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重要人物の捜索
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フェリクス宅の見える道から自宅へ戻る道中で全てを思い出したレオン。その記憶の中で重要なキーマンとなってくるのは、彼らの同級生であるカルロスとクリスになってくる。
今彼らはどこにいるのだろうか。一つ不可解なのは、グーゲル教会にてレオンと共に演奏を聞いていたカルロスが、次の日になってもレオンの元を訪れていないことだ。
レオンと同じ状況にあったのなら、レオンの様子が気になっている事だろう。しかし彼の動きが一切見えないということは、彼もレオンと同じく昨日の記憶を失っている可能性が高い。
「それじゃぁカルロスとクリスを探しましょう。彼らなら何か知っているかもしれないわ」
「あぁ、二人に会うのは賛成だ。だが正直、期待は出来ないかもな・・・」
「どういう事?」
「カルロスは俺と一緒にグーゲル教会で気を失った筈だ。アイツだけ記憶が残っているとは思えない。それに、もし記憶があるのなら間違いなく俺の家を訪れていた筈だ」
彼も状況は理解しているようだ。だがそれでも彼しか知り得ない情報を持っている可能性もある。それにクリスに至ってはカルロスしか彼の姿を見ておらず、唯一宮殿内の様子を知る人物でもある。
「カルロスが記憶を失っているのなら、このまま忘れたままにしてやるのがアイツの為かもしれない。その方が安全も保証されるだろう」
「保証はどうかしらね。貴方も記憶の場所を訪れて記憶を取り戻した。それなら偶然その場所を訪れて記憶が蘇ることもある筈でしょ?そんないつ爆発するかも分からない爆弾をそのままにしておくかしら?」
「犯人がそれを知っていれば、放っておかないかもな。いずれにせよ、先に見つけるべきはクリスの方だ。奴のいる場所に心当たりは?
「学校かグーゲル教会じゃないかしら?それか姿を消したという二クラス教会とか」
クリスがいるであろう場所は限られている。探し出すのにはそれ程時間はかからないだろう。唯一不安があるとすれば、二クラス教会の奥からそのまま姿を消したということだ。
話だけ聞いていても一体どういう事なのか二人には分からない。それに教会の奥は司祭や牧師、その他一部の教会関係者かその許可を得た者しか入れない。
その点ではクリスはマティアス司祭の付き人のようなものなので、容易に出入りすることができるだろう。そこに篭られてしまっては、いくら音楽学校の優等生であるレオンとジルであっても探るのは難しいかもしれない。
それでも二人は、急がず着実に情報を集めようと意思を固めている。例え今日見つからずとも明日、明日見つけられずとも明後日と、心に余裕を持つことが出来ていた。
余裕があることで行動も身軽になった二人は、そのままレオンの自宅前から先ずは音楽学校を訪れてみることにした。そう至ったのは、二人と同じ学生であるクリスなら学校へ行っている可能性が最も高いからだ。
式典の影響で学校自体も解放はされているものの、自由登校期間になっているようだ。家に楽器の置けない学生や、勉強する環境のない学生などは解放されている学校へ訪れ、そこにしかない教材や教師に練習を見てもらったり出来る。
二人と違って芳しくない成績だというクリスは、特に学校や学生寮にいることが多い。学校に到着したレオンとジルは、それぞれジルが学校、レオンが学生寮へと別れ、クリスを見つけ次第待ち合わせ場所へ連れて来ると決めて捜索を始める。
「本当に自由登校期間中か?・・・何だこれは・・・」
自宅から通っているレオンにはあまり馴染みの無い光景だったようだ。彼らのように優秀な生徒でそれなりにお金を持っている家系であれば、自由登校となると専門的な音楽家の先生を呼んだり、苦手な部分を集中的に練習する為に家で反復練習を行うのが殆どだったらしく、学生寮での捜索を行うレオンも、殆どの部屋が閉まっており、皆一様に練習や休暇をとっているものだとばかり思っていたが、実際はもぬけの殻と言っても差し支えない程に人影が見つからなかった。
「すみません、寮の学生達はどうされたんですか?」
寮の入口にいた警備員にこの信じられない光景について尋ねるレオン。すると警備員の男は、何故彼がそんな質問をするのか分からないといった様子で答える。
「どうしたって?だって今、自由登校期間なんだろ?それならみんな学校へ行ってるよぉ」
「自由登校なのに?」
「自由登校だからだよ。ここに来るような学生さんらは、外部から音楽を学びに来てる学生が多いんだよ。まぁ中には家の事情でって人もいるけど。そんな学生らは自由登校だからこそ学校へ行くんだよ。自分が重点的に学びたいところを学ぶチャンスだからねぇ」
「なるほど、そういう事か・・・」
自分が普段行っていることを、学生寮の生徒達はこの時にやっているのだと知り、思わず感心してしまっていたレオンはここへ来た理由を思い出し、警備員の男にクリスの行方を尋ねる。
すると彼は、クリスの事をよく知っているようだった。マティアス司祭の付き人をしているせいもあるようで、寮の出入りが多いクリスは学生達よりも警備の人や管理人達との方がよく会話をしているのだという。
「今朝もいつものように挨拶して寮を出て行ったよ。どこへいくんだい?って聞いたら学校でやる事があるんだと。あれ?でもそういえば式典の後で司祭様も忙しいんじゃねぇかな?まぁ別件でもあんのかなぁ。兎に角、いつも忙しそうな奴だよ」
「学校ですね?ありがとうございます」
クリスの行方について教えてくれた警備員の男に感謝を伝え頭を下げると、すぐにレオンは寮を出て学校へと向かっていった。しかし既に学校へはジルが向かっている。
思いのほか早くクリスの行方について情報を獲得したレオンは、待ち合わせの時刻まで余裕があるので、その間一緒に学校の方を探そうとしていたのだ。音楽の街の音楽学校ともなれば、それなりの敷地面積を誇っている為、一人で捜索するには時間が掛かる。
今彼らはどこにいるのだろうか。一つ不可解なのは、グーゲル教会にてレオンと共に演奏を聞いていたカルロスが、次の日になってもレオンの元を訪れていないことだ。
レオンと同じ状況にあったのなら、レオンの様子が気になっている事だろう。しかし彼の動きが一切見えないということは、彼もレオンと同じく昨日の記憶を失っている可能性が高い。
「それじゃぁカルロスとクリスを探しましょう。彼らなら何か知っているかもしれないわ」
「あぁ、二人に会うのは賛成だ。だが正直、期待は出来ないかもな・・・」
「どういう事?」
「カルロスは俺と一緒にグーゲル教会で気を失った筈だ。アイツだけ記憶が残っているとは思えない。それに、もし記憶があるのなら間違いなく俺の家を訪れていた筈だ」
彼も状況は理解しているようだ。だがそれでも彼しか知り得ない情報を持っている可能性もある。それにクリスに至ってはカルロスしか彼の姿を見ておらず、唯一宮殿内の様子を知る人物でもある。
「カルロスが記憶を失っているのなら、このまま忘れたままにしてやるのがアイツの為かもしれない。その方が安全も保証されるだろう」
「保証はどうかしらね。貴方も記憶の場所を訪れて記憶を取り戻した。それなら偶然その場所を訪れて記憶が蘇ることもある筈でしょ?そんないつ爆発するかも分からない爆弾をそのままにしておくかしら?」
「犯人がそれを知っていれば、放っておかないかもな。いずれにせよ、先に見つけるべきはクリスの方だ。奴のいる場所に心当たりは?
「学校かグーゲル教会じゃないかしら?それか姿を消したという二クラス教会とか」
クリスがいるであろう場所は限られている。探し出すのにはそれ程時間はかからないだろう。唯一不安があるとすれば、二クラス教会の奥からそのまま姿を消したということだ。
話だけ聞いていても一体どういう事なのか二人には分からない。それに教会の奥は司祭や牧師、その他一部の教会関係者かその許可を得た者しか入れない。
その点ではクリスはマティアス司祭の付き人のようなものなので、容易に出入りすることができるだろう。そこに篭られてしまっては、いくら音楽学校の優等生であるレオンとジルであっても探るのは難しいかもしれない。
それでも二人は、急がず着実に情報を集めようと意思を固めている。例え今日見つからずとも明日、明日見つけられずとも明後日と、心に余裕を持つことが出来ていた。
余裕があることで行動も身軽になった二人は、そのままレオンの自宅前から先ずは音楽学校を訪れてみることにした。そう至ったのは、二人と同じ学生であるクリスなら学校へ行っている可能性が最も高いからだ。
式典の影響で学校自体も解放はされているものの、自由登校期間になっているようだ。家に楽器の置けない学生や、勉強する環境のない学生などは解放されている学校へ訪れ、そこにしかない教材や教師に練習を見てもらったり出来る。
二人と違って芳しくない成績だというクリスは、特に学校や学生寮にいることが多い。学校に到着したレオンとジルは、それぞれジルが学校、レオンが学生寮へと別れ、クリスを見つけ次第待ち合わせ場所へ連れて来ると決めて捜索を始める。
「本当に自由登校期間中か?・・・何だこれは・・・」
自宅から通っているレオンにはあまり馴染みの無い光景だったようだ。彼らのように優秀な生徒でそれなりにお金を持っている家系であれば、自由登校となると専門的な音楽家の先生を呼んだり、苦手な部分を集中的に練習する為に家で反復練習を行うのが殆どだったらしく、学生寮での捜索を行うレオンも、殆どの部屋が閉まっており、皆一様に練習や休暇をとっているものだとばかり思っていたが、実際はもぬけの殻と言っても差し支えない程に人影が見つからなかった。
「すみません、寮の学生達はどうされたんですか?」
寮の入口にいた警備員にこの信じられない光景について尋ねるレオン。すると警備員の男は、何故彼がそんな質問をするのか分からないといった様子で答える。
「どうしたって?だって今、自由登校期間なんだろ?それならみんな学校へ行ってるよぉ」
「自由登校なのに?」
「自由登校だからだよ。ここに来るような学生さんらは、外部から音楽を学びに来てる学生が多いんだよ。まぁ中には家の事情でって人もいるけど。そんな学生らは自由登校だからこそ学校へ行くんだよ。自分が重点的に学びたいところを学ぶチャンスだからねぇ」
「なるほど、そういう事か・・・」
自分が普段行っていることを、学生寮の生徒達はこの時にやっているのだと知り、思わず感心してしまっていたレオンはここへ来た理由を思い出し、警備員の男にクリスの行方を尋ねる。
すると彼は、クリスの事をよく知っているようだった。マティアス司祭の付き人をしているせいもあるようで、寮の出入りが多いクリスは学生達よりも警備の人や管理人達との方がよく会話をしているのだという。
「今朝もいつものように挨拶して寮を出て行ったよ。どこへいくんだい?って聞いたら学校でやる事があるんだと。あれ?でもそういえば式典の後で司祭様も忙しいんじゃねぇかな?まぁ別件でもあんのかなぁ。兎に角、いつも忙しそうな奴だよ」
「学校ですね?ありがとうございます」
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