1,500 / 1,646
戦闘開始
しおりを挟む
場面は変わり宮殿入り口で、司令室に現れた黒い靄に覆われた謎の人物と同じものを相手にしていたシン達一行。ただこちらは司令室とは違い、単純な戦力ではシン達に部がある。
既に戦闘を始めていたシンとアンナは、仲間達から少し離れたところで戦場を活かした空中戦を繰り広げている。対して黒い人物の襲来で、治療中でありながらも戦闘に参加せざるを得なくなったプラチドとツクヨ。
しかし新たな戦力としてガジェットにより強化されたツバキと、炎の風を操り敵対する者達へ有効な攻撃手段を覚醒させた紅葉という新たな戦力を手にし、四対一という圧倒的に有利な状況にある。
但し彼らが抱える弱点として、回復役のアカリと敵が所持する厄介な能力を顕現させるアイテム、月光写譜を無力化し逆に利用することの出来るジルを
守りながら戦わなくてはならない点だ。
故に四人全員で攻勢に出ることは出来ず、必ず誰かは守り役に回らなければならない。
「コイツの相手は私達でする。ツバキと紅葉は二人を」
「あぁ、分かったぜ!」
「キィー!」
「病み上がりで悪いけど・・・力を貸してくれますか?プラチドさん」
「勿論。願ってもない展開だ。俺も奴を逃すつもりはないからな・・・」
ツクヨへ奇襲を仕掛けてからというものの、不気味なほど大人しくしている黒い人物。するとその人物は目の前の敵であるツクヨらを無視してアンナ達の方を見ている。
「テマ ヲ オカケシマシタ。デスガ ワタシ ガ キタカラニハ モウ テハ ワズラワセマセンヨ・・・」
ぶつぶつと独り言を言い始めた黒い人物を見て、それがただの油断や慢心ではない事を悟り、ツクヨに忠告するプラチド。しかしただならぬ空気を漂わせる黒い人物の雰囲気に気が付かぬツクヨではなかった。
最初から全力だと言わんばかりに、既に布都御魂剣による創造の景色の中から、相手の素性を探っていた。
「あいつ、何か喋ってやがる・・・。やっぱり他の奴らとは明らかに違う。気を引き締めろよ、ツクヨ」
「言われなくて最初から全力で行きますよ・・・。ただ違うのは雰囲気だけじゃないみたいですけどね・・・」
ツクヨが瞼の裏に見ている景色には、黒い人物の放つ異様なオーラが禍々しく立ち込めているのが見えていた。それは黒い人物のシルエットを飲み込むほど溢れ出している。
黒い人物が身構える彼らの方へ向き直すと、彼は聞き取りずらい声で犯人の目的にも繋がる意味深な言葉を掛ける。
「アナタタチ ヲ マキコム ツモリ ハ ナカッタ。ダガ マキコマレテ シマッタノナラ シカタガナイ・・・」
「巻き込まれた?私達の事か」
「アンシン シテクレテ イイ。アナタタチ ニハ イキテ モラワネバ コマル。ユエニ オトナシク コノセカイデ シンデクレ」
強い言葉を放つ黒い人物に殺気が集まる。それが彼の慈悲か狙いかは分からないが、黒い人物は前線のツクヨとプラチドに向かって動き出す。いち早く黒い人物の殺気を気配で感じていたツクヨの“来るぞ”という声に反応して、左右に分かれて相手の動きを見る二人。
姿を消すように素早い動きでその場から移動した黒い人物。残された黒い靄が彼の動きに釣られるように、風で何処かへ移動した黒い人物の後を追う。靄が僅かに動き出したのはツクヨの方だった。
オーラの動きが自分の方へ向かってくるのを察したツクヨは、直様武器を構え様子を見る意味でも剣から発する衝撃波でそれを迎え撃つ。数発放った衝撃波の隙間を縫うように避けながら近づいてくる黒い人物。
ただならぬその動きは、素早い身のこなしというだけでは説明がつかない。目に見えていた黒い人物の質量、ツクヨが見ていたオーラの様子からも、大きく外に避けなければ回避など出来ない筈だった。
「何ッ・・・!?」
「オモシロイ チカラ ヲ ツカイマスネ。ミタコトモ ナイ チカラダ。ダケド・・・!」
ツクヨの懐へと近づいた黒い人物。その様子を見ていたジルが、彼の身に起きた変化に反応する。それは彼女にしか気がつく事のできなかった変化。先程黒い人物の周りで聞こえていた音楽の曲調が、ツクヨへの攻撃に際にこれまでのものとは全く違うものへと変化したのだ。
「まただ・・・!」
「え?」
「また聞こえたの。あの人の側にだけ流れてる音楽。それが早いテンポの曲調から、胸を打ち鳴らすような重く激しい曲調に・・・!」
一瞬のうちに起きた黒い人物の変化。狙われていた彼にだけその変化が分かった。反対側にいたプラチドには何が起きているのか分からない。強烈な一撃が来るのを察したツクヨは急ぎ防御の姿勢を取るのだが、彼は再び大きく後方へと弾き飛ばされ壁に打ち付けられてしまう。
既に戦闘を始めていたシンとアンナは、仲間達から少し離れたところで戦場を活かした空中戦を繰り広げている。対して黒い人物の襲来で、治療中でありながらも戦闘に参加せざるを得なくなったプラチドとツクヨ。
しかし新たな戦力としてガジェットにより強化されたツバキと、炎の風を操り敵対する者達へ有効な攻撃手段を覚醒させた紅葉という新たな戦力を手にし、四対一という圧倒的に有利な状況にある。
但し彼らが抱える弱点として、回復役のアカリと敵が所持する厄介な能力を顕現させるアイテム、月光写譜を無力化し逆に利用することの出来るジルを
守りながら戦わなくてはならない点だ。
故に四人全員で攻勢に出ることは出来ず、必ず誰かは守り役に回らなければならない。
「コイツの相手は私達でする。ツバキと紅葉は二人を」
「あぁ、分かったぜ!」
「キィー!」
「病み上がりで悪いけど・・・力を貸してくれますか?プラチドさん」
「勿論。願ってもない展開だ。俺も奴を逃すつもりはないからな・・・」
ツクヨへ奇襲を仕掛けてからというものの、不気味なほど大人しくしている黒い人物。するとその人物は目の前の敵であるツクヨらを無視してアンナ達の方を見ている。
「テマ ヲ オカケシマシタ。デスガ ワタシ ガ キタカラニハ モウ テハ ワズラワセマセンヨ・・・」
ぶつぶつと独り言を言い始めた黒い人物を見て、それがただの油断や慢心ではない事を悟り、ツクヨに忠告するプラチド。しかしただならぬ空気を漂わせる黒い人物の雰囲気に気が付かぬツクヨではなかった。
最初から全力だと言わんばかりに、既に布都御魂剣による創造の景色の中から、相手の素性を探っていた。
「あいつ、何か喋ってやがる・・・。やっぱり他の奴らとは明らかに違う。気を引き締めろよ、ツクヨ」
「言われなくて最初から全力で行きますよ・・・。ただ違うのは雰囲気だけじゃないみたいですけどね・・・」
ツクヨが瞼の裏に見ている景色には、黒い人物の放つ異様なオーラが禍々しく立ち込めているのが見えていた。それは黒い人物のシルエットを飲み込むほど溢れ出している。
黒い人物が身構える彼らの方へ向き直すと、彼は聞き取りずらい声で犯人の目的にも繋がる意味深な言葉を掛ける。
「アナタタチ ヲ マキコム ツモリ ハ ナカッタ。ダガ マキコマレテ シマッタノナラ シカタガナイ・・・」
「巻き込まれた?私達の事か」
「アンシン シテクレテ イイ。アナタタチ ニハ イキテ モラワネバ コマル。ユエニ オトナシク コノセカイデ シンデクレ」
強い言葉を放つ黒い人物に殺気が集まる。それが彼の慈悲か狙いかは分からないが、黒い人物は前線のツクヨとプラチドに向かって動き出す。いち早く黒い人物の殺気を気配で感じていたツクヨの“来るぞ”という声に反応して、左右に分かれて相手の動きを見る二人。
姿を消すように素早い動きでその場から移動した黒い人物。残された黒い靄が彼の動きに釣られるように、風で何処かへ移動した黒い人物の後を追う。靄が僅かに動き出したのはツクヨの方だった。
オーラの動きが自分の方へ向かってくるのを察したツクヨは、直様武器を構え様子を見る意味でも剣から発する衝撃波でそれを迎え撃つ。数発放った衝撃波の隙間を縫うように避けながら近づいてくる黒い人物。
ただならぬその動きは、素早い身のこなしというだけでは説明がつかない。目に見えていた黒い人物の質量、ツクヨが見ていたオーラの様子からも、大きく外に避けなければ回避など出来ない筈だった。
「何ッ・・・!?」
「オモシロイ チカラ ヲ ツカイマスネ。ミタコトモ ナイ チカラダ。ダケド・・・!」
ツクヨの懐へと近づいた黒い人物。その様子を見ていたジルが、彼の身に起きた変化に反応する。それは彼女にしか気がつく事のできなかった変化。先程黒い人物の周りで聞こえていた音楽の曲調が、ツクヨへの攻撃に際にこれまでのものとは全く違うものへと変化したのだ。
「まただ・・・!」
「え?」
「また聞こえたの。あの人の側にだけ流れてる音楽。それが早いテンポの曲調から、胸を打ち鳴らすような重く激しい曲調に・・・!」
一瞬のうちに起きた黒い人物の変化。狙われていた彼にだけその変化が分かった。反対側にいたプラチドには何が起きているのか分からない。強烈な一撃が来るのを察したツクヨは急ぎ防御の姿勢を取るのだが、彼は再び大きく後方へと弾き飛ばされ壁に打ち付けられてしまう。
0
お気に入りに追加
302
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる