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初任務
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途中までシンとイヅツは行動を共にし、モンスター達に気づかれぬよう建物の上を行く。そして丁度見下ろせる位置にまでやってくると、協力して敵を叩く為、互いの手の内を確認する。
「さて、これから奴らを仕留め、標的を捕らえる訳だが・・・。アンタには目標の捕獲を頼みたい。下水道での戦いを見た限り、アンタのクラスってアサシンだろ?」
「あぁ。それで?アンタのクラスは?」
シンが質問をすると、イヅツは朱影のように何もないところから西洋風の剣を取り出して、見せびらかすようにくるくると回し肩に乗せる。
「俺のクラスは“魔法剣士“だ。取り巻きは俺が引き受ける。だから先にアンタには、目標の捕獲をお願いしたいんだが・・・いけそうか?」
「了解だ。単体相手なら任せてくれ」
するとシンは、先に建物を降りていく。窓の縁を掴みながら、一階ずつ下へと降っていくと、音も立てず地面へと着地し、再度モンスターの位置を確認する。
ゾンビのようにふらふらと、おぼつかない足取りで進むオートマタの群れの最後尾に、標的の衣類を身に纏ったオートマタがいた。
静かに、しかし迅速にオートマタの背後へ駆け寄ったシンは、地面にそっと手のひらを翳し、周囲の影を集める。シンの元に集まった一際濃い影は、標的のオートマタの足元へ目にも止まらぬ速度で伸びていき、足を伝って頭部まで登ると一気に首から上を漆黒の影で包み込んだ。
同時に紐のように細く伸びた影が、オートマタの身体を縛り付け身動きを取れなくさせる。バランスを崩したオートマタが後ろへ倒れると、それを担ぐようにシンが受け止める。
シンの鮮やかな仕事ぶりを、上から眺めていたイヅツは感心したように口角を上げると、次は自分の番だと言わんばかりに、屋上から飛び降りていった。
地上まで一気に飛び降りた彼は、地面に着地すると大きな音を立てながら、膝を突くようにして見事に着地し風を巻き上げる。
イヅツの姿を捉えたオートマタの群れが、一斉に彼の方に注目する。その隙にシンが後は任せたと彼に視線を送ると、顔を上げたイヅツが頷いて返事を返す。
標的のオートマタを担ぎ、上官のいる建物の屋上へ向かうシンの後ろで、強い光が放たれていた。
立ち上がり様にくるりと回転したイヅツは、剣先を地面に擦り火花を散らせると、その刀身に炎が宿る。
「オラぁッ!相手を探してんだろ?遊んでやるからかかってこいッ!」
彼の言葉に、背中を押されたように勢いづいたオートマタの群れは、人の姿がとるにはあまりに不気味な動きで四方へ散らばり、イヅツを取り囲むようにして陣形を展開する。
一辺には飛びかからず、一体一体が時間差を設けながら攻撃を仕掛ける。そこらの魔獣型モンスターとは違い、他のモンスター同士と連携をとるあたり、一筋縄ではいかなそうな戦闘を予感させる。
が、彼の剣技の前では取るに足らない愚策に終わる。一番初めに動き出したモンスターに合わせ、イヅツはその剣を大きく振るい、炎を靡かせながら胴体を真っ二つに切り裂いた。
そして、彼の剣が辿った軌道を追うように、炎が踊りながら宙を舞って壁を作る。一見すれば大したことのない壁に見えるが、勢いのまま飛び込んだモンスターの身体に、まとわりつく様に引火し、一気に燃え上がった。
一方、標的のオートマタを拘束し運んでいたシンは、建物の窓やベランダを使いながら片手で順調に登っていく。だが、影による拘束も完璧ではなく、何とか逃げ出そうともがくオートマタの身体は、陸に上げられた魚の様にシンの肩で飛び跳ねていた。
「やっぱり担いで行くのは難しいか・・・」
そう言うと、シンは途中で一度止まり壁に影を集めると、その中に魔物を投げ入れた。影は建物を登っていき、屋上の方まで行くと見えなくなった。
両手が空いたシンは、更に速度を上げあっという間に屋上まで辿り着く。するとそこには、先ほど影の中に投げ入れた魔物が、哀れにも身動きの取れない状態で飛び跳ねていた。
再びそれを拾い上げ走り出したシンは、建物を次々に飛び次いでいき、上官と別れた建物の屋上へと急ぐ。
シンとイヅツにモンスターの捕獲を命じた男は、二人が向かっている間、建物の屋上で複数の3Dホログラムディスプレイを展開し、何かの映像を確認していた。
「流石、人口密度の多い街だ。想定以上のデータが集まってる・・・。この分なら数人分くらいは確保できそうか?」
彼が独り言を呟きながらモニターを見ていると、そこへ標的を確保したシンが戻ってくる。予想していたよりも早い帰還に、少し驚いた表情を見せる上官の男。
「連れてきた・・・」
「思ったより早かったな、新入り。ご苦労さん。そいつはこっちに置いてくれ」
上官の指さす場所に魔物を運び寝かせたシンは、彼が見ているモニターが気になり、質問をしてみる。
「何を見ている?」
「ん?まぁ、説明してやってもいいが、ちょいとややこしくてな。その内実際に見せてやるから、それまで楽しみにしておくんだな」
あまり執拗に質問を繰り返すと、怪しまれたり機嫌を損ねると判断したシンは、それ以上は口にすることなく、魔物の相手をするイヅツの帰りを待つことにした。
「さて、これから奴らを仕留め、標的を捕らえる訳だが・・・。アンタには目標の捕獲を頼みたい。下水道での戦いを見た限り、アンタのクラスってアサシンだろ?」
「あぁ。それで?アンタのクラスは?」
シンが質問をすると、イヅツは朱影のように何もないところから西洋風の剣を取り出して、見せびらかすようにくるくると回し肩に乗せる。
「俺のクラスは“魔法剣士“だ。取り巻きは俺が引き受ける。だから先にアンタには、目標の捕獲をお願いしたいんだが・・・いけそうか?」
「了解だ。単体相手なら任せてくれ」
するとシンは、先に建物を降りていく。窓の縁を掴みながら、一階ずつ下へと降っていくと、音も立てず地面へと着地し、再度モンスターの位置を確認する。
ゾンビのようにふらふらと、おぼつかない足取りで進むオートマタの群れの最後尾に、標的の衣類を身に纏ったオートマタがいた。
静かに、しかし迅速にオートマタの背後へ駆け寄ったシンは、地面にそっと手のひらを翳し、周囲の影を集める。シンの元に集まった一際濃い影は、標的のオートマタの足元へ目にも止まらぬ速度で伸びていき、足を伝って頭部まで登ると一気に首から上を漆黒の影で包み込んだ。
同時に紐のように細く伸びた影が、オートマタの身体を縛り付け身動きを取れなくさせる。バランスを崩したオートマタが後ろへ倒れると、それを担ぐようにシンが受け止める。
シンの鮮やかな仕事ぶりを、上から眺めていたイヅツは感心したように口角を上げると、次は自分の番だと言わんばかりに、屋上から飛び降りていった。
地上まで一気に飛び降りた彼は、地面に着地すると大きな音を立てながら、膝を突くようにして見事に着地し風を巻き上げる。
イヅツの姿を捉えたオートマタの群れが、一斉に彼の方に注目する。その隙にシンが後は任せたと彼に視線を送ると、顔を上げたイヅツが頷いて返事を返す。
標的のオートマタを担ぎ、上官のいる建物の屋上へ向かうシンの後ろで、強い光が放たれていた。
立ち上がり様にくるりと回転したイヅツは、剣先を地面に擦り火花を散らせると、その刀身に炎が宿る。
「オラぁッ!相手を探してんだろ?遊んでやるからかかってこいッ!」
彼の言葉に、背中を押されたように勢いづいたオートマタの群れは、人の姿がとるにはあまりに不気味な動きで四方へ散らばり、イヅツを取り囲むようにして陣形を展開する。
一辺には飛びかからず、一体一体が時間差を設けながら攻撃を仕掛ける。そこらの魔獣型モンスターとは違い、他のモンスター同士と連携をとるあたり、一筋縄ではいかなそうな戦闘を予感させる。
が、彼の剣技の前では取るに足らない愚策に終わる。一番初めに動き出したモンスターに合わせ、イヅツはその剣を大きく振るい、炎を靡かせながら胴体を真っ二つに切り裂いた。
そして、彼の剣が辿った軌道を追うように、炎が踊りながら宙を舞って壁を作る。一見すれば大したことのない壁に見えるが、勢いのまま飛び込んだモンスターの身体に、まとわりつく様に引火し、一気に燃え上がった。
一方、標的のオートマタを拘束し運んでいたシンは、建物の窓やベランダを使いながら片手で順調に登っていく。だが、影による拘束も完璧ではなく、何とか逃げ出そうともがくオートマタの身体は、陸に上げられた魚の様にシンの肩で飛び跳ねていた。
「やっぱり担いで行くのは難しいか・・・」
そう言うと、シンは途中で一度止まり壁に影を集めると、その中に魔物を投げ入れた。影は建物を登っていき、屋上の方まで行くと見えなくなった。
両手が空いたシンは、更に速度を上げあっという間に屋上まで辿り着く。するとそこには、先ほど影の中に投げ入れた魔物が、哀れにも身動きの取れない状態で飛び跳ねていた。
再びそれを拾い上げ走り出したシンは、建物を次々に飛び次いでいき、上官と別れた建物の屋上へと急ぐ。
シンとイヅツにモンスターの捕獲を命じた男は、二人が向かっている間、建物の屋上で複数の3Dホログラムディスプレイを展開し、何かの映像を確認していた。
「流石、人口密度の多い街だ。想定以上のデータが集まってる・・・。この分なら数人分くらいは確保できそうか?」
彼が独り言を呟きながらモニターを見ていると、そこへ標的を確保したシンが戻ってくる。予想していたよりも早い帰還に、少し驚いた表情を見せる上官の男。
「連れてきた・・・」
「思ったより早かったな、新入り。ご苦労さん。そいつはこっちに置いてくれ」
上官の指さす場所に魔物を運び寝かせたシンは、彼が見ているモニターが気になり、質問をしてみる。
「何を見ている?」
「ん?まぁ、説明してやってもいいが、ちょいとややこしくてな。その内実際に見せてやるから、それまで楽しみにしておくんだな」
あまり執拗に質問を繰り返すと、怪しまれたり機嫌を損ねると判断したシンは、それ以上は口にすることなく、魔物の相手をするイヅツの帰りを待つことにした。
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