1,447 / 1,646
形勢逆転と一騎打ち
しおりを挟む
無数の糸がブルースの身体を絡め取り、謎の人物と彼の身体が光を反射してキラキラと光る糸でがっちりと繋がれる。ここまで絡んでしまうと、最早バルトロメオの青い炎や紅葉の火の粉では焼き切る事は不可能。
引火させようものなら、ブルースの身体も無事では済まない。それを謎の人物達が意図的に救助できないようにしたのかは定かではないが、これによりある危険性が証明された。
それは、相手側のほぼ無制限とも考えられる謎の人物達が、ベルンハルトの影響を受けると全身を糸の性質へと変化させることがあるという事。
全ての謎の人物達がブルースを捕らえた個体と同じように、全身を糸に変えることができると確定したわけではないが、少なからず彼らのいる司令室とその周辺、及びベルンハルトの周りに現れる謎の人物達にはそのような特徴があると考えておいた方がいいだろう。
これにより何が考えられるか。要するに自身の命を顧みない行動を行える謎の人物達による“自爆“なのだ。ブルースの身体を捕らえたように、糸への対策が不可能な状態に持ち込まれてしまえば、救う方法がなくなってしまうということだ。
「はぁッ!?んだよあれ!」
「奴自体が糸になった・・・だと!?」
その様子を見ていた一行の脳裏には、その衝撃的な光景からその後起こり得るであろう出来事の想像が容易に出来た。だがあくまで、糸は音の振動を特定の場所に集約し、伝える手段に過ぎない。
これまで説明してきたものは、所詮導火線に過ぎず起爆剤や引火といった根源となるものはベルンハルトの能力にある。つまり本体であるベルンハルトを止めることが出来れば、全ての問題が解決する事になる。
謎の人物が糸でブルースの身体を捕らえたのを確認したベルンハルトは、演奏に強めの音を混ぜるアクセントを加えた。演奏から伝わる音の振動は、謎の人物の糸からなる身体を媒体に集まり蓄積される。
そして一定数を超えると糸を伝って、繋がれたブルースの身体へと一気に流れ込み、振動は衝撃へ変わり、集められた衝撃は威力を増して爆発を引き起こす。
「ッ!!」
「チッ・・・!悪いな、大将・・・。一旦ゾルターンの元に・・・!?」
衝撃が謎の人物からブルースへと伝わる瞬間、彼らの身体が細かく振動し一気に爆発する。しかし爆発したのは、彼らの身体から成る床に映し出された影だったのだ。
「なッ何が起こった!?」
何の変哲もなかった床が突如爆発した事に驚く一行。そしてその爆発はベルンハルトのすぐ側で起きた。これにより激しく飛び散った床の破片が、演奏するベルンハルトへと命中する。
ただ命中するといっても、身体を透過したに過ぎず、一時的な命中した部位の消失に留まる程度だった、だがそれだけでも、ベルンハルトの演奏を止めるのには十分だったのだ。
破片は彼の腕へと飛んでいき、肘の部分が透過した事によりその先の腕や手がその身体の形状を保てず、一時的にその姿を消したのだ。これにより今まで司令室に流れていた演奏が止まる。
どうやら背中を透過した瓦礫がもう片方の腕も使用不可能な状態にしたようで、一行に降り掛かっていた過剰な身体能力を向上させるバフ効果が解かれた。
「身体がッ・・・。よっしゃ!今のうちに仕留めてやる!」
「今の爆発は・・・?いや、今は奴を止めるのが先かッ!」
身体に起きている変化は自分自身が一番よくわかる。演奏が止まった事により、戦えないレオンやクリスらだけでなく、シンやオイゲン、そしてバルトロメオらも身体の制御を考えずとも自由に動けるようになり、一気に形勢は逆転。
最もベルンハルトに近い位置にいたブルースだが、謎の人物に拘束されたまま動けない。一旦彼を下がらせる為、バルトロメオは腕を召喚しブルースの身体を謎の人物から切り離した。
バフ効果が切れた事により、思う存分能力を振るえるようになったバルトロメオは、ブルースの身体を確保すると同時に彼と糸で繋がる謎の人物を別の召喚した腕で掴み取る。
そして謎の人物を掴んでいる手に青い炎を着火させ、脆くなった糸を更に別の腕の指を器用に使い、切断することで彼の救出に成功した。その隙にガジェットで急接近したシンが、不安定な身体になったベルンハルトに魔力を帯びた拳を打ち放つ。
すると、シンとベルンハルトを閉じ込めるようにドーム状のバリアが張られる。これはオイゲンがシンとベルンハルトを、一対一の状況にする為のステージを作り上げたのだ。
突如覆われたバリアの中でも、シンはまずはベルンハルトに一撃を入れてからだと判断し、考えるよりも先に攻撃を優先する。演奏を止められたベルンハルトは、当然閉じ込められたその範囲から脱出を試みようとするも、彼らを覆うドーム状のバリアは床も透過出来ないように塞いでいたようだ。
引火させようものなら、ブルースの身体も無事では済まない。それを謎の人物達が意図的に救助できないようにしたのかは定かではないが、これによりある危険性が証明された。
それは、相手側のほぼ無制限とも考えられる謎の人物達が、ベルンハルトの影響を受けると全身を糸の性質へと変化させることがあるという事。
全ての謎の人物達がブルースを捕らえた個体と同じように、全身を糸に変えることができると確定したわけではないが、少なからず彼らのいる司令室とその周辺、及びベルンハルトの周りに現れる謎の人物達にはそのような特徴があると考えておいた方がいいだろう。
これにより何が考えられるか。要するに自身の命を顧みない行動を行える謎の人物達による“自爆“なのだ。ブルースの身体を捕らえたように、糸への対策が不可能な状態に持ち込まれてしまえば、救う方法がなくなってしまうということだ。
「はぁッ!?んだよあれ!」
「奴自体が糸になった・・・だと!?」
その様子を見ていた一行の脳裏には、その衝撃的な光景からその後起こり得るであろう出来事の想像が容易に出来た。だがあくまで、糸は音の振動を特定の場所に集約し、伝える手段に過ぎない。
これまで説明してきたものは、所詮導火線に過ぎず起爆剤や引火といった根源となるものはベルンハルトの能力にある。つまり本体であるベルンハルトを止めることが出来れば、全ての問題が解決する事になる。
謎の人物が糸でブルースの身体を捕らえたのを確認したベルンハルトは、演奏に強めの音を混ぜるアクセントを加えた。演奏から伝わる音の振動は、謎の人物の糸からなる身体を媒体に集まり蓄積される。
そして一定数を超えると糸を伝って、繋がれたブルースの身体へと一気に流れ込み、振動は衝撃へ変わり、集められた衝撃は威力を増して爆発を引き起こす。
「ッ!!」
「チッ・・・!悪いな、大将・・・。一旦ゾルターンの元に・・・!?」
衝撃が謎の人物からブルースへと伝わる瞬間、彼らの身体が細かく振動し一気に爆発する。しかし爆発したのは、彼らの身体から成る床に映し出された影だったのだ。
「なッ何が起こった!?」
何の変哲もなかった床が突如爆発した事に驚く一行。そしてその爆発はベルンハルトのすぐ側で起きた。これにより激しく飛び散った床の破片が、演奏するベルンハルトへと命中する。
ただ命中するといっても、身体を透過したに過ぎず、一時的な命中した部位の消失に留まる程度だった、だがそれだけでも、ベルンハルトの演奏を止めるのには十分だったのだ。
破片は彼の腕へと飛んでいき、肘の部分が透過した事によりその先の腕や手がその身体の形状を保てず、一時的にその姿を消したのだ。これにより今まで司令室に流れていた演奏が止まる。
どうやら背中を透過した瓦礫がもう片方の腕も使用不可能な状態にしたようで、一行に降り掛かっていた過剰な身体能力を向上させるバフ効果が解かれた。
「身体がッ・・・。よっしゃ!今のうちに仕留めてやる!」
「今の爆発は・・・?いや、今は奴を止めるのが先かッ!」
身体に起きている変化は自分自身が一番よくわかる。演奏が止まった事により、戦えないレオンやクリスらだけでなく、シンやオイゲン、そしてバルトロメオらも身体の制御を考えずとも自由に動けるようになり、一気に形勢は逆転。
最もベルンハルトに近い位置にいたブルースだが、謎の人物に拘束されたまま動けない。一旦彼を下がらせる為、バルトロメオは腕を召喚しブルースの身体を謎の人物から切り離した。
バフ効果が切れた事により、思う存分能力を振るえるようになったバルトロメオは、ブルースの身体を確保すると同時に彼と糸で繋がる謎の人物を別の召喚した腕で掴み取る。
そして謎の人物を掴んでいる手に青い炎を着火させ、脆くなった糸を更に別の腕の指を器用に使い、切断することで彼の救出に成功した。その隙にガジェットで急接近したシンが、不安定な身体になったベルンハルトに魔力を帯びた拳を打ち放つ。
すると、シンとベルンハルトを閉じ込めるようにドーム状のバリアが張られる。これはオイゲンがシンとベルンハルトを、一対一の状況にする為のステージを作り上げたのだ。
突如覆われたバリアの中でも、シンはまずはベルンハルトに一撃を入れてからだと判断し、考えるよりも先に攻撃を優先する。演奏を止められたベルンハルトは、当然閉じ込められたその範囲から脱出を試みようとするも、彼らを覆うドーム状のバリアは床も透過出来ないように塞いでいたようだ。
0
お気に入りに追加
305
あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

俺だけ皆の能力が見えているのか!?特別な魔法の眼を持つ俺は、その力で魔法もスキルも効率よく覚えていき、周りよりもどんどん強くなる!!
クマクマG
ファンタジー
勝手に才能無しの烙印を押されたシェイド・シュヴァイスであったが、落ち込むのも束の間、彼はあることに気が付いた。『俺が見えているのって、人の能力なのか?』
自分の特別な能力に気が付いたシェイドは、どうやれば魔法を覚えやすいのか、どんな練習をすればスキルを覚えやすいのか、彼だけには魔法とスキルの経験値が見えていた。そのため、彼は効率よく魔法もスキルも覚えていき、どんどん周りよりも強くなっていく。
最初は才能無しということで見下されていたシェイドは、そういう奴らを実力で黙らせていく。魔法が大好きなシェイドは魔法を極めんとするも、様々な困難が彼に立ちはだかる。時には挫け、時には悲しみに暮れながらも周囲の助けもあり、魔法を極める道を進んで行く。これはそんなシェイド・シュヴァイスの物語である。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語


トレンダム辺境伯の結婚 妻は俺の妻じゃないようです。
白雪なこ
ファンタジー
両親の怪我により爵位を継ぎ、トレンダム辺境伯となったジークス。辺境地の男は女性に人気がないが、ルマルド侯爵家の次女シルビナは喜んで嫁入りしてくれた。だが、初夜の晩、シルビナは告げる。「生憎と、月のものが来てしまいました」と。環境に慣れ、辺境伯夫人の仕事を覚えるまで、初夜は延期らしい。だが、頑張っているのは別のことだった……。
*外部サイトにも掲載しています。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシャリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる