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偉大な音楽家に匹敵する
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アルバの街に出たブルース一行もまた、その異様な光景と雰囲気に言葉を失っていた。あれだけ賑わっていた街の様子が一変し、人影が一人も見当たらず代わりに別のものが彷徨っている。
聞こえてくる音楽はより鮮明に彼らの元へと届いていた。不気味な景観に似つかわしくない心地の良い音楽が、より一層の不安感を煽っていた。
「何じゃぁこりゃ・・・?街の奴らはどうしたよ?」
「知らん。だが、どうやら異変があったのは宮殿だけではなかったらしいな・・・。一先ず宿で待機させてる連中と合流するぞ」
一行は街の東を目指して歩き始める。シンとニノンの時とは違い、彼らは隠れる事もせずそのまま堂々と道を進んだ。当然、街を徘徊する謎の人物に発見されるも、バルトロメオのスキルでこれを諸共せずまるで我が物顔で邪魔者を退けていく。
彼らが向かった東には、アルバのもう一つの教会である二クラス教会があり、聞こえていた音楽もそれに近づくにつれより鮮明に聞こえていた。有名な音楽家であるブルースですら聞き惚れるその演奏に興味を持ったのか、ゾルターンに支えられていたブルースは彼の肩を叩き、教会の方を指差した。
「ん?どうした大将。・・・え?教会?おいおい、こんな時にも音楽かぁ?まぁアンタがそう言うのであれば、俺達はそれに従うまでだ」
「どうしたんだよ、ゾルターン。独り言かぁ?」
「馬鹿言え。大将が寄りたいところがあるんだとよ」
「こんな時にかぁ?」
「ほら、言わんこっちゃねぇ・・・。だが俺も奇妙には思ってたんだ。なんで街がこんな状況に陥ってんのに、呑気に演奏なんかしてんかってな」
二人はブルースの指示で進路を変え、少し離れたところに見える二クラス教会を目指し始めた。教会に近づく事によって、不思議と一行の足取りは軽くなっていく。
しかし、そんな変化が起きていたのはバルトロメオとゾルターンの二人だけだったのだ。一番身体に負担を抱えていたブルースにはそういった変化は一切なく、二人の会話に違和感を感じていた。
そして問題の二クラス教会の前にやって来ると、これまでよりも厳重に守られているかのよう、謎の人物が多く徘徊していた。
「・・・本当に行くのかよぉ大将」
「お前の力が無かったら寄れなかったところだってよ?」
「へへ!まぁ確かにゾルターンじゃぁ無理だろうなぁ。よっしゃ!一丁片付けてきてやるかッ!」
気前を良くしたバルトロメオは、颯爽と道を阻む謎の人物達の元へ向かい、次々にこれを撃退していく。
「・・・単純な奴・・・。大将、教会に着いたら一旦アンタを自力で動けるように“直す“ぜ。つぅか、大将は身体が軽くなったりしてないのか?」
ブルーズはゾルターンの質問に小さく首を横に振る。この時ゾルターンはいつも以上に絶好調だった。同じく煽てられて絶好調になっていたバルトロメオが教会までの道を切り開くと、ゾルターンはブルースを連れ入口の方へと向かう。
シン達の時とは違い、真正面から堂々とまるで神に祈りを捧げにきた参拝者のように扉に手をかけるゾルターン。するとそこで、彼も聞こえてきていた音楽に思うところがあったのか、扉を開く前にブルースに一つだけ質問をした。
「なぁ、大将・・・。こんなことを言ったらアンタは気を悪くするかもしれないが、俺もまがいなりにもアンタの護衛になってから色んな音楽に触れてきたが、この演奏・・・」
思わず言葉に詰まるゾルターンに、ブルースは気を遣って自らその先の言葉を口にした。
「あぁ、この演奏技術は俺や他の有名な音楽家達にも匹敵する。それどころか、こんなにも身に染み込んでくるような演奏は聞いた事がない。それこそ嘗ての偉大な音楽家達の演奏の記録でしかな・・・」
「音楽の街アルバってのは、そんな奴が普通にいるのかよ?」
「さぁ・・・。少なくともここ最近の界隈ではそのような話は聞かなかったな。それに実際にアルバに来ても、これ程の演奏ができる者が現れたのなら自慢したくてしょうがないはずだ。なのに紹介すらされなかったと言うことは何事か・・・。実際にこの目で確かめるしかなさそうだな・・・」
扉の向こうにあるであろう真実に、いつにもなく真剣な眼差しを向けるブルースにゾルターンは固唾を飲んだ。そして彼に進められるがまま扉を開くと、やはり教会の中にも多くの謎の人物が待機していた。
「チッ・・・!やっぱりこうなるのかよ。バルトロメオはッ・・・」
救援を頼もうと背後を振り返るゾルターン。だが教会の外で戦っていたバルトロメオも、派手に教会の敷地内に侵入したことで次から次へとやって来る謎の人物に手を焼いていた。
「クソがッ・・・!しつけぇんだよッ!一体何人いやがんだぁ!?」
あの様子ではこちらに援護しに来るのは難しいだろうことは明白だった。そこでゾルターンはブルースに頼み、自らのポケットに入っている物を取り出してくれと伝える。
ブルースにはゾルターンが何をしようとしているのか分かっていた。それは彼の戦闘に必要な物で、突っ込んだポケットから取り出されたのは、粘土のように柔らかい見た目をした素材だった。
そしてポケットから取り出したその素材をブルースが床に放ると、その素材が形を変えて大きく膨らんでいくと、丁度彼らと同じくらいの人間の形を形成し、手に魔法を宿して謎の人物達と戦い始めたのだ。
「取り敢えずの時間稼ぎにはなる。ブルース、アンタには悪が少し大人しくしててくれ」
「あぁ、済まないなゾルターン・・・」
ゾルターンのポケットから取り出した粘土の人形が戦っている間に、ブルースを近くの椅子に座らせると、ゾルターンは上着の内側から同じ粘土を両手いっぱいに取り出し、教会の床にばら撒いた。
「行けッ!土人形ソイル・ドールッ!」
彼が撒き散らした粘土は次々に先程の人形と同じ人間の形へと変わると、謎の人物達を相手取り戦い始めた。その隙に本人であるゾルターンはブルースの治療を進めた。
聞こえてくる音楽はより鮮明に彼らの元へと届いていた。不気味な景観に似つかわしくない心地の良い音楽が、より一層の不安感を煽っていた。
「何じゃぁこりゃ・・・?街の奴らはどうしたよ?」
「知らん。だが、どうやら異変があったのは宮殿だけではなかったらしいな・・・。一先ず宿で待機させてる連中と合流するぞ」
一行は街の東を目指して歩き始める。シンとニノンの時とは違い、彼らは隠れる事もせずそのまま堂々と道を進んだ。当然、街を徘徊する謎の人物に発見されるも、バルトロメオのスキルでこれを諸共せずまるで我が物顔で邪魔者を退けていく。
彼らが向かった東には、アルバのもう一つの教会である二クラス教会があり、聞こえていた音楽もそれに近づくにつれより鮮明に聞こえていた。有名な音楽家であるブルースですら聞き惚れるその演奏に興味を持ったのか、ゾルターンに支えられていたブルースは彼の肩を叩き、教会の方を指差した。
「ん?どうした大将。・・・え?教会?おいおい、こんな時にも音楽かぁ?まぁアンタがそう言うのであれば、俺達はそれに従うまでだ」
「どうしたんだよ、ゾルターン。独り言かぁ?」
「馬鹿言え。大将が寄りたいところがあるんだとよ」
「こんな時にかぁ?」
「ほら、言わんこっちゃねぇ・・・。だが俺も奇妙には思ってたんだ。なんで街がこんな状況に陥ってんのに、呑気に演奏なんかしてんかってな」
二人はブルースの指示で進路を変え、少し離れたところに見える二クラス教会を目指し始めた。教会に近づく事によって、不思議と一行の足取りは軽くなっていく。
しかし、そんな変化が起きていたのはバルトロメオとゾルターンの二人だけだったのだ。一番身体に負担を抱えていたブルースにはそういった変化は一切なく、二人の会話に違和感を感じていた。
そして問題の二クラス教会の前にやって来ると、これまでよりも厳重に守られているかのよう、謎の人物が多く徘徊していた。
「・・・本当に行くのかよぉ大将」
「お前の力が無かったら寄れなかったところだってよ?」
「へへ!まぁ確かにゾルターンじゃぁ無理だろうなぁ。よっしゃ!一丁片付けてきてやるかッ!」
気前を良くしたバルトロメオは、颯爽と道を阻む謎の人物達の元へ向かい、次々にこれを撃退していく。
「・・・単純な奴・・・。大将、教会に着いたら一旦アンタを自力で動けるように“直す“ぜ。つぅか、大将は身体が軽くなったりしてないのか?」
ブルーズはゾルターンの質問に小さく首を横に振る。この時ゾルターンはいつも以上に絶好調だった。同じく煽てられて絶好調になっていたバルトロメオが教会までの道を切り開くと、ゾルターンはブルースを連れ入口の方へと向かう。
シン達の時とは違い、真正面から堂々とまるで神に祈りを捧げにきた参拝者のように扉に手をかけるゾルターン。するとそこで、彼も聞こえてきていた音楽に思うところがあったのか、扉を開く前にブルースに一つだけ質問をした。
「なぁ、大将・・・。こんなことを言ったらアンタは気を悪くするかもしれないが、俺もまがいなりにもアンタの護衛になってから色んな音楽に触れてきたが、この演奏・・・」
思わず言葉に詰まるゾルターンに、ブルースは気を遣って自らその先の言葉を口にした。
「あぁ、この演奏技術は俺や他の有名な音楽家達にも匹敵する。それどころか、こんなにも身に染み込んでくるような演奏は聞いた事がない。それこそ嘗ての偉大な音楽家達の演奏の記録でしかな・・・」
「音楽の街アルバってのは、そんな奴が普通にいるのかよ?」
「さぁ・・・。少なくともここ最近の界隈ではそのような話は聞かなかったな。それに実際にアルバに来ても、これ程の演奏ができる者が現れたのなら自慢したくてしょうがないはずだ。なのに紹介すらされなかったと言うことは何事か・・・。実際にこの目で確かめるしかなさそうだな・・・」
扉の向こうにあるであろう真実に、いつにもなく真剣な眼差しを向けるブルースにゾルターンは固唾を飲んだ。そして彼に進められるがまま扉を開くと、やはり教会の中にも多くの謎の人物が待機していた。
「チッ・・・!やっぱりこうなるのかよ。バルトロメオはッ・・・」
救援を頼もうと背後を振り返るゾルターン。だが教会の外で戦っていたバルトロメオも、派手に教会の敷地内に侵入したことで次から次へとやって来る謎の人物に手を焼いていた。
「クソがッ・・・!しつけぇんだよッ!一体何人いやがんだぁ!?」
あの様子ではこちらに援護しに来るのは難しいだろうことは明白だった。そこでゾルターンはブルースに頼み、自らのポケットに入っている物を取り出してくれと伝える。
ブルースにはゾルターンが何をしようとしているのか分かっていた。それは彼の戦闘に必要な物で、突っ込んだポケットから取り出されたのは、粘土のように柔らかい見た目をした素材だった。
そしてポケットから取り出したその素材をブルースが床に放ると、その素材が形を変えて大きく膨らんでいくと、丁度彼らと同じくらいの人間の形を形成し、手に魔法を宿して謎の人物達と戦い始めたのだ。
「取り敢えずの時間稼ぎにはなる。ブルース、アンタには悪が少し大人しくしててくれ」
「あぁ、済まないなゾルターン・・・」
ゾルターンのポケットから取り出した粘土の人形が戦っている間に、ブルースを近くの椅子に座らせると、ゾルターンは上着の内側から同じ粘土を両手いっぱいに取り出し、教会の床にばら撒いた。
「行けッ!土人形ソイル・ドールッ!」
彼が撒き散らした粘土は次々に先程の人形と同じ人間の形へと変わると、謎の人物達を相手取り戦い始めた。その隙に本人であるゾルターンはブルースの治療を進めた。
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