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適任者と敵対者の対策
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名前を挙げられたシンも、ニノンについていくのなら自分だろうとは考えていた。他の仲間に事情を説明したところで、情報を持ち帰るという任務を安全に実行できそうな人物はシンしかいない。
何よりもシンは、仲間を危険な目に合わせたくないという思いの方が強く、危険と分かっているのなら尚更自分が行かなければという使命感のようなものもあった。
「分かった。俺が一緒に街へ向かう。ミア達にはケヴィンから伝えておいてくれ」
「それは勿論。でも意外ですね・・・。私はてっきりもっと渋るものだと思っていましたが」
「こんな時にそんな事言ってる場合じゃないだろ」
ケヴィンの指摘に少し動揺を見せるシン。口の回りが悪くなったことや顔が少し赤らんだところから、ケヴィンはシンの胸の内を悟ると、実に誘導しやすい素直な性格をしていると、僅かに口角を上げる。
何かしらを企んでいるのもそうだろうが、純粋に仲間思いであるシンと親しくなれたことに、ケヴィンは運命を感じると同時に彼に対し敬意を払っていた。
故に彼らを利用するのではなく、彼らにとっても最善の選択をするように努めることを心に誓った。
「宮殿の方は我々にお任せください。それに他の要人達の護衛方もいらっしゃいます。戦力的には申し分ない、いやこれ以上ない程頼れる方々が集中しておりますので、こちらの心配は入りませんよ」
「それについては私からも補償しておこう。先程は不甲斐ない報告こそあったが、オイゲンを始め彼の周りの者達は粒揃いだ。それこそ、こと戦闘における防衛に関しては教団随一の部隊だ」
キングのシー・ギャング然り、このWoFの世界に大きな組織を形成する者達との関係は優良であることに越したことはないというのは、こういった事態の時にも頼れるものとなるからだ。
自分が行動を起こして救えた命、救えなかった命があったのならまだ後悔や悔いることも出来るだろう。だが、自分の手の届かぬところで大事な命が奪われてしまうと言うことは、自身では抱えきれない憎しみや憎悪を生み出すことにも繋がる。
そして当然、それらの負の感情は自分ではない他者に向けられ、人の道を逸脱した外道へと落ちていくことになりかねないのだから。
「二人のお墨付きがあるなら心配なさそうだな。して、街の様子を見てくるとは具体的に何をするんだ?」
「大まかには街で何が起きているのか、だな。これだけ宮殿が騒ぎになっているのに、宮殿の外から誰も救援に来ていないのもおかしい。まず間違いなく街でも何か異変が起こっていると見て間違いないだろう」
「加えて私からもお願いが。機器の妨害をしている原因を突き止めていただきたいのです。勿論街の様子を見るついでで構いませんが、それを解除できれば犯人にも何かしらの動きがあるはずです」
「それで犯人を炙り出すってわけか?」
突発的な反抗ではなく、以前から計画的に練られていたであろう計画的犯行。そして数名の犠牲者を出した今、現場となっている宮殿ではターゲットが誰なのか分からないほどの無差別な攻撃が行われている。
街に出ようとすれな謎の人物達に襲われ、カメラのような精密機械も妨害を受け街へは出られない。となれば、犯人は既に宮殿内にはおらず、街中に逃げ込んでいる可能性が高い。
ケヴィンは、街へ出向けばもしかしたら今回の事件の犯人と出会す可能性も十分にあると二人に話す。街がどのような様子になっているかは分からないが、少なくとも宮殿内はパニックに近い状態に陥っている。
緻密に練り込まれた計画が思い通りに進んでいる時ほど、犯人には油断というものが生まれるはず。その僅かな違和感を見逃さないように、街の人物達に注目してくれとケヴィンはシン達に言い渡す。
「真偽を見抜くのは得意分野だ。私に任せてくれ。時間が惜しい、すぐにでも出発したいが、シンとやらの準備はどうだ?」
「大丈夫だ、いつでも行ける」
「よし!それでは探偵はオイゲンに協力してやってくれ。シンは私のアシストを頼む」
「了解です」
「分かった!」
シンとニノンはその後すぐに部屋を飛び出すと、廊下で依然として繰り広げられる宮殿側の人間達と謎の人物達の戦場を切り抜け一階へ向かう。より建物の構造に詳しいニノンを戦闘に最善のルートを進む中、シンは戦闘の様子を観察していた。
これから敵対するであろう者達の情報を少しでも拾っておこうとしていたのだ。しかし、そんな戦場を駆け抜ける中で、シンは一つ疑問に思うところがあった。
これ程様々な場所で様々な手段を用いた戦闘が繰り広げられているにも関わらず、敵味方双方に大きな外傷や血の跡が見当たらなかったということだ。それは武器を構える腕、魔法を唱える者の衣服、床や壁、天井に至るまでどこにもそれらしきものの痕跡が見当たらなかったのだ。
そしてシンが見つけた戦闘中の情報の中で、これは何か裏があるのだろうと思う極め付けなものがあった。それは戦闘を行なっている双方の攻撃が、物理的に命中していなかったのだった。
「攻撃がッ・・・」
「え?何か言った?」
「いや、彼らの戦闘を見ていて気づいたんだが、どちらの攻撃も当たっていないように見える」
するとニノンは、なるほどと言った様子でシンの情報から謎の人物達の性質について分析する。彼女も戦闘に対する負傷度合いに疑問を抱いていたようだ。だが触れられないということは、そこに奴らを攻略する糸口があると語った。
何よりもシンは、仲間を危険な目に合わせたくないという思いの方が強く、危険と分かっているのなら尚更自分が行かなければという使命感のようなものもあった。
「分かった。俺が一緒に街へ向かう。ミア達にはケヴィンから伝えておいてくれ」
「それは勿論。でも意外ですね・・・。私はてっきりもっと渋るものだと思っていましたが」
「こんな時にそんな事言ってる場合じゃないだろ」
ケヴィンの指摘に少し動揺を見せるシン。口の回りが悪くなったことや顔が少し赤らんだところから、ケヴィンはシンの胸の内を悟ると、実に誘導しやすい素直な性格をしていると、僅かに口角を上げる。
何かしらを企んでいるのもそうだろうが、純粋に仲間思いであるシンと親しくなれたことに、ケヴィンは運命を感じると同時に彼に対し敬意を払っていた。
故に彼らを利用するのではなく、彼らにとっても最善の選択をするように努めることを心に誓った。
「宮殿の方は我々にお任せください。それに他の要人達の護衛方もいらっしゃいます。戦力的には申し分ない、いやこれ以上ない程頼れる方々が集中しておりますので、こちらの心配は入りませんよ」
「それについては私からも補償しておこう。先程は不甲斐ない報告こそあったが、オイゲンを始め彼の周りの者達は粒揃いだ。それこそ、こと戦闘における防衛に関しては教団随一の部隊だ」
キングのシー・ギャング然り、このWoFの世界に大きな組織を形成する者達との関係は優良であることに越したことはないというのは、こういった事態の時にも頼れるものとなるからだ。
自分が行動を起こして救えた命、救えなかった命があったのならまだ後悔や悔いることも出来るだろう。だが、自分の手の届かぬところで大事な命が奪われてしまうと言うことは、自身では抱えきれない憎しみや憎悪を生み出すことにも繋がる。
そして当然、それらの負の感情は自分ではない他者に向けられ、人の道を逸脱した外道へと落ちていくことになりかねないのだから。
「二人のお墨付きがあるなら心配なさそうだな。して、街の様子を見てくるとは具体的に何をするんだ?」
「大まかには街で何が起きているのか、だな。これだけ宮殿が騒ぎになっているのに、宮殿の外から誰も救援に来ていないのもおかしい。まず間違いなく街でも何か異変が起こっていると見て間違いないだろう」
「加えて私からもお願いが。機器の妨害をしている原因を突き止めていただきたいのです。勿論街の様子を見るついでで構いませんが、それを解除できれば犯人にも何かしらの動きがあるはずです」
「それで犯人を炙り出すってわけか?」
突発的な反抗ではなく、以前から計画的に練られていたであろう計画的犯行。そして数名の犠牲者を出した今、現場となっている宮殿ではターゲットが誰なのか分からないほどの無差別な攻撃が行われている。
街に出ようとすれな謎の人物達に襲われ、カメラのような精密機械も妨害を受け街へは出られない。となれば、犯人は既に宮殿内にはおらず、街中に逃げ込んでいる可能性が高い。
ケヴィンは、街へ出向けばもしかしたら今回の事件の犯人と出会す可能性も十分にあると二人に話す。街がどのような様子になっているかは分からないが、少なくとも宮殿内はパニックに近い状態に陥っている。
緻密に練り込まれた計画が思い通りに進んでいる時ほど、犯人には油断というものが生まれるはず。その僅かな違和感を見逃さないように、街の人物達に注目してくれとケヴィンはシン達に言い渡す。
「真偽を見抜くのは得意分野だ。私に任せてくれ。時間が惜しい、すぐにでも出発したいが、シンとやらの準備はどうだ?」
「大丈夫だ、いつでも行ける」
「よし!それでは探偵はオイゲンに協力してやってくれ。シンは私のアシストを頼む」
「了解です」
「分かった!」
シンとニノンはその後すぐに部屋を飛び出すと、廊下で依然として繰り広げられる宮殿側の人間達と謎の人物達の戦場を切り抜け一階へ向かう。より建物の構造に詳しいニノンを戦闘に最善のルートを進む中、シンは戦闘の様子を観察していた。
これから敵対するであろう者達の情報を少しでも拾っておこうとしていたのだ。しかし、そんな戦場を駆け抜ける中で、シンは一つ疑問に思うところがあった。
これ程様々な場所で様々な手段を用いた戦闘が繰り広げられているにも関わらず、敵味方双方に大きな外傷や血の跡が見当たらなかったということだ。それは武器を構える腕、魔法を唱える者の衣服、床や壁、天井に至るまでどこにもそれらしきものの痕跡が見当たらなかったのだ。
そしてシンが見つけた戦闘中の情報の中で、これは何か裏があるのだろうと思う極め付けなものがあった。それは戦闘を行なっている双方の攻撃が、物理的に命中していなかったのだった。
「攻撃がッ・・・」
「え?何か言った?」
「いや、彼らの戦闘を見ていて気づいたんだが、どちらの攻撃も当たっていないように見える」
するとニノンは、なるほどと言った様子でシンの情報から謎の人物達の性質について分析する。彼女も戦闘に対する負傷度合いに疑問を抱いていたようだ。だが触れられないということは、そこに奴らを攻略する糸口があると語った。
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