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想定外の出来事
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しかしそれも、ケヴィンが渦中の中に飛び込んでいってから数分ほど経つと、騒ぎが先程よりも落ち着き始めてきたのが感じられる。彼は一体何をしたのだろうか。
それまで響いていたバルトロメオの声が収まり、今では周りに集まった者達のざわめきだけが静かに発せられていた。すると暫くして、人混みの中から扉の開く音がする。ブルースの部屋の中から誰かが出てきたのだろうか。
扉の中から現れた者が外の者達と会話を繰り広げると、騒動は無事治ったようで警備隊も教団の護衛も徐々に元の場所へと戻っていった。人だかりの中から現れたのは、ケヴィンとバルトロメオだけだった。
二人は少し会話をした後に、バルトロメオはブルースの部屋へ戻っていき、ケヴィンもシン達の待つ部屋の方へと歩き出した。シン達がこちらを除いていたのに気が付いたのか、彼は余裕そうな表情を浮かべてこちらに手を振っていた。
「一体、何をしたんだ?」
シンが騒動を鎮圧させた方法について尋ねると、ケヴィンは何も難しいことではなかったと、軽く話の内容について触れる。どうやら彼曰く、バルトロメオの主人であるブルースと話をさせて欲しいと頼んだだけだったようだが、そもそもバルトロメオがそんな要求を素直に飲み込んだとは到底思えない。
ミアが更にその時の様子について詳しく尋ねると、ケヴィン曰くブルースにはある秘密があるようだった。ケヴィンはそれを交渉の材料に使ったのだと語る。それについては個人情報だとはぶらかされたが、どうやらそれがブルースらの弱みに繋がるものだということが推測できる。
「さぁ!そんなことよりも。先程騒動を収めたお礼として、今回の事件についての情報をいち早く届けてくれるそうですよ?今はそれを待つとしましょう!」
「随分と嬉しそうだな・・・」
「新鮮なネタですからね!それに犯人の新しい目的についても分かるやも知れません。それに“そろそろ“でしょうし、あちらもどうなっているのか気になってたところです・・・」
「?」
何やら意味深の言葉を小声で呟いたようにも聞こえたが、シンもミアもそれについて追求することはなかった。ターゲットが分かっていながら進展のない状況が続いていた中でのベルヘルムの死。
犯人が唐突に路線変更してきたのか。或いは元からこれも計算していての殺害だったのか。何にせよ、新たな被害者となった音楽家のベルヘルムの部屋の調査が進み、犯人に関する手掛かりが見つかることを祈って待つしかない。
しかし、どういう訳か先程の騒動からそれ程間を置かずして、一行の部屋に教団の護衛のリーダーであるオイゲンが、血相を変えてやって来たのだ。彼は部屋を訪れるや否や、すぐにケヴィンを呼び出した。
「ケヴィンはいるか!?」
「どうしたの?オイゲン。そんなに慌てて貴方らしくない」
「今はそれどころではないんだ!早急に確認しなければならないことがある!場合によっては・・・」
神妙な面持ちへと変わるオイゲンを見て、何か良からぬ事態が起きていることを悟ニノン。そこへ彼から呼び出しを食らったケヴィンが姿を表す。
「はいはい、オイゲンさん。そんなに慌ててどうなされました?」
「そんな呑気なことを言ってる場合かッ・・・・・。いや、場所を変えよう」
突然大きな声を出したことで、周りの注目を集めてしまったオイゲンは、ケヴィンを連れ部屋の外へと出て行ってしまった。何事だといった様子でお顔を見合わせるシン達一行。
気になるなら様子を見にいって見ようとツバキが提案するが、ニノンは二人だけで話っをさせてやって欲しいとそれを止めた。
「なんだよ、隠し事は無しってアンタらが決めた事だぜ?同じ部屋の見張りでも駄目なのかよ?」
「それについては・・・信じて欲しいとしか言えないが、決して悪事を働くような人間ではないことは、この私が保証する」
「保証って言われたってなぁ・・・。アンタらだって俺らを信用しちゃいねぇんだろ?あの二人で何か企ててたっておかしくないだろ?」
ツバキの言う通り、教団側はシン達を含め、宮殿に隔離している者達を信用してはいない。誰が犯人か分からない以上、疑心暗鬼になるのも当然のことと判断し、仲間内だけで行動することを禁じている。
しかしそれは、教団側やアルバの警備隊には些か甘い部分が見受けられる。教団を指揮するリーダーとはいえ、好き勝手に呼出できるのは公平ではないのではないか。
疑いの目を向けられるニノンは、自らとオイゲンの身の潔白を証明する手段がない代わりに、今回の件がシン達にとってマイナスの方向に運ぶようなら、自らの命を捧げるとまで言い出した。
「ちょっと待ってくれよ。アンタの命を捧げられたところで困るのは俺達那ぜ」
「そうですよ。そこまでしなくても、その気概だけで十分貴方の覚悟は伝わりましたから・・・」
ツバキとツクヨが行き過ぎた彼女の覚悟を止める中、ミアは何を思いついたのか、もし不都合が起きた場合は命に代わりとある条件を教団側に提案してくれないかと持ちかけた。
「それなら、もしオイゲンが怪しい事に首を突っ込んでたんなら、アタシらのことを教団に口利きしておいてくれよ?」
「口利き?」
「あぁ、今回の事件で世話になったとか、解決に向けて協力してくれたとか。まぁ良い噂を振り撒いておいてくれって話だ」
「そんなことで良いのなら・・・。だが何故そんな事を望む?」
「そんなに難しい話じゃないさ。今後どっかでアンタらと関わる時に、その方がお互い動きやすいだろ?って感じさ」
ニノンがミアの提案を飲んだ事により、一行はケヴィンとオイゲンの帰りを待つ事にした。当の本人達はそんなことも知らず、オイゲンの慌てる原因となった事について話をしていた。
「どう言うことだ!?ケヴィン!マティアス司祭が死んだぞ!?」
「えぇ、ですから彼は今仮死状態に・・・」
マティアス司祭が犯人に狙われていることは、これまでの犯行から推測がついていた。なので、それを逆手に取り、犯人の犯行に見せかけて先にマティアス司祭が死ぬことで、何処かに潜む犯人の動向を伺おうとしていた。
その事は事前にオイゲンにも話はつけていた。しかしどうやらオイゲンの話によると、ケヴィンの薬によって仮死状態になったはずのマティアス司祭が本当に死亡しているようなのだ。
それまで響いていたバルトロメオの声が収まり、今では周りに集まった者達のざわめきだけが静かに発せられていた。すると暫くして、人混みの中から扉の開く音がする。ブルースの部屋の中から誰かが出てきたのだろうか。
扉の中から現れた者が外の者達と会話を繰り広げると、騒動は無事治ったようで警備隊も教団の護衛も徐々に元の場所へと戻っていった。人だかりの中から現れたのは、ケヴィンとバルトロメオだけだった。
二人は少し会話をした後に、バルトロメオはブルースの部屋へ戻っていき、ケヴィンもシン達の待つ部屋の方へと歩き出した。シン達がこちらを除いていたのに気が付いたのか、彼は余裕そうな表情を浮かべてこちらに手を振っていた。
「一体、何をしたんだ?」
シンが騒動を鎮圧させた方法について尋ねると、ケヴィンは何も難しいことではなかったと、軽く話の内容について触れる。どうやら彼曰く、バルトロメオの主人であるブルースと話をさせて欲しいと頼んだだけだったようだが、そもそもバルトロメオがそんな要求を素直に飲み込んだとは到底思えない。
ミアが更にその時の様子について詳しく尋ねると、ケヴィン曰くブルースにはある秘密があるようだった。ケヴィンはそれを交渉の材料に使ったのだと語る。それについては個人情報だとはぶらかされたが、どうやらそれがブルースらの弱みに繋がるものだということが推測できる。
「さぁ!そんなことよりも。先程騒動を収めたお礼として、今回の事件についての情報をいち早く届けてくれるそうですよ?今はそれを待つとしましょう!」
「随分と嬉しそうだな・・・」
「新鮮なネタですからね!それに犯人の新しい目的についても分かるやも知れません。それに“そろそろ“でしょうし、あちらもどうなっているのか気になってたところです・・・」
「?」
何やら意味深の言葉を小声で呟いたようにも聞こえたが、シンもミアもそれについて追求することはなかった。ターゲットが分かっていながら進展のない状況が続いていた中でのベルヘルムの死。
犯人が唐突に路線変更してきたのか。或いは元からこれも計算していての殺害だったのか。何にせよ、新たな被害者となった音楽家のベルヘルムの部屋の調査が進み、犯人に関する手掛かりが見つかることを祈って待つしかない。
しかし、どういう訳か先程の騒動からそれ程間を置かずして、一行の部屋に教団の護衛のリーダーであるオイゲンが、血相を変えてやって来たのだ。彼は部屋を訪れるや否や、すぐにケヴィンを呼び出した。
「ケヴィンはいるか!?」
「どうしたの?オイゲン。そんなに慌てて貴方らしくない」
「今はそれどころではないんだ!早急に確認しなければならないことがある!場合によっては・・・」
神妙な面持ちへと変わるオイゲンを見て、何か良からぬ事態が起きていることを悟ニノン。そこへ彼から呼び出しを食らったケヴィンが姿を表す。
「はいはい、オイゲンさん。そんなに慌ててどうなされました?」
「そんな呑気なことを言ってる場合かッ・・・・・。いや、場所を変えよう」
突然大きな声を出したことで、周りの注目を集めてしまったオイゲンは、ケヴィンを連れ部屋の外へと出て行ってしまった。何事だといった様子でお顔を見合わせるシン達一行。
気になるなら様子を見にいって見ようとツバキが提案するが、ニノンは二人だけで話っをさせてやって欲しいとそれを止めた。
「なんだよ、隠し事は無しってアンタらが決めた事だぜ?同じ部屋の見張りでも駄目なのかよ?」
「それについては・・・信じて欲しいとしか言えないが、決して悪事を働くような人間ではないことは、この私が保証する」
「保証って言われたってなぁ・・・。アンタらだって俺らを信用しちゃいねぇんだろ?あの二人で何か企ててたっておかしくないだろ?」
ツバキの言う通り、教団側はシン達を含め、宮殿に隔離している者達を信用してはいない。誰が犯人か分からない以上、疑心暗鬼になるのも当然のことと判断し、仲間内だけで行動することを禁じている。
しかしそれは、教団側やアルバの警備隊には些か甘い部分が見受けられる。教団を指揮するリーダーとはいえ、好き勝手に呼出できるのは公平ではないのではないか。
疑いの目を向けられるニノンは、自らとオイゲンの身の潔白を証明する手段がない代わりに、今回の件がシン達にとってマイナスの方向に運ぶようなら、自らの命を捧げるとまで言い出した。
「ちょっと待ってくれよ。アンタの命を捧げられたところで困るのは俺達那ぜ」
「そうですよ。そこまでしなくても、その気概だけで十分貴方の覚悟は伝わりましたから・・・」
ツバキとツクヨが行き過ぎた彼女の覚悟を止める中、ミアは何を思いついたのか、もし不都合が起きた場合は命に代わりとある条件を教団側に提案してくれないかと持ちかけた。
「それなら、もしオイゲンが怪しい事に首を突っ込んでたんなら、アタシらのことを教団に口利きしておいてくれよ?」
「口利き?」
「あぁ、今回の事件で世話になったとか、解決に向けて協力してくれたとか。まぁ良い噂を振り撒いておいてくれって話だ」
「そんなことで良いのなら・・・。だが何故そんな事を望む?」
「そんなに難しい話じゃないさ。今後どっかでアンタらと関わる時に、その方がお互い動きやすいだろ?って感じさ」
ニノンがミアの提案を飲んだ事により、一行はケヴィンとオイゲンの帰りを待つ事にした。当の本人達はそんなことも知らず、オイゲンの慌てる原因となった事について話をしていた。
「どう言うことだ!?ケヴィン!マティアス司祭が死んだぞ!?」
「えぇ、ですから彼は今仮死状態に・・・」
マティアス司祭が犯人に狙われていることは、これまでの犯行から推測がついていた。なので、それを逆手に取り、犯人の犯行に見せかけて先にマティアス司祭が死ぬことで、何処かに潜む犯人の動向を伺おうとしていた。
その事は事前にオイゲンにも話はつけていた。しかしどうやらオイゲンの話によると、ケヴィンの薬によって仮死状態になったはずのマティアス司祭が本当に死亡しているようなのだ。
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