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クリーンな研究所
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薄暗い部屋の中に並べられた容器の中には、見たこともないような色や形をした植物が、何らかの液体の中に入れられていたり冷凍されている。シン達が想像していたのは、その容器の中身が別物であった時の光景だったのだから。
「ねぇ・・・シン、さっきから・・・」
言葉を詰まらせるように口を開くツクヨ。彼が何を言おうとしているのか、シンにはある程度予想ができた。何故ならシンもまた、この施設に潜入してから仕切りに周囲を確認していたから。
無論、施設の研究員の目を確認する為でもあったが、それ以前にシンもまた興味があったからだ。悍ましい光景が見たかった訳ではない。だが人はそれでも、日常とはかけ離れたものを目にしてしまいたくなる習性があるのかもしれない。
「あぁ・・・何かおかしい。これじゃぁただの・・・植物研究所だ・・・」
「エルフの人達も、何か違和感を感じないかい?」
「“違和感“・・・とは?確かに想像していた研究所とは違いましたが、あの容器の中の植物に違和感は感じません。・・・ですが、色々と弄られてるようですね・・・」
森の種族ということもあり、やはり植物には詳しいのだろう。シン達にとって見慣れない植物でも、この森に暮らす彼らならば僅かな変化にも気付けたに違いない。
そんな彼らが“違和感はない“と言った。ということは、ここに並べられた研究の数々は実際に植物の研究の代物であり、見かけだけの偽物ではないという事になる。
「なら本当に植物の研究を・・・?でも、間違いじゃないんだろ?その・・・記憶の中で見たっていう光景と・・・」
「ぁ・・・あぁ、ゆっくり照らし合わせる時間なんてないが、ところどころ見覚えのある構造をしてる」
想像と違った内部の様子に、自分の見た記憶に自信がなくなっていくシン。すると、彼が持っていたダマスクを閉じ込めていた小瓶が揺れ始め、声が発せられる。
「おいっ、おい!俺にも見せろ!中の様子をよぉぉぉ!」
「ッ・・・!そうか、ここにいた当事者のダマスクなら・・・」
瓶に閉じ込められたまま中の煙が両手と顔のような形をぼんやりと浮かび上がらせる。そして張り付くように瓶の中から施設の中を覗くダマスクは、シンの移動に合わせ外の光景に目を配る。
「どうだ?何か思い出したか?」
「・・・・・」
しかし、ダマスクはシンの声に応じない。まるで驚きのあまり言葉を失っているかのように。何故彼が黙ったのか、シンはそれを確認するように視線を落とす。
「おい・・・?」
「何だ・・・何処だ?ここは・・・」
一行はその場に立ち止まり、思わず息を呑んだ。額から流れる冷たい汗に思考が止まり、言葉を失う。
「嘘だろ・・・?もっとよく見てみろ!」
「駄目だ・・・記憶がないせいか?俺の知ってる場所とは違う・・・」
「シン、先ずは施設の内部情報を確認できる部屋へ行こう。マップでもデータでも何でもいい。施設への入り口があれだけ厳重に隠されていたんだ。他に何かカラクリが無いとも限らないよ」
ツクヨはたまに頼りになる時がある。普段が温厚な性格だからだろうか、彼らのパーティーの中で最も年上であることを、こういう場面で再度確認させられる。
「あっあぁ・・・だがマップか。機材に触れないと分からないんじゃないか?外部の者達である俺達が触って大丈夫なんだろうか・・・」
「そもそも私はこの世界の機材に詳しくない。ダマスクの指示で何とかならない?」
「悪りぃがそれも無理だな。第一記憶がねぇんだ、使い方だって見ても思い出せると思うか?上手いこと奴らを利用してやるのさ・・・」
やけに開き直っているような態度ではあるが、ダマスクの言うことにも一理ある。現役で働いている研究員の力を利用できれば、機材を起動することが出来るうえ上手く誘導できれば、施設内の構造を確認することも可能だろう。
「利用って・・・まさか脅すんじゃ・・・?」
「接触は避けた方がいいな。脅したところで上に報告されるだろう」
「安心しろ、もっと簡単な方法がある・・・」
何やら悪巧みをするダマスクの表情が浮かんでくるようだった。だがそんな安全で簡単などという都合のいい方法など、本当にあるのだろうか。
「ねぇ・・・シン、さっきから・・・」
言葉を詰まらせるように口を開くツクヨ。彼が何を言おうとしているのか、シンにはある程度予想ができた。何故ならシンもまた、この施設に潜入してから仕切りに周囲を確認していたから。
無論、施設の研究員の目を確認する為でもあったが、それ以前にシンもまた興味があったからだ。悍ましい光景が見たかった訳ではない。だが人はそれでも、日常とはかけ離れたものを目にしてしまいたくなる習性があるのかもしれない。
「あぁ・・・何かおかしい。これじゃぁただの・・・植物研究所だ・・・」
「エルフの人達も、何か違和感を感じないかい?」
「“違和感“・・・とは?確かに想像していた研究所とは違いましたが、あの容器の中の植物に違和感は感じません。・・・ですが、色々と弄られてるようですね・・・」
森の種族ということもあり、やはり植物には詳しいのだろう。シン達にとって見慣れない植物でも、この森に暮らす彼らならば僅かな変化にも気付けたに違いない。
そんな彼らが“違和感はない“と言った。ということは、ここに並べられた研究の数々は実際に植物の研究の代物であり、見かけだけの偽物ではないという事になる。
「なら本当に植物の研究を・・・?でも、間違いじゃないんだろ?その・・・記憶の中で見たっていう光景と・・・」
「ぁ・・・あぁ、ゆっくり照らし合わせる時間なんてないが、ところどころ見覚えのある構造をしてる」
想像と違った内部の様子に、自分の見た記憶に自信がなくなっていくシン。すると、彼が持っていたダマスクを閉じ込めていた小瓶が揺れ始め、声が発せられる。
「おいっ、おい!俺にも見せろ!中の様子をよぉぉぉ!」
「ッ・・・!そうか、ここにいた当事者のダマスクなら・・・」
瓶に閉じ込められたまま中の煙が両手と顔のような形をぼんやりと浮かび上がらせる。そして張り付くように瓶の中から施設の中を覗くダマスクは、シンの移動に合わせ外の光景に目を配る。
「どうだ?何か思い出したか?」
「・・・・・」
しかし、ダマスクはシンの声に応じない。まるで驚きのあまり言葉を失っているかのように。何故彼が黙ったのか、シンはそれを確認するように視線を落とす。
「おい・・・?」
「何だ・・・何処だ?ここは・・・」
一行はその場に立ち止まり、思わず息を呑んだ。額から流れる冷たい汗に思考が止まり、言葉を失う。
「嘘だろ・・・?もっとよく見てみろ!」
「駄目だ・・・記憶がないせいか?俺の知ってる場所とは違う・・・」
「シン、先ずは施設の内部情報を確認できる部屋へ行こう。マップでもデータでも何でもいい。施設への入り口があれだけ厳重に隠されていたんだ。他に何かカラクリが無いとも限らないよ」
ツクヨはたまに頼りになる時がある。普段が温厚な性格だからだろうか、彼らのパーティーの中で最も年上であることを、こういう場面で再度確認させられる。
「あっあぁ・・・だがマップか。機材に触れないと分からないんじゃないか?外部の者達である俺達が触って大丈夫なんだろうか・・・」
「そもそも私はこの世界の機材に詳しくない。ダマスクの指示で何とかならない?」
「悪りぃがそれも無理だな。第一記憶がねぇんだ、使い方だって見ても思い出せると思うか?上手いこと奴らを利用してやるのさ・・・」
やけに開き直っているような態度ではあるが、ダマスクの言うことにも一理ある。現役で働いている研究員の力を利用できれば、機材を起動することが出来るうえ上手く誘導できれば、施設内の構造を確認することも可能だろう。
「利用って・・・まさか脅すんじゃ・・・?」
「接触は避けた方がいいな。脅したところで上に報告されるだろう」
「安心しろ、もっと簡単な方法がある・・・」
何やら悪巧みをするダマスクの表情が浮かんでくるようだった。だがそんな安全で簡単などという都合のいい方法など、本当にあるのだろうか。
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