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再びのギャング
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暫く悩んだ素振りを見せた後、ダラーヒムは何か思いついたかのように口を開いた。
「あぁ、何も知らないってこたぁねぇな。だが、タダでは教えられないなぁ。情報ってのは、それだけで価値のあるものもあるって訳だ」
「なるほどな・・・。それで?何をしたら教えてくれるって言うんだ?」
「話が早くて助かるぜぇ!俺がお前達に頼みたい事は、他でもない“ストレンジャーズ・サンクチュアリ“にある」
ダラーヒムの口から驚きの地名が飛び出した。それはまさに今、シン達が目指す場所であり、彼に直接どこにあるのか尋ねた場所だった。
だが、それなら初めから教えてくれても良さそうなものだが、そこには彼か或いはキングの事情が絡んでいるのかも知れない。
更に驚いたのは、ダラーヒムは研究者達が口にしていた隠語の方の地名で答えた事だ。何故彼がその名を知っていたのか。黒い噂のある研究所とキングの組織は繋がっているのだろうか。それなら尚更教えたくない事に違いない筈だが・・・。
「・・・驚いたな。まさか隠語の呼び方で呼ばれてる方を口にするとは・・・」
「隠語・・・?あぁ、そういやそうだったな。奴らもそんな事を口にしてたか」
「奴ら?アンタ、どこまで知ってるんだ?」
彼へ質問したことに、ミアは少しだけ焦りを感じていた。もしキングの組織が人体実験をしている研究者や、そのバックについている権力者達と繋がっているのなら、コソコソと嗅ぎ回っている者の存在は邪魔になる。
それを直接関係者に聞いてしまっては、確実に始末される対象となってしまう。最悪の場合、彼に報告される前に逆に始末しなければならない。そうなればキングも黙っていないだろう。
しかし、ミアのそんな心配はすぐに払われることになる。
考えてもみれば、キングは人身売買で捌かれる子供達を引き取り、新たな人生を送らせるような活動をしていた。レースの時に彼の船に乗っていたのは、その大半が元奴隷であった少年少女達だったのだから。
彼の良心に救われた子供達の中には、進んでキングの為に働きたいと願い出る者さえいた。その中には、シンと共にキング暗殺へと赴いたデイヴィスの妹もいた。
再会を果たした兄妹だったが、その結果は・・・。だが少なくとも、デイヴィスの妹はキングに救われたことで、酷い扱いを受ける人生から逃れることが出来た。
自分で人生を決めることすら出来ない子供達を、キングはその力と権力で解放しているような人間だ。そんな彼が、人体実験に使われる子供達の事を知ったら、協力する筈がない。
「どこまで知ってるのか聞きてぇのはこっちだよ。あそこでは色々と黒い噂があってな。ウチのボスの耳にもそれが入ってきたんだ」
「キングの耳に?彼はなんて・・・」
思わず話に割って入って来たのはシンだった。なんの因果か、度々遭遇することの多かったシンとキング。その内、シンの中でも彼に対する認識というものも、大きく変わり始めた。
グラン・ヴァーグの酒場で出会った時から、元々食えぬ男ではあったが、その印象が大きく変わったのは、デイヴィスと共に彼の船に乗り込んだ時だった。
海賊というものをやっている以上、当然黒い噂や悪行紛いのこともやってきたことだろ。それに彼は海賊だけでなく、ギャングとしての側面も持っていた。寧ろギャングのボスとしてのキングが本当の彼の姿であったのかもしれない。
「ボスはあぁいうお方だ。そこでどんな事が行われてるのか知った時、すぐに根回しをしようとしたそうだ。だが、ボスの手を回すのも難しかったらしい・・・。それに、そこで行われてる事には、あの“アークシティ“の重要人物が関与してるって噂だ」
「ッ!!」
彼の口からアークシティの名が出たことに、驚きを隠せなかったシン達。それだけ大きな都市であるのなら、キング達が知らないはずもないだろうが、まさかキングがそのアークシティに絡んでくるとは思ってもみなかっただろう。
「流石のボスでも、慎重にならざるを得ない相手らしくてな・・・。それで俺も木材の調達がてら、調査と偵察をしに来たって訳だ」
「キングが簡単に動き出せない程の相手なのか?」
「そりゃぁそうさ!なんつったってアークシティと言えば、しらねぇ奴はいねぇ程、最新鋭最先端をいく技術の大都市だぜ?そんなモン、敵に回したくねぇだろうが」
ダラーヒムの言うことは最もだった。最新鋭の技術力を誇る、ファンタジー世界における未来都市くらいの想像をしていたシン達だったが、その実彼らの知るWoFでの未来都市とは大きくかけ離れた存在へと変わっているようだった。
「そこでお前達の出番って訳だ。ボスは表立って動けねぇし、根回しも出来ねぇ・・・。正直なところ、俺もあまり余計なことは出来ねぇ立場にある。下手をすりゃぁボスの顔に泥を塗りかねないからな」
「それで俺らになんとかしてもらおうと・・・」
「あのなぁ、そんな話されてはいそうですかとはならないだろ!?」
ミアはダラーヒムの話を聞いて、思わず立ち上がり苛立ちをあらわにする。自分達で何とかして情報を集めようとしていた場所を教えてもらうだけで、何故彼らに利用されるような身にならなければいけないのか。
アークシティの力がどれ程のものなのかを測るのには十分だったが、とてもそれだけではダラーヒムとの取引に応じる気にはなれなかった。
「あぁ、何も知らないってこたぁねぇな。だが、タダでは教えられないなぁ。情報ってのは、それだけで価値のあるものもあるって訳だ」
「なるほどな・・・。それで?何をしたら教えてくれるって言うんだ?」
「話が早くて助かるぜぇ!俺がお前達に頼みたい事は、他でもない“ストレンジャーズ・サンクチュアリ“にある」
ダラーヒムの口から驚きの地名が飛び出した。それはまさに今、シン達が目指す場所であり、彼に直接どこにあるのか尋ねた場所だった。
だが、それなら初めから教えてくれても良さそうなものだが、そこには彼か或いはキングの事情が絡んでいるのかも知れない。
更に驚いたのは、ダラーヒムは研究者達が口にしていた隠語の方の地名で答えた事だ。何故彼がその名を知っていたのか。黒い噂のある研究所とキングの組織は繋がっているのだろうか。それなら尚更教えたくない事に違いない筈だが・・・。
「・・・驚いたな。まさか隠語の呼び方で呼ばれてる方を口にするとは・・・」
「隠語・・・?あぁ、そういやそうだったな。奴らもそんな事を口にしてたか」
「奴ら?アンタ、どこまで知ってるんだ?」
彼へ質問したことに、ミアは少しだけ焦りを感じていた。もしキングの組織が人体実験をしている研究者や、そのバックについている権力者達と繋がっているのなら、コソコソと嗅ぎ回っている者の存在は邪魔になる。
それを直接関係者に聞いてしまっては、確実に始末される対象となってしまう。最悪の場合、彼に報告される前に逆に始末しなければならない。そうなればキングも黙っていないだろう。
しかし、ミアのそんな心配はすぐに払われることになる。
考えてもみれば、キングは人身売買で捌かれる子供達を引き取り、新たな人生を送らせるような活動をしていた。レースの時に彼の船に乗っていたのは、その大半が元奴隷であった少年少女達だったのだから。
彼の良心に救われた子供達の中には、進んでキングの為に働きたいと願い出る者さえいた。その中には、シンと共にキング暗殺へと赴いたデイヴィスの妹もいた。
再会を果たした兄妹だったが、その結果は・・・。だが少なくとも、デイヴィスの妹はキングに救われたことで、酷い扱いを受ける人生から逃れることが出来た。
自分で人生を決めることすら出来ない子供達を、キングはその力と権力で解放しているような人間だ。そんな彼が、人体実験に使われる子供達の事を知ったら、協力する筈がない。
「どこまで知ってるのか聞きてぇのはこっちだよ。あそこでは色々と黒い噂があってな。ウチのボスの耳にもそれが入ってきたんだ」
「キングの耳に?彼はなんて・・・」
思わず話に割って入って来たのはシンだった。なんの因果か、度々遭遇することの多かったシンとキング。その内、シンの中でも彼に対する認識というものも、大きく変わり始めた。
グラン・ヴァーグの酒場で出会った時から、元々食えぬ男ではあったが、その印象が大きく変わったのは、デイヴィスと共に彼の船に乗り込んだ時だった。
海賊というものをやっている以上、当然黒い噂や悪行紛いのこともやってきたことだろ。それに彼は海賊だけでなく、ギャングとしての側面も持っていた。寧ろギャングのボスとしてのキングが本当の彼の姿であったのかもしれない。
「ボスはあぁいうお方だ。そこでどんな事が行われてるのか知った時、すぐに根回しをしようとしたそうだ。だが、ボスの手を回すのも難しかったらしい・・・。それに、そこで行われてる事には、あの“アークシティ“の重要人物が関与してるって噂だ」
「ッ!!」
彼の口からアークシティの名が出たことに、驚きを隠せなかったシン達。それだけ大きな都市であるのなら、キング達が知らないはずもないだろうが、まさかキングがそのアークシティに絡んでくるとは思ってもみなかっただろう。
「流石のボスでも、慎重にならざるを得ない相手らしくてな・・・。それで俺も木材の調達がてら、調査と偵察をしに来たって訳だ」
「キングが簡単に動き出せない程の相手なのか?」
「そりゃぁそうさ!なんつったってアークシティと言えば、しらねぇ奴はいねぇ程、最新鋭最先端をいく技術の大都市だぜ?そんなモン、敵に回したくねぇだろうが」
ダラーヒムの言うことは最もだった。最新鋭の技術力を誇る、ファンタジー世界における未来都市くらいの想像をしていたシン達だったが、その実彼らの知るWoFでの未来都市とは大きくかけ離れた存在へと変わっているようだった。
「そこでお前達の出番って訳だ。ボスは表立って動けねぇし、根回しも出来ねぇ・・・。正直なところ、俺もあまり余計なことは出来ねぇ立場にある。下手をすりゃぁボスの顔に泥を塗りかねないからな」
「それで俺らになんとかしてもらおうと・・・」
「あのなぁ、そんな話されてはいそうですかとはならないだろ!?」
ミアはダラーヒムの話を聞いて、思わず立ち上がり苛立ちをあらわにする。自分達で何とかして情報を集めようとしていた場所を教えてもらうだけで、何故彼らに利用されるような身にならなければいけないのか。
アークシティの力がどれ程のものなのかを測るのには十分だったが、とてもそれだけではダラーヒムとの取引に応じる気にはなれなかった。
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