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貴重な情報源
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「なぁ、大丈夫なのか?あんなのと一緒にいて・・・」
「ん?まぁ・・・大丈夫だろう。それに、情報通のキングの部下だ。アタシらでは知り得ない情報だって持ってるかも知れない。何より腕も立つしな」
ツバキが心配するのも無理もない。今は敵ではないとはいえ、彼は略奪や暴力で海を荒らす海賊であり、さらにはキングの元、大陸で裏家業も請け負うギャングの一員なのだ。
シンやミア達のように、この世界の住人ではないWoFユーザーにとってはクラスの一つくらいにしか思わないだろうが、実際は漁を行う船や荷物を運ぶ貨物船などを襲撃するような、強盗行為を日常的に行う恐ろしい存在なはず。
港街で造船技師として働いていたツバキは、海賊というものをより身近で見てきた。ウィリアム本人が海賊として名を馳せており、三大海賊の中でも最も大規模な船団を率いるエイヴリーとも顔が効くこともあり、その刃を向けられることはなかったが、グラン・ヴァーグの街では海賊の粗暴な行いが目立っていた。
だが、ミアの言うことも一理ある。彼らはオルレラの研究員であったオスカーの情報を元に、本当にあるのかさえ分からない場所を目指している。それこそ、手掛かりになるであろう近隣の街リナムルを調べるにも、一つの街で情報収集を行わなければならない程だ。
探しているのが街や国であるならまだいい。だが、ストレンジャーズ・サンクチュアリや、グリム・クランプという名に関しては、一切の情報を得ることが出来なかった。
アークシティが関与しているであろう、非人道的な研究を行なっている研究所ともなれば、通常のルートで情報を集めるのは難しい。
しかし、裏家業を生業とするギャングであり、大国の貴族や一部の政府の人間とも繋がりがあるとされているキングであれば、その辺りの黒い噂について何か知っている可能性は大いにある。
「考えてもみろ。お前がオスカーとやらに言われた場所ってのは、公に出来ないような事をしてる研究所だろ?そんなもの、普通に聞いて情報が集まるような場所じゃないだろ」
「それは・・・」
「そこへ、だ。裏の事情にも詳しいだろう情報通のキングの部下が現れたんだ。これを利用しない手はないだろう」
「そうか・・・そうだよな。正攻法でなるべく安全に、なんて甘えられないよな」
ツバキの言う、危険を回避しなるべくトラブルを起こさぬよう巻き込まれぬよう用心するのは、決して悪いことではなく、寧ろミアも賛同する部分も多かったが、自ら命を狙われかねない案件に足を踏み入れようと言うのだ。そんな綺麗事ですむ筈もないだろう。
「お前はそんなこと心配しなくていい。そう言うのは、アタシらのする事だ。それに、誰もオスカーって奴の願いをないがしろにするつもりはねぇだろうしな」
ミアの励ましに、ツバキは黙って小さく頷いた。
彼女の言うように、彼らは誰一人子供達を使った人体実験を行う者達のことを放っておくつもりはなかった。
元々、女子供が悲惨な目に遭うことに対し、一種のトラウマのようなものを抱えているツクヨが、それを聞いて黙っている筈もなく、シンに関しても現実世界で受けた仕打ちや辛い経験から、その時最も欲しかった救いの手を、自ら差し伸べられるようになりたいと変わり始めた。そんな彼らが協力を拒むなど、それこそあり得ない話だ。
「あ・・・あのぉ・・・」
「ん?おぉ、これはこれはお嬢さん。俺に何かようかな?」
ツバキとミアが、ダラーヒムのことに関してこっそり話していると、アカリがそのダラーヒムの元へと近づいていき、声を掛けていた。彼女にとっては、ミア達以外で初めて自ら声を掛ける相手だった。
「みっ皆さんとお知り合いだったのですね。私、“アカリ“と申します。こっちは“紅葉“と言います」
そう言って、胸に抱えた赤い鳥を見せると、紅葉も元気そうに挨拶がわりの鳴き声を披露した。
「これはご丁寧に。俺は“ダラーヒム“と言う者で、こんな形だが植物学者をしている。目的地が同じだったもんでな、それまで同行するすることになった。よろしくな、アカリちゃん」
何故自分がギャングであり海賊であることを隠し、アカリに嘘をつくのか納得のいかなかったツバキはダラーヒムに突っかかろうとするが、すかさずミアが彼を止めて宥めた。
「なッなんでッ・・・!?」
「まぁ待て。今はこの方がお互いに都合がいい・・・」
ギャングや海賊がどう言うものなのか、アカリに今説明するのも手間でありそれを知ることで彼女を怖がらせてしまうかも知れないと思い、ミアはダラーヒムのついた嘘に便乗することを選んだ。
「なぁ、ダラーヒム。アンタに少し聞きたいことがあるんだ」
「何だ?俺に答えられるものなら答えよう」
「アンタらはその、リナムルの周辺地域に詳しいのか?」
「どうだろうな・・・。現地の人間達に比べれば情報の鮮度は落ちるだろうが、それなりには調べてきたつもりだが」
「アタシらがリナムルへ行くのは、ある場所について調べる為なんだ」
「ある場所?」
「グリム・クランプって場所に聞き覚えはないか?ストレンジャーズ・サンクチュアリでもいい」
ミアは周りくどい前置きは抜きにして、直接本題へと入る。ギャングとして裏の世界に通じる彼らなら、人体実験という非人道的な研究についても何か知っているのではないか。
そして研究員達の使う隠語についても、聞き覚えがあってもおかしくない。寧ろ、彼らほど情報に詳しそうな人材を今のミア達は知らない。
ミアの質問に対し、ダラーヒムは知ってか知らずか、少し悩んだ様子を見せる。恐らく言葉を選んでいるのだろう。話してもいい事と話せない事があるのか、全く何も知らないという雰囲気ではないのは確かなようだ。
「ん?まぁ・・・大丈夫だろう。それに、情報通のキングの部下だ。アタシらでは知り得ない情報だって持ってるかも知れない。何より腕も立つしな」
ツバキが心配するのも無理もない。今は敵ではないとはいえ、彼は略奪や暴力で海を荒らす海賊であり、さらにはキングの元、大陸で裏家業も請け負うギャングの一員なのだ。
シンやミア達のように、この世界の住人ではないWoFユーザーにとってはクラスの一つくらいにしか思わないだろうが、実際は漁を行う船や荷物を運ぶ貨物船などを襲撃するような、強盗行為を日常的に行う恐ろしい存在なはず。
港街で造船技師として働いていたツバキは、海賊というものをより身近で見てきた。ウィリアム本人が海賊として名を馳せており、三大海賊の中でも最も大規模な船団を率いるエイヴリーとも顔が効くこともあり、その刃を向けられることはなかったが、グラン・ヴァーグの街では海賊の粗暴な行いが目立っていた。
だが、ミアの言うことも一理ある。彼らはオルレラの研究員であったオスカーの情報を元に、本当にあるのかさえ分からない場所を目指している。それこそ、手掛かりになるであろう近隣の街リナムルを調べるにも、一つの街で情報収集を行わなければならない程だ。
探しているのが街や国であるならまだいい。だが、ストレンジャーズ・サンクチュアリや、グリム・クランプという名に関しては、一切の情報を得ることが出来なかった。
アークシティが関与しているであろう、非人道的な研究を行なっている研究所ともなれば、通常のルートで情報を集めるのは難しい。
しかし、裏家業を生業とするギャングであり、大国の貴族や一部の政府の人間とも繋がりがあるとされているキングであれば、その辺りの黒い噂について何か知っている可能性は大いにある。
「考えてもみろ。お前がオスカーとやらに言われた場所ってのは、公に出来ないような事をしてる研究所だろ?そんなもの、普通に聞いて情報が集まるような場所じゃないだろ」
「それは・・・」
「そこへ、だ。裏の事情にも詳しいだろう情報通のキングの部下が現れたんだ。これを利用しない手はないだろう」
「そうか・・・そうだよな。正攻法でなるべく安全に、なんて甘えられないよな」
ツバキの言う、危険を回避しなるべくトラブルを起こさぬよう巻き込まれぬよう用心するのは、決して悪いことではなく、寧ろミアも賛同する部分も多かったが、自ら命を狙われかねない案件に足を踏み入れようと言うのだ。そんな綺麗事ですむ筈もないだろう。
「お前はそんなこと心配しなくていい。そう言うのは、アタシらのする事だ。それに、誰もオスカーって奴の願いをないがしろにするつもりはねぇだろうしな」
ミアの励ましに、ツバキは黙って小さく頷いた。
彼女の言うように、彼らは誰一人子供達を使った人体実験を行う者達のことを放っておくつもりはなかった。
元々、女子供が悲惨な目に遭うことに対し、一種のトラウマのようなものを抱えているツクヨが、それを聞いて黙っている筈もなく、シンに関しても現実世界で受けた仕打ちや辛い経験から、その時最も欲しかった救いの手を、自ら差し伸べられるようになりたいと変わり始めた。そんな彼らが協力を拒むなど、それこそあり得ない話だ。
「あ・・・あのぉ・・・」
「ん?おぉ、これはこれはお嬢さん。俺に何かようかな?」
ツバキとミアが、ダラーヒムのことに関してこっそり話していると、アカリがそのダラーヒムの元へと近づいていき、声を掛けていた。彼女にとっては、ミア達以外で初めて自ら声を掛ける相手だった。
「みっ皆さんとお知り合いだったのですね。私、“アカリ“と申します。こっちは“紅葉“と言います」
そう言って、胸に抱えた赤い鳥を見せると、紅葉も元気そうに挨拶がわりの鳴き声を披露した。
「これはご丁寧に。俺は“ダラーヒム“と言う者で、こんな形だが植物学者をしている。目的地が同じだったもんでな、それまで同行するすることになった。よろしくな、アカリちゃん」
何故自分がギャングであり海賊であることを隠し、アカリに嘘をつくのか納得のいかなかったツバキはダラーヒムに突っかかろうとするが、すかさずミアが彼を止めて宥めた。
「なッなんでッ・・・!?」
「まぁ待て。今はこの方がお互いに都合がいい・・・」
ギャングや海賊がどう言うものなのか、アカリに今説明するのも手間でありそれを知ることで彼女を怖がらせてしまうかも知れないと思い、ミアはダラーヒムのついた嘘に便乗することを選んだ。
「なぁ、ダラーヒム。アンタに少し聞きたいことがあるんだ」
「何だ?俺に答えられるものなら答えよう」
「アンタらはその、リナムルの周辺地域に詳しいのか?」
「どうだろうな・・・。現地の人間達に比べれば情報の鮮度は落ちるだろうが、それなりには調べてきたつもりだが」
「アタシらがリナムルへ行くのは、ある場所について調べる為なんだ」
「ある場所?」
「グリム・クランプって場所に聞き覚えはないか?ストレンジャーズ・サンクチュアリでもいい」
ミアは周りくどい前置きは抜きにして、直接本題へと入る。ギャングとして裏の世界に通じる彼らなら、人体実験という非人道的な研究についても何か知っているのではないか。
そして研究員達の使う隠語についても、聞き覚えがあってもおかしくない。寧ろ、彼らほど情報に詳しそうな人材を今のミア達は知らない。
ミアの質問に対し、ダラーヒムは知ってか知らずか、少し悩んだ様子を見せる。恐らく言葉を選んでいるのだろう。話してもいい事と話せない事があるのか、全く何も知らないという雰囲気ではないのは確かなようだ。
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