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白衣の女と変貌した仲間
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足を持たれ雑に薄暗い通路を引き摺られていくシンとアズール。彼らが連れて来られたのは、如何にも研究をしていると言わんばかりに並べられた怪しい、人がすっぽりと収まる容器と装置が並べられた部屋。
その中には人や獣人、モンスターなど様々な種族や魔物が収容されており、液体漬けにされているものも何体か見受けられる。シンとアズールが運ばれてきたのは、何も入っていない大きな容器の前だった。
「まずはコイツらの記憶を見るよ。余計なことまで知られてないか調べなきゃね。それに面白いものも見つかるかも知れないし・・・。あの男のようにね」
二人はそれぞれ身体を起こされ容器の中へ入れられると、コードで繋がった装置を取り付けられていく。
「潮時だな・・・」
「十分だ、これ以上は不毛ッ!」
毒により既に瀕死の状態と思われていたシンとアズールが突如目を覚まし、取り付けられた装置を引き千切り容器を破壊する。
「何事だッ!?何でコイツら動いてんだよぉ!?」
直ぐに取り押さえようとする下半身を蛇の形へと変えた女達を、躊躇うことなく殺していく。彼女らが人であれモンスターであれ、その人目には晒せない姿と、この施設における決して許されない命を弄ぶ禁忌を犯した者達への協力を考慮すれば、仕方のない処置とも言えるだろう。
「あの虫野郎ぉ・・・抜かりやがったのか」
百足男に対する口ぶりと、部下を従えているところから見ても、今二人の前にいる女は、この施設の研究員にして重要な関係者であることが分かる。この者に聞けば、アークシティとの関係や他の重要人物らの情報を得られるかも知れない。
だが恐らく、それは叶わないだろう。彼女が大人しく従うとも思えない。それは先の百足男と様子を見れば一目瞭然だった。とても真っ当な精神状態ではない。命を奪うことに何の躊躇いもなけらば、罪悪感すら何処かへ置いてきてしまったようだ。
そもそもここの者達にそんな感情があるとは思えなかったが。
「さて、時間がない。色々と聞いてみたい事はあるが、どうせ話してはくれないんだろ?」
「当然ね。それに実験体に質問されるなんて不愉快でしかないもの」
そういうと、女の後ろにある容器が開き、中から何かが姿を現す。暗がりの中、照明の光に照らされて姿を現したのは様子の変わってしまったツクヨだった。
「なッ・・・ツクヨ!?」
「さぁ“アナタ“・・・邪魔者が来たわ。一緒に戦ってくれるかしら?」
フラフラと歩みを進めてきたツクヨは顔を上げる。その目は魔獣のように鋭く血走っていた。シンも彼のその姿を見た事はない。だが、過去に一度ツクヨはその恐ろしいまでの様子を表したことがあった。
それはフォリーキャナルレースで、フランソワ・ロロネーの使役する怪異に襲われた際に、窮地から逃れる為内なるもう一つクラスを解放した。それが彼の本人すら知らない隠されたもう一つのクラス、破壊者デストロイヤーだったのだ。
風貌や口調だけでなく、それまで繊細な剣捌きで戦うスタイルも荒々しいものへと変貌し、全てのステータスが飛躍的に上昇する。
これだけ聞くとメリットしかないように思えるが、理性の大半を失い怒りに身を任せたかのような戦闘方法は、敵味方の見境がなくなってしまう。本来守るべきものまで見失い、自身の欲望を満たすだけの正に破壊者となる。
「おいおい・・・コイツがお前の仲間だったあのヒョロイ男か?随分と勇ましく様変わりしちまったもんだな・・・」
「いや・・・俺もここまでの変わりようは見たことが・・・。一体何があったっていうんだ!?ツクヨッ!」
シンもロロネーと戦うツクヨらに合流した際に、いつもと様子の違うツクヨを目にしていたが、その時の彼とは似て非なる雰囲気と気配を身に纏い、肉体もまるで別人のように恐ろしい怪人のように変わってしまっていた。
「コロス・・・コロス・・・。ゼッタイニ・・・ドコマデモオッテ・・・コロシテヤルッ!」
変貌してしまったツクヨは、帯刀していた剣を勢いよく鞘から引き抜くと、摩擦で発火したかのように刀身に黒い炎を纏わせていた。
「理性を失ってるのかッ!?」
「どうしたんだ、ツクヨ!?俺だ!分からないのかッ!?」
声を掛けるシンだが、ツクヨには届かない。力強く床を蹴り上げると、凄まじい勢いでシンに斬り掛かる。荒々しさが幸いしたか、予備動作が大きく剣の軌道が読み取りやすく、シンはその燃える刀身も考慮し大きく後ろへ飛び退いた。
ツクヨの振るった剣は床を砕き、破片を飛び散らせる。振り下ろした剣の勢いによって床の破片も弾丸のように飛散し、飛び退いたシンと側にいたアズールを襲う。
「うッ・・・!」
「何だこのパワーはッ!?人間!元に戻す算段が無いのであれば、手加減している余裕などない戦闘力だぞ!?」
アズールの言うように、いつまでも防戦一方ではこちらの身が保たない。かといって、ツクヨがどんな状態であるのか。何故理性を失い襲い掛かって来ているのかさえ分からぬ状態で、彼を元に戻す方法など考えている暇もない。
だが、可能性として直ぐに思い浮かぶのは、ツクヨと共にいた白衣の女に何かされているのではないかと言うことだ。
そこでシンは、破壊者のクラスとなったツクヨを自らが引き受けるとアズールへ伝え、彼には何かを知っているであろう白衣の女を任せた。アズール自身も女に尋ねたいことは山ほどあった。
アズールはシンの提案を受け、白衣の女の方へ向かおうとする。するとツクヨは、彼女を守るようにシンを無視して動き出した。だが、一度引き受けると言った以上、シンもツクヨのヘイトを自身に向ける為、影で彼の動きを制限し白衣の女の方へ向かえないように仕向けていた。
その中には人や獣人、モンスターなど様々な種族や魔物が収容されており、液体漬けにされているものも何体か見受けられる。シンとアズールが運ばれてきたのは、何も入っていない大きな容器の前だった。
「まずはコイツらの記憶を見るよ。余計なことまで知られてないか調べなきゃね。それに面白いものも見つかるかも知れないし・・・。あの男のようにね」
二人はそれぞれ身体を起こされ容器の中へ入れられると、コードで繋がった装置を取り付けられていく。
「潮時だな・・・」
「十分だ、これ以上は不毛ッ!」
毒により既に瀕死の状態と思われていたシンとアズールが突如目を覚まし、取り付けられた装置を引き千切り容器を破壊する。
「何事だッ!?何でコイツら動いてんだよぉ!?」
直ぐに取り押さえようとする下半身を蛇の形へと変えた女達を、躊躇うことなく殺していく。彼女らが人であれモンスターであれ、その人目には晒せない姿と、この施設における決して許されない命を弄ぶ禁忌を犯した者達への協力を考慮すれば、仕方のない処置とも言えるだろう。
「あの虫野郎ぉ・・・抜かりやがったのか」
百足男に対する口ぶりと、部下を従えているところから見ても、今二人の前にいる女は、この施設の研究員にして重要な関係者であることが分かる。この者に聞けば、アークシティとの関係や他の重要人物らの情報を得られるかも知れない。
だが恐らく、それは叶わないだろう。彼女が大人しく従うとも思えない。それは先の百足男と様子を見れば一目瞭然だった。とても真っ当な精神状態ではない。命を奪うことに何の躊躇いもなけらば、罪悪感すら何処かへ置いてきてしまったようだ。
そもそもここの者達にそんな感情があるとは思えなかったが。
「さて、時間がない。色々と聞いてみたい事はあるが、どうせ話してはくれないんだろ?」
「当然ね。それに実験体に質問されるなんて不愉快でしかないもの」
そういうと、女の後ろにある容器が開き、中から何かが姿を現す。暗がりの中、照明の光に照らされて姿を現したのは様子の変わってしまったツクヨだった。
「なッ・・・ツクヨ!?」
「さぁ“アナタ“・・・邪魔者が来たわ。一緒に戦ってくれるかしら?」
フラフラと歩みを進めてきたツクヨは顔を上げる。その目は魔獣のように鋭く血走っていた。シンも彼のその姿を見た事はない。だが、過去に一度ツクヨはその恐ろしいまでの様子を表したことがあった。
それはフォリーキャナルレースで、フランソワ・ロロネーの使役する怪異に襲われた際に、窮地から逃れる為内なるもう一つクラスを解放した。それが彼の本人すら知らない隠されたもう一つのクラス、破壊者デストロイヤーだったのだ。
風貌や口調だけでなく、それまで繊細な剣捌きで戦うスタイルも荒々しいものへと変貌し、全てのステータスが飛躍的に上昇する。
これだけ聞くとメリットしかないように思えるが、理性の大半を失い怒りに身を任せたかのような戦闘方法は、敵味方の見境がなくなってしまう。本来守るべきものまで見失い、自身の欲望を満たすだけの正に破壊者となる。
「おいおい・・・コイツがお前の仲間だったあのヒョロイ男か?随分と勇ましく様変わりしちまったもんだな・・・」
「いや・・・俺もここまでの変わりようは見たことが・・・。一体何があったっていうんだ!?ツクヨッ!」
シンもロロネーと戦うツクヨらに合流した際に、いつもと様子の違うツクヨを目にしていたが、その時の彼とは似て非なる雰囲気と気配を身に纏い、肉体もまるで別人のように恐ろしい怪人のように変わってしまっていた。
「コロス・・・コロス・・・。ゼッタイニ・・・ドコマデモオッテ・・・コロシテヤルッ!」
変貌してしまったツクヨは、帯刀していた剣を勢いよく鞘から引き抜くと、摩擦で発火したかのように刀身に黒い炎を纏わせていた。
「理性を失ってるのかッ!?」
「どうしたんだ、ツクヨ!?俺だ!分からないのかッ!?」
声を掛けるシンだが、ツクヨには届かない。力強く床を蹴り上げると、凄まじい勢いでシンに斬り掛かる。荒々しさが幸いしたか、予備動作が大きく剣の軌道が読み取りやすく、シンはその燃える刀身も考慮し大きく後ろへ飛び退いた。
ツクヨの振るった剣は床を砕き、破片を飛び散らせる。振り下ろした剣の勢いによって床の破片も弾丸のように飛散し、飛び退いたシンと側にいたアズールを襲う。
「うッ・・・!」
「何だこのパワーはッ!?人間!元に戻す算段が無いのであれば、手加減している余裕などない戦闘力だぞ!?」
アズールの言うように、いつまでも防戦一方ではこちらの身が保たない。かといって、ツクヨがどんな状態であるのか。何故理性を失い襲い掛かって来ているのかさえ分からぬ状態で、彼を元に戻す方法など考えている暇もない。
だが、可能性として直ぐに思い浮かぶのは、ツクヨと共にいた白衣の女に何かされているのではないかと言うことだ。
そこでシンは、破壊者のクラスとなったツクヨを自らが引き受けるとアズールへ伝え、彼には何かを知っているであろう白衣の女を任せた。アズール自身も女に尋ねたいことは山ほどあった。
アズールはシンの提案を受け、白衣の女の方へ向かおうとする。するとツクヨは、彼女を守るようにシンを無視して動き出した。だが、一度引き受けると言った以上、シンもツクヨのヘイトを自身に向ける為、影で彼の動きを制限し白衣の女の方へ向かえないように仕向けていた。
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