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演義のその後
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なぎさが身を投げた後、シンと天臣は負傷した友紀を連れてランドマークタワーを降りた。イルに気付かれぬ為に置いてきた、MAROの式神は消えずに彼らの帰りを待っており、三人を乗せてその場を後にした。
目的は当然、友紀の傷を癒せる人物であるにぃなの元へ、彼女を連れ帰ること。赤レンガ倉庫周辺で行われていた、イルの門から解き放たれたモンスターと実験によって変異した変異種達との戦闘は、粗方沈静化していた。
まだMAROの式神と思われる紙の怪物とモンスターが争う現場は、幾つかの場所で行われていた。シンは最期ににぃな達と別れた場所を目指していた。
すると、上空を移動する自身の式神を見つけたMAROが、彼らの存在に気付き合流。にぃならが友紀のステージで、変異して強力となったモンスター達と戦っているのを聞き、すぐに加勢しに向かう。
建物内では既に戦闘は終了しており、にぃなによる治療及び回復を受けていた蒼空は、消えることなくその姿を現世に残したままだった。これほどの重傷者を回復させた経験が無いと語ったにぃなは、この状態が生きているのかどうか判断がつかないと言った。
しかし、どういう形であれその姿が消えていないということは、蒼空は生きていると言っていいのではないだろうか。現実世界にやってきた者も、モンスター達と同じように、死せる時は消えていく。そこに例外はないように感じた。
これもイルが残した最期の証明と言えるだろう。
シン達が運んできた友紀の姿を見て驚愕する一同。様々な質問が彼らに投げかけられたが、何よりも優先すべきは友紀の回復だと、天臣はにぃなに彼女の治療を依頼。
蒼空に比べれば回復の見込みは十分にある。それを聞いた天臣は、全身の力が抜けたかのように崩れ落ち、何度もにぃなに感謝の言葉を述べていた。そこからも、彼にとって彼女が如何に大切な存在であったのかが窺える。
それは男女間にある恋愛的なものではなく、まるで自分の子の身を案じるような暖かなもののように、シンは感じていた。
にぃなの治療と回復を受け、間もなく目を覚ました友紀。起きて早々に、彼女はここがどこなのかよりも先に、なぎさがどうなったのかを天臣に尋ねた。
この後のライブのことを考えると、本当のことを彼女に伝えるべきか悩んでいた天臣に、友紀は力強い目で答える。私なら大丈夫。どんなことがあろうと、ファンの人達をがっかりはさせないと。
彼女の決意に、天臣は友紀が気を失ってからの出来事と、その後になぎさが口にしたことを彼女に伝え、あの場から身を投げたことを包み隠さず伝えた。
なぎさの姿がなかったことから、ある程度の予想はしていたと語る友紀。しかし、実際に真実を聞かされると、彼女が身構えていた以上のショックと消失感が押し寄せてきた。
しかし、そこは流石と言ったところ。彼女はその場で泣くことも放心状態になることもなく、全てを受け止めた上で、シン達に感謝の言葉を送った。
その後暫くして、外でモンスターの残党を狩っていたMAROが帰還し、イルとなぎさによる、ライブ襲撃を防ぎ切った役者が揃う。
天臣は、自称親衛隊の三人にこれまでのライブやイベントで起きていた襲撃の感謝と、知っていながら手伝うことが出来なかったことについて謝罪した。
当然、謝礼や恩を着せる為にやっていた訳ではない峰闇達は、これで暫くは友紀のライブやイベントが落ち着くであろうことを知って安堵する。
傷の癒えた友紀と天臣は、その後間も無くライブ会場に流れる演出が終了する前に会場へと戻る。そしてシン達も、これで漸くゆっくり友紀のライブが楽しめると、修復された座席へと戻っていった。
ライブは何事もなかったかのように進み、彼らの活躍によりファン達に危害が及ぶこともなく無事に終了した。感動で涙を流す者や、ライブの余韻に浸りながら満足そうに会場を後にする人々。
会場の片付けを始めるスタッフに関係者達。最後に友紀と天臣がWoFの姿に身を包み、もう一度シン達の元へとやって来た。
「今回の件、これ以上ないほど皆さんには感謝しています。この御恩を忘れることはないでしょう」
「私からも感謝します。加えて、、これまで皆さんに頼り切ってしまっていたことを謝罪します」
頭を下げる二人に、憧れのアイドルと親しくなれたことに感動する親衛隊の三人は、言葉にならないほどの感動が身体から漏れ出している。
「仕方ありませんよ。お二人は・・・特に友紀さんの方は有名人ですから。混乱を避ける為には、必要な判断だったかと思います」
彼らに代わり、シンが口を開く。だが、今回の一件で友紀と天臣がWoFユーザーであり、尚且つシン達と同じく覚醒者であることがわかった。今後は親衛隊の三人と協力しながら、ファンの間で彼らも勢力を拡大していくことだろう。
「蒼空さんのことは心配ですが・・・」
「えぇ、彼の活躍無くして、これ程の被害で収まることはなかったと思います。彼が無事であることを祈ります」
「きっと大丈夫だと思いますよ。天臣さんも目にした通り、もし彼が命を落としていたのなら、あの男のように消えてしまっていることでしょうし・・・」
シンの言葉に、その場にいた誰もが心の内で思っただろう。自分達がWoFの姿のまま死を迎えた時、一体どうなってしまうのか。
現実世界のように、ただ死を迎えるだけなのか。それとも、イルが最期に口にしたように帰るべき場所へと帰れるのだろうか。ならば覚醒者である彼らの帰るべき場所とはどこなのだろうか。
きっとその問題の答えは、死という概念と同じように、その時を迎えた者にしかわからないことだろう。シンとにぃなは、蒼空の身体を一度フィアーズの元へ送り届けることにした。
「重ねて、今回の件では大変お世話になりました。何か力になれる事があれば言ってくださいね」
「あぁ。何かあれば私に連絡してくれ。時期にもよるが、協力できる事があればすぐに駆けつけよう」
「まぁ、ユッキーや天臣さんは奥の手だな。フットワークの軽さなら俺達の方が手を貸しやすい。何にせよ、俺達は修羅場を乗り越えた仲間だ。やばい事があったら協力していこうぜ!」
蒼空が繋いだ彼らとの繋がりは、いずれきっとシン達の大きな力となるだろう。プレジャーフォレストに続き、新たな協力者を得ることに成功したシンとにぃな。
イルから入手した情報を手土産に、彼らは一度フィアーズの元へと帰還する。
目的は当然、友紀の傷を癒せる人物であるにぃなの元へ、彼女を連れ帰ること。赤レンガ倉庫周辺で行われていた、イルの門から解き放たれたモンスターと実験によって変異した変異種達との戦闘は、粗方沈静化していた。
まだMAROの式神と思われる紙の怪物とモンスターが争う現場は、幾つかの場所で行われていた。シンは最期ににぃな達と別れた場所を目指していた。
すると、上空を移動する自身の式神を見つけたMAROが、彼らの存在に気付き合流。にぃならが友紀のステージで、変異して強力となったモンスター達と戦っているのを聞き、すぐに加勢しに向かう。
建物内では既に戦闘は終了しており、にぃなによる治療及び回復を受けていた蒼空は、消えることなくその姿を現世に残したままだった。これほどの重傷者を回復させた経験が無いと語ったにぃなは、この状態が生きているのかどうか判断がつかないと言った。
しかし、どういう形であれその姿が消えていないということは、蒼空は生きていると言っていいのではないだろうか。現実世界にやってきた者も、モンスター達と同じように、死せる時は消えていく。そこに例外はないように感じた。
これもイルが残した最期の証明と言えるだろう。
シン達が運んできた友紀の姿を見て驚愕する一同。様々な質問が彼らに投げかけられたが、何よりも優先すべきは友紀の回復だと、天臣はにぃなに彼女の治療を依頼。
蒼空に比べれば回復の見込みは十分にある。それを聞いた天臣は、全身の力が抜けたかのように崩れ落ち、何度もにぃなに感謝の言葉を述べていた。そこからも、彼にとって彼女が如何に大切な存在であったのかが窺える。
それは男女間にある恋愛的なものではなく、まるで自分の子の身を案じるような暖かなもののように、シンは感じていた。
にぃなの治療と回復を受け、間もなく目を覚ました友紀。起きて早々に、彼女はここがどこなのかよりも先に、なぎさがどうなったのかを天臣に尋ねた。
この後のライブのことを考えると、本当のことを彼女に伝えるべきか悩んでいた天臣に、友紀は力強い目で答える。私なら大丈夫。どんなことがあろうと、ファンの人達をがっかりはさせないと。
彼女の決意に、天臣は友紀が気を失ってからの出来事と、その後になぎさが口にしたことを彼女に伝え、あの場から身を投げたことを包み隠さず伝えた。
なぎさの姿がなかったことから、ある程度の予想はしていたと語る友紀。しかし、実際に真実を聞かされると、彼女が身構えていた以上のショックと消失感が押し寄せてきた。
しかし、そこは流石と言ったところ。彼女はその場で泣くことも放心状態になることもなく、全てを受け止めた上で、シン達に感謝の言葉を送った。
その後暫くして、外でモンスターの残党を狩っていたMAROが帰還し、イルとなぎさによる、ライブ襲撃を防ぎ切った役者が揃う。
天臣は、自称親衛隊の三人にこれまでのライブやイベントで起きていた襲撃の感謝と、知っていながら手伝うことが出来なかったことについて謝罪した。
当然、謝礼や恩を着せる為にやっていた訳ではない峰闇達は、これで暫くは友紀のライブやイベントが落ち着くであろうことを知って安堵する。
傷の癒えた友紀と天臣は、その後間も無くライブ会場に流れる演出が終了する前に会場へと戻る。そしてシン達も、これで漸くゆっくり友紀のライブが楽しめると、修復された座席へと戻っていった。
ライブは何事もなかったかのように進み、彼らの活躍によりファン達に危害が及ぶこともなく無事に終了した。感動で涙を流す者や、ライブの余韻に浸りながら満足そうに会場を後にする人々。
会場の片付けを始めるスタッフに関係者達。最後に友紀と天臣がWoFの姿に身を包み、もう一度シン達の元へとやって来た。
「今回の件、これ以上ないほど皆さんには感謝しています。この御恩を忘れることはないでしょう」
「私からも感謝します。加えて、、これまで皆さんに頼り切ってしまっていたことを謝罪します」
頭を下げる二人に、憧れのアイドルと親しくなれたことに感動する親衛隊の三人は、言葉にならないほどの感動が身体から漏れ出している。
「仕方ありませんよ。お二人は・・・特に友紀さんの方は有名人ですから。混乱を避ける為には、必要な判断だったかと思います」
彼らに代わり、シンが口を開く。だが、今回の一件で友紀と天臣がWoFユーザーであり、尚且つシン達と同じく覚醒者であることがわかった。今後は親衛隊の三人と協力しながら、ファンの間で彼らも勢力を拡大していくことだろう。
「蒼空さんのことは心配ですが・・・」
「えぇ、彼の活躍無くして、これ程の被害で収まることはなかったと思います。彼が無事であることを祈ります」
「きっと大丈夫だと思いますよ。天臣さんも目にした通り、もし彼が命を落としていたのなら、あの男のように消えてしまっていることでしょうし・・・」
シンの言葉に、その場にいた誰もが心の内で思っただろう。自分達がWoFの姿のまま死を迎えた時、一体どうなってしまうのか。
現実世界のように、ただ死を迎えるだけなのか。それとも、イルが最期に口にしたように帰るべき場所へと帰れるのだろうか。ならば覚醒者である彼らの帰るべき場所とはどこなのだろうか。
きっとその問題の答えは、死という概念と同じように、その時を迎えた者にしかわからないことだろう。シンとにぃなは、蒼空の身体を一度フィアーズの元へ送り届けることにした。
「重ねて、今回の件では大変お世話になりました。何か力になれる事があれば言ってくださいね」
「あぁ。何かあれば私に連絡してくれ。時期にもよるが、協力できる事があればすぐに駆けつけよう」
「まぁ、ユッキーや天臣さんは奥の手だな。フットワークの軽さなら俺達の方が手を貸しやすい。何にせよ、俺達は修羅場を乗り越えた仲間だ。やばい事があったら協力していこうぜ!」
蒼空が繋いだ彼らとの繋がりは、いずれきっとシン達の大きな力となるだろう。プレジャーフォレストに続き、新たな協力者を得ることに成功したシンとにぃな。
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