1,037 / 1,646
精神に溶け込む影
しおりを挟む
乗り物の模型や大砲など、使用用途が本来と異なっている物や自身が扱えない物であっても、それを扱い“操縦“することが出来るというものだった。
フランソワ・ロロネーという海賊に唆され、人体実験による人間の操縦を叶える事となるが、実際には完全に他人の身体を掌握することはできず、僅かに身体の一部を操縦するだけしか出来なかった。
それでも厄介な能力であったことには変わりなく、海上戦ではグレイスとシンがロッシュと戦う中で、そのパイロットの能力に苦しめられた。
そんなロッシュのスキルから着想を得たシンは、本来WoFのキャラのシンが習得していなかったスキル“操影“を身につけた。対象を操るような使い方では使用したことはないが、ロロネーとの戦いの中で大量の魂を身体に入れられ操られたハオランの精神の中へ入り込み、彼の身体を取り戻すことに成功した。
アズールの身体に残っていたという、彼本人とは別のものの存在。それを探るのに打って付けのスキルと言えるだろう。
シンの影やダラーヒムの術で押さえつけていたアズールは、身動きの取れない状況を利用し始めた。動けないのなら肉体を強化し力を付ければいい。妙に大人しくなるアズールの様子を見て、その思惑に気がついたシンは、早速“操影“によりアズールの身体の中に残されていたという痕跡を調べる為、他の者達に協力を仰ぐ。
「俺がアズールの中にある痕跡を調べる!その間、代わりにアズールの相手をしてくれ!」
「アズールの中に?一体何をするつもりだ?」
アズールの身を案じる獣人達は、彼のいう身体の中に入るというその方法について問う。アズールに何が起きているのかを調べるのも勿論重要な事だが、その手段によってアズールの身に被害が及ぶのであれば、彼らも当然黙ってはいないだろう。
不安と戸惑いの混じる彼らに対し、シンは自身の野郎tしている事について詳しく話す。シン自らの影をアズールの中に送り込み、彼の精神の中へ入り込む。そこでダラーヒムの感じた違和感の正体を突き止めてくるだけで、アズール本体への影響はないことを説明すると、彼らもそれ以外に現状の打開策はないとこれを承諾。
アズールが徐々に力を強めている事と、スキルの使用中シンは無防備になってしまうことを説明し、調査をする間守ってもらうようお願いした。シンの身体はツクヨとダラーヒム、そして獣人族からはケツァルが防衛に務めることを約束し、アズールを抑え込むのはガレウスと残りの獣人が引き受ける事となった。
シンが影による拘束の解除の合図を送ると、それに合わせガレウス達がアズールの周りを取り囲むように構える。そしてアズールの身体を縛り付けていた影がスルスルと地面へ流れていくと、抑え込まれていた彼の身体が動き出す。
「来るそ!いいか、アズールへの攻撃は許さん!」
「了解!」
「分かってるぜ!ガレウス。アンタが一番心配だよ」
「減らず口叩きやがって・・・いくぞ!!」
拘束の解かれたアズールに向かって、その身体を押さえつけようと二人の獣人が左右から攻め立てる。だが、拘束されている間に肉体強化を進めていたアズールは、それまでの魔物のようにただ暴れるだけの動きから、素早い身のこなしへと変わり、取り押さえようとした二人の腕を躱し、流れるような動きで二人を投げ飛ばした。
「なッ・・・!?」
「さっきまでと動きが違うッ!?」
突如動きの変わったアズールが顔を上げると、その目は血に飢えた魔物のように真っ赤に光っていた。
「おいおい・・・理性が戻って来てるってのか?」
ただ操られているだけとは思えぬ動きに驚くガレウスだったが、彼も特有の肉体強化により瞬間的にアズールの力の目測を上回る強化を果たし迎え撃つ。
両手を合わせるように掴み合う二人。敵を倒すという単純な目的とは違い、本来の力を振るえずにいるガレウスに、容赦なく全力を注ぎ込むアズール。
「へッ!この声がお前に届いてるのかは知らねぇが、この俺と力比べでもする気かぁ!?いい機会だから教えてやるよ。パワーじゃ俺が上だってなぁ!!」
ガレウスはシンに言われた通り、見事にアズールの動きを封じている。その間にシンは、自分の身体をツクヨ達に預け、ロッシュの能力から習得した“操影“のスキルを放つ。
「それじゃ、俺の身体の事は頼んだ」
「あぁ、任せてくれ!」
海上戦で見せた時は、共に戦場にいたチン・シーの“リンク“する能力によりシンの身体を動かしていたが、“操影“のスキルは使用すると本人であるシンの身体は、魂のなくなった抜け殻のように動けなくなってしまう。
スキルの発動と同時に倒れそうになるシンの身体を受け止めるツクヨ。そして彼の影から地面を這うように小さな影が、アズールの元へと向かい、彼の影の中に溶け込んでいく。
フランソワ・ロロネーという海賊に唆され、人体実験による人間の操縦を叶える事となるが、実際には完全に他人の身体を掌握することはできず、僅かに身体の一部を操縦するだけしか出来なかった。
それでも厄介な能力であったことには変わりなく、海上戦ではグレイスとシンがロッシュと戦う中で、そのパイロットの能力に苦しめられた。
そんなロッシュのスキルから着想を得たシンは、本来WoFのキャラのシンが習得していなかったスキル“操影“を身につけた。対象を操るような使い方では使用したことはないが、ロロネーとの戦いの中で大量の魂を身体に入れられ操られたハオランの精神の中へ入り込み、彼の身体を取り戻すことに成功した。
アズールの身体に残っていたという、彼本人とは別のものの存在。それを探るのに打って付けのスキルと言えるだろう。
シンの影やダラーヒムの術で押さえつけていたアズールは、身動きの取れない状況を利用し始めた。動けないのなら肉体を強化し力を付ければいい。妙に大人しくなるアズールの様子を見て、その思惑に気がついたシンは、早速“操影“によりアズールの身体の中に残されていたという痕跡を調べる為、他の者達に協力を仰ぐ。
「俺がアズールの中にある痕跡を調べる!その間、代わりにアズールの相手をしてくれ!」
「アズールの中に?一体何をするつもりだ?」
アズールの身を案じる獣人達は、彼のいう身体の中に入るというその方法について問う。アズールに何が起きているのかを調べるのも勿論重要な事だが、その手段によってアズールの身に被害が及ぶのであれば、彼らも当然黙ってはいないだろう。
不安と戸惑いの混じる彼らに対し、シンは自身の野郎tしている事について詳しく話す。シン自らの影をアズールの中に送り込み、彼の精神の中へ入り込む。そこでダラーヒムの感じた違和感の正体を突き止めてくるだけで、アズール本体への影響はないことを説明すると、彼らもそれ以外に現状の打開策はないとこれを承諾。
アズールが徐々に力を強めている事と、スキルの使用中シンは無防備になってしまうことを説明し、調査をする間守ってもらうようお願いした。シンの身体はツクヨとダラーヒム、そして獣人族からはケツァルが防衛に務めることを約束し、アズールを抑え込むのはガレウスと残りの獣人が引き受ける事となった。
シンが影による拘束の解除の合図を送ると、それに合わせガレウス達がアズールの周りを取り囲むように構える。そしてアズールの身体を縛り付けていた影がスルスルと地面へ流れていくと、抑え込まれていた彼の身体が動き出す。
「来るそ!いいか、アズールへの攻撃は許さん!」
「了解!」
「分かってるぜ!ガレウス。アンタが一番心配だよ」
「減らず口叩きやがって・・・いくぞ!!」
拘束の解かれたアズールに向かって、その身体を押さえつけようと二人の獣人が左右から攻め立てる。だが、拘束されている間に肉体強化を進めていたアズールは、それまでの魔物のようにただ暴れるだけの動きから、素早い身のこなしへと変わり、取り押さえようとした二人の腕を躱し、流れるような動きで二人を投げ飛ばした。
「なッ・・・!?」
「さっきまでと動きが違うッ!?」
突如動きの変わったアズールが顔を上げると、その目は血に飢えた魔物のように真っ赤に光っていた。
「おいおい・・・理性が戻って来てるってのか?」
ただ操られているだけとは思えぬ動きに驚くガレウスだったが、彼も特有の肉体強化により瞬間的にアズールの力の目測を上回る強化を果たし迎え撃つ。
両手を合わせるように掴み合う二人。敵を倒すという単純な目的とは違い、本来の力を振るえずにいるガレウスに、容赦なく全力を注ぎ込むアズール。
「へッ!この声がお前に届いてるのかは知らねぇが、この俺と力比べでもする気かぁ!?いい機会だから教えてやるよ。パワーじゃ俺が上だってなぁ!!」
ガレウスはシンに言われた通り、見事にアズールの動きを封じている。その間にシンは、自分の身体をツクヨ達に預け、ロッシュの能力から習得した“操影“のスキルを放つ。
「それじゃ、俺の身体の事は頼んだ」
「あぁ、任せてくれ!」
海上戦で見せた時は、共に戦場にいたチン・シーの“リンク“する能力によりシンの身体を動かしていたが、“操影“のスキルは使用すると本人であるシンの身体は、魂のなくなった抜け殻のように動けなくなってしまう。
スキルの発動と同時に倒れそうになるシンの身体を受け止めるツクヨ。そして彼の影から地面を這うように小さな影が、アズールの元へと向かい、彼の影の中に溶け込んでいく。
0
お気に入りに追加
302
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる