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打開策の模索
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僅かに視界の端に映ったクリスもまた、糸に繋がれたままその場に立ち尽くしている。これから自身と同じ道を辿るのだと思うと、傷心中の彼にこの衝撃を耐えられるのだろうか。
そんな事を考えながら、プラチドは安置所の中で意識を失ってしまった。彼が最後に目にしていたタブレットの映像には、司令室でも同じ糸による襲撃を受けている場面が流されていた。
司令室にいる教団の護衛やツバキ、そして隊長でもあるオイゲンまでもが突如として出現した糸に繋がれ、何とかして振り解こうともがいている状況だったようだ。
既に数人の護衛達が糸に伝わる衝撃を受け倒れている。仲間達が不可解な攻撃で苦しみ倒れる様子を前にパニックを起こす者や、様々な方法で糸の切断を試みようとする者など、戦績などに関係なく反応は様々だった。
「おいおいおいッ!何だよこれ!?どうなってんだこりゃぁ!?」
ツバキも周りで倒れていく者達の最中で、パニックになりながらも機械による切断を試みたり、ガジェットを駆使して魔力を使った切断など、持ちうる知識と技法を試すも糸を身体から取り除くには至らなかった。
「襲撃者達とは質が違うのか・・・。一体犯人はどうやってこれを仕込んだ?解除が不可能とでも言うのか?」
「オイゲン!どうするんだ!?このままだと壊滅するぞ!」
「だが解決法がない・・・」
「クソッ!!」
護衛の一人がオイゲンと解決法について模索していたが、あらゆる手を尽くしても難曲を乗り切ることができない状況に、苛立った護衛の一人が力一杯机に拳を叩きつける。
それがたまたま机の丁度脆い部分に当たり、大きな音と共に机は壊れてしまった。一見何ともない一場面に過ぎなかったがこの時の彼らには、それが攻略の糸口になるとは想像もつかなかっただろう。
司令室に響き渡る音に、一行の身体に繋がれた糸はまるでその音源から離れるように僅かに動いたのだ。だが糸自体は常にピンと張っている訳ではなかった為、その僅かな変化に気づける者などいる筈もなかった。
打つ手のなくなったオイゲンは、何も出来ずにただ相手の攻撃を待つだけの状況に対して歯痒い思いをしていた隊員に、無謀と分かっていながらもとある提案をする。
「逃げたいなら逃げても構わない。こんな状況だ、誰も責めたりはしない・・・」
「馬鹿を言うな!そんな事、冗談でもお前が言うんじゃない。俺達は教団を守る盾だ。逃走など許されんッ・・・」
「そうだな・・・その通りだ。だからこそお前に一つ頼みたい事がある」
「頼みたい事?今更何か打開策でもあるのか?」
そう言うとオイゲンはその隊員にタブレットを一つ手渡し、出来るだけ宮殿から離れるようにと指令を出した。当然隊員は仲間を置いてはいけないと反論するが、オイゲンも何も考え無しに逃げるように促している訳ではなかったのだ。
「どう言う事だ?それで一体何をしようとしているんだ?」
「それが分かるのは、お前の頑張り次第だ。なに単純な事さ。この“糸“がどこまで我々を繋ぎ止めるのか、それを確かめて来てほしい」
「なるほど。攻撃範囲を確かめると言う事だな?」
「あぁ。部屋を出て行ってしまった者達もいるが、彼らが戻って来れるとは到底思えない。そこで司令室と映像データを共有できるこのタブレットを持って、記録をとって来てほしい」
部屋を出て行った者達がどうなったのかは分からない。それは戻ってきた者がいないからだろう。何か分かったことがあるのなら、その時点で情報を共有するよう、護衛や警備隊には言い聞かせていた。
パニック状態にあるとはいえ、生存の可能性を見つけたのなら仲間にそれを教え、生存者を可能な限り増やしたいと思うのが普通だろう。危険な状態で自分自身が生き残れると分かったところで、一人だけで残されても不安を抱えてしまうのが人間というもの。
「分かった、そう言うことなら・・・」
「しかしこれはとても危険なコトでもある。この糸の攻撃がどこまで有効かも分からない上に、スキルによっては範囲内から出ようとすることで発動する者も存在する。要するに、元凶から一定以上離れると強制的に攻撃が行われ、最悪の場合その時点で命を落とすこともあるだろう・・・。それでもやってくれるか?」
「オイゲン、お前はここでみんなを導いてくれ。どうせ俺がやらなければ、お前か別の誰かがやることになるんだろ?・・・だったらその役目、俺が引き受けてやる」
「すまない・・・」
オイゲンが取り出したタブレットを取り上げ、隊員はいつ攻撃が行われるか分からない中、司令室を後にし宮殿からシン達のいるアルバの街を目指して走り出して行った。
彼が司令室を後にしてすぐ、オイゲンは彼に渡したタブレットに接続し、カメラの映像へと切り替える。現状、司令室から離れてもすぐには攻撃が来ていないことから、糸による攻撃範囲はそれなりにあるようだ。
だが、そんな彼らの希望を打ち砕くように、その順番はついにオイゲンの元へとやって来る。彼の身体と壁を繋いでいた糸が、何の前触れもなくピンと張ると、振動が糸を伝いオイゲンの体内へと侵入する。
「ぐッ・・・!?もう来てしまったか・・・」
「オイゲンッ!!」
「オイゲンさんッ!!」
机に並べられた物を払い除けながら、もたれかかるようにして倒れるオイゲン。足に力が入らなくなってしまったようで、何とか腕の力だけで身体を起こそうとするも、それもすぐに限界を迎える。
床に倒れたオイゲンの元に、まだ攻撃の順番を迎えていない者達が集まってくる。その者達に、先程街へ向かった隊員のカメラの映像を確認するよう伝えるオイゲン。
いずれそこに、この難曲を打開する為の手掛かりが映し出されると信じながら、オイゲンもまた真っ暗な視界に飲み込まれ、意識を失っていく。
そんな事を考えながら、プラチドは安置所の中で意識を失ってしまった。彼が最後に目にしていたタブレットの映像には、司令室でも同じ糸による襲撃を受けている場面が流されていた。
司令室にいる教団の護衛やツバキ、そして隊長でもあるオイゲンまでもが突如として出現した糸に繋がれ、何とかして振り解こうともがいている状況だったようだ。
既に数人の護衛達が糸に伝わる衝撃を受け倒れている。仲間達が不可解な攻撃で苦しみ倒れる様子を前にパニックを起こす者や、様々な方法で糸の切断を試みようとする者など、戦績などに関係なく反応は様々だった。
「おいおいおいッ!何だよこれ!?どうなってんだこりゃぁ!?」
ツバキも周りで倒れていく者達の最中で、パニックになりながらも機械による切断を試みたり、ガジェットを駆使して魔力を使った切断など、持ちうる知識と技法を試すも糸を身体から取り除くには至らなかった。
「襲撃者達とは質が違うのか・・・。一体犯人はどうやってこれを仕込んだ?解除が不可能とでも言うのか?」
「オイゲン!どうするんだ!?このままだと壊滅するぞ!」
「だが解決法がない・・・」
「クソッ!!」
護衛の一人がオイゲンと解決法について模索していたが、あらゆる手を尽くしても難曲を乗り切ることができない状況に、苛立った護衛の一人が力一杯机に拳を叩きつける。
それがたまたま机の丁度脆い部分に当たり、大きな音と共に机は壊れてしまった。一見何ともない一場面に過ぎなかったがこの時の彼らには、それが攻略の糸口になるとは想像もつかなかっただろう。
司令室に響き渡る音に、一行の身体に繋がれた糸はまるでその音源から離れるように僅かに動いたのだ。だが糸自体は常にピンと張っている訳ではなかった為、その僅かな変化に気づける者などいる筈もなかった。
打つ手のなくなったオイゲンは、何も出来ずにただ相手の攻撃を待つだけの状況に対して歯痒い思いをしていた隊員に、無謀と分かっていながらもとある提案をする。
「逃げたいなら逃げても構わない。こんな状況だ、誰も責めたりはしない・・・」
「馬鹿を言うな!そんな事、冗談でもお前が言うんじゃない。俺達は教団を守る盾だ。逃走など許されんッ・・・」
「そうだな・・・その通りだ。だからこそお前に一つ頼みたい事がある」
「頼みたい事?今更何か打開策でもあるのか?」
そう言うとオイゲンはその隊員にタブレットを一つ手渡し、出来るだけ宮殿から離れるようにと指令を出した。当然隊員は仲間を置いてはいけないと反論するが、オイゲンも何も考え無しに逃げるように促している訳ではなかったのだ。
「どう言う事だ?それで一体何をしようとしているんだ?」
「それが分かるのは、お前の頑張り次第だ。なに単純な事さ。この“糸“がどこまで我々を繋ぎ止めるのか、それを確かめて来てほしい」
「なるほど。攻撃範囲を確かめると言う事だな?」
「あぁ。部屋を出て行ってしまった者達もいるが、彼らが戻って来れるとは到底思えない。そこで司令室と映像データを共有できるこのタブレットを持って、記録をとって来てほしい」
部屋を出て行った者達がどうなったのかは分からない。それは戻ってきた者がいないからだろう。何か分かったことがあるのなら、その時点で情報を共有するよう、護衛や警備隊には言い聞かせていた。
パニック状態にあるとはいえ、生存の可能性を見つけたのなら仲間にそれを教え、生存者を可能な限り増やしたいと思うのが普通だろう。危険な状態で自分自身が生き残れると分かったところで、一人だけで残されても不安を抱えてしまうのが人間というもの。
「分かった、そう言うことなら・・・」
「しかしこれはとても危険なコトでもある。この糸の攻撃がどこまで有効かも分からない上に、スキルによっては範囲内から出ようとすることで発動する者も存在する。要するに、元凶から一定以上離れると強制的に攻撃が行われ、最悪の場合その時点で命を落とすこともあるだろう・・・。それでもやってくれるか?」
「オイゲン、お前はここでみんなを導いてくれ。どうせ俺がやらなければ、お前か別の誰かがやることになるんだろ?・・・だったらその役目、俺が引き受けてやる」
「すまない・・・」
オイゲンが取り出したタブレットを取り上げ、隊員はいつ攻撃が行われるか分からない中、司令室を後にし宮殿からシン達のいるアルバの街を目指して走り出して行った。
彼が司令室を後にしてすぐ、オイゲンは彼に渡したタブレットに接続し、カメラの映像へと切り替える。現状、司令室から離れてもすぐには攻撃が来ていないことから、糸による攻撃範囲はそれなりにあるようだ。
だが、そんな彼らの希望を打ち砕くように、その順番はついにオイゲンの元へとやって来る。彼の身体と壁を繋いでいた糸が、何の前触れもなくピンと張ると、振動が糸を伝いオイゲンの体内へと侵入する。
「ぐッ・・・!?もう来てしまったか・・・」
「オイゲンッ!!」
「オイゲンさんッ!!」
机に並べられた物を払い除けながら、もたれかかるようにして倒れるオイゲン。足に力が入らなくなってしまったようで、何とか腕の力だけで身体を起こそうとするも、それもすぐに限界を迎える。
床に倒れたオイゲンの元に、まだ攻撃の順番を迎えていない者達が集まってくる。その者達に、先程街へ向かった隊員のカメラの映像を確認するよう伝えるオイゲン。
いずれそこに、この難曲を打開する為の手掛かりが映し出されると信じながら、オイゲンもまた真っ暗な視界に飲み込まれ、意識を失っていく。
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