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糸人形
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ブルースとバルトロメオは、立ちはだかる謎の人物達と戦闘を始める。人形の身体であるブルースはともかく、今回はバルトロメオもベルンハルトの演奏の中、自身の身体能力を制御出来ていたのか、一見何の弊害もなく軽快に相手の攻撃を躱し見事な立ち振舞いを見せたのだ。
「何度もやってくれやがって・・・!漸く身体も慣れてきたぜ」
ベルンハルトの演奏する戦場の中で誰よりも身体を動かしていたバルトロメオ。彼の行動は周りに敵の情報を提供するだけでなく、彼自身が演奏による身体能力の向上の中で、どれほどの力を出せば普段通りに動けるのかという感覚を掴み始めていた。
掴み掛かろうとする謎の人物の腕を躱し、今度は小さな青白い腕がバルトロメオの最中から出現し、さながらカウンターのように重い閃光のような鋭い一撃をお見舞いする。
攻撃の一瞬だけ召喚した腕は、謎の人物への攻撃を成功させた直後に消滅する。霊体である謎の人物達に攻撃を当てる際には、魔力を帯びた攻撃でなければならない。彼はブルースに言われていた必要最低限の力というものを、身につけ始めていた。
バルトロメオの攻撃を受けた謎の人物は、その場で床に倒れ塵へと変わり消えていった。そして彼と同時に攻め込んだ、少し様子のおかしいブルースもまた、謎の人物の攻撃を躱し隙を作ると、何故か彼はバルトロメオと同じ青白い魔力を纏った腕で、素早い連撃を入れる。
その様子をバルトロメオは、何故か目を離さずしっかりと見届けていた。前戦を押し上げた二人の元に、今度は袖の中から数本の糸を垂らした謎の人物がそれぞれ襲い掛かる。
「ハン!またその糸かぁ!?もう見飽きたぜ!」
謎の人物は鞭のように糸を振るい、細かな時間差で生まれる糸の攻撃により次の攻撃までの隙を埋めていた。触れてはならぬ物という認識がバルトロメオの中に植え付けられているのか、振るわれた糸を一瞬警戒して立ち止まる。
攻撃に合わせて腕の周りを飛び回る糸に、行動と攻撃のタイミングを図っていると、今度は謎の人物の方から新たな試みによる攻撃を仕掛けて来た。バルトロメオへ掴み掛かる腕とは反対の腕から垂れる糸を床に下ろした謎の人物。
しかしよく見ると、糸は床に垂れているのではなく、床を貫通してその下に真っ直ぐ降りていたのだ。
「ッ!?」
何かを察したバルトロメオは、迫る何かの気配に合わせて僅かな間、全身を覆うように青白い炎を見にまとう。すると何かが彼の背後で燃え始めた。視線を向けると、いつの間にか床からまるで触手のように伸びた糸が、彼の纏う炎に焼かれ導火線のように炎を移動させていた。
「野郎・・・床からもッ!?」
トリッキーな攻撃を仕掛けてきた謎の人物に冷や汗をかいたバルトロメオは、すぐに他の謎の人物も同じ芸当ができる筈だと思い、ブルースの方は無事かと視線を向ける。
彼の危惧していた通り、ブルースと対峙していた謎の人物も、袖から垂らした糸を床を経由し、背後や側面から出現させ猛攻を仕掛けていた。
「・・・・・」
先程までとは様子の違うブルースは、敵の攻撃を避けるのに精一杯になっており、死角から狙いを定めている糸に気がついていない様子だった。
そこへ助け舟を出したのは、ツバキから譲り受けたガジェットを装着したシンだった。力を制御しながら走り出したシンは、足に込められた床を蹴り上げる力を、ベルンハルトの演奏による効果ではなく、ガジェットの効果で身体能力を向上させて敵陣へと飛び込んでいく。
「おっとと・・・!」
演奏による効果の時とはまた違った能力の向上に戸惑いつつも、その制御自体は勝手に付与されるバフ効果よりも、自身の脳内で想像する移動速度と力の制御が容易だったらしく、初めは少しバランスを崩し気味だったものの、すぐに感覚を掴み始めた。
「よし!次は攻撃だな?」
手足の動きを確かめるように、ベルンハルトを守る謎の人物に急接近したシンは、迎え撃とうとする敵の攻撃を躱そうと身を屈める。そこで腕に装着したガジェットを確認していたシンは、ツバキの説明にあった通りに魔石から魔力を引き出すと、自身の腕に魔力の膜が張るような現象を確認する。
「これが魔力を纏うってことだな?」
そして謎の人物の攻撃を躱したシンが、魔力を纏った拳で目の前の敵の腹部に攻撃すると、その身体から糸のようなものが飛び出してくるのが、シンの視界に一瞬だけ映る。
慌てて飛び退いたシンだったが、謎の人物から伸びた糸は既にシンの腕に絡み付いていたのだ。見間違いではなかった。シンは咄嗟に自身の能力で影を糸の付着した腕に集中させる。
ビリビリと痺れるような感覚が腕に走ったような気がした直後、命の危機に直面したからか、ガジェットによる身体能力向上の効果なのか、糸に伝わる振動が目に見えたシンは、腕に集めた自身の影と謎の人物と接近した際に繋げた影を結び付ける。
その瞬間、まるで強い力で腕を握り締められたような痛みと共に、影で繋いだ謎の人物の身体が破裂したバルトロメオの召喚した腕と同じように爆発したのだ。
ちょうどその時、シンはブルースが謎の人物の糸に狙われている場面を目にし、咄嗟に彼の影と彼と対峙する謎の人物の影を繋げ、先程の自分の見に起きた現象と同じ仕掛けをブルースに施したのだった。
シンの能力により振動を身体に流し込まれた謎の人物の破裂に、一瞬視線を奪われるバルトロメオ。すぐにブルースの危機に目を移すと、彼を狙う床からの糸を何とかしようと、強引に腕を召喚して床からを顔を覗かせる糸を、草を鷲掴みにするように根本から掴み取ると、青白い炎で糸を焼き切った。
主人を危機から救ったのも束の間、仕掛けていた糸を焼き切られた事に気が付いた謎の人物は、自身の身体の大半を糸に変え、無数の糸でブルースを覆うように絡め取ろうとした。
ベルンハルトの演奏を守ろうとしている謎の人物達の身体は、一行を襲っていた糸で出来ていたのだ。糸を幾重にも巻き付けて作った人形のように、これまでの謎の人物達とは異なる特別製の使い魔だった。
「何度もやってくれやがって・・・!漸く身体も慣れてきたぜ」
ベルンハルトの演奏する戦場の中で誰よりも身体を動かしていたバルトロメオ。彼の行動は周りに敵の情報を提供するだけでなく、彼自身が演奏による身体能力の向上の中で、どれほどの力を出せば普段通りに動けるのかという感覚を掴み始めていた。
掴み掛かろうとする謎の人物の腕を躱し、今度は小さな青白い腕がバルトロメオの最中から出現し、さながらカウンターのように重い閃光のような鋭い一撃をお見舞いする。
攻撃の一瞬だけ召喚した腕は、謎の人物への攻撃を成功させた直後に消滅する。霊体である謎の人物達に攻撃を当てる際には、魔力を帯びた攻撃でなければならない。彼はブルースに言われていた必要最低限の力というものを、身につけ始めていた。
バルトロメオの攻撃を受けた謎の人物は、その場で床に倒れ塵へと変わり消えていった。そして彼と同時に攻め込んだ、少し様子のおかしいブルースもまた、謎の人物の攻撃を躱し隙を作ると、何故か彼はバルトロメオと同じ青白い魔力を纏った腕で、素早い連撃を入れる。
その様子をバルトロメオは、何故か目を離さずしっかりと見届けていた。前戦を押し上げた二人の元に、今度は袖の中から数本の糸を垂らした謎の人物がそれぞれ襲い掛かる。
「ハン!またその糸かぁ!?もう見飽きたぜ!」
謎の人物は鞭のように糸を振るい、細かな時間差で生まれる糸の攻撃により次の攻撃までの隙を埋めていた。触れてはならぬ物という認識がバルトロメオの中に植え付けられているのか、振るわれた糸を一瞬警戒して立ち止まる。
攻撃に合わせて腕の周りを飛び回る糸に、行動と攻撃のタイミングを図っていると、今度は謎の人物の方から新たな試みによる攻撃を仕掛けて来た。バルトロメオへ掴み掛かる腕とは反対の腕から垂れる糸を床に下ろした謎の人物。
しかしよく見ると、糸は床に垂れているのではなく、床を貫通してその下に真っ直ぐ降りていたのだ。
「ッ!?」
何かを察したバルトロメオは、迫る何かの気配に合わせて僅かな間、全身を覆うように青白い炎を見にまとう。すると何かが彼の背後で燃え始めた。視線を向けると、いつの間にか床からまるで触手のように伸びた糸が、彼の纏う炎に焼かれ導火線のように炎を移動させていた。
「野郎・・・床からもッ!?」
トリッキーな攻撃を仕掛けてきた謎の人物に冷や汗をかいたバルトロメオは、すぐに他の謎の人物も同じ芸当ができる筈だと思い、ブルースの方は無事かと視線を向ける。
彼の危惧していた通り、ブルースと対峙していた謎の人物も、袖から垂らした糸を床を経由し、背後や側面から出現させ猛攻を仕掛けていた。
「・・・・・」
先程までとは様子の違うブルースは、敵の攻撃を避けるのに精一杯になっており、死角から狙いを定めている糸に気がついていない様子だった。
そこへ助け舟を出したのは、ツバキから譲り受けたガジェットを装着したシンだった。力を制御しながら走り出したシンは、足に込められた床を蹴り上げる力を、ベルンハルトの演奏による効果ではなく、ガジェットの効果で身体能力を向上させて敵陣へと飛び込んでいく。
「おっとと・・・!」
演奏による効果の時とはまた違った能力の向上に戸惑いつつも、その制御自体は勝手に付与されるバフ効果よりも、自身の脳内で想像する移動速度と力の制御が容易だったらしく、初めは少しバランスを崩し気味だったものの、すぐに感覚を掴み始めた。
「よし!次は攻撃だな?」
手足の動きを確かめるように、ベルンハルトを守る謎の人物に急接近したシンは、迎え撃とうとする敵の攻撃を躱そうと身を屈める。そこで腕に装着したガジェットを確認していたシンは、ツバキの説明にあった通りに魔石から魔力を引き出すと、自身の腕に魔力の膜が張るような現象を確認する。
「これが魔力を纏うってことだな?」
そして謎の人物の攻撃を躱したシンが、魔力を纏った拳で目の前の敵の腹部に攻撃すると、その身体から糸のようなものが飛び出してくるのが、シンの視界に一瞬だけ映る。
慌てて飛び退いたシンだったが、謎の人物から伸びた糸は既にシンの腕に絡み付いていたのだ。見間違いではなかった。シンは咄嗟に自身の能力で影を糸の付着した腕に集中させる。
ビリビリと痺れるような感覚が腕に走ったような気がした直後、命の危機に直面したからか、ガジェットによる身体能力向上の効果なのか、糸に伝わる振動が目に見えたシンは、腕に集めた自身の影と謎の人物と接近した際に繋げた影を結び付ける。
その瞬間、まるで強い力で腕を握り締められたような痛みと共に、影で繋いだ謎の人物の身体が破裂したバルトロメオの召喚した腕と同じように爆発したのだ。
ちょうどその時、シンはブルースが謎の人物の糸に狙われている場面を目にし、咄嗟に彼の影と彼と対峙する謎の人物の影を繋げ、先程の自分の見に起きた現象と同じ仕掛けをブルースに施したのだった。
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