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アークシティ概要
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アーティフィシャル・アーク、通称アークシティ。
そこは、最新鋭の科学力・技術力を有した世界で最も進んだ日々を過ごせる、快適で理想的な国家であり、大地から離れた上空に作られた巨大都市をベースに、四つの地区に分かれて構成されている。
北西に位置するメディキーナ地区では、医療や医学に関する研究や実験が盛んに行われており、人々を怪我や病気の恐怖から解放するサービスが充実している。
北東に位置するのは、化学を中心に研究するケミア地区。世界中のありとあらゆる物質の構造や性質を研究する地区であり、人々の暮らしに関する住居や乗り物、日用品から生活必需品まで、様々な分野に通じる重要な研究を行なっている。
南西の地区には、魔法や術を研究する魔力学に基づいた研究をメインに行うマギーア地区がある。そこでは魔力の他にも、様々なエネルギーの研究が行われており、自然現象や人為的に起こすものによって、独自のエネルギー生成を目的とし、限りある資源に頼らないエネルギーサイクルを構築する研究が行われている。
そして最後の南東には、世界に蔓延る魔物や他国との抗争に備えた兵器開発を主とした研究を行う、テールム地区が設けられている。ここでは武具や兵器のみならず、環境の保護や人々の生活をより豊かにする物の研究・開発が行われている。
これら四つの地区は、それぞれの得意分野を用いた生活水準を誇り、互いに協力し合いながらアークシティ全体を支えている。
各地区には、それぞれ国の王のように地区全体をまとめる皇帝が存在しており、アークシティは一人の王ではなく四人の皇帝によって統治されている。
故に、一人の采配で国を動かすことはなく、全員の意思の一致により物事が可決されるシステムを構築している。
その為、各地区では皇帝となるべくして生まれた名家や名門があり、古くから優秀な血筋から後継者が選ばれ抜擢されている。しかし、そうでならなければならない法はなく、地区に住まう多くの者達の指示や推薦があれば、地位や名誉によらず皇帝になることも可能となっている。
オルレラに訪れたニコラという修復士は、そんなアークシティで化学の分野を担当している“ケミア地区“からやって来た研究員の一人だったようだ。
「まぁ要するに、四つの分野に分かれて研究している国だって事だ。かと言って、別にそれぞれが独立している訳でもなく、街並みはそんなに変わらねぇ。だからアークシティなんて呼ばれることもあるんだ。不本意に思う連中のいるがな」
「そんなに大きな国なのか・・・。“シティ“なんて呼ぶものだから、大きな都市くらいに思っていたが・・・。聖都とどっちが広いんですか?」
「聖都?・・・あぁ、ユスティーチか?規模としては、あれが一つの地区だと思ってればそんなに違わねぇ筈だ」
「えッ!?そんなに大きな都市なんですか!?」
ツクヨがWoFの世界へ転生した聖都ユスティーチ。そこは聖騎士達によって守られた堅牢な大都市だったが、それが四つも集まってできているのが、ニコラの言うアークシティの全貌だった。
あまりにも大規模な街並みを想像したツクヨは、その話だけで景色に酔ってしまいそうになるほど驚愕した。確かにそれなら、世界の内でも最新鋭の技術力を誇る国だと言われても、納得がいくというものだ。
それだけ大きな国と技術力を持ってすればあれば、黒いコートの者達についての情報も集まるかも知れない。それに、グラン・ヴァーグでの開会式でその男が口にした、“異世界“へ行けるというポータルについても情報が得られる可能性が出てきた。
「しかし、そんなところの修復士が、なんでオルレラの大穴の調査に?何か特別な物でもあるんですか?」
ツクヨの言うように、それだけの技術力があればわざわざ人を遣さなくても、調査結果やそれこそカメラのような映像記録のできる機器を用いれば、もっと簡単に確実な調査が行えそうなものだ。
「あの穴は“訳あり“でね・・・。アークシティ全体の研究の一環である、宇宙計画に関わるものなんだ」
ニコラの口から飛び出した“宇宙計画“と言う言葉。それは、オルレラの資料館にてミアが目にした記事のことと類似していた。その研究の一環というのが、資料館にあった記事と時期が一致しているかどうか定かではないが、それ以降の記事はオルレラの資料館には保管されていなかった。
「宇宙計画・・・。“こちら“の世界にも宇宙が存在するのか・・・?」
小さく漏れたツクヨの言葉に、ニコラは眉をひそめる。ツクヨにとっては、現実世界の宇宙というものと、WoFという世界にある宇宙が同じものであるかどうかという疑問があり、ニコラには彼の口にした“こちらの世界“という言葉に疑問を持った。
酒の席のことで、何かの言い間違いや別の言い回しだったのかも知れない。だが、それでもニコラは彼の口にした世迷言のような言葉を聞き逃さなかった。
「“こちら“の世界・・・?君は何処から来たというのだね?」
「あっ・・・。えっと・・・聖都を訪れた時に書物で読んだんです!この世界は宇宙にある星の一つでしかないという、まるでお伽話や神話の類のような話でしたが・・・」
咄嗟に思い付いた言い訳にしては、上手くいった方ではないかと安堵するツクヨ。実際、ニコラもその手の話を知っていたようで、怪しむ視線を解いてくれた。
「なるほど。確かに宇宙と聞いて、夢物語と思う者も多いのかも知れない。しかし、最近のアークシティの研究で、空の果てには宇宙と呼ばれる空間が存在していたとされている」
やはりミアの見つけた記事にあったように、宇宙を目指すロケットの開発は実際に行われていたようだ。ニコラだけの発言ではまだ確証は得られないが、それでもそういった話が出てくるということは、宇宙空間を目にしたことがあるということなのだろう。
「この世界が“世界の全て“だと思い込んでいただけで、宇宙にはこの世界と似た世界が幾つも存在するかも知れない。宇宙というものを見つけ、他の惑星や星を見つけることで、夢や幻想は現実のものとなりつつあるのかも知れない」
ニコラの言葉は、ルーカス達のようにWoFに暮らす者達にとって信じ難いものなのかも知れないが、ツクヨにとってはとても現実的な話であり、同時に浪漫を感じるような話でもあった。
こうして現実世界の悲劇から“異変“に巻き込まれ、別の世界であるWoFの世界を知ってしまったツクヨには、これもただのゲームや作り物の世界なんかではなく、彼のいう宇宙にある果てしない数の星の内の一つなのではないだろうか。
何処か別の世界に妻や愛娘はおり、何かをきっかけに元の世界へ戻ってくるかも知れない。初めにこちらの世界へ訪れた時のことを思い出したツクヨは、酒に酔ったせいもあるのか、そこから一気に口数を減らしてしまった。
そこは、最新鋭の科学力・技術力を有した世界で最も進んだ日々を過ごせる、快適で理想的な国家であり、大地から離れた上空に作られた巨大都市をベースに、四つの地区に分かれて構成されている。
北西に位置するメディキーナ地区では、医療や医学に関する研究や実験が盛んに行われており、人々を怪我や病気の恐怖から解放するサービスが充実している。
北東に位置するのは、化学を中心に研究するケミア地区。世界中のありとあらゆる物質の構造や性質を研究する地区であり、人々の暮らしに関する住居や乗り物、日用品から生活必需品まで、様々な分野に通じる重要な研究を行なっている。
南西の地区には、魔法や術を研究する魔力学に基づいた研究をメインに行うマギーア地区がある。そこでは魔力の他にも、様々なエネルギーの研究が行われており、自然現象や人為的に起こすものによって、独自のエネルギー生成を目的とし、限りある資源に頼らないエネルギーサイクルを構築する研究が行われている。
そして最後の南東には、世界に蔓延る魔物や他国との抗争に備えた兵器開発を主とした研究を行う、テールム地区が設けられている。ここでは武具や兵器のみならず、環境の保護や人々の生活をより豊かにする物の研究・開発が行われている。
これら四つの地区は、それぞれの得意分野を用いた生活水準を誇り、互いに協力し合いながらアークシティ全体を支えている。
各地区には、それぞれ国の王のように地区全体をまとめる皇帝が存在しており、アークシティは一人の王ではなく四人の皇帝によって統治されている。
故に、一人の采配で国を動かすことはなく、全員の意思の一致により物事が可決されるシステムを構築している。
その為、各地区では皇帝となるべくして生まれた名家や名門があり、古くから優秀な血筋から後継者が選ばれ抜擢されている。しかし、そうでならなければならない法はなく、地区に住まう多くの者達の指示や推薦があれば、地位や名誉によらず皇帝になることも可能となっている。
オルレラに訪れたニコラという修復士は、そんなアークシティで化学の分野を担当している“ケミア地区“からやって来た研究員の一人だったようだ。
「まぁ要するに、四つの分野に分かれて研究している国だって事だ。かと言って、別にそれぞれが独立している訳でもなく、街並みはそんなに変わらねぇ。だからアークシティなんて呼ばれることもあるんだ。不本意に思う連中のいるがな」
「そんなに大きな国なのか・・・。“シティ“なんて呼ぶものだから、大きな都市くらいに思っていたが・・・。聖都とどっちが広いんですか?」
「聖都?・・・あぁ、ユスティーチか?規模としては、あれが一つの地区だと思ってればそんなに違わねぇ筈だ」
「えッ!?そんなに大きな都市なんですか!?」
ツクヨがWoFの世界へ転生した聖都ユスティーチ。そこは聖騎士達によって守られた堅牢な大都市だったが、それが四つも集まってできているのが、ニコラの言うアークシティの全貌だった。
あまりにも大規模な街並みを想像したツクヨは、その話だけで景色に酔ってしまいそうになるほど驚愕した。確かにそれなら、世界の内でも最新鋭の技術力を誇る国だと言われても、納得がいくというものだ。
それだけ大きな国と技術力を持ってすればあれば、黒いコートの者達についての情報も集まるかも知れない。それに、グラン・ヴァーグでの開会式でその男が口にした、“異世界“へ行けるというポータルについても情報が得られる可能性が出てきた。
「しかし、そんなところの修復士が、なんでオルレラの大穴の調査に?何か特別な物でもあるんですか?」
ツクヨの言うように、それだけの技術力があればわざわざ人を遣さなくても、調査結果やそれこそカメラのような映像記録のできる機器を用いれば、もっと簡単に確実な調査が行えそうなものだ。
「あの穴は“訳あり“でね・・・。アークシティ全体の研究の一環である、宇宙計画に関わるものなんだ」
ニコラの口から飛び出した“宇宙計画“と言う言葉。それは、オルレラの資料館にてミアが目にした記事のことと類似していた。その研究の一環というのが、資料館にあった記事と時期が一致しているかどうか定かではないが、それ以降の記事はオルレラの資料館には保管されていなかった。
「宇宙計画・・・。“こちら“の世界にも宇宙が存在するのか・・・?」
小さく漏れたツクヨの言葉に、ニコラは眉をひそめる。ツクヨにとっては、現実世界の宇宙というものと、WoFという世界にある宇宙が同じものであるかどうかという疑問があり、ニコラには彼の口にした“こちらの世界“という言葉に疑問を持った。
酒の席のことで、何かの言い間違いや別の言い回しだったのかも知れない。だが、それでもニコラは彼の口にした世迷言のような言葉を聞き逃さなかった。
「“こちら“の世界・・・?君は何処から来たというのだね?」
「あっ・・・。えっと・・・聖都を訪れた時に書物で読んだんです!この世界は宇宙にある星の一つでしかないという、まるでお伽話や神話の類のような話でしたが・・・」
咄嗟に思い付いた言い訳にしては、上手くいった方ではないかと安堵するツクヨ。実際、ニコラもその手の話を知っていたようで、怪しむ視線を解いてくれた。
「なるほど。確かに宇宙と聞いて、夢物語と思う者も多いのかも知れない。しかし、最近のアークシティの研究で、空の果てには宇宙と呼ばれる空間が存在していたとされている」
やはりミアの見つけた記事にあったように、宇宙を目指すロケットの開発は実際に行われていたようだ。ニコラだけの発言ではまだ確証は得られないが、それでもそういった話が出てくるということは、宇宙空間を目にしたことがあるということなのだろう。
「この世界が“世界の全て“だと思い込んでいただけで、宇宙にはこの世界と似た世界が幾つも存在するかも知れない。宇宙というものを見つけ、他の惑星や星を見つけることで、夢や幻想は現実のものとなりつつあるのかも知れない」
ニコラの言葉は、ルーカス達のようにWoFに暮らす者達にとって信じ難いものなのかも知れないが、ツクヨにとってはとても現実的な話であり、同時に浪漫を感じるような話でもあった。
こうして現実世界の悲劇から“異変“に巻き込まれ、別の世界であるWoFの世界を知ってしまったツクヨには、これもただのゲームや作り物の世界なんかではなく、彼のいう宇宙にある果てしない数の星の内の一つなのではないだろうか。
何処か別の世界に妻や愛娘はおり、何かをきっかけに元の世界へ戻ってくるかも知れない。初めにこちらの世界へ訪れた時のことを思い出したツクヨは、酒に酔ったせいもあるのか、そこから一気に口数を減らしてしまった。
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