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食の違いと狩猟文化
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狩猟へ向かうはずだったミアは、妙なことからアズールの指示によって動いていたガルムの部隊と行動を共にする事になり、獣の調査へ向かっていた。未だリナムルや森に住む者達にとって未知の部分の多い獣。その見た目や身体的な特徴から、アズール達は獣の元になったのは獣人族なのではないかと推測していた。
それを確かめる為の極秘任務をガルムは受けていた。研究所の者を連れていき、現地で調査を行ってその真意を確かめる。
結果として分かったことは、獣の姿でリナムルと森に住む者達を襲っていた者の正体は、行方不明になっていた獣人族をベースに作られたモンスターだったことが判明。
だが、肉体のベースが獣人族なだけで、すでに元の獣人族としての記憶や意思などは排除されており、ただ戦闘に特化した指示に従うだけのロボットのようになっていた。
研究員の話では、排除された意思そのものは研究所内に保存されていたようだが、今となっては瓦礫の下敷きとなり現存するものは無いだろう。
獣の調査を終えた一行は、嘗て同胞だったその獣を埋め、表向きに関所を出てきた目的である狩猟を開始する。
リナムルには今、多くの種族と人数が避難し共存の道を辿ろうとしている。そうなれば当然、食料もこれまで以上に必要となるだろう。
街の周辺に設けられた関所では様々なクエストが発注されており、食料確保のための狩猟クエストも多くあった。肉や植物、飲み水の確保から魔力の補充などが行えるアイテムの入手など様々で、食文化の違いもある為、獣人族のように生肉のまま食べられたりモンスターを食すことのできない種族もいる。
「人間ってのは面倒だな。いちいち調理しねぇと食えねぇのか?」
「悪かったね。我々は繊細で弱い生き物なんだ。摂取できるものには限りがあり、身体の中で分解できる要素も限界がある。君達のように何でもと言う訳にはいかないんだ」
「それもお得意の“研究“って奴で分かったのか?」
獣人が研究員に質問をするが、研究員は俯いてしまいその質問に対しての返答を行わなかった。彼も毒を吐くつもりはなかったのだろう。これも種族や個人としての考え方の違いだろう。角のたつ言い方になってしまったのは、獣人の彼に研究員の心境を読み取ることができなかったことによるものだった。
「悪かったよ・・・。別に責めるつもりなんてもうねぇんだ。ただ・・・どうやって言葉にしたものか分からねぇんだ」
「大丈夫だ。君の言う通り、我々はとんでもないことに加担してきたしまった。強制されていたとはいえ、その事実は変わらない。ならばそこで得た知識を無駄にしないことが重要なのだろうと、私は思っている。だから何でも聞いてくれて構わない。答えられることなら何でも答えるよ」
狩猟で獲得した獲物や果実などを荷物にまとめる彼らは、他愛のない会話の中で徐々に互いのことを知っていき、己に足らないものや種族の違いなどを確かめ合っていた。
狩猟を担当していたのはミアとガルムを含む数人の獣人族。野生動物の狩猟を中心に行っていたのはミアだった。人間でも食べられるであろうものを見定めると、バディを組んでいたガルムにその気配を探ってもらい場所を特定する。
そして、音を消した狙撃により次々に動物を狩っていく。動物達に警戒心を与えない位置からの狙撃は順調に進んでいき、あっという間に持ち運べる量の上限の調達を完了する。
「これは驚いた。君の力があれば我々も食料には困らなそうだな」
「そいつはどうも。だがアンタらだって猟くらいは、いくらでもしてきただろ?」
「それはそうだが、これほど手際良くはない。獲物に警戒されれば、いくら我々でも捕らえることは難しいからな。その点モンスターは楽でいい。自らこちらへ向かってきてくれるからな」
どんなに強く賢い者であっても、確実に獲物を仕留めることができるわけではない。それは自然の中で生き抜いてきた獣人族といえど例外ではない。それなりの知性を持ち、他の種族よりも優れた身体能力を持つ獣人族であっても、野生動物を狩猟することは難しい。
何故なら体格差や彼らしか知らない抜け道などを利用され、逃げ切られてしまうことがあるからだ。その点、ミアの音もなく獲物を遠距離から仕留めることのできると言うのは、獣人族の気配感知と相性が抜群だった。
相手の位置を知ることのできる獣人族と、獲物を警戒させることなく音の無い銃弾で仕留めることの出来るミア。謂わば感知はできるが武器の無い状態と、武器はあるが感知できない状態が合わさった状態にある。まさに鬼に金棒といったところだろう。
「まぁ確かにモンスターが食えりゃぁそんなに困らないか。いいよなぁ、食に困らないって」
「言っておくがデメリットもあるからな?」
ガルムの言うデメリットとは、モンスターの持つ特殊な性質を持った魔力の摂取による者だった。通常の量であれば、獣人の体内で消費され分解することができるが、消費させることなく蓄積させ続けると、分解することが出来ずモンスターのように自我を失ってしまうことがある。所謂、モンスター化と言うものだ。
一度モンスター化を発症してしまうと元には戻れず、無作為に仲間達や周りにいる者を攻撃してしまう危険な状態へと陥ってしまう。
それを確かめる為の極秘任務をガルムは受けていた。研究所の者を連れていき、現地で調査を行ってその真意を確かめる。
結果として分かったことは、獣の姿でリナムルと森に住む者達を襲っていた者の正体は、行方不明になっていた獣人族をベースに作られたモンスターだったことが判明。
だが、肉体のベースが獣人族なだけで、すでに元の獣人族としての記憶や意思などは排除されており、ただ戦闘に特化した指示に従うだけのロボットのようになっていた。
研究員の話では、排除された意思そのものは研究所内に保存されていたようだが、今となっては瓦礫の下敷きとなり現存するものは無いだろう。
獣の調査を終えた一行は、嘗て同胞だったその獣を埋め、表向きに関所を出てきた目的である狩猟を開始する。
リナムルには今、多くの種族と人数が避難し共存の道を辿ろうとしている。そうなれば当然、食料もこれまで以上に必要となるだろう。
街の周辺に設けられた関所では様々なクエストが発注されており、食料確保のための狩猟クエストも多くあった。肉や植物、飲み水の確保から魔力の補充などが行えるアイテムの入手など様々で、食文化の違いもある為、獣人族のように生肉のまま食べられたりモンスターを食すことのできない種族もいる。
「人間ってのは面倒だな。いちいち調理しねぇと食えねぇのか?」
「悪かったね。我々は繊細で弱い生き物なんだ。摂取できるものには限りがあり、身体の中で分解できる要素も限界がある。君達のように何でもと言う訳にはいかないんだ」
「それもお得意の“研究“って奴で分かったのか?」
獣人が研究員に質問をするが、研究員は俯いてしまいその質問に対しての返答を行わなかった。彼も毒を吐くつもりはなかったのだろう。これも種族や個人としての考え方の違いだろう。角のたつ言い方になってしまったのは、獣人の彼に研究員の心境を読み取ることができなかったことによるものだった。
「悪かったよ・・・。別に責めるつもりなんてもうねぇんだ。ただ・・・どうやって言葉にしたものか分からねぇんだ」
「大丈夫だ。君の言う通り、我々はとんでもないことに加担してきたしまった。強制されていたとはいえ、その事実は変わらない。ならばそこで得た知識を無駄にしないことが重要なのだろうと、私は思っている。だから何でも聞いてくれて構わない。答えられることなら何でも答えるよ」
狩猟で獲得した獲物や果実などを荷物にまとめる彼らは、他愛のない会話の中で徐々に互いのことを知っていき、己に足らないものや種族の違いなどを確かめ合っていた。
狩猟を担当していたのはミアとガルムを含む数人の獣人族。野生動物の狩猟を中心に行っていたのはミアだった。人間でも食べられるであろうものを見定めると、バディを組んでいたガルムにその気配を探ってもらい場所を特定する。
そして、音を消した狙撃により次々に動物を狩っていく。動物達に警戒心を与えない位置からの狙撃は順調に進んでいき、あっという間に持ち運べる量の上限の調達を完了する。
「これは驚いた。君の力があれば我々も食料には困らなそうだな」
「そいつはどうも。だがアンタらだって猟くらいは、いくらでもしてきただろ?」
「それはそうだが、これほど手際良くはない。獲物に警戒されれば、いくら我々でも捕らえることは難しいからな。その点モンスターは楽でいい。自らこちらへ向かってきてくれるからな」
どんなに強く賢い者であっても、確実に獲物を仕留めることができるわけではない。それは自然の中で生き抜いてきた獣人族といえど例外ではない。それなりの知性を持ち、他の種族よりも優れた身体能力を持つ獣人族であっても、野生動物を狩猟することは難しい。
何故なら体格差や彼らしか知らない抜け道などを利用され、逃げ切られてしまうことがあるからだ。その点、ミアの音もなく獲物を遠距離から仕留めることのできると言うのは、獣人族の気配感知と相性が抜群だった。
相手の位置を知ることのできる獣人族と、獲物を警戒させることなく音の無い銃弾で仕留めることの出来るミア。謂わば感知はできるが武器の無い状態と、武器はあるが感知できない状態が合わさった状態にある。まさに鬼に金棒といったところだろう。
「まぁ確かにモンスターが食えりゃぁそんなに困らないか。いいよなぁ、食に困らないって」
「言っておくがデメリットもあるからな?」
ガルムの言うデメリットとは、モンスターの持つ特殊な性質を持った魔力の摂取による者だった。通常の量であれば、獣人の体内で消費され分解することができるが、消費させることなく蓄積させ続けると、分解することが出来ずモンスターのように自我を失ってしまうことがある。所謂、モンスター化と言うものだ。
一度モンスター化を発症してしまうと元には戻れず、無作為に仲間達や周りにいる者を攻撃してしまう危険な状態へと陥ってしまう。
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