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神秘の木と残党狩り
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そんな恩人の彼女が何故こんな所にいるのか。それは彼女らエルフ族もまた、リナムル再建のためにその特異な魔法を用いて協力していたのだという。
彼らは木材を調達する部隊から送られて来た素材を、その風の魔法で器用に木材を加工し必要な大きさへと変えていた。妖精のエルフ族の彼らにとっても、多種族と協力関係にあるということは重要なことのようだった。
これまで通り、森で身を隠して静かに暮らすこともできたが、この機に種族のあり方を変えるのだと、皆奮起しているのだという。
「それなら是非、私にも何かお手伝い出来ることはないですか?」
「それなら木材の調達をお願いいたしますわ。街の再建の為には、木材はいくらあっても足りません。それにここの木材は特別なようでして、通常の木材よりも魔力を含みやすい物もあるんですって!これなら私達向けの家も・・・」
「あ、あはは・・・そうだね。きっとみんな喜ぶよ・・・」
獣人族の手でみるみる出来上がる建造物に、自分達の種族に適した建物もあっという間に造って貰えるのではないかと、話に熱の入るエルフを遠い目で見つめるツクヨ。
木材の調達を行なっている事を知り、ツクヨもリナムルにある関所を訪れクエストに向かう事にした。大きな荷物を運ぶ事になるので、それなりの力量と即席のリヤカーを引ける者。そして木を切断するスキルを持つ者が募集要項に刻まれている。
剣士のクラスであるツクヨは、それなりの力量と剣術スキルを身に付けているので、すぐに出発できそうな小隊に志願した。集まったのは屈強な獣人族と数人の冒険者達。魔法スキルも使えそうな冒険者もおり、揃った一行は必要な木材があるという地点に向けて出発する。
「これからどちらへ向かうんで?」
「この獣道を抜けたところに湖がある。その湖は森に住むエルフの影響で魔力を帯びた水を蓄えているんだ」
「ん?これって湖に向かうって話?」
「その水を吸って育った木々は他の森の木々とは違った性質を持つ育ち方をする。それがエルフ族の連中にとって住みやすいんだそうだ」
「俺、難しい話はパスで」
「少し前に出荷したその木材は、何処かの造船所で船の材料として使われ、魔力コーティングを施した面白い船が出来上がったんだと。海に浮かびながら薄氷を生み出したり、海水を蒸発させたり・・・」
「ねぇ、誰か止めてくんない?」
木々に詳しい獣人と、それに全く興味のない人間の会話を半ば強制的に聞かされていたツクヨは、それがリナムルで妖精のエルフに聞いた特別な木材になる木なのだと察した。
そして、それを用いた武具を作ったらどうなるのだろうと頭の中で空想を広め決して口にする事なく、無限に喋り続ける獣人と助けを求め始める人間の一方的な会話を黙って聞きながら歩みを進めた。
推して暫く出番の少なかったミアはというと、彼女は食料となる動物の肉の調達をする為、狩猟のクエストを探していた。
「なぁ、だから狩りがしたいだけなんだって」
「アンタの獲物、その銃だろ?大きい音の出るものは困るんだよ。小隊を組ませてるとはいえ、森が危険であることは変わらないんだ」
「だから、“音“を出さなきゃいいんだろ?」
「何言ってんだいアンタ。銃は音が出るでしょ。それくらい我々だって知ってんだよ?」
狩猟のクエストに向かう小隊に参加したいミアと、関所の受付の獣人が言い争っている。そこへ、ミア達が襲撃されるリナムルの中で行動を共にしていた見知った容姿の獣人が近づいて来た。
「どうしたんだ?何か問題でも?」
「あぁガルムか。この人が銃で狩猟するって言うんだ。銃声や火薬の匂いはマズイってのに・・・」
「ん~・・・そうか。なら俺が何人か集めてくるから、そのパーティーの中で手伝って貰おうか。それならいいだろ?」
ガルムはミアの戦闘方法を知っている。そして共に行動をしていた時に、彼女のスキルについても目にしたり聞いていた。その中にはミアの言うように、音や匂いを出すことなく獲物を撃ち抜く無音の銃弾というものがあった。
それを知っていたガルムは、事情を関所の獣人に話し自分の部隊で彼女の望む事を一緒にして貰うのだと説明する。関所の彼にとっては俄かに信じ難いことのようだったが、ガルムは獣人族の中でもそれなりに顔が利く人物のようで、疑いながらもガルムが言うのであればと要件を受け入れた。
「助かったよ、ガルム。んで?アタシに手伝って貰いたいってのは?」
「実はこっちもミア、君がいてくれて良かったと思っていた所だ」
「?」
「君の実力は知っている。それでこちらからも改めて君に依頼したい。実はリナムルから離れたところの森の中で、研究所の獣らしきものの気配が感知されたんだ。確信がある訳じゃない、姿を見た訳でも声を聞いた訳でもない。ただそれらしき気配を感じただけ・・・無駄足になるかもしれない」
だが街や彼らの住処の安全の為に、不安な要素は全て摘み取っておかねばならない。冒険者や行商人、そして普段森にはいないような能力やスキルを持つ物達が、リナムルに留まっている今だからこそミアのその力が必要とされていた。
事情を聞いたミアは、ガルムの依頼を快く引き受けた。それに彼女は、錬金術による四大元素を司る水の精霊ウンディーネを使役している為、精霊にしか感じ取れないものも察することができる。
動ける精鋭を集めてくると、ガルムはミアを関所で待たせてその場を去っていった。どうやらこの一件は関所の者にも伏せてあるようで、小声で話していたガルムとミアの方を関所の受付の獣人は、不思議そうな表情でチラチラと見ていた。
彼らは木材を調達する部隊から送られて来た素材を、その風の魔法で器用に木材を加工し必要な大きさへと変えていた。妖精のエルフ族の彼らにとっても、多種族と協力関係にあるということは重要なことのようだった。
これまで通り、森で身を隠して静かに暮らすこともできたが、この機に種族のあり方を変えるのだと、皆奮起しているのだという。
「それなら是非、私にも何かお手伝い出来ることはないですか?」
「それなら木材の調達をお願いいたしますわ。街の再建の為には、木材はいくらあっても足りません。それにここの木材は特別なようでして、通常の木材よりも魔力を含みやすい物もあるんですって!これなら私達向けの家も・・・」
「あ、あはは・・・そうだね。きっとみんな喜ぶよ・・・」
獣人族の手でみるみる出来上がる建造物に、自分達の種族に適した建物もあっという間に造って貰えるのではないかと、話に熱の入るエルフを遠い目で見つめるツクヨ。
木材の調達を行なっている事を知り、ツクヨもリナムルにある関所を訪れクエストに向かう事にした。大きな荷物を運ぶ事になるので、それなりの力量と即席のリヤカーを引ける者。そして木を切断するスキルを持つ者が募集要項に刻まれている。
剣士のクラスであるツクヨは、それなりの力量と剣術スキルを身に付けているので、すぐに出発できそうな小隊に志願した。集まったのは屈強な獣人族と数人の冒険者達。魔法スキルも使えそうな冒険者もおり、揃った一行は必要な木材があるという地点に向けて出発する。
「これからどちらへ向かうんで?」
「この獣道を抜けたところに湖がある。その湖は森に住むエルフの影響で魔力を帯びた水を蓄えているんだ」
「ん?これって湖に向かうって話?」
「その水を吸って育った木々は他の森の木々とは違った性質を持つ育ち方をする。それがエルフ族の連中にとって住みやすいんだそうだ」
「俺、難しい話はパスで」
「少し前に出荷したその木材は、何処かの造船所で船の材料として使われ、魔力コーティングを施した面白い船が出来上がったんだと。海に浮かびながら薄氷を生み出したり、海水を蒸発させたり・・・」
「ねぇ、誰か止めてくんない?」
木々に詳しい獣人と、それに全く興味のない人間の会話を半ば強制的に聞かされていたツクヨは、それがリナムルで妖精のエルフに聞いた特別な木材になる木なのだと察した。
そして、それを用いた武具を作ったらどうなるのだろうと頭の中で空想を広め決して口にする事なく、無限に喋り続ける獣人と助けを求め始める人間の一方的な会話を黙って聞きながら歩みを進めた。
推して暫く出番の少なかったミアはというと、彼女は食料となる動物の肉の調達をする為、狩猟のクエストを探していた。
「なぁ、だから狩りがしたいだけなんだって」
「アンタの獲物、その銃だろ?大きい音の出るものは困るんだよ。小隊を組ませてるとはいえ、森が危険であることは変わらないんだ」
「だから、“音“を出さなきゃいいんだろ?」
「何言ってんだいアンタ。銃は音が出るでしょ。それくらい我々だって知ってんだよ?」
狩猟のクエストに向かう小隊に参加したいミアと、関所の受付の獣人が言い争っている。そこへ、ミア達が襲撃されるリナムルの中で行動を共にしていた見知った容姿の獣人が近づいて来た。
「どうしたんだ?何か問題でも?」
「あぁガルムか。この人が銃で狩猟するって言うんだ。銃声や火薬の匂いはマズイってのに・・・」
「ん~・・・そうか。なら俺が何人か集めてくるから、そのパーティーの中で手伝って貰おうか。それならいいだろ?」
ガルムはミアの戦闘方法を知っている。そして共に行動をしていた時に、彼女のスキルについても目にしたり聞いていた。その中にはミアの言うように、音や匂いを出すことなく獲物を撃ち抜く無音の銃弾というものがあった。
それを知っていたガルムは、事情を関所の獣人に話し自分の部隊で彼女の望む事を一緒にして貰うのだと説明する。関所の彼にとっては俄かに信じ難いことのようだったが、ガルムは獣人族の中でもそれなりに顔が利く人物のようで、疑いながらもガルムが言うのであればと要件を受け入れた。
「助かったよ、ガルム。んで?アタシに手伝って貰いたいってのは?」
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「?」
「君の実力は知っている。それでこちらからも改めて君に依頼したい。実はリナムルから離れたところの森の中で、研究所の獣らしきものの気配が感知されたんだ。確信がある訳じゃない、姿を見た訳でも声を聞いた訳でもない。ただそれらしき気配を感じただけ・・・無駄足になるかもしれない」
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事情を聞いたミアは、ガルムの依頼を快く引き受けた。それに彼女は、錬金術による四大元素を司る水の精霊ウンディーネを使役している為、精霊にしか感じ取れないものも察することができる。
動ける精鋭を集めてくると、ガルムはミアを関所で待たせてその場を去っていった。どうやらこの一件は関所の者にも伏せてあるようで、小声で話していたガルムとミアの方を関所の受付の獣人は、不思議そうな表情でチラチラと見ていた。
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