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遅れてきた救援
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同時に、それまで目まぐるしい出来事に意識を繋ぎ止めていたアカリは、ふと力が抜けたのかその場に倒れ込んでしまう。
「おっおい!嬢ちゃん!?」
咄嗟に倒れるアカリの身体を抱える獣人の一人が、そのままゆっくりと彼女を楽な体勢にさせる。そして突然意識を失った彼女を心配し、呼吸と脈の確認をする。
心配そうに眺める他の獣人達に、彼は彼女から感じる命の鼓動が伝わってくることを教える。様々な面でアカリに命を救われた彼らは、彼女の無事を知り安堵する。
するとそこへ、ガレウスやミア達の元から離れてリナムルの様子を見に来ていたガルムと、ツバキの施設にいたガジェットを装備した獣人がやって来る。外観はそれほど襲撃の被害を受けている様には見えなかった様だが、中に入ってその炎で焼かれた室内を見て驚いていた。
「おいおい・・・何だこりゃぁ・・・一体何があった?」
「お前ら無事か?その人間はどうした?」
炎によって焼かれた事により床や壁には黒い煤が残っている。その事により付着していた血痕は見えなくなっていたが、彼らの鼻にはその匂いが嗅ぎ分けられるようで、ここでも凄惨な出来事があった事を察する。
「待ってくれ、そんな質問攻めをするな。俺達だって混乱してんだからよぉ・・・」
「とりあえず俺達は無事だ。この子のおかげでな」
「“この子“・・・?その人の子が助けてくれたと?」
焼けた施設に残っていた獣人達は、そこで何があったのかをガルム達に説明する。
獣の群れによる襲撃を受けた彼らは、順次肉体強化を行いこれを迎え撃つ。その際に、肉体強化によるデメリットを軽減する薬をアカリから受け取る事により、戦況は有利に運んでいたのだが、獣の一体が彼らと同じ肉体強化状態へと移行。
それにいち早く気がついた獣人の一人が、強化を阻止せんと飛び込み負傷する。何とか強化を中断させる事に成功するものの、群れの中に飛び込んだ彼はその場で獣達によって殺されてしまう。
彼の血肉を食らう獣の姿を見て、強いショックを受けたアカリ。そこへ彼女が連れていた鳥が獣の方へと向かって行き、突然光と炎を放つ謎の球体へと変わり、中から炎を纏った何者かが現れる。
その者の出現により、彼らを襲撃してきた獣達は一掃され、傷ついた彼らの傷も癒えるという不思議な出来事にあう。球体から現れた炎を纏う人物と、周囲を燃やしていた炎が消えるのと同時に、アカリは意識を失った。ここまでが彼らを襲った大まかな概要だ。
「そんなことが・・・」
「それで?彼女が無事なのは分かったが、肝心のその“鳥“とやらはどこへ行った?」
彼らを救った炎の何かを生み出したと推測する紅葉の所在について尋ねるガルム。そこで初めて、彼らも紅葉がいなくなってしまっていることに気がつく。
理解できぬことが次々に降り掛かり、それどころではなかった彼らも、ガルムに尋ねられるまでその事に気づかずにいたようだ。慌てて周囲を見渡していると、獣の強化を止めに入った獣人がやられた場所に、羽を閉じたまま倒れている紅葉がいた。
気付かぬうちに踏まぬよう、ガルム達にその場で止まるよう言い伝えると、紅葉がいる場所を指差し彼らにその存在を伝える。全く動かない様子から死んでしまっているのかとも思ったが、ガルムが実際に紅葉を拾い上げ間近で様子を見てみると、アカリと同様に気を失っているだけだということが分かった。
「無事だ、生きている」
「ふぅ・・・よかった。この子には命を救われた。目を覚ました時、その子がいなくなっていたのでは、また辛い思いをさせてしまう・・・」
「あぁ、これで一安心だ。俺、奥に行って薬が残ってないかどうか見てくる」
「あまり時間をかけるなよ?長居は危険だ。今リナムルは、お前達を襲った獣達によって包囲され、各所で襲撃を受けている。動ける者が各所の救援や応戦をしている状況だ。どこか守りの堅い場所に集まれるといいんだが・・・」
彼らは施設の中に残されている回復薬を持ち運べるだけ持ち出し、アカリと紅葉を抱えてその場を後にする。
各所で行われる戦いの気配を探り、獣達の存在が少なく戦いの気配の少ない方角にある建物を探すと、丁度良いところに守りが堅く構造がやや複雑な場所を見つける。
それはミア達人間を捕らえていた、獣人族がアジトとしていた巨大樹の中だった。奇しくもガルムが命を落としかけた場所が、今度は彼らを守る場所となるのか。救助した彼らを巨大樹の方へ導くガルム。
すると、他の場所からも避難してきていたのか、多くの獣人達が集まっていた。その中には見覚えのある人間達の姿もあった。
「おっおい!嬢ちゃん!?」
咄嗟に倒れるアカリの身体を抱える獣人の一人が、そのままゆっくりと彼女を楽な体勢にさせる。そして突然意識を失った彼女を心配し、呼吸と脈の確認をする。
心配そうに眺める他の獣人達に、彼は彼女から感じる命の鼓動が伝わってくることを教える。様々な面でアカリに命を救われた彼らは、彼女の無事を知り安堵する。
するとそこへ、ガレウスやミア達の元から離れてリナムルの様子を見に来ていたガルムと、ツバキの施設にいたガジェットを装備した獣人がやって来る。外観はそれほど襲撃の被害を受けている様には見えなかった様だが、中に入ってその炎で焼かれた室内を見て驚いていた。
「おいおい・・・何だこりゃぁ・・・一体何があった?」
「お前ら無事か?その人間はどうした?」
炎によって焼かれた事により床や壁には黒い煤が残っている。その事により付着していた血痕は見えなくなっていたが、彼らの鼻にはその匂いが嗅ぎ分けられるようで、ここでも凄惨な出来事があった事を察する。
「待ってくれ、そんな質問攻めをするな。俺達だって混乱してんだからよぉ・・・」
「とりあえず俺達は無事だ。この子のおかげでな」
「“この子“・・・?その人の子が助けてくれたと?」
焼けた施設に残っていた獣人達は、そこで何があったのかをガルム達に説明する。
獣の群れによる襲撃を受けた彼らは、順次肉体強化を行いこれを迎え撃つ。その際に、肉体強化によるデメリットを軽減する薬をアカリから受け取る事により、戦況は有利に運んでいたのだが、獣の一体が彼らと同じ肉体強化状態へと移行。
それにいち早く気がついた獣人の一人が、強化を阻止せんと飛び込み負傷する。何とか強化を中断させる事に成功するものの、群れの中に飛び込んだ彼はその場で獣達によって殺されてしまう。
彼の血肉を食らう獣の姿を見て、強いショックを受けたアカリ。そこへ彼女が連れていた鳥が獣の方へと向かって行き、突然光と炎を放つ謎の球体へと変わり、中から炎を纏った何者かが現れる。
その者の出現により、彼らを襲撃してきた獣達は一掃され、傷ついた彼らの傷も癒えるという不思議な出来事にあう。球体から現れた炎を纏う人物と、周囲を燃やしていた炎が消えるのと同時に、アカリは意識を失った。ここまでが彼らを襲った大まかな概要だ。
「そんなことが・・・」
「それで?彼女が無事なのは分かったが、肝心のその“鳥“とやらはどこへ行った?」
彼らを救った炎の何かを生み出したと推測する紅葉の所在について尋ねるガルム。そこで初めて、彼らも紅葉がいなくなってしまっていることに気がつく。
理解できぬことが次々に降り掛かり、それどころではなかった彼らも、ガルムに尋ねられるまでその事に気づかずにいたようだ。慌てて周囲を見渡していると、獣の強化を止めに入った獣人がやられた場所に、羽を閉じたまま倒れている紅葉がいた。
気付かぬうちに踏まぬよう、ガルム達にその場で止まるよう言い伝えると、紅葉がいる場所を指差し彼らにその存在を伝える。全く動かない様子から死んでしまっているのかとも思ったが、ガルムが実際に紅葉を拾い上げ間近で様子を見てみると、アカリと同様に気を失っているだけだということが分かった。
「無事だ、生きている」
「ふぅ・・・よかった。この子には命を救われた。目を覚ました時、その子がいなくなっていたのでは、また辛い思いをさせてしまう・・・」
「あぁ、これで一安心だ。俺、奥に行って薬が残ってないかどうか見てくる」
「あまり時間をかけるなよ?長居は危険だ。今リナムルは、お前達を襲った獣達によって包囲され、各所で襲撃を受けている。動ける者が各所の救援や応戦をしている状況だ。どこか守りの堅い場所に集まれるといいんだが・・・」
彼らは施設の中に残されている回復薬を持ち運べるだけ持ち出し、アカリと紅葉を抱えてその場を後にする。
各所で行われる戦いの気配を探り、獣達の存在が少なく戦いの気配の少ない方角にある建物を探すと、丁度良いところに守りが堅く構造がやや複雑な場所を見つける。
それはミア達人間を捕らえていた、獣人族がアジトとしていた巨大樹の中だった。奇しくもガルムが命を落としかけた場所が、今度は彼らを守る場所となるのか。救助した彼らを巨大樹の方へ導くガルム。
すると、他の場所からも避難してきていたのか、多くの獣人達が集まっていた。その中には見覚えのある人間達の姿もあった。
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