの幻覚。本来幻覚の類いのスキルは、身体への痛みや衝撃で目を覚ますと言うのが定石だが、どうやらアルバ全域を飲み込むように覆っている異変は、その見せられている世界での“消滅”をもって目を覚ますという仕組みのようだ。
故にツバキ達も黒い人物の言うことを信用するのであれば、死んだ訳ではない。ツクヨもそれを信じているようだ。そうする事で何とか今の状況を受け入れられている状態とも取れるが。
「合流されたか・・・。でもいいよ、こっちとしてもアンナさんと手を組んで戦う方がより好都合だからね。アンナさん、例の楽譜で彼らに歌を・・・」
黒い人物に促され、アンナは再び月光写譜を出現させて、広場に残る者達にその歌声を披露する。アンナの歌声が披露された事により、事態は更にシン達によって向かい風となる。
「うッ・・・これは!?」
「またあれだ・・・!身体が勝手に無駄な力を引き出す強制バフだ・・・」
アンナの歌声は、これまで彼らを幾度となく苦しめてきたバフ効果を齎すものだった。強制的に大きな動きや余分な力を使わせる事により、疲労や自滅を狙うというもので、能力を発現させているアンナの歌を止めない限りこれは続く。
その上で黒い人物は、独自の方法で自身に速度や攻撃力のバフを付与する音楽を聞いている。しかも黒い人物のバフにはこれといったデメリットは無いようだ。
「さて、我が一族の遺物によって満足に身体を動かすこともできまい。その間俺は、貴方達の衰弱を待って確実に仕留めるとしますよ」
そういって黒い人物に耳の側に小さなシャボン玉のような物が出現する。シン達にはそれを視認する事自体難しく、それがどのような効果を齎しているのか、黒い人物の動きを見てからでないと分からない。
確実に後手に回ってしまうという状況の中、戦いの火蓋は切って落とされる。
アンナが歌い出し、僅かに動きを見せた黒い人物に反応し、シンがアンナへ向けて複数のナイフを投擲する。強制バフは疲労しやすく誤爆もしやすいが、その中での動きに慣れる事で逆に利用する事も出来る。
投擲武器を放つだけなら、腕しか使わず単純に投げる威力だけが増すのみ。あとは腕を振るのと、武器を手放すタイミングさえ間違わなければ、普段のシン以上の力を発揮できる。
シン達は、バッハ一族の扱う強制バフの中での戦闘は初めてではない。故にある程度の感覚は掴んでいた。見事なタイミングで撃ち放ったナイフは、閃光のようにアンナに向けて飛んでいく。
しかし黒い人物も、そう易々とシンの狙いを成就させる事はなく、攻撃を見てから動き出しても十分に放たれたナイフを撃ち落とすのに間に合うほど素早い動きを見せた。
目にも止まらぬ速さでシンの投げたナイフを数本打ち落とし、数本回収すると、今度はそれを利用してツクヨへ目掛けて黒い人物がナイフを投擲する。
だがツクヨはそんな中、恐れる事なく飛んで来るナイフなどお構いなしに、黒い人物の元へと飛び込んでいった。事前に作戦を伝えるまでもなく、ツクヨはシンの思惑を察していたのだ。
黒い人物が投げたナイフは、元々シンの持っていた物。それには既に細工が施されており、ツクヨはその一瞬を見落とさなかった。シンが黒い人物にナイフを投げた時、僅かに床にはシンの本体の影から伸びる糸のような影がナイフと繋げられているのが見えた。
そしてナイフがツクヨに迫ると、突如ナイフは何かに弾かれるように宙を舞い、ツクヨに進路を譲ったのだ。
「ッ!?」
一瞬見せた黒い人物の動揺を見逃す事はなく、ツクヨはその手にした刀に力を込める。刃に禍々しいオーラを纏い、刹那の一振りが油断した黒い人物の身体を掠めていく。
「浅かったかッ!」
「いや、十分ッ・・・!!」
シンの声は黒い人物の足元から聞こえていた。ツクヨが黒い人物に接近し、彼に注意を削がれている内に、シンはツクヨの影の中へと潜り込み、接近した黒い人物の影の中へと移動すると、床をすり抜けて影の中から真上の黒い人物目掛けて刃を振り上げる。
アンナの歌声により、影から飛び出す速度も上昇している。普段のシンとは比べるまでもない威力の技へと昇格した技だったが、これも紙一重で黒い人物に届く事はなかった。
「なんて反応速度だッ・・・!」
「ッ・・・・・!」
シン達はこれだけやっても致命打を与えられなかった事に動揺しているようだが、実際は黒い人物も驚いていたようだ。アンナの歌により速度が上がっているとはいえ、自身の速度を上げる音楽を聞いている自分について来られるなど、思ってもいなかったようだ。
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