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散開、それぞれの役割
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一行はガルムによる索敵で得た情報を元に、最も近い場所で戦う獣人の元へ合流することになった。
先行するガルムを筆頭に、周囲に警戒しながら移動を開始。次第にミアやツクヨも戦闘の様子が窺えるくらいに、感覚が研ぎ澄まされていく。
これまでの彼らなら考えられない感覚。視界に対象者がいなくても、壁や遮蔽物があろうと、そこに何者かがいるという気配が、距離に応じて感覚だけでないく目視にも現れ始めた。
「誰か倒れてるな・・・」
「ミアにも見えてるのか」
「“も“?やはりコレは、アタシら本来のものじゃねぇって事だな?」
「うっ・・・それは・・・」
「分かってる。話せる時に話してくれればいい」
ミアが獣の力に勘づき始めた頃、丁度一つ目の戦場を見渡せるポジションへと到達する一行。獣人族の救出には、ガルムの行動と言葉が重要になる。
いきなり人間でああるミアやツクヨが駆けつけたのでは、助けたはずの獣人に背中から斬りつけられ兼ねない。
その為にも、まず先人を切って戦いの場に赴くのは、同じ獣人族のガルムをおいて他にいないだろう。
仲間の元へ駆けつけたガルムが、行動を共にするミア達が協力者であることを説明し説得する間、迫り来る凶暴化した獣を抑えておく役割が必要だった。
これは単純に足止め役という役割でもあるが、ガルムと共に行動していること、そして経緯はどうであれ、今は協力関係にあることを他の獣人族に見せつけるパフォーマンスの意味も含まれている。
如何に獣人族を守り立ち回るか。それが今、ミア達がこの難局を乗り越える為にとるべき行動と言えるだろう。
ガルムが自ら先陣を切ると言い出し、頃合いを見て手を貸してくれと言い残し、倒れる仲間の元へと向かっていった。
「そんじゃぁ、期待に応えてやるとしますか。アタシは見晴らしのいい所から狙撃でアシストする。悪いけどツクヨには二人のお守りを・・・」
「おいおい!足手まといにはならねぇよ。俺だって少しはやれるってとこ、見せてやるよ!」
すっかり本調子に戻ったツバキが息巻くのを見て、その威勢の良さに物怖じしていないのだと安堵したミアは、穏やかな表情で一息つくと、お前にも期待してると肩を叩き鼓舞する。
「あぁ、じゃぁアカリとツクヨのこと、頼んだぞ」
「おうよ!」
ミアはツバキから視線を移動させ、ツクヨの方を見る。どうやら彼もミアの意図を理解していたようだった。二人のことをツクヨに任せ、ミアは樹海の木々へ軽々と飛び乗り、狙撃に適したポジションを探しに向かう。
「さて、私達も気づかれぬよう近づこう。くれぐれも静かに・・・ね?」
「分かってる!そこまで馬鹿じゃねぇよ。なぁ?アカリ」
よもや目覚めてから間も無く、こんな危険な目に遭うとは思っても見なかったであろう彼女は、流石に不安を感じているのかやけに口数が少なかった。
それを心配したツバキが強引に話を振るが、アカリはどこか別のことに意識が向いているかのように集中できていない様子だった。
「え?・・・あっはい」
「やっぱり怖いかい?」
「いえ、その・・・それもあるんですけど・・・」
彼女は俯いて抱いている紅葉を心配そうに見ていた。そういえば先程から鳴き声も上げず、妙に静かであったことを思い出す一行。しかし、身体は落ち着いているようにゆっくりと伸縮し、呼吸しているのが分かる。
弱っている様子もなければ、まして異変があるような気配もないと、直接触れているアカリが言うのだ。何度か声をかけているのだが、それに対する反応は薄いのだと言う。
「とにかく、弱っている様子はないんだろ?なら行こうぜ」
「アカリ・・・すまないがツバキの言う通りだ。ガルムもミアも、既に行動に移っている。私達だけ足並みをズラす訳にはいかない。紅葉には悪いと思うが・・・」
「えぇ、大丈夫。私もそれがいいと思うので。大丈夫よ、紅葉・・・もう少しだけ待ってね?」
「・・・・・」
反応のない紅葉の頭を優しく撫で、一行はガルムが向かった倒れる獣人の元へと向かう。
彼らが最初に向かった戦場では、一人の獣人が木の麓で倒れており、もう一人の獣人が化け物と化した獣と戦っていた。だが、戦闘を行なっていた獣人も、ツクヨがガルムを見つけた時と同様に傷だらけになっていた。恐らく長くは保たないだろう。
ガルムは倒れる仲間に、協力してくれている人間が間も無くここへ来るから安心するようにと伝え、近づいてくるツクヨ達に合図を送る。
それを目にした彼らは、それまでゆっくりと気取られないように移動していたが、それを皮切りに一気に負傷した獣人の元へと駆けつける。
ミアはその様子を、戦場を見渡せる木の上で見ていた。無事にツクヨ達が負傷した獣人の元へ辿り着くのを見守ると、銃弾を込めたライフルを構え、獲物を刈り取る狩人のように、息を殺して狙いを定める。
先行するガルムを筆頭に、周囲に警戒しながら移動を開始。次第にミアやツクヨも戦闘の様子が窺えるくらいに、感覚が研ぎ澄まされていく。
これまでの彼らなら考えられない感覚。視界に対象者がいなくても、壁や遮蔽物があろうと、そこに何者かがいるという気配が、距離に応じて感覚だけでないく目視にも現れ始めた。
「誰か倒れてるな・・・」
「ミアにも見えてるのか」
「“も“?やはりコレは、アタシら本来のものじゃねぇって事だな?」
「うっ・・・それは・・・」
「分かってる。話せる時に話してくれればいい」
ミアが獣の力に勘づき始めた頃、丁度一つ目の戦場を見渡せるポジションへと到達する一行。獣人族の救出には、ガルムの行動と言葉が重要になる。
いきなり人間でああるミアやツクヨが駆けつけたのでは、助けたはずの獣人に背中から斬りつけられ兼ねない。
その為にも、まず先人を切って戦いの場に赴くのは、同じ獣人族のガルムをおいて他にいないだろう。
仲間の元へ駆けつけたガルムが、行動を共にするミア達が協力者であることを説明し説得する間、迫り来る凶暴化した獣を抑えておく役割が必要だった。
これは単純に足止め役という役割でもあるが、ガルムと共に行動していること、そして経緯はどうであれ、今は協力関係にあることを他の獣人族に見せつけるパフォーマンスの意味も含まれている。
如何に獣人族を守り立ち回るか。それが今、ミア達がこの難局を乗り越える為にとるべき行動と言えるだろう。
ガルムが自ら先陣を切ると言い出し、頃合いを見て手を貸してくれと言い残し、倒れる仲間の元へと向かっていった。
「そんじゃぁ、期待に応えてやるとしますか。アタシは見晴らしのいい所から狙撃でアシストする。悪いけどツクヨには二人のお守りを・・・」
「おいおい!足手まといにはならねぇよ。俺だって少しはやれるってとこ、見せてやるよ!」
すっかり本調子に戻ったツバキが息巻くのを見て、その威勢の良さに物怖じしていないのだと安堵したミアは、穏やかな表情で一息つくと、お前にも期待してると肩を叩き鼓舞する。
「あぁ、じゃぁアカリとツクヨのこと、頼んだぞ」
「おうよ!」
ミアはツバキから視線を移動させ、ツクヨの方を見る。どうやら彼もミアの意図を理解していたようだった。二人のことをツクヨに任せ、ミアは樹海の木々へ軽々と飛び乗り、狙撃に適したポジションを探しに向かう。
「さて、私達も気づかれぬよう近づこう。くれぐれも静かに・・・ね?」
「分かってる!そこまで馬鹿じゃねぇよ。なぁ?アカリ」
よもや目覚めてから間も無く、こんな危険な目に遭うとは思っても見なかったであろう彼女は、流石に不安を感じているのかやけに口数が少なかった。
それを心配したツバキが強引に話を振るが、アカリはどこか別のことに意識が向いているかのように集中できていない様子だった。
「え?・・・あっはい」
「やっぱり怖いかい?」
「いえ、その・・・それもあるんですけど・・・」
彼女は俯いて抱いている紅葉を心配そうに見ていた。そういえば先程から鳴き声も上げず、妙に静かであったことを思い出す一行。しかし、身体は落ち着いているようにゆっくりと伸縮し、呼吸しているのが分かる。
弱っている様子もなければ、まして異変があるような気配もないと、直接触れているアカリが言うのだ。何度か声をかけているのだが、それに対する反応は薄いのだと言う。
「とにかく、弱っている様子はないんだろ?なら行こうぜ」
「アカリ・・・すまないがツバキの言う通りだ。ガルムもミアも、既に行動に移っている。私達だけ足並みをズラす訳にはいかない。紅葉には悪いと思うが・・・」
「えぇ、大丈夫。私もそれがいいと思うので。大丈夫よ、紅葉・・・もう少しだけ待ってね?」
「・・・・・」
反応のない紅葉の頭を優しく撫で、一行はガルムが向かった倒れる獣人の元へと向かう。
彼らが最初に向かった戦場では、一人の獣人が木の麓で倒れており、もう一人の獣人が化け物と化した獣と戦っていた。だが、戦闘を行なっていた獣人も、ツクヨがガルムを見つけた時と同様に傷だらけになっていた。恐らく長くは保たないだろう。
ガルムは倒れる仲間に、協力してくれている人間が間も無くここへ来るから安心するようにと伝え、近づいてくるツクヨ達に合図を送る。
それを目にした彼らは、それまでゆっくりと気取られないように移動していたが、それを皮切りに一気に負傷した獣人の元へと駆けつける。
ミアはその様子を、戦場を見渡せる木の上で見ていた。無事にツクヨ達が負傷した獣人の元へ辿り着くのを見守ると、銃弾を込めたライフルを構え、獲物を刈り取る狩人のように、息を殺して狙いを定める。
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