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アサシンのマルウェア
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しかし、彼らの持つデバイスではイルのデータを攻撃することは出来ないのだという。
MAROがハッキングを齧っているというのも、彼のスマホにインストールされているアプリの中に、使用されているネットワークにアクセスされた痕跡を、外部のデバイスである彼のスマホに発信させることのできる、“スパイウェア”という、マルウェアを使用して調べるということしか出来ないからだった。
マルウェアとは、シン達の世界に蔓延るハッカー集団が用いる、最もポピュラーな手法で、悪意あるプログラムやソフトウェアの総称のことを“マルウェア“と呼んでいる。
つまり、MAROのスマホから特定の地域や場所のネットワークにアクセスし、周辺の無線LANにそのネットワークにアクセスしたデバイス等の情報をMAROのスマホに発信する、ウイルスを送り込むことでイルの痕跡を探し出そうとしていた。
そして、暫く画面と睨み合いをしていたMAROが、届いた情報の中から異様な痕跡を発見する。他のデータとは明らかに形式の違うもので、見たこともないことから一目瞭然だったらしい。
「あった!多分これだろう。見たこともない形式のコンピュータ言語だ・・・」
「見たこともない?知らなかったという可能性は?」
「どうだろうな。ハッカー達は常に新しい攻撃手段を模索してるらしい。俺の知らない内に、こんな言語が生まれていたとしても不思議じゃないが・・・」
「何かそのデータに、ウイルスを送り込んだり攻撃したりは?」
「ダメだ。これ以上のことは俺のスマホでは出来ない。そもそも、そういったプログラムやソフトウェアを俺は持ってない。つまり、足跡は見つけられても、それ以上のことは何も出来ないってところだ・・・」
結果的には手詰まりといった状況だった。
最初に説明された通り、MAROにハッキングでイルを攻撃することは出来なかった。イルが通ったであろうネットワーク上の痕跡自体は見つけられても、ただそれを見ていることしか出来なかった。
それどころか、その後彼のスマホの画面に映し出された情報の中で、ある変化が起こり始めた。
「なっ何だコレッ・・・!?」
「どうした?」
MAROが黙って自分のスマホの画面を、シンに見やすいように傾ける。だがそういった事に詳しくないシンには、何が起こっているのかさっぱりだった。そこにあったのは、ローマ字の羅列が仕切りなく変化していき、徐々に消えていくという画面だけだった。
「何だ?何が起こってる?」
「痕跡が消えてるんだ・・・。恐らく時間差で消えていくようにプログラムされているのかも知れない・・・」
「奴もプログラムに詳しいのか!?」
「分からない。もしかしたら本当に勝手に消えていく仕組みなのかも知れないし、アンタのいう通り詳しいのかも知れない」
このままではイルの残した唯一の痕跡が消えてしまう。シンが何らかの情報を掴んだことを察したイルは、恐らくもうデータ化による移動を使わないだろう。
「どうすればいい!?これが消えたら、もう奴を追えないかも知れないんだ!」
「さっきも言ったろ!?何も出来ない!ここまでだ・・・。そいつを直接倒すしかない」
ここにいる全員でかかれば、イルを倒せるだろうか。瀕死にまで追い込めば、或いはもう一度データ化による逃走を図るかも知れない。そこから奴を追うことも出来なくはないが、その為にはネット上でイルを攻撃する手段が必要になる。
痕跡が自動で消えることが分かった以上、イルが遠くへ逃げれば逃げるほど、物理的にシン達が彼を追うことが出来なくなってしまう。
そんな時、シンも知り得なかった未知なる情報を掴んでいたイル。彼の情報を調べてもらう為にデータを送っていたアサシンギルドの白獅から返事が来た。
如何やらシンの目に埋め込まれたテュルプ・オーブから音声データを抽出しており、少し前からシン達の会話を聞いていたようだった。
シンがオーブを通して見ている景色に、文字の羅列が浮かび上がる。そこには、アサシンギルド内で作られたハッキング用のソフトの中に、ネットワーク上のデータを攻撃できるプログラムが仕込まれたアプリがあるのだという。
それをシンの身体に反映されているキャラクターデータを通じて、彼のスマホから発信することが出来るのだという。
「信用できる人から、ウイルスが送れるって返事が来た・・・」
「ウイルス?何だ、ハッカーの知り合いが居たのか。如何して先に言わない?」
「今、知ったんだ。その人物がそんなものを持ってるなんて・・・」
「まぁ良かったじゃないか。奴の痕跡が消える前に、さっさとやっちまおう!」
シンは白獅から送られてくる指示通りにスマホを取り出すと、何をするわけでもなく、ただその目に埋め込まれたオーブで画面を見続けるだけだった。
暫くすると、彼の手に持つスマホが勝手に動き出し、次々に画面が切り替わりながら、何が起きているのか分からないまま、その経過を見送った。
すると白獅から、新たなメッセージが送られてくる。内容はこうだった。
今、シンのスマホをアサシンギルドで作られたマルウェア、“フィダー“を使って遠隔操作し、イルの残した痕跡を辿って本体に向け、ウイルスを送り込んだと。
現状何も変化はないが、次にイルがデータ化し移動を開始しようとした時に、大量のデータや処理要請を送りつける“DoS攻撃“が開始されるらしい。
それにより過剰な負荷をかけられたイルの身体には、一体何が起きるのかまでは不明だが、少なくともデータ化している状態だと、多大なデメリットを抱えることになるらしい。
MAROがハッキングを齧っているというのも、彼のスマホにインストールされているアプリの中に、使用されているネットワークにアクセスされた痕跡を、外部のデバイスである彼のスマホに発信させることのできる、“スパイウェア”という、マルウェアを使用して調べるということしか出来ないからだった。
マルウェアとは、シン達の世界に蔓延るハッカー集団が用いる、最もポピュラーな手法で、悪意あるプログラムやソフトウェアの総称のことを“マルウェア“と呼んでいる。
つまり、MAROのスマホから特定の地域や場所のネットワークにアクセスし、周辺の無線LANにそのネットワークにアクセスしたデバイス等の情報をMAROのスマホに発信する、ウイルスを送り込むことでイルの痕跡を探し出そうとしていた。
そして、暫く画面と睨み合いをしていたMAROが、届いた情報の中から異様な痕跡を発見する。他のデータとは明らかに形式の違うもので、見たこともないことから一目瞭然だったらしい。
「あった!多分これだろう。見たこともない形式のコンピュータ言語だ・・・」
「見たこともない?知らなかったという可能性は?」
「どうだろうな。ハッカー達は常に新しい攻撃手段を模索してるらしい。俺の知らない内に、こんな言語が生まれていたとしても不思議じゃないが・・・」
「何かそのデータに、ウイルスを送り込んだり攻撃したりは?」
「ダメだ。これ以上のことは俺のスマホでは出来ない。そもそも、そういったプログラムやソフトウェアを俺は持ってない。つまり、足跡は見つけられても、それ以上のことは何も出来ないってところだ・・・」
結果的には手詰まりといった状況だった。
最初に説明された通り、MAROにハッキングでイルを攻撃することは出来なかった。イルが通ったであろうネットワーク上の痕跡自体は見つけられても、ただそれを見ていることしか出来なかった。
それどころか、その後彼のスマホの画面に映し出された情報の中で、ある変化が起こり始めた。
「なっ何だコレッ・・・!?」
「どうした?」
MAROが黙って自分のスマホの画面を、シンに見やすいように傾ける。だがそういった事に詳しくないシンには、何が起こっているのかさっぱりだった。そこにあったのは、ローマ字の羅列が仕切りなく変化していき、徐々に消えていくという画面だけだった。
「何だ?何が起こってる?」
「痕跡が消えてるんだ・・・。恐らく時間差で消えていくようにプログラムされているのかも知れない・・・」
「奴もプログラムに詳しいのか!?」
「分からない。もしかしたら本当に勝手に消えていく仕組みなのかも知れないし、アンタのいう通り詳しいのかも知れない」
このままではイルの残した唯一の痕跡が消えてしまう。シンが何らかの情報を掴んだことを察したイルは、恐らくもうデータ化による移動を使わないだろう。
「どうすればいい!?これが消えたら、もう奴を追えないかも知れないんだ!」
「さっきも言ったろ!?何も出来ない!ここまでだ・・・。そいつを直接倒すしかない」
ここにいる全員でかかれば、イルを倒せるだろうか。瀕死にまで追い込めば、或いはもう一度データ化による逃走を図るかも知れない。そこから奴を追うことも出来なくはないが、その為にはネット上でイルを攻撃する手段が必要になる。
痕跡が自動で消えることが分かった以上、イルが遠くへ逃げれば逃げるほど、物理的にシン達が彼を追うことが出来なくなってしまう。
そんな時、シンも知り得なかった未知なる情報を掴んでいたイル。彼の情報を調べてもらう為にデータを送っていたアサシンギルドの白獅から返事が来た。
如何やらシンの目に埋め込まれたテュルプ・オーブから音声データを抽出しており、少し前からシン達の会話を聞いていたようだった。
シンがオーブを通して見ている景色に、文字の羅列が浮かび上がる。そこには、アサシンギルド内で作られたハッキング用のソフトの中に、ネットワーク上のデータを攻撃できるプログラムが仕込まれたアプリがあるのだという。
それをシンの身体に反映されているキャラクターデータを通じて、彼のスマホから発信することが出来るのだという。
「信用できる人から、ウイルスが送れるって返事が来た・・・」
「ウイルス?何だ、ハッカーの知り合いが居たのか。如何して先に言わない?」
「今、知ったんだ。その人物がそんなものを持ってるなんて・・・」
「まぁ良かったじゃないか。奴の痕跡が消える前に、さっさとやっちまおう!」
シンは白獅から送られてくる指示通りにスマホを取り出すと、何をするわけでもなく、ただその目に埋め込まれたオーブで画面を見続けるだけだった。
暫くすると、彼の手に持つスマホが勝手に動き出し、次々に画面が切り替わりながら、何が起きているのか分からないまま、その経過を見送った。
すると白獅から、新たなメッセージが送られてくる。内容はこうだった。
今、シンのスマホをアサシンギルドで作られたマルウェア、“フィダー“を使って遠隔操作し、イルの残した痕跡を辿って本体に向け、ウイルスを送り込んだと。
現状何も変化はないが、次にイルがデータ化し移動を開始しようとした時に、大量のデータや処理要請を送りつける“DoS攻撃“が開始されるらしい。
それにより過剰な負荷をかけられたイルの身体には、一体何が起きるのかまでは不明だが、少なくともデータ化している状態だと、多大なデメリットを抱えることになるらしい。
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