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遅れた会場入り
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シン達がステージを飛び去って行った頃、時を同じくしてステージへと歩き出していたにぃな達の元にも、不穏な気配と雄叫びが届いていた。
「何だ・・・?何か遠吠えっていうか・・・」
「モンスターの雄叫びのようだな・・・」
「ステーシの方から聞こえた!やっぱり何か起きてるんだわ。急ぎましょう!」
駆け足とまではいかないが、三人は巨獣達との戦いだ破壊された赤レンガ倉庫が、時間によって修復された中を、現実に生きる人達と同じルートで会場を目指す。
WoFのキャラデータを反映している身体であれば、彼らにも壁や障害物を透過して進むことは可能だが、今の彼らの存在は巨獣戦後どうなったのか、この騒動の主犯であるイルには気付かれていない。
もしステージの方で何かあったのなら、気付かれていないということはそれだけで奇襲を仕掛けられるメリットとなる。だがそれも、壁の透過を使ったシュートカットを利用してしまうと、不審な動きでバレてしまう危険性があった。
モンスターでさえ、その気配を感じ取り襲い掛かってくるくらいだ。勘の鋭い者であれば、すぐに生存者と蒼空や天臣の協力者が他にも生きているということに辿り着くだろう。
折角、騒動に紛れ曖昧な存在となった利点を活かすべく、三人は時間は掛かろうとも慎重に行動していた。
しかし、それもイルが一人ならばの話。よもやステージ周辺だけでなく、赤レンガ倉庫やその周りに及ぶほどの、大量のモンスターが投下されているなど、彼らは知る由もなかった。
数で攻め込まれて仕舞えば、例え壁の透過などを気をつけていたとしても、獣特有の嗅覚や聴覚で、その場にいるWoFのユーザーであり覚醒者の彼らを見つけるなど容易いこと。
案の定、会場へ向かう階段の途中で、会場から飛び出してきたモンスター達の群れに見つかってしまう。
大きな唸り声と共に階段の上で止まるモンスター達。そして彼らの気配を見つけたのか、ゆっくりとその獲物を見つけたかのように血走る眼を向ける。
「ッ・・・!?モンスター!?どうして・・・!」
「会場からだ。恐らく騒動の首謀者の仕業だろう・・・」
「ねぇ!冷静に言ってる場合じゃないんじゃない!?」
僅かな躊躇いもなく飛びかかってくるところが、流石はモンスターといったところだろうか。腹をすかせた獣が、餌を前にして涎を垂らして飛び掛かるように、三人に向けて襲いかかる。
すぐさま銃を構えるマキナと、数段階段を降りて二人の後ろに身を潜めるように下がるにぃな。自分が落とされてはならない事を、よく理解した動きだった。
焦る二人を尻目に、悠長に漆黒の剣を取り出し構える峰闇。
「二人は俺のサポートを。ここまでよくして貰った礼だ、道は俺が切り開くッ・・・!」
イルの黒刀とは違ったタイプの黒い剣を握りしめ、紫黒のオーラを剣に纏わせると、にぃなの回復魔法で傷の癒えた腕を豪快に振るう。
先陣を切って飛び掛かった一体の四足獣型のモンスターを一振りで両断すると、彼の放ったその一閃から紫黒の波動がモンスターの後方へ駆け抜け、押し寄せる群れを一掃する。
「す・・・すげぇ・・・」
「これが自らの生命力を糧に得た、暗黒の力だ・・・。くれてやる力が多い程、その力は絶大となる」
見るからに重そうな大剣を軽々と持ち上げて語る峰闇。その背後から彼の身体に回復魔法を掛けるにぃなが、呆れた表情で峰闇に物申す。
「カッコつけて気取るのはいいけど、折角私が回復したのに、そんなに容易くポンポンとその自傷スキルっていうの、使わないでもらえますぅ?」
「す・・・すまない。こうも何も考えずにスキルを使えるのが嬉しくてつい・・・。だがこれで突破も可能だ」
浪漫溢れる攻撃に憧れの視線を送るマキナと、自慢げな峰闇。そして大きな溜息をついて階段を駆け上がって行った三人は、そのまま三階まで駆け上がると、ホールフロアまでに現れるモンスターを次々に薙ぎ倒していく。
そして、開け放たれた会場の扉を抜けると、幻想的なライブの演出と共に、アイドル岡垣友紀の歌声と綺麗なメロディーが、鮮明に会場から溢れだいていた。
「クソッ・・・!やはりもっと早くに向かうべきだったッ!ライブBDで早く一から楽しみたいッ・・・!」
「凄い!生ライブ初めて観た!折角だし、私もグッズとかブルーレイとか買ってこうかなぁ」
「二人とも何をそんな呑気な・・・。あ!ほら、中央のステージ見て下さい!」
会場の雰囲気に魅了される峰闇とにぃなに、やや距離の離れたステージ上を指差しながら、そこで行われている戦闘を見つけるマキナ。
照明の落とされた暗い会場内で、彼らはボロボロになりながらも必死でモンスターの群れによる襲撃に抵抗するケイルと、その傍で血を流して倒れる蒼空の姿を見つける。
「何だ・・・?何か遠吠えっていうか・・・」
「モンスターの雄叫びのようだな・・・」
「ステーシの方から聞こえた!やっぱり何か起きてるんだわ。急ぎましょう!」
駆け足とまではいかないが、三人は巨獣達との戦いだ破壊された赤レンガ倉庫が、時間によって修復された中を、現実に生きる人達と同じルートで会場を目指す。
WoFのキャラデータを反映している身体であれば、彼らにも壁や障害物を透過して進むことは可能だが、今の彼らの存在は巨獣戦後どうなったのか、この騒動の主犯であるイルには気付かれていない。
もしステージの方で何かあったのなら、気付かれていないということはそれだけで奇襲を仕掛けられるメリットとなる。だがそれも、壁の透過を使ったシュートカットを利用してしまうと、不審な動きでバレてしまう危険性があった。
モンスターでさえ、その気配を感じ取り襲い掛かってくるくらいだ。勘の鋭い者であれば、すぐに生存者と蒼空や天臣の協力者が他にも生きているということに辿り着くだろう。
折角、騒動に紛れ曖昧な存在となった利点を活かすべく、三人は時間は掛かろうとも慎重に行動していた。
しかし、それもイルが一人ならばの話。よもやステージ周辺だけでなく、赤レンガ倉庫やその周りに及ぶほどの、大量のモンスターが投下されているなど、彼らは知る由もなかった。
数で攻め込まれて仕舞えば、例え壁の透過などを気をつけていたとしても、獣特有の嗅覚や聴覚で、その場にいるWoFのユーザーであり覚醒者の彼らを見つけるなど容易いこと。
案の定、会場へ向かう階段の途中で、会場から飛び出してきたモンスター達の群れに見つかってしまう。
大きな唸り声と共に階段の上で止まるモンスター達。そして彼らの気配を見つけたのか、ゆっくりとその獲物を見つけたかのように血走る眼を向ける。
「ッ・・・!?モンスター!?どうして・・・!」
「会場からだ。恐らく騒動の首謀者の仕業だろう・・・」
「ねぇ!冷静に言ってる場合じゃないんじゃない!?」
僅かな躊躇いもなく飛びかかってくるところが、流石はモンスターといったところだろうか。腹をすかせた獣が、餌を前にして涎を垂らして飛び掛かるように、三人に向けて襲いかかる。
すぐさま銃を構えるマキナと、数段階段を降りて二人の後ろに身を潜めるように下がるにぃな。自分が落とされてはならない事を、よく理解した動きだった。
焦る二人を尻目に、悠長に漆黒の剣を取り出し構える峰闇。
「二人は俺のサポートを。ここまでよくして貰った礼だ、道は俺が切り開くッ・・・!」
イルの黒刀とは違ったタイプの黒い剣を握りしめ、紫黒のオーラを剣に纏わせると、にぃなの回復魔法で傷の癒えた腕を豪快に振るう。
先陣を切って飛び掛かった一体の四足獣型のモンスターを一振りで両断すると、彼の放ったその一閃から紫黒の波動がモンスターの後方へ駆け抜け、押し寄せる群れを一掃する。
「す・・・すげぇ・・・」
「これが自らの生命力を糧に得た、暗黒の力だ・・・。くれてやる力が多い程、その力は絶大となる」
見るからに重そうな大剣を軽々と持ち上げて語る峰闇。その背後から彼の身体に回復魔法を掛けるにぃなが、呆れた表情で峰闇に物申す。
「カッコつけて気取るのはいいけど、折角私が回復したのに、そんなに容易くポンポンとその自傷スキルっていうの、使わないでもらえますぅ?」
「す・・・すまない。こうも何も考えずにスキルを使えるのが嬉しくてつい・・・。だがこれで突破も可能だ」
浪漫溢れる攻撃に憧れの視線を送るマキナと、自慢げな峰闇。そして大きな溜息をついて階段を駆け上がって行った三人は、そのまま三階まで駆け上がると、ホールフロアまでに現れるモンスターを次々に薙ぎ倒していく。
そして、開け放たれた会場の扉を抜けると、幻想的なライブの演出と共に、アイドル岡垣友紀の歌声と綺麗なメロディーが、鮮明に会場から溢れだいていた。
「クソッ・・・!やはりもっと早くに向かうべきだったッ!ライブBDで早く一から楽しみたいッ・・・!」
「凄い!生ライブ初めて観た!折角だし、私もグッズとかブルーレイとか買ってこうかなぁ」
「二人とも何をそんな呑気な・・・。あ!ほら、中央のステージ見て下さい!」
会場の雰囲気に魅了される峰闇とにぃなに、やや距離の離れたステージ上を指差しながら、そこで行われている戦闘を見つけるマキナ。
照明の落とされた暗い会場内で、彼らはボロボロになりながらも必死でモンスターの群れによる襲撃に抵抗するケイルと、その傍で血を流して倒れる蒼空の姿を見つける。
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