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目的地への道中
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幸い、イヅツら謀反チームの面々はまだ、そういった者達に目をつけられていない為、WoFの世界まで追ってくる者はいないようだ。
シンはにぃなにメッセージ機能の安全性を確認すると、向こうの世界にいるミアに対し、今現実世界で起きている事と、暫くは戻れないという事。そして、シンが今置かれている状況と任務についてついて軽く説明を載せて、目セージを送った。
彼女からの返事はすぐに返ってこなかったが、向こうから何も連絡が来ていないということは、それ程重要な出来事は起きていないのだろうと、シンはそこまで気にすることはなかった。
「彼女さん?」
スマホの画面を見ていたシンの表情を、不意に隣から覗き込むにぃな。他愛のない普通の質問だったが、そう言った話に疎いシンは少し動揺したような反応を見せた。
「別にそういう訳じゃ・・・ただの報告というか。ちょっと戻ってくるつもりが、まさかこんな事になるなんて思ってなかったから・・・」
「なぁ~んだ、そうなの。・・・そうだね、ちゃんと連絡をとっておかないと心配するもんね・・・」
からかうように話しかけてきた彼女だったが、突然寂しそうな表情に変わり、声色も少し雰囲気が変わる。
そんな彼女の反応に興味を示したのか、それとも単にその空気感に耐えられなかったのか。シンは逆ににぃなに対して、連絡をとって置かなければならない相手はいないのかと返した。
「いるよ?いるけど・・・最近は報告や確認とか、そんなのばっかり。心配・・・とかもし合ってるけど、本当の意味で心配してるのとはちょっと違うかも・・・」
「家の人とか友人とは?」
「現実世界での人ってこと?う~ん・・・あんまり思い出したくないかな。別にシンさんに話たくないって訳じゃないの、だから気にしないでね?」
「そっか・・・」
にぃなも現実世界で、何かを抱えて過ごしてきたのかもしれない。シン自身がそうであったからか、それ以上深く聞くことはしなかった。誰にでも話たくない事の一つや二つあって当然だろう。
本人が話したくなるまで、そういった話には触れない方がいい。自分自身がそう思うのなら、他の人にもそうするべきなのだろうと、シンは無意識にその話をそこで終わらせた。
「神奈川って来たことある?初めて来たんだけど、どこから巡ろうか!」
辛気臭くなってしまった空気をどうにかしようと、あからさまに変な様子で気を使い始めるシンを見て、にぃなはいつもの調子を取り戻したかのようにクスクスと笑うと、今向かっているところについて話し始める。
「私も前に任務で来たことがあるくらいなんだよね~。その時に行った相模湖リゾートのプレジャーフォレストっていう、アクティビティがいっぱいあるところがあるの!まずはそこへ行ってみようかなって」
「相模湖・・・プレジャーフォレスト・・・?アスレチックみたいなもの?」
「ん~?もしかしてちょっとした遊園地みたいなの想像してるぅ?見たらきっと驚くよぉ~!期待しててね!」
「楽しみは楽しみだけど・・・。本来の目的も忘れないように」
「分かってるって!何せあそこには、VRよりもすごい異世界体験が出来るものもあるんだから」
日本の技術が進んだことで、昔のプレジャーフォレストにも多くの最先端技術が用いられたアクティビティが増えたようだ。
にぃなはシンに明かすことなく期待を持たせたが、それこそさっきまでシンが東京で体験していたような、近未来にファンタジーの生物のような異色の組み合わせや、本当に異世界へ来たかのように錯覚するものも作られた。
それこそ、連日多くの人が行き交うような大規模のリゾートとなっている。最先端の技術が用いられるような注目の場所には、それなりにシン達と同じように“異変“に巻き込まれた者が迷い込んでいてもおかしくないだろう。
何より、情報や人を探すには多くの人が集まる場所が最適と言えるだろう。
二人は路上で無人自動車を拾うと、にぃながモニターに目的地の住所を入力する。音声ガイダンスに従い、必要事項を入力し終えると、彼女の好きなアーティストなのだろうか、ハスキーな女性ボーカルが歌うアコースティックギターの音に乗せたシックな曲調の音楽が車内に流れる。
「こういう音楽が好きなんだ」
「ん、まぁね」
彼女の印象からは、あまり想像していなかったイメージの音楽だった。勝手なシンのイメージだったが、にぃなもっと流行りのポップな曲やアイドル系の音楽を想像していた。
かといって、あまり音楽に精通していた訳でもないシンにとって、最近の流行りの曲や人気の曲といったものがどういうものなのか、分かる訳でもなかった。
「どういう曲が好きなの?アーティストとかは?」
深く考えずにして質問が、自分自身に返ってきたことで、シンはどう答えたものかと迷わされた。これと言って特定のアーティストが好きだというものもなく、ただ自分に合った曲があれば、飽きるまでそれをリピートするような聞き方をしていたシンにとって、こういった話題の引き出しは多くなかった。
「どうだろうな。その時その時で自分の気に入る曲は違うし、それをずっと繰り返すような聞き方しかしてこなかったから、あんまり音楽に詳しくはないんだ・・・」
すると彼女は、少し笑ったように答える。
「何それ。でも私も似たようなもんかなぁ。刺さる歌詞の歌とかあると、それ聴きながら色々考えたりするんだよね~」
その後も少しだけ、彼女が心を開いたのか自身の事を少しだけ話してくれた。
音楽の無い生活は考えられない、でも誰かといる時は構って欲しいなど。面倒臭いでしょと彼女は笑って話していたが、シンも何となく彼女の気持ちは分かっていた。
一人の時間は大事だが、孤立はしたくない。誰かと居ることで色々と考えてしまうタイプだが、決してそれが嫌な訳でもなく、構ってもらえないのはそれはそれで寂しい。
そう考えると、自身も何と面倒な性格だと少し笑えてきた。
シンはにぃなにメッセージ機能の安全性を確認すると、向こうの世界にいるミアに対し、今現実世界で起きている事と、暫くは戻れないという事。そして、シンが今置かれている状況と任務についてついて軽く説明を載せて、目セージを送った。
彼女からの返事はすぐに返ってこなかったが、向こうから何も連絡が来ていないということは、それ程重要な出来事は起きていないのだろうと、シンはそこまで気にすることはなかった。
「彼女さん?」
スマホの画面を見ていたシンの表情を、不意に隣から覗き込むにぃな。他愛のない普通の質問だったが、そう言った話に疎いシンは少し動揺したような反応を見せた。
「別にそういう訳じゃ・・・ただの報告というか。ちょっと戻ってくるつもりが、まさかこんな事になるなんて思ってなかったから・・・」
「なぁ~んだ、そうなの。・・・そうだね、ちゃんと連絡をとっておかないと心配するもんね・・・」
からかうように話しかけてきた彼女だったが、突然寂しそうな表情に変わり、声色も少し雰囲気が変わる。
そんな彼女の反応に興味を示したのか、それとも単にその空気感に耐えられなかったのか。シンは逆ににぃなに対して、連絡をとって置かなければならない相手はいないのかと返した。
「いるよ?いるけど・・・最近は報告や確認とか、そんなのばっかり。心配・・・とかもし合ってるけど、本当の意味で心配してるのとはちょっと違うかも・・・」
「家の人とか友人とは?」
「現実世界での人ってこと?う~ん・・・あんまり思い出したくないかな。別にシンさんに話たくないって訳じゃないの、だから気にしないでね?」
「そっか・・・」
にぃなも現実世界で、何かを抱えて過ごしてきたのかもしれない。シン自身がそうであったからか、それ以上深く聞くことはしなかった。誰にでも話たくない事の一つや二つあって当然だろう。
本人が話したくなるまで、そういった話には触れない方がいい。自分自身がそう思うのなら、他の人にもそうするべきなのだろうと、シンは無意識にその話をそこで終わらせた。
「神奈川って来たことある?初めて来たんだけど、どこから巡ろうか!」
辛気臭くなってしまった空気をどうにかしようと、あからさまに変な様子で気を使い始めるシンを見て、にぃなはいつもの調子を取り戻したかのようにクスクスと笑うと、今向かっているところについて話し始める。
「私も前に任務で来たことがあるくらいなんだよね~。その時に行った相模湖リゾートのプレジャーフォレストっていう、アクティビティがいっぱいあるところがあるの!まずはそこへ行ってみようかなって」
「相模湖・・・プレジャーフォレスト・・・?アスレチックみたいなもの?」
「ん~?もしかしてちょっとした遊園地みたいなの想像してるぅ?見たらきっと驚くよぉ~!期待しててね!」
「楽しみは楽しみだけど・・・。本来の目的も忘れないように」
「分かってるって!何せあそこには、VRよりもすごい異世界体験が出来るものもあるんだから」
日本の技術が進んだことで、昔のプレジャーフォレストにも多くの最先端技術が用いられたアクティビティが増えたようだ。
にぃなはシンに明かすことなく期待を持たせたが、それこそさっきまでシンが東京で体験していたような、近未来にファンタジーの生物のような異色の組み合わせや、本当に異世界へ来たかのように錯覚するものも作られた。
それこそ、連日多くの人が行き交うような大規模のリゾートとなっている。最先端の技術が用いられるような注目の場所には、それなりにシン達と同じように“異変“に巻き込まれた者が迷い込んでいてもおかしくないだろう。
何より、情報や人を探すには多くの人が集まる場所が最適と言えるだろう。
二人は路上で無人自動車を拾うと、にぃながモニターに目的地の住所を入力する。音声ガイダンスに従い、必要事項を入力し終えると、彼女の好きなアーティストなのだろうか、ハスキーな女性ボーカルが歌うアコースティックギターの音に乗せたシックな曲調の音楽が車内に流れる。
「こういう音楽が好きなんだ」
「ん、まぁね」
彼女の印象からは、あまり想像していなかったイメージの音楽だった。勝手なシンのイメージだったが、にぃなもっと流行りのポップな曲やアイドル系の音楽を想像していた。
かといって、あまり音楽に精通していた訳でもないシンにとって、最近の流行りの曲や人気の曲といったものがどういうものなのか、分かる訳でもなかった。
「どういう曲が好きなの?アーティストとかは?」
深く考えずにして質問が、自分自身に返ってきたことで、シンはどう答えたものかと迷わされた。これと言って特定のアーティストが好きだというものもなく、ただ自分に合った曲があれば、飽きるまでそれをリピートするような聞き方をしていたシンにとって、こういった話題の引き出しは多くなかった。
「どうだろうな。その時その時で自分の気に入る曲は違うし、それをずっと繰り返すような聞き方しかしてこなかったから、あんまり音楽に詳しくはないんだ・・・」
すると彼女は、少し笑ったように答える。
「何それ。でも私も似たようなもんかなぁ。刺さる歌詞の歌とかあると、それ聴きながら色々考えたりするんだよね~」
その後も少しだけ、彼女が心を開いたのか自身の事を少しだけ話してくれた。
音楽の無い生活は考えられない、でも誰かといる時は構って欲しいなど。面倒臭いでしょと彼女は笑って話していたが、シンも何となく彼女の気持ちは分かっていた。
一人の時間は大事だが、孤立はしたくない。誰かと居ることで色々と考えてしまうタイプだが、決してそれが嫌な訳でもなく、構ってもらえないのはそれはそれで寂しい。
そう考えると、自身も何と面倒な性格だと少し笑えてきた。
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