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怪しげな地下室
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地下の様子は、地上階層とは違い狭い通路となっており、部屋の数も極端に少なくなっているようだった。そんな長い通路を抜けた先に辿り着いたのは、見慣れない大きな装置がいくつも並ぶ怪しげなスペース。
これまで以上にあからさまな不気味さと、公に出来ない事をしていたという雰囲気を醸し出していた。
ツバキは大人が一人通れるかどうかくらいのところで壊れている扉の隙間を抜け、その装置の数々を目の当たりにした。
「これは・・・何を入れていたんだ・・・?」
装置に繋がれた大きなガラス張りの入れ物がいくつも並ぶ。既にガラスは割れており、装置としての機能は完全に停止してしまっているが、その大きさはまるで生き物でも入っていたんじゃないかという大きさだった。
「まさかッ・・・あの子達を!?」
研究日誌に書かれていた、外部から送られて来ていたという物の中に、人間の子供が含まれていた。記録によると子供達は感情を失っており、人の言葉もろくに理解していなかったようだ。
恐らく、シー・ギャングのキングが行っていた奴隷売買のように、この施設にも出生の分からぬ子供達がまるで物のように取引されていたに違いない。
そして同時に届けられる薬品や機械は、国では行えぬ実験や研究をやらせる為の物だったのかもしれない。ツバキはそこにあった物品や書類を調べ、何か現状を打開する手掛かりはないかと探して回る。
するとその中に、行っていたであろう研究の事について綴られたものを発見した。
《寒い地域に見られていた、生物の突然変異について。表面上の変化や不自然な行動を前兆としていたとあったが、実際は骨髄に寄生し宿主を狂わせる寄生虫によるものだと判明。研究の結果、骨髄に直接注射を行う薬物投与により、寄生虫の消滅と症状の回復を確認》
如何やらその施術方法は、骨に極小の穴を開け、魔力により薬物をコーティングし挿入するものだそうで、穴自体も自然回復し後遺症も残らなかったのだそうだ。
「魔力によるコーティング・・・。そんなことも出来るのか?いや、造船技術の中にも魔力を用いるものがあるから、不思議ではないか・・・」
各言う、ツバキの作り出した今大会のフォリーキャナルレースで目覚ましい活躍を見せたボードも、運転する者の魔力を反映する技術が用いられており、特殊な鉱物や材料を必要とする乗り物だった。
しかし、機械に魔力を帯びた物を組み込むのと、生物に直接魔力を投与するのでは訳が違う。そもそも生き物への施術は、一歩間違えば生命に関わる精密な物であり、それぞれの生き物としての個体で、制御できる魔力量も質も違ってくる。
それを行えるだけの機材と実行する技術力が、この研究所にはあったということだ。その技術力があれば、ツバキの発明は今以上に成長を遂げるだろう。
未知の技術力に目を輝かせながらも、本来の目的を思い出し思い留まったツバキは、心の何処かでその技術手掛かりを期待しつつも、広い部屋の中の探索を始める。
部屋の中を探索している間も、上の階では足音やソウルリーパーのものと思われる呻き声が聞こえていた。だが、その中に人気は鮮明に聞こえるものもあり、違和感を覚えたツバキがその音に耳を傾けてみると、如何やらこの地下で聞こえるもののようだった。
「・・・?」
聞こえてくるのは子供の走る音と、そんな子供を追い回すように雄叫びを上げるモンスターの声らしきものだった。同じ階層から聞こえて来ていたその音に、思わず息を潜めるツバキ。
ただ、これまで聞いていた物音よりも激しいものだったので、恐る恐る音の聞こえてくる方へ近づいてみると、部屋の奥に更に奥へと続く扉のようなものが隠されているのに気が付いた。
「これ・・・扉か?何で隠してあんだ?」
僅かに開いた隙間から、その音は聞こえて来ていた。片目を閉じて、その隙間から奥を覗いてみると、何と奥で彼を助けてくれたレインコートの子供が、上の階層で退けていた筈のソウルリーパーに襲われているのが間に入って来た。
素早い身のこなしで何とか攻撃を避けてはいるものの、かなり見ていて危なっかしい。ツバキを廊下で助けてくれていた少年に比べると、まるで別人のようだった。
勿論、レインコートの色が違えば中身の少年達も別人なのだろうが、あの勇しくソウルリーパーを追い払った姿とは違っていたのだ。
「おいおいッ・・・!まさかアイツら、俺が動きやすいようにずっと・・・」
ここまでツバキがモンスターと遭遇せずに来れたのは、単に彼らの行動があったからのように思えてならなかった。思い返せば、足音が仕切りにし出したのも、ツバキがソウルリーパーに襲われてからだった。
そしてそれ以来、足音は僅かながらでも遠くの方で続いており、モンスターと出会すこともなくなっていた。これまで協力的だった彼らの行動を考えると、そういった意図があったとしてもおかしくない。
ならば何故彼らはツバキに協力してくれているのか。ここまで命を救われたののなら、恩を返さない訳にはいかない。
雨のオルレラから脱出するのは勿論のこと、それと共に何とかして彼らの目的を知り、自分に出来ることはないかと探すのも、ツバキのもう一つの目的となっていた。
これまで以上にあからさまな不気味さと、公に出来ない事をしていたという雰囲気を醸し出していた。
ツバキは大人が一人通れるかどうかくらいのところで壊れている扉の隙間を抜け、その装置の数々を目の当たりにした。
「これは・・・何を入れていたんだ・・・?」
装置に繋がれた大きなガラス張りの入れ物がいくつも並ぶ。既にガラスは割れており、装置としての機能は完全に停止してしまっているが、その大きさはまるで生き物でも入っていたんじゃないかという大きさだった。
「まさかッ・・・あの子達を!?」
研究日誌に書かれていた、外部から送られて来ていたという物の中に、人間の子供が含まれていた。記録によると子供達は感情を失っており、人の言葉もろくに理解していなかったようだ。
恐らく、シー・ギャングのキングが行っていた奴隷売買のように、この施設にも出生の分からぬ子供達がまるで物のように取引されていたに違いない。
そして同時に届けられる薬品や機械は、国では行えぬ実験や研究をやらせる為の物だったのかもしれない。ツバキはそこにあった物品や書類を調べ、何か現状を打開する手掛かりはないかと探して回る。
するとその中に、行っていたであろう研究の事について綴られたものを発見した。
《寒い地域に見られていた、生物の突然変異について。表面上の変化や不自然な行動を前兆としていたとあったが、実際は骨髄に寄生し宿主を狂わせる寄生虫によるものだと判明。研究の結果、骨髄に直接注射を行う薬物投与により、寄生虫の消滅と症状の回復を確認》
如何やらその施術方法は、骨に極小の穴を開け、魔力により薬物をコーティングし挿入するものだそうで、穴自体も自然回復し後遺症も残らなかったのだそうだ。
「魔力によるコーティング・・・。そんなことも出来るのか?いや、造船技術の中にも魔力を用いるものがあるから、不思議ではないか・・・」
各言う、ツバキの作り出した今大会のフォリーキャナルレースで目覚ましい活躍を見せたボードも、運転する者の魔力を反映する技術が用いられており、特殊な鉱物や材料を必要とする乗り物だった。
しかし、機械に魔力を帯びた物を組み込むのと、生物に直接魔力を投与するのでは訳が違う。そもそも生き物への施術は、一歩間違えば生命に関わる精密な物であり、それぞれの生き物としての個体で、制御できる魔力量も質も違ってくる。
それを行えるだけの機材と実行する技術力が、この研究所にはあったということだ。その技術力があれば、ツバキの発明は今以上に成長を遂げるだろう。
未知の技術力に目を輝かせながらも、本来の目的を思い出し思い留まったツバキは、心の何処かでその技術手掛かりを期待しつつも、広い部屋の中の探索を始める。
部屋の中を探索している間も、上の階では足音やソウルリーパーのものと思われる呻き声が聞こえていた。だが、その中に人気は鮮明に聞こえるものもあり、違和感を覚えたツバキがその音に耳を傾けてみると、如何やらこの地下で聞こえるもののようだった。
「・・・?」
聞こえてくるのは子供の走る音と、そんな子供を追い回すように雄叫びを上げるモンスターの声らしきものだった。同じ階層から聞こえて来ていたその音に、思わず息を潜めるツバキ。
ただ、これまで聞いていた物音よりも激しいものだったので、恐る恐る音の聞こえてくる方へ近づいてみると、部屋の奥に更に奥へと続く扉のようなものが隠されているのに気が付いた。
「これ・・・扉か?何で隠してあんだ?」
僅かに開いた隙間から、その音は聞こえて来ていた。片目を閉じて、その隙間から奥を覗いてみると、何と奥で彼を助けてくれたレインコートの子供が、上の階層で退けていた筈のソウルリーパーに襲われているのが間に入って来た。
素早い身のこなしで何とか攻撃を避けてはいるものの、かなり見ていて危なっかしい。ツバキを廊下で助けてくれていた少年に比べると、まるで別人のようだった。
勿論、レインコートの色が違えば中身の少年達も別人なのだろうが、あの勇しくソウルリーパーを追い払った姿とは違っていたのだ。
「おいおいッ・・・!まさかアイツら、俺が動きやすいようにずっと・・・」
ここまでツバキがモンスターと遭遇せずに来れたのは、単に彼らの行動があったからのように思えてならなかった。思い返せば、足音が仕切りにし出したのも、ツバキがソウルリーパーに襲われてからだった。
そしてそれ以来、足音は僅かながらでも遠くの方で続いており、モンスターと出会すこともなくなっていた。これまで協力的だった彼らの行動を考えると、そういった意図があったとしてもおかしくない。
ならば何故彼らはツバキに協力してくれているのか。ここまで命を救われたののなら、恩を返さない訳にはいかない。
雨のオルレラから脱出するのは勿論のこと、それと共に何とかして彼らの目的を知り、自分に出来ることはないかと探すのも、ツバキのもう一つの目的となっていた。
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