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オルレラの記事
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彼の腕には機械のアームが取り付けられており、伸びていた部分が戻る。伸縮する腕は、子供が故の非力さや射程の短さを補う機能を携え、生身でも十分過ぎるほどの怪力を実現させていた。
「こっから反撃開始だぜ・・・!」
これまでの危機的な状況の時とは打って変わり、自信満々の表情を携えて現れたツバキは、直後常人ならざる速度でソウルリーパーの懐にまで飛び込んでいくと、引っ込めた腕のアームに力を込める。
ツバキの踏み込みは、宛らチン・シー海賊団のハオランを彷彿とさせる素早い動きだった。それを可能にしていたのも、彼の発明したガジェットのおかげだった。
腕だけではなく、彼の足にもガジェットが付いており、常人ではなし得ない蹴り出す力を再現していたのだ。
これらのガジェットに用いているのは、彼が地下の部屋で探し当てた魔石による動力だった。
魔石に集められた魔力を抽出し、電気へ変換させて起動する仕組みになっている。当然、動力源である魔石の魔力がなくなれば使用できなくなり、ただ重いだけのお荷物になってしまう。
だがこれはあくまで、電力やガスによるエネルギーや動力源がない時の代物であり、要は乾電池で動く玩具と同じ。魔石がなくなれば、次の魔石を補充するというガジェットなのだ。
「テメェらの性質も対策済みだぜ?覚悟しろよなぁッ!?」
ツバキの拳と同じように、腕に取り付けられた腕を模したガジェットが拳を握りしめる。すると、その機械の拳に電撃が走り、彼のパンチに合わせてガジェットが伸びる。
死霊系やゴーストタイプのソウルリーパーには、物理的な攻撃は通用しない。これは、フォリーキャナルレースで現れた悪鬼、フランソワ・ロロネーの霊体と同じ仕組みだ。
「雷迅拳ッ!!」
雷を纏ったツバキの拳が、ソウルリーパーの身体を大きく吹き飛ばす。逃げる一方だった少年の攻勢に、不意をつかれたモンスターは通常よりも深い一撃を受け、悲鳴のような声を上げながら壁の中へと消えていく。
「大丈夫か?悪かった・・・今度は俺も戦うからよ」
「・・・・・」
彼もまた、ツバキの急成長に驚いているのか、無言のまま暫く座ってツバキの顔の方を向きながら固まっていた。支えられていた身体を自力で起こしたコートの少年は、そのまま何も言わずに、再び通路を奥の方へと走っていってしまった。
「・・・ついて来いってか?一体お前らの案内する先に、何があるってんだ?」
ツバキは腕のガジェットに組み込まれた魔石を、別の魔石と交換しながら、暗闇に消えていった少年を追いかける。
場面は変わり、三日目の朝を迎えたミア達は、再び変わらぬ朝を迎え、最早日課となったそれぞれの行動へと移る。ツクヨはギルドの者達と共に大穴の作業場へ、護衛のクエストを。
そしてミアは、予約をしておいた資料館へ足を運ぶ。前日に見ていた限りでは、オルレラの研究施設についての詳細な記事や噂は残っていなかった。
もし資料館で手掛かりが手に入らなければ、再びジャンク屋のイクセンの元へ戻り、壊れたガラクタの修理作業に入る。しかし、それはそれで貴重な情報源になり得るデータが見つかるかもしれない。
その為にも先ずは、他で集められるだけの情報を集めておかねばと、ミアは苦手な文字との睨めっこに興じる。
新聞に記載されていたものの中には、一見オルレラとは関係なさそうなものも含まれており、その内容は俄には信じ難い浪漫に溢れた記事も記されていた。
それだけ、この街の人々も未来への技術力の発展に期待していたという事だろう。
《アークシティ主導の元、星外調査に向けた宇宙開発計画を発表。加盟国・協力関係の中に、我らがオルレラが加入!ロケットを用いた宇宙調査を進める中、各所に設けられた発射箇所の提供に名乗りをあげる》
ミアが見つけたその記事は、宇宙開発に向けたロケット発射予定地に、オルレラ近郊の草原が選ばれたというものだった。それに伴った物資の輸送や、人員の仮住居の提供、研究施設の増設なども含まれていたのだ。
「ツクヨがやってる防衛クエストって・・・もしかして、この記事にある跡地なのか・・・?」
エディ邸でツクヨから話を聞いた限り、場所も規模も一致していたのだ。だが、そのロケットの発射が成功したにしろ失敗っしたにしろ、何故跡地を地面の下に埋めることになったのかが疑問だった。
解体するにしろ、わざわざそのような事をする理由が分からない。記事を読み進めても、それ以上の事は書いておらず、またそれに関する他の記事も残っていなかった。
「宇宙とはまた・・・妙に現実味のある話だな。この世界でも、そういうもんに興味があるって事か・・・」
宇宙開発は、ミア達の暮らしていた現実世界でも長年行われているものだった。折角現実の事を忘れようとしているのに、要所要所で現実世界とのリンクを図ろうとしているのが、ミアは気に入らなかった。
他にも記事は幾つかあったが、多かったのは他国などに広がる流行り病や、奇病に関する調査と研究内容だった。
魔力を帯びた空気を過剰に摂取してしまう事により起きる、身体の一部の魔物化や、港町で発生した身体を鉄化させる奇病など。
WoFならではの、現実では聞かないような病の研究にも、積極的に取り組んでいたという記事が残されている。
「やっぱり、こういう記事じゃぁある程度脚色されちまってるのかねぇ~・・・」
いい加減、机に向かいっぱなしになるのにも限界が来たのか、ミアは目ぼしい記事がこれ以上ないと悟り、資料館を後にした。
「こっから反撃開始だぜ・・・!」
これまでの危機的な状況の時とは打って変わり、自信満々の表情を携えて現れたツバキは、直後常人ならざる速度でソウルリーパーの懐にまで飛び込んでいくと、引っ込めた腕のアームに力を込める。
ツバキの踏み込みは、宛らチン・シー海賊団のハオランを彷彿とさせる素早い動きだった。それを可能にしていたのも、彼の発明したガジェットのおかげだった。
腕だけではなく、彼の足にもガジェットが付いており、常人ではなし得ない蹴り出す力を再現していたのだ。
これらのガジェットに用いているのは、彼が地下の部屋で探し当てた魔石による動力だった。
魔石に集められた魔力を抽出し、電気へ変換させて起動する仕組みになっている。当然、動力源である魔石の魔力がなくなれば使用できなくなり、ただ重いだけのお荷物になってしまう。
だがこれはあくまで、電力やガスによるエネルギーや動力源がない時の代物であり、要は乾電池で動く玩具と同じ。魔石がなくなれば、次の魔石を補充するというガジェットなのだ。
「テメェらの性質も対策済みだぜ?覚悟しろよなぁッ!?」
ツバキの拳と同じように、腕に取り付けられた腕を模したガジェットが拳を握りしめる。すると、その機械の拳に電撃が走り、彼のパンチに合わせてガジェットが伸びる。
死霊系やゴーストタイプのソウルリーパーには、物理的な攻撃は通用しない。これは、フォリーキャナルレースで現れた悪鬼、フランソワ・ロロネーの霊体と同じ仕組みだ。
「雷迅拳ッ!!」
雷を纏ったツバキの拳が、ソウルリーパーの身体を大きく吹き飛ばす。逃げる一方だった少年の攻勢に、不意をつかれたモンスターは通常よりも深い一撃を受け、悲鳴のような声を上げながら壁の中へと消えていく。
「大丈夫か?悪かった・・・今度は俺も戦うからよ」
「・・・・・」
彼もまた、ツバキの急成長に驚いているのか、無言のまま暫く座ってツバキの顔の方を向きながら固まっていた。支えられていた身体を自力で起こしたコートの少年は、そのまま何も言わずに、再び通路を奥の方へと走っていってしまった。
「・・・ついて来いってか?一体お前らの案内する先に、何があるってんだ?」
ツバキは腕のガジェットに組み込まれた魔石を、別の魔石と交換しながら、暗闇に消えていった少年を追いかける。
場面は変わり、三日目の朝を迎えたミア達は、再び変わらぬ朝を迎え、最早日課となったそれぞれの行動へと移る。ツクヨはギルドの者達と共に大穴の作業場へ、護衛のクエストを。
そしてミアは、予約をしておいた資料館へ足を運ぶ。前日に見ていた限りでは、オルレラの研究施設についての詳細な記事や噂は残っていなかった。
もし資料館で手掛かりが手に入らなければ、再びジャンク屋のイクセンの元へ戻り、壊れたガラクタの修理作業に入る。しかし、それはそれで貴重な情報源になり得るデータが見つかるかもしれない。
その為にも先ずは、他で集められるだけの情報を集めておかねばと、ミアは苦手な文字との睨めっこに興じる。
新聞に記載されていたものの中には、一見オルレラとは関係なさそうなものも含まれており、その内容は俄には信じ難い浪漫に溢れた記事も記されていた。
それだけ、この街の人々も未来への技術力の発展に期待していたという事だろう。
《アークシティ主導の元、星外調査に向けた宇宙開発計画を発表。加盟国・協力関係の中に、我らがオルレラが加入!ロケットを用いた宇宙調査を進める中、各所に設けられた発射箇所の提供に名乗りをあげる》
ミアが見つけたその記事は、宇宙開発に向けたロケット発射予定地に、オルレラ近郊の草原が選ばれたというものだった。それに伴った物資の輸送や、人員の仮住居の提供、研究施設の増設なども含まれていたのだ。
「ツクヨがやってる防衛クエストって・・・もしかして、この記事にある跡地なのか・・・?」
エディ邸でツクヨから話を聞いた限り、場所も規模も一致していたのだ。だが、そのロケットの発射が成功したにしろ失敗っしたにしろ、何故跡地を地面の下に埋めることになったのかが疑問だった。
解体するにしろ、わざわざそのような事をする理由が分からない。記事を読み進めても、それ以上の事は書いておらず、またそれに関する他の記事も残っていなかった。
「宇宙とはまた・・・妙に現実味のある話だな。この世界でも、そういうもんに興味があるって事か・・・」
宇宙開発は、ミア達の暮らしていた現実世界でも長年行われているものだった。折角現実の事を忘れようとしているのに、要所要所で現実世界とのリンクを図ろうとしているのが、ミアは気に入らなかった。
他にも記事は幾つかあったが、多かったのは他国などに広がる流行り病や、奇病に関する調査と研究内容だった。
魔力を帯びた空気を過剰に摂取してしまう事により起きる、身体の一部の魔物化や、港町で発生した身体を鉄化させる奇病など。
WoFならではの、現実では聞かないような病の研究にも、積極的に取り組んでいたという記事が残されている。
「やっぱり、こういう記事じゃぁある程度脚色されちまってるのかねぇ~・・・」
いい加減、机に向かいっぱなしになるのにも限界が来たのか、ミアは目ぼしい記事がこれ以上ないと悟り、資料館を後にした。
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