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調査チーム
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東京セントラルシティ。そこには多くのビル群が立ち並び、街並みの近未来化が急速に進んでいった。
風情のある昔ながらの独特な建築をしていた日本家屋は、今では見る影もない。生活がより豊かになり、交通は安全で綺麗なものとなり、整備も機械で行われるサイバーシティ。
空にはドローンが飛び交い、車はその殆どが全自動化され、目的地や順路を辿ることで、正確な時間に目的地へ到着出来るようになった。運転を好む者達もおり、ある程度のハンドル操作はマニュアルで行えるものの、内蔵されたカメラやセンサーによって危険な運転は制御されている。
一見便利になった世の中と思われるだろうが、犯罪はより巧妙になりハッカー集団なるものが世間で流行りだし、犯罪の数は嘗てとそれほど変わらない。
東京を襲った大規模停電は、進化を遂げた技術力により朝方にはすっかり元通りに戻っていた。
停電に乗じ、各地で起きていた犯罪やハッキングによる被害も、収束へ向けて好調に動き出している。
新たなシステムによるハッキング攻撃は、後手に回ってしまうものの、政府の検知力も日々アップデートされており、その痕跡を逃さない。故に、一方的に悪事が蔓延ることもない。
陽の光が街を照らすよりも少し前。シンは神奈川のノースシティに来ていた。
彼らが新たに言い渡されていたのは、東京で見つけたアサシンギルドのアジトと類似するものはないかという調査だった。それほど大規模なアジトではなかったとはいえ、この一箇所だけとは考えにくいと判断した上層部が、手始めに東京近隣の調査を開始した。
シンも、白獅らから別のアジトの存在は聞かされていない。なので、ここを探したところで確実に見つけられるとは、彼にも分からなかった。
メッセージを使って白獅に連絡をとっても良かったが、イヅツら他のWoFユーザーからは、組織外部とのメッセージは危険だと静止された。
しかし、あくまで彼らに命じられたのは調査であり、アジトの襲撃命令は出ていない。見つけ次第報告を入れろというものだけだったのが救いだろう。こういった機会が増えれば、アサシンギルドと謀反チームの引き合わせが可能となる。
神奈川ノースシティに送られたWoFユーザーは、シンの知る限り数名いた。その中には、研究施設でイヅツに紹介された“にぃな“の姿もあった。
一堂に送られたわけではなかったが、一部のメンバーが先着組として施設からポータルを使って移動した。
現地に到着した後、真っ先に口を開いた男はシンの想定していた事とは異なる意思を皆に伝え始めた。
「なぁ、手分けして調査しないか?何もみんな仲良く調査しろなんて言われてないんだからさ」
「賛成。俺、連むのとか面倒だし・・・。何かあればメッセでいいっしょ?」
「りょ~。私も一人の方が気が楽だし」
初対面が何人かいる上に、みんな本当の姿をあまり知られたくないのも事実。余程の出会い目的でやっていない限り、現実姿での付き合いなど望んでいない。
シンもそれに関しては賛成だった。だが、これではフィアーズの幹部連中と何も変わらない。そもそも彼らは、イヅツの集めた謀反チームであるのかさえもシンには分からなかった。
皆がそれぞれ思い通りに散らばっていく中、一人の女がシンに歩み寄り声をかけてきた。
「ぁ・・・あの~・・・」
「貴方は確か・・・にぃなさん?」
「はい。それでちょっとお願いがあるんですけど・・・」
改まった様子でこちらの表情を伺うように話すにぃな。彼女だけはイヅツと同じく組織を抜け出したく思う謀反チームのメンバーであることを知っていたシン。そんな彼女が、最初の自己紹介程度しか会話をしたことのないシンに、何のお願いがあるというのか。
「私、回復とか補助の魔法専門のクラスだから、一人じゃ戦えないんだよね・・・。だから・・・」
「あぁ、なるほど。それじゃぁ盾役が必要って訳だ」
「そうなの!援護はできるから・・その、お願いできる?」
前線に出て戦うのは構わないが、シンもクラスとしてはやや特殊であり、純粋な戦士やナイトといった、所謂タンク役を買って出るには不向きなクラスである。
何しろ、不意打ちや相手のヘイトを消し、別の者にターゲットを向けることもある、一歩間違えれば迷惑行為になりかねない難しい立ち位置の役割なのだ。
しかしそれでも、全く盾役がいないよりは彼女を危険な目に合わせずに済む。それに謀反チームのメンバーとは、ある程度友好的でならなければならない。
「それは構わないけど・・・。俺も近接クラスとは違うから、過度な期待は・・・」
「ホント!?よかったぁ~。私、モンスターとか怖くて・・・。ましてや現実の世界でなんて・・・」
シンの承諾に安堵したのか、彼女は大きく息を吐くと明るい表情へ戻った。
「それにイヅツと同じチームだしね」
何気なく発したその言葉に、にぃなは突然背中を押されたような反応を見せた。その時は察してあげることのできなかったシンだったが、彼女の組織を抜け出したいと思う反面、本当に上手くいくだろうかという不安を抱えていたのだ。
「うん、そう・・・だね・・・」
コロコロ変わる彼女の表情に振り回されつつも、二人は神奈川ノースシティの調査へ動き出す。
風情のある昔ながらの独特な建築をしていた日本家屋は、今では見る影もない。生活がより豊かになり、交通は安全で綺麗なものとなり、整備も機械で行われるサイバーシティ。
空にはドローンが飛び交い、車はその殆どが全自動化され、目的地や順路を辿ることで、正確な時間に目的地へ到着出来るようになった。運転を好む者達もおり、ある程度のハンドル操作はマニュアルで行えるものの、内蔵されたカメラやセンサーによって危険な運転は制御されている。
一見便利になった世の中と思われるだろうが、犯罪はより巧妙になりハッカー集団なるものが世間で流行りだし、犯罪の数は嘗てとそれほど変わらない。
東京を襲った大規模停電は、進化を遂げた技術力により朝方にはすっかり元通りに戻っていた。
停電に乗じ、各地で起きていた犯罪やハッキングによる被害も、収束へ向けて好調に動き出している。
新たなシステムによるハッキング攻撃は、後手に回ってしまうものの、政府の検知力も日々アップデートされており、その痕跡を逃さない。故に、一方的に悪事が蔓延ることもない。
陽の光が街を照らすよりも少し前。シンは神奈川のノースシティに来ていた。
彼らが新たに言い渡されていたのは、東京で見つけたアサシンギルドのアジトと類似するものはないかという調査だった。それほど大規模なアジトではなかったとはいえ、この一箇所だけとは考えにくいと判断した上層部が、手始めに東京近隣の調査を開始した。
シンも、白獅らから別のアジトの存在は聞かされていない。なので、ここを探したところで確実に見つけられるとは、彼にも分からなかった。
メッセージを使って白獅に連絡をとっても良かったが、イヅツら他のWoFユーザーからは、組織外部とのメッセージは危険だと静止された。
しかし、あくまで彼らに命じられたのは調査であり、アジトの襲撃命令は出ていない。見つけ次第報告を入れろというものだけだったのが救いだろう。こういった機会が増えれば、アサシンギルドと謀反チームの引き合わせが可能となる。
神奈川ノースシティに送られたWoFユーザーは、シンの知る限り数名いた。その中には、研究施設でイヅツに紹介された“にぃな“の姿もあった。
一堂に送られたわけではなかったが、一部のメンバーが先着組として施設からポータルを使って移動した。
現地に到着した後、真っ先に口を開いた男はシンの想定していた事とは異なる意思を皆に伝え始めた。
「なぁ、手分けして調査しないか?何もみんな仲良く調査しろなんて言われてないんだからさ」
「賛成。俺、連むのとか面倒だし・・・。何かあればメッセでいいっしょ?」
「りょ~。私も一人の方が気が楽だし」
初対面が何人かいる上に、みんな本当の姿をあまり知られたくないのも事実。余程の出会い目的でやっていない限り、現実姿での付き合いなど望んでいない。
シンもそれに関しては賛成だった。だが、これではフィアーズの幹部連中と何も変わらない。そもそも彼らは、イヅツの集めた謀反チームであるのかさえもシンには分からなかった。
皆がそれぞれ思い通りに散らばっていく中、一人の女がシンに歩み寄り声をかけてきた。
「ぁ・・・あの~・・・」
「貴方は確か・・・にぃなさん?」
「はい。それでちょっとお願いがあるんですけど・・・」
改まった様子でこちらの表情を伺うように話すにぃな。彼女だけはイヅツと同じく組織を抜け出したく思う謀反チームのメンバーであることを知っていたシン。そんな彼女が、最初の自己紹介程度しか会話をしたことのないシンに、何のお願いがあるというのか。
「私、回復とか補助の魔法専門のクラスだから、一人じゃ戦えないんだよね・・・。だから・・・」
「あぁ、なるほど。それじゃぁ盾役が必要って訳だ」
「そうなの!援護はできるから・・その、お願いできる?」
前線に出て戦うのは構わないが、シンもクラスとしてはやや特殊であり、純粋な戦士やナイトといった、所謂タンク役を買って出るには不向きなクラスである。
何しろ、不意打ちや相手のヘイトを消し、別の者にターゲットを向けることもある、一歩間違えれば迷惑行為になりかねない難しい立ち位置の役割なのだ。
しかしそれでも、全く盾役がいないよりは彼女を危険な目に合わせずに済む。それに謀反チームのメンバーとは、ある程度友好的でならなければならない。
「それは構わないけど・・・。俺も近接クラスとは違うから、過度な期待は・・・」
「ホント!?よかったぁ~。私、モンスターとか怖くて・・・。ましてや現実の世界でなんて・・・」
シンの承諾に安堵したのか、彼女は大きく息を吐くと明るい表情へ戻った。
「それにイヅツと同じチームだしね」
何気なく発したその言葉に、にぃなは突然背中を押されたような反応を見せた。その時は察してあげることのできなかったシンだったが、彼女の組織を抜け出したいと思う反面、本当に上手くいくだろうかという不安を抱えていたのだ。
「うん、そう・・・だね・・・」
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