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獣の宴
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次第に現場へと近づいていくと、地を駆ける獣のようなもののシルエットが幾つも見えてきた。それらは素早くぶつかり合い、互いに血を流していた。
「ウルフ種のモンスターか?随分と数がいるようだが・・・」
「私のモンスターが何体か混じってる。まだ頑張ってくれてるねぇ」
アナベルが援軍として派遣していたモンスターも、襲撃してきたモンスターと同じく四足獣であるウルフ種のようだった。
しかしよく見ると、血を流しているのは一方のモンスターだけのように見える。近づいて来たことで、より鮮明になってきたが、互いに血を流しているように見えたのは、身体の毛が相手の返り血で染まっていただけのようで、俊敏な方が押している展開となっている。
「でもなんだか、片方が押されてるみたい。数が対等じゃない・・・」
にぃなが心配そうな表情で地上を見下ろす。三人は戦場となる地へ降り立つ為、高度を下げる。そして、襲われていると報告のあった人物と、ホビーエリアを担当している仲間を探す。
だが、周囲を見渡しても、何処にもそれらしき人物が見当たらなかった。
「戦ってる人間なんて居ないぞ。・・・まさか・・・」
いつになく鋭い目つきへと変わり、周囲の状況を確認するアナベル。すると、何かを見つけた彼女はシン達にあるお願い事をする。
「血痕が離れていくように残ってる・・・。シン、にぃな。君達にお願いしたいことがある」
「何ですか?」
「はい・・・!」
「あそこに見える血痕を追って、戦場から離れたモノを追ってくれないか?私はこの場を制圧してから向かうからっ・・・!」
アナベルが指を刺す方向を見てみると、目を凝らして漸く見つけることができる程の、小さな跡が残っているのが目に入って来た。
何よりも驚いたのは、これだけの距離がありながら、アナベルにはそれが見えていたということだ。単に彼女の視力がいいのか、それともクラスによる何らかの能力なのだろうか。
「了解です!」
「分かりました!」
二人は目標を変え、アナベルに言われた通り血痕の続く方へ手綱を引き寄せる。するとドラゴンは、アナベルを追うという指示が更新されたのか、素直に彼らの誘導に従ってくれた。
シン達が血の跡を追って行ったのを見送ると、安心した表情から一変し、二人の前では見せなかった真剣な表情を浮かべる。
「さて・・・私の可愛い子達をよくも傷付けてくれたねぇ・・・」
地上に近づくと、アナベルは乗っているドラゴンの首元をさすりながら、優しい声で語りかけるように指示を出す。
「君のブレスで、奴らを焼き払っておくれ」
そう言い残すと、彼女は地上へと飛び降りて行った。ドラゴンは彼女に言われた通り、地上で戦うウルフ種のモンスター目掛けて、勢いよく口から火炎を吐き出した。
火炎放射のように、押されているウルフ種のモンスタ~の前に炎の壁を作り出す。一体に対し、複数で襲いかかっていたもう一方のモンスター達が、炎の壁の前で立ち往生しているのが見受けられる。
すると、唸り声を響かせながら炎の向こう側で弱った獲物を見つめるモンスターの一体に、目にも止まらぬほど速い閃光のような何かが貫き、後方へ大きく吹き飛ばしていった。
仲間の行方を視線で追うウルフ達。そして、その何かが突き抜けてきた燃え盛る炎の先へ首を振ると、熱に揺らめく恐ろしい人間のシルエットが浮かんでいた。
そこには、それまでの軽装とは少し違った装いをしたアナベルの姿があった。傷ついた味方のウルフに回復の薬を使い、膝を折り視線を落とすと大きくその背中を撫でる。
「よく耐えてくれたねぇ~、よしよし。そんじゃぁ他の子も助けに行きますかぁ~」
アナベルは傷の癒えたウルフに鞍と手綱を取り付け跨ると、他の襲われている仲間のウルフの元へと走り出す。
「ウルフ種のモンスターか?随分と数がいるようだが・・・」
「私のモンスターが何体か混じってる。まだ頑張ってくれてるねぇ」
アナベルが援軍として派遣していたモンスターも、襲撃してきたモンスターと同じく四足獣であるウルフ種のようだった。
しかしよく見ると、血を流しているのは一方のモンスターだけのように見える。近づいて来たことで、より鮮明になってきたが、互いに血を流しているように見えたのは、身体の毛が相手の返り血で染まっていただけのようで、俊敏な方が押している展開となっている。
「でもなんだか、片方が押されてるみたい。数が対等じゃない・・・」
にぃなが心配そうな表情で地上を見下ろす。三人は戦場となる地へ降り立つ為、高度を下げる。そして、襲われていると報告のあった人物と、ホビーエリアを担当している仲間を探す。
だが、周囲を見渡しても、何処にもそれらしき人物が見当たらなかった。
「戦ってる人間なんて居ないぞ。・・・まさか・・・」
いつになく鋭い目つきへと変わり、周囲の状況を確認するアナベル。すると、何かを見つけた彼女はシン達にあるお願い事をする。
「血痕が離れていくように残ってる・・・。シン、にぃな。君達にお願いしたいことがある」
「何ですか?」
「はい・・・!」
「あそこに見える血痕を追って、戦場から離れたモノを追ってくれないか?私はこの場を制圧してから向かうからっ・・・!」
アナベルが指を刺す方向を見てみると、目を凝らして漸く見つけることができる程の、小さな跡が残っているのが目に入って来た。
何よりも驚いたのは、これだけの距離がありながら、アナベルにはそれが見えていたということだ。単に彼女の視力がいいのか、それともクラスによる何らかの能力なのだろうか。
「了解です!」
「分かりました!」
二人は目標を変え、アナベルに言われた通り血痕の続く方へ手綱を引き寄せる。するとドラゴンは、アナベルを追うという指示が更新されたのか、素直に彼らの誘導に従ってくれた。
シン達が血の跡を追って行ったのを見送ると、安心した表情から一変し、二人の前では見せなかった真剣な表情を浮かべる。
「さて・・・私の可愛い子達をよくも傷付けてくれたねぇ・・・」
地上に近づくと、アナベルは乗っているドラゴンの首元をさすりながら、優しい声で語りかけるように指示を出す。
「君のブレスで、奴らを焼き払っておくれ」
そう言い残すと、彼女は地上へと飛び降りて行った。ドラゴンは彼女に言われた通り、地上で戦うウルフ種のモンスター目掛けて、勢いよく口から火炎を吐き出した。
火炎放射のように、押されているウルフ種のモンスタ~の前に炎の壁を作り出す。一体に対し、複数で襲いかかっていたもう一方のモンスター達が、炎の壁の前で立ち往生しているのが見受けられる。
すると、唸り声を響かせながら炎の向こう側で弱った獲物を見つめるモンスターの一体に、目にも止まらぬほど速い閃光のような何かが貫き、後方へ大きく吹き飛ばしていった。
仲間の行方を視線で追うウルフ達。そして、その何かが突き抜けてきた燃え盛る炎の先へ首を振ると、熱に揺らめく恐ろしい人間のシルエットが浮かんでいた。
そこには、それまでの軽装とは少し違った装いをしたアナベルの姿があった。傷ついた味方のウルフに回復の薬を使い、膝を折り視線を落とすと大きくその背中を撫でる。
「よく耐えてくれたねぇ~、よしよし。そんじゃぁ他の子も助けに行きますかぁ~」
アナベルは傷の癒えたウルフに鞍と手綱を取り付け跨ると、他の襲われている仲間のウルフの元へと走り出す。
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