World of Fantasia

神代 コウ

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協力者

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 話を進める内に、相手の様子は落ち着いてきた。シンとにぃなの敵意のなさを感じ取ったのか、影の拘束が解かれても男は逃げ出そうとしなかった。

 「いきなり攻撃しちまって悪かったな・・・。俺達も何も知らねぇもんで、痛い目に遭ってきたんだ、許してくれよな」

 「あぁ、それはもういいんだ。俺達こそ拘束して悪かった。ところで、“俺達“ってことは・・・?」

 「俺達はこの近隣でたまたま出会った、同じWoFのユーザーだったんだ・・・」

 彼の話はイヅツやにぃな、シンやミアとの出会いと同じだった。異変に巻き込まれ、状況が何一つ分からない時に同じ現象に襲われていた、同じ境遇の仲間。

 例えそれが初対面であっても、共通の問題や境遇を持つ者同士というだけで、どこか心の中で繋がりを感じたのだという。不安や恐怖といった感情の中にあれば尚更だろう。

 その点に関しては、共通することも多く、彼らはチームを組み人の多く集まるプレジャーフォレスト内で、協力者や新たな仲間を集め戦力を強化しながら守りを固めていたのだという。

 痛い目にあったというのは、突如街中に現れたWoFのモンスターに襲われたということだった。モンスターが彼らに狙いを定めると、周りにいた人々の認識から外れてしまい、誰にも助けを求める声が届かない。

 そもそも、自分が異変に巻き込まれている事を知る方法が、突発的な戦闘以外にないのがより恐怖心を煽る。何とか危険を回避した者や逃げられた者達は、不安な気持ちからか多くの人がいるところを求める傾向にある。

 もしかしたら自分と同じで、モンスターが見えている人がいるかもしれないと。先に仲間を見つけた者達がプレジャーフォレストに集まり、モンスターの攻撃から防御を固めながら、同じ思考に至った者を待つことにいていたのだという。

 「自己紹介が遅れたな。俺は“コウ“。見ての通りレンジャーのクラスだ」

 「俺はシン。で、こっちの子が・・・」

 「にぃなです」

 「俺達はゲーム仲間で、たまたま近いところにいて合流できたんだ。それで他に同じような体験をしてる人がいないかと出てきたんだ」

 二人はフィアーズのことやアサシンギルドの事を伏せて話を進めた。東京の方で大停電が起きたというニュースは、彼らの元にも届いていたようだった。

 どこから来たのかと問われた際に、東京だと答えたら大変だったようだなと、その話をされた。深く聞いてこなかったのは、運が良かった。あまり突っ込んだ話をされると、ボロが出ないか心配だったからだ。

 モンスターが多く、気の休まる時がないということで、神奈川の方にまで逃げてきたという程で話を進めた。

 「俺達としても、協力者が増えるのは喜ばしいことだ。フレンド登録しておいてくれよ。何か情報が入れば共有しよう」

 「あぁ、わかった。助かる」

 その後コウは、仲間達を紹介したいが持ち場を離れる訳にもいかないと、先にメッセージとシン達の画像データを仲間達に送り、敵ではなく同じ現象に悩まされる仲間だとして、話をつけてくれた。

 「これでオッケー!一緒に行けなくて悪いが、他の仲間達には話をつけておいた。まだそれほど仲間はいないが、フォレストの何箇所かのエリアに居るから、もし興味があれば回って見てくれ」

 「ありがとう。少し安心したよ」

 「ただ、くれぐれも気は抜かないようにな?これだけ人がいてもモンスターは出る。俺達の人手も足りなくて、全てのエリアはカバー出来ないんだ・・・。危なくなったらメッセージを送ってくれ。最寄りの仲間のところに案内できる」

 「分かった。こっちも何か見つけたら報告するよ」

 シンとコウは握手をして施設を去っていった。

 どうやらこのプレジャーフォレストにも、WoFのユーザーで組まれた小さな組織が存在しているようだ。しかし、彼らの組織が大きくなればなるほど、フィアーズに目を付けられる可能性は大きくなる。

 彼らの存在は、イヅツら謀反チームにとって有力な味方となる事だろう。何とかしてフィアーズの目に止まらぬよう、存在を隠蔽しておきたいところだった。

 「何とかしてイヅツに連絡を入れたいな・・・。彼らの力は、組織を抜ける時に役に立つ」

 「その前に、あの人達を組織にバレないように隠さなきゃ。それとも一層のこと、組織に引き入れちゃうとかね?バレて関係性を疑われるよりは、安全じゃない?」

 その辺りのことも含め、イヅツらに相談する為メッセージ以外の連絡手段を模索する二人。だが、今は急を要する訳でもなく時間はある。

 じっくり考えながら、今はコウに言われた通りプレジャーフォレスト内を散策し、彼らの仲間とも会っておくことにした。
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